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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド
窮地の彼方と立ち上がる瀬玲奈
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弁当箱を教室に置いたあと、僕はそのまま職員室へ向かった。
「失礼します」
「御堂君、こっちに来て」
職員室に入ると、担任の渡辺先生に呼ばれ、僕は職員室の奥に向かう。
そこには長テーブルとイスが4つ置かれており、そこに教頭先生と、背が低くブロンドの髪をポニーテールにした女の子が、腕を組んで座っていた。
(なんでこんなところに付属中学の生徒が……?)
そう思ったけど、よく見れば本校の制服を着てる。
「御堂、そこに座りなさい」
教頭先生は目の前の席を指さすと、僕は言われた通りに座ると、僕の横に渡辺先生が座る。
「えっと……、その前にそちらのちびっ子は誰ですか?」
「誰がちびっ子だっ!?ミレイは3年でこの学園の生徒会長だっ!お前より先輩なんだぞっ!」
僕はちびっ子を指さすと、そのちびっ子……もとい生徒会長はテーブルを叩きながら立ち上がる。
ていうか、ウチの学園の生徒会長ってこの人だったのか、知らなかった……。
「それは失礼しました。それで僕に話って何ですか?」
「……単刀直入に言う、御堂……おまえ昨日他校の生徒に暴力を振るっただろ?相手の学校から苦情が来ている」
生徒会長はイスに座り、軽く咳払いをすると教頭先生の横で腕組みをしながら僕を睨む。
なんだってっ!?
「ちょ、ちょっと待ってください!先に手を出してきたのは向こうです!僕は……僕は、ただ……!」
僕は勢いよくイスから立ち上がると、昨日の一件のことを伝える。
しかし、教頭先生も生徒会長も難しい顔をしながら僕を見つめる。
「つまり、先にやられたからやり返したと……つまりはそういうことか?」
「……そう言うわけじゃないのですが」
どうする……?早乙女さんを守るためにやったと言う……?
でも、それだと早乙女さんにまで迷惑がかかってしまう……。
僕はどう説明しようかと悩んでいたそのとき、職員室のドアが勢いよく開いた。
「失礼します!」
声からして早乙女さんのようだ。
「あなたは2年B組の早乙女さん……?どうしたの?」
「はい!ウチ御堂君が職員室に呼ばれたって聞いてきました!たぶん昨日の事だと思うので証言しに来た感じです!」
僕は職員室の奥から顔を覗かせると、生徒会長と教頭先生も何事かと顔を覗かせる。
「早乙女、昨日の証言とはどういう事だ?」
教頭先生が訝しげな顔で早乙女さんを見ると、彼女は臆することなく僕の横に立って腕組みをする。
「昨日、ウチは御堂君とゲーセンにいました!そしたら他校の男子が3人、ナンパしてきて——御堂君がウチを庇ってくれたんです!でも、そいつらが御堂君を殴って、ウチに手を出そうとしてきて……御堂君は最小限の力で止めてくれました!そんなに御堂君が悪いって言うのならゲーセンの防犯カメラを見せてもらったらいいじゃん!」
「教頭先生、どうしましょうか……?」
早乙女さんの話を聞いて渡辺先生が教頭先生に伺いを立てる。
「ふむ……、確かに防犯カメラを確認してからのほうがよさそうだ……。御堂、君のことは店側の防犯カメラを確認してから追って通達する。今日のところはこれでいい」
「はい、失礼します」
僕はお辞儀をすると早乙女さんと一緒に職員室を退出する。
職員室を出た瞬間、僕は思わず深く息を吐いた。
「ふぅ……助かった……」
緊張でこわばっていた肩の力が抜けていくのが分かる。
その隣で、早乙女さんはいつもの調子で笑っていた。
「いや~、ウチ、マジで間に合ってよかった~!御堂君、めっちゃ焦ってたし!」
「……そりゃ、あんな風に呼び出されたら誰だって焦るよ」
「でもさ、ウチが来た時、ちょっとホッとした顔してたよね?」
「えっ……」
不意を突かれて、僕は言葉に詰まる。
瀬玲奈はニヤニヤしながら僕の顔を覗き込んでくる。
「やっぱ図星~♪」
「……そりゃ、助かったのは本当だし」
「ふふっ、ウチ、御堂君の役に立てたなら嬉しいな~」
そう言って、瀬玲奈は少しだけ照れたように笑った。
その笑顔が、なんだかいつもより柔らかく見えた。
「でもさ、なんで来てくれたの?」
僕がそう尋ねると、瀬玲奈は少しだけ視線を逸らして、ぽつりと答えた。
「う~ん……、昨日の借りを返すって言ったらカッコつけすぎになるかもけど、ウチ、御堂君が困ってるのに何もしないの、イヤだったから」
その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。
彼女は、僕のためにここまでしてくれたんだ。
「ありがとう、早乙女さん。ほんとに、助かったよ」
「も~、“早乙女さん”じゃなくて“瀬玲奈”でいいってば~。ウチ、御堂君にはそう呼んでほしいな~って思ってたし♪」
「せ、瀬玲奈……」
彼女の下の名前を呼ぶと、顔が熱くなってるのが自分でもわかる。
「おっ、いいじゃんいいじゃん!その調子でいこ~!その代わりウチもカナタっちって呼ぶし!」
瀬玲奈は嬉しそうに笑って、僕の肩を軽く叩いた。
その手のぬくもりが、じんわりと残る。
それにしてもカナタっち……?
なんだろう……、瀬玲奈から言われると不思議と嫌じゃない。
(……なんだろう、この感じ)
心臓が、また少しだけ早くなった気がした。
「そんじゃカナタっち!夜のゲーム忘れないでよね!」
瀬玲奈は僕に手を振りながら走り去っていく。
僕は、瀬玲奈の背中が見えなくなるまで、ずっとその場に立ち尽くしていた。
余談だが、ゲーセンの防犯カメラを解析した結果、僕の無実は立証されたのだった。
「失礼します」
「御堂君、こっちに来て」
職員室に入ると、担任の渡辺先生に呼ばれ、僕は職員室の奥に向かう。
そこには長テーブルとイスが4つ置かれており、そこに教頭先生と、背が低くブロンドの髪をポニーテールにした女の子が、腕を組んで座っていた。
(なんでこんなところに付属中学の生徒が……?)
そう思ったけど、よく見れば本校の制服を着てる。
「御堂、そこに座りなさい」
教頭先生は目の前の席を指さすと、僕は言われた通りに座ると、僕の横に渡辺先生が座る。
「えっと……、その前にそちらのちびっ子は誰ですか?」
「誰がちびっ子だっ!?ミレイは3年でこの学園の生徒会長だっ!お前より先輩なんだぞっ!」
僕はちびっ子を指さすと、そのちびっ子……もとい生徒会長はテーブルを叩きながら立ち上がる。
ていうか、ウチの学園の生徒会長ってこの人だったのか、知らなかった……。
「それは失礼しました。それで僕に話って何ですか?」
「……単刀直入に言う、御堂……おまえ昨日他校の生徒に暴力を振るっただろ?相手の学校から苦情が来ている」
生徒会長はイスに座り、軽く咳払いをすると教頭先生の横で腕組みをしながら僕を睨む。
なんだってっ!?
「ちょ、ちょっと待ってください!先に手を出してきたのは向こうです!僕は……僕は、ただ……!」
僕は勢いよくイスから立ち上がると、昨日の一件のことを伝える。
しかし、教頭先生も生徒会長も難しい顔をしながら僕を見つめる。
「つまり、先にやられたからやり返したと……つまりはそういうことか?」
「……そう言うわけじゃないのですが」
どうする……?早乙女さんを守るためにやったと言う……?
でも、それだと早乙女さんにまで迷惑がかかってしまう……。
僕はどう説明しようかと悩んでいたそのとき、職員室のドアが勢いよく開いた。
「失礼します!」
声からして早乙女さんのようだ。
「あなたは2年B組の早乙女さん……?どうしたの?」
「はい!ウチ御堂君が職員室に呼ばれたって聞いてきました!たぶん昨日の事だと思うので証言しに来た感じです!」
僕は職員室の奥から顔を覗かせると、生徒会長と教頭先生も何事かと顔を覗かせる。
「早乙女、昨日の証言とはどういう事だ?」
教頭先生が訝しげな顔で早乙女さんを見ると、彼女は臆することなく僕の横に立って腕組みをする。
「昨日、ウチは御堂君とゲーセンにいました!そしたら他校の男子が3人、ナンパしてきて——御堂君がウチを庇ってくれたんです!でも、そいつらが御堂君を殴って、ウチに手を出そうとしてきて……御堂君は最小限の力で止めてくれました!そんなに御堂君が悪いって言うのならゲーセンの防犯カメラを見せてもらったらいいじゃん!」
「教頭先生、どうしましょうか……?」
早乙女さんの話を聞いて渡辺先生が教頭先生に伺いを立てる。
「ふむ……、確かに防犯カメラを確認してからのほうがよさそうだ……。御堂、君のことは店側の防犯カメラを確認してから追って通達する。今日のところはこれでいい」
「はい、失礼します」
僕はお辞儀をすると早乙女さんと一緒に職員室を退出する。
職員室を出た瞬間、僕は思わず深く息を吐いた。
「ふぅ……助かった……」
緊張でこわばっていた肩の力が抜けていくのが分かる。
その隣で、早乙女さんはいつもの調子で笑っていた。
「いや~、ウチ、マジで間に合ってよかった~!御堂君、めっちゃ焦ってたし!」
「……そりゃ、あんな風に呼び出されたら誰だって焦るよ」
「でもさ、ウチが来た時、ちょっとホッとした顔してたよね?」
「えっ……」
不意を突かれて、僕は言葉に詰まる。
瀬玲奈はニヤニヤしながら僕の顔を覗き込んでくる。
「やっぱ図星~♪」
「……そりゃ、助かったのは本当だし」
「ふふっ、ウチ、御堂君の役に立てたなら嬉しいな~」
そう言って、瀬玲奈は少しだけ照れたように笑った。
その笑顔が、なんだかいつもより柔らかく見えた。
「でもさ、なんで来てくれたの?」
僕がそう尋ねると、瀬玲奈は少しだけ視線を逸らして、ぽつりと答えた。
「う~ん……、昨日の借りを返すって言ったらカッコつけすぎになるかもけど、ウチ、御堂君が困ってるのに何もしないの、イヤだったから」
その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。
彼女は、僕のためにここまでしてくれたんだ。
「ありがとう、早乙女さん。ほんとに、助かったよ」
「も~、“早乙女さん”じゃなくて“瀬玲奈”でいいってば~。ウチ、御堂君にはそう呼んでほしいな~って思ってたし♪」
「せ、瀬玲奈……」
彼女の下の名前を呼ぶと、顔が熱くなってるのが自分でもわかる。
「おっ、いいじゃんいいじゃん!その調子でいこ~!その代わりウチもカナタっちって呼ぶし!」
瀬玲奈は嬉しそうに笑って、僕の肩を軽く叩いた。
その手のぬくもりが、じんわりと残る。
それにしてもカナタっち……?
なんだろう……、瀬玲奈から言われると不思議と嫌じゃない。
(……なんだろう、この感じ)
心臓が、また少しだけ早くなった気がした。
「そんじゃカナタっち!夜のゲーム忘れないでよね!」
瀬玲奈は僕に手を振りながら走り去っていく。
僕は、瀬玲奈の背中が見えなくなるまで、ずっとその場に立ち尽くしていた。
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