罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

残された彼方と瀬玲奈の決意

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 瀬玲奈と公園のベンチでクレープを食べ終えた頃、少し先に見覚えのある顔が近づいてきた。

 亜希と柊さんだ。

 二人も僕たちに気がついたのかこちらへと歩いてくる。

「御堂君と早乙女さん……一緒にいるの、ちょっと意外」

 柊さんはやや無表情ながらも少し驚いているのか、目を見開いていた。
 一方の亜希は腕組みをしながら僕と瀬玲奈を見比べている。

「ふ~ん……。最近ちょっと仲良さげだと思ったら、今日はデートってわけ?」

 亜希の言葉に僕はドキっとする。

(こ……これってやっぱりデート……になるのかな……?)

 僕は隣に座っている瀬玲奈の顔を見ると、なぜか彼女は目を泳がせ動揺していた。

「ち……違うし!か……御堂君とはたまたま会っただけだし!御堂君、ウチそろそろ帰るね!それじゃあ……またね!」

 瀬玲奈は慌てて残りのクレープを口に詰め込むと、逃げるようにこの場を去っていく。
 走り去る瀬玲奈の背中は、どこか寂しげで、僕の胸に小さな棘を残した。

「え……?ちょ……!」

 僕は何がなんだか分からず、瀬玲奈を引き止めようとするも、彼女は振り返ることなく走り去っていく。

「……早乙女さん、行っちゃった」

 柊さんも瀬玲奈の遠ざかる背中をじっと見つめていた。

(僕……何かマズイことしたかな……)

 僕は自分の行動を思い返してみるも、特には思いつかない。
 もしかしたら自分が気が付かないところで彼女を傷つけてしまった可能性はあるかもしれないけど……。

「……で、彼方。あんたと瀬玲奈って、どういう関係なわけ?」

 亜希はなぜか僕をジロッと睨みつける。

「どうって……、友達……になるのかな……?」

 僕は亜希の問いに答える。
 瀬玲奈との関係って……“友達”で、合ってるんだよね?

 というか、なんで僕が睨まれないといけないんだろう……?

 僕は理不尽さを感じていると、亜希は大きくため息をつく。

「はぁ~……。友達って……、まあいいけど……。瀬玲奈は私の大切な友達なの!曖昧な態度をとって瀬玲奈を泣かせるようなことしたら……私は絶対にあんたを許さないから」

「え……?う……うん……」

 亜希は言い終えると、ほんの一瞬だけ目を伏せた。
 僕は意味が分からず頷くと亜希と柊さんは僕の前から去っていく。

(一体亜希は何が言いたかったんだろう……?)

 残された僕は一人、食べかけのクレープを口に入れる。
 ひとりで食べるクレープは、甘いはずなのに、どこか味気なかった。


 ──瀬玲奈──


 カナタっち達の前から逃げ出したウチは、しばらく走ったところで立ち止まり、そっと後ろを振り返った。
 そこにはカナタっちも亜希もミオっちもいない。

「はぁ~……、まずった……」

 ウチはその場にしゃがみ込むと大きく息を吐く。

 あれはどう見てもデートにしか見えない。
 ウチが苦し紛れに言った「たまたま会っただけ」だという言葉も言い訳にもならないと思う。

(亜希とミオっちがカナタっちのこと好きだってのウチ知ってるのに……、ただ遊ぶだけならセーフとか言いながらウチ、もう完全に……カナタっちのこと、好きになっちゃってるし……!)

 こんなの許されない!
 友達が片思いしている男の子を横取りするなんて真似……亜希とミオっちが知ったら絶対に嫌われる。

 亜希もミオっちもウチの大切な友達、その2人に嫌われたら……ウチ、きっと立ち直れない……。

 ぽつりとこぼれた言葉は、風にさらわれていった。

 目を閉じると、ついさっきまで一緒に過ごしたカナタっちの顔が思い浮かぶ。  
 彼の声、表情、クレープを一緒に食べたときの距離感……全部が頭の中でぐるぐる回って、胸の奥に残ってる。

(ウチ、あんなに楽しかったのに……)

 胸の奥が、きゅうっと締めつけられる。  
 楽しかった時間が、今は罪悪感に変わって押し寄せてくる。

(でも……ウチ、あのまま何も言わずに逃げて……カナタっち、傷ついてないかな……)

 ふと、彼の驚いた顔が脳裏に浮かぶ。  
 あの時、彼は何も悪くなかったのに。  
 ウチが勝手に動揺して、勝手に逃げて、勝手に落ち込んでる。

「……ウチ、最低だ」

 自分の気持ちに気づいたのに、向き合うのが怖くて、全部なかったことにしようとした。  
 でも、もう無理だ。  
 カナタっちのこと、好きって気持ちは、もう止められない。

(どうしよう……どうしたら、いい?)

 スマホを見つめたまま、ウチはしばらく動けなかった。

 その時、スマホが震えた。

 画面には「御堂彼方」の名前と、メッセの通知が一件。

――さっきはごめん。何か気に障ること言ったなら謝りたい。話せるときに、連絡くれると嬉しい――

 その一文を読んだ瞬間、胸の奥がじわっと熱くなった。

(……やっぱ、カナタっちって、優しい)

 涙が出そうになるのをこらえながら、ウチはスマホをぎゅっと握りしめた。

(ウチ、どうしたい?このまま逃げる?それとも……)

 風が吹く。  
 茶色の髪が揺れて、頬にかかる。

(……まずは、ちゃんと亜希とミオっちに話さなきゃ。逃げたままじゃ前に進めない)

 ウチはそっとスマホを見つめる。
 意を決したウチは画面をタップし、亜希とミオっちに話がしたいという内容のメッセを送った。
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