罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

瀬玲奈とのクレープデート

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 あれから数日が経った土曜日の午後、僕はなんとなく商店街をぶらついていた。

 父さんと真奈美さんはデート、亜希は柊さんと買い物、由奈ちゃんは友達と遊びに出かけているため、取り残された僕は暇つぶしに商店街に来てみたものの、これといって興味を引きそうなものがない。

(仕方ない、帰ろうかな……)

 僕は踵を返そうとすると前から日傘をさした瀬玲奈が歩いて来るのが見えた。

 瀬玲奈は人混みの中で僕を見つけたのか、パッと顔を輝かせると、ゆるふわな茶髪のロングヘアを風になびかせて手を振ってくる。
 白いシャツに緑のハーフパンツ姿が、雑踏の中でもひときわ目を引いた。

「あれ~?カナタっちじゃん!こんなところで会うなんて超偶然~。何してんの~?」

「いや、暇つぶしに散歩してただけで……。これから帰ろうとしていたところだよ」

「え~、もう帰っちゃうの?せっかく会えたのに~、もったいな~い!せっかくだからちょっとくらい付き合ってよ、カナタっち!」

 目の前で屈託のない笑みを浮かべる彼女の表情に僕の胸は高鳴っていた。
 瀬玲奈のゆるふわな茶髪が風に揺れ、シャンプーの香りなのか、彼女の匂いが僕の鼻をくすぐる。

 僕は少し顔を赤くしながら少し考える素振りをするも、特に断る理由がないため頷くことにした。

「特に予定があるわけでもないし、いいよ。でもどこに行くの?」

「実はねぇ、新しくできたクレープ屋さんが超気になってて!ウチまだ行ったことないんだけど、「カナタっちと一緒に食べたら、もっと美味しいかな~って思ってたんだよね~♪どう?付き合ってくれる?」

 瀬玲奈は髪をかき上げながらキラキラとした目で僕を見つめてくる。

 クレープか……。
 少し前に昼ごはんを食べたばかりだけど……瀬玲奈の誘いを断るのも悪いし、それに瀬玲奈と過ごすのもいいかもしれない。

「いいよ、行こうか」

「やった~!カナタっち優しい~♡ウチ、ずっとあのクレープ屋さん行ってみたかったんだよね~。どんな味があるのかなぁ、迷っちゃいそう!」

 僕は瀬玲奈と共に商店街にあるクレープ屋を目指す。


 僕はスマホでクレープ屋を調べ場所を確認すると、マップアプリを頼りにクレープ屋を目指す。
 すると人気なのか、店の前には長い行列ができていて、賑やかな声があちこちから聞こえてくる。
 しかも、その殆どが女性やカップルたちだった。

 僕は列に並びながら、隣に立っている瀬玲奈に目をやると、ワクワクした表情でスマホの待ち時間情報をチェックし、時折僕の方を見ては嬉しそうに微笑んでいる。

 その表情豊かな彼女の顔に僕は惹かれつつあった。

「やっぱ人気店だけあって並んでるねぇ~。でもカナタっちと一緒だから全然退屈じゃないし!どんなクレープ食べようかな~迷うなぁ~」

「瀬玲奈はどんなのが好きなの?」

「ウチね~、フルーツがいっぱいのってるやつ好きなんだ~。特にクリームたっぷりのやつ!あ、でも抹茶系も捨てがたいかも…カナタっちはどんなのが好み?」

「僕もフルーツが乗ってるやつが好きかな。でも、あまり甘さすぎるのは苦手かも」

 周囲の女性客やカップルで賑わう行列を眺めながら僕は瀬玲奈との会話を楽しむ。

(それにしても、瀬玲奈はフルーツが好きなのか。案外僕と好みが似てるのかも?)

 そう思いながら彼女の嬉しそうに笑う顔を見つめる。

「わかる~!ウチもクリームは好きだけど甘すぎるのはちょっとね……。でも、フルーツの酸味とクリームの甘さって最高の組み合わせじゃん♪ カナタっちと共通点見つかってなんか嬉しいなぁ~。あ、次ウチたちの番だよ!」

 瀬玲奈と話をしているうちに気がつけば僕たちの番が来ていた。

「瀬玲奈はどれにする?」

「うわ~どうしよう!チョコバナナも超美味しそうだし、マンゴーの色がヤバいくらいキレイなんだよね~。カナタっちはどれにする?ウチ、シェアするつもりだったんだけど…どっちがいいと思う?」

 カウンターの前に立つと、瀬玲奈はショーケースを見ながら目を輝かせる。
 チョコバナナと鮮やかな色のマンゴーを眺めながら列に並んでいた時よりもさらにテンションが上がっている。

 しかし……僕には瀬玲奈の言った一つの言葉が気になっていた。

(シェアって……いや、まさか……これ、間接キスになるんじゃ……!?)

 僕は顔を赤くし、瀬玲奈との間接キスに胸がドキドキしていた。

「ねぇ、カナタっち~?どうしたのボーッとして?やっぱチョコバナナとマンゴー両方買っちゃおっかな~。シェアすればいろんな味楽しめるよね!」

「そ、そうだね!すみません!チョコバナナとマンゴー&クリームを一つずつください!」

 僕は後ろが待っていることもあり、ややテンパりながら店員さんに注文すると代金を支払う。


 注文を終えて、僕たちはクレープを受け取ると、近くの公園にあるベンチに腰を下ろした。  
 手にしたクレープからは、甘い香りがふわりと漂ってくる。

「うわ~、めっちゃいい匂い~!カナタっちのチョコバナナも美味しそうじゃん!」

「そっちも美味しそうだね。マンゴーの色が鮮やかで映えるね」

「でしょ~?じゃあ、はいっ!」

 そう言って、瀬玲奈は自分のクレープを僕の口元に差し出してきた。

「えっ……?」

「ほらほら、シェアするって言ったじゃん?ウチのも一口食べてみてよ~」

 不意打ちのように差し出されたクレープに、僕は一瞬たじろぐ。  
 さっきまで意識していた“間接キス”のことが、頭の中でぐるぐると回り始める。

(いや、これは……!でも断ったら逆に意識しすぎてるって思われるかも……)

「……じゃあ、いただきます」

 僕はそっとクレープに口を近づけ、一口かじる。  
 マンゴーの甘酸っぱさとクリームのまろやかさが口の中に広がる。

「どお?美味しい?」

「うん、すごく美味しいよ」

「でしょ~!ウチのセンス、間違ってなかったっしょ♪」

 瀬玲奈は嬉しそうに笑いながら、今度は僕のクレープをじっと見つめてくる。

「……ねぇ、カナタっちのも、ひとくちちょーだい♡」

「えっ、あ、うん……」

 僕は自分のクレープを差し出すと、瀬玲奈はためらいもなくパクッと一口かじった。

「ん~!こっちも美味しい~!やっぱシェアって最高だね~!」

 彼女は満足そうに笑いながら、クレープを頬張る。  
 その無邪気な笑顔に、僕の胸がまた少しだけ高鳴った。

(……なんだろう、この感じ。最近、瀬玲奈といると、心が落ち着かない)

 クレープをかじりながら、僕はそっと瀬玲奈の横顔を盗み見た。
 その笑顔が、なんだか胸の奥をくすぐっていた。
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