罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

ご主人様は妄想中

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 お化け屋敷を出たあと、瀬玲奈を少し休ませようと、僕は校内の喫茶店風の模擬店に入った。
 しかし、適当に入ったのがマズかったのかもしれない……。

「おかえりなさいませ!ご主人様!お嬢様っ!」

 よりによって、そこはメイド喫茶だった……!
 甲高い声とともにフリルのエプロンをまとい、メイドに扮したこのクラスの女子達が僕たちを出迎える。

「ご注文をお伺いします!ただいまカップル限定のケーキセットが得ですがいかがですか?」

「じゃ……じゃそれで……」

 僕は少し顔を赤くしながら注文をすると、適当な席に瀬玲奈と座る。
 しかし、瀬玲奈は眉をひそめ、視線で僕を見つめてくる。

「ふぅ~ん、彼方ってこういうのが好きなんだ……」

 瀬玲奈からの白い目が僕に突き刺さる!

「違う……!違うからっ!たまたま入ったところがメイド喫茶だったというわけで……!」

 僕は必死に弁解を述べると、その様子が面白かったのか、瀬玲奈はお腹を抱えて笑いだした。

「あはははは……!彼方必死すぎ!ウケる!まぁ、こういうのもアリかもね~。ウチ、意外と平気だよ?それより彼方、さっきはありがとね。ホント助かった~」

「へ……?」

 僕の目が点になるも、状況を理解すると一気に安堵した。

「ねえ、彼方。もしウチがあんなメイド服着たらどうする?」

 瀬玲奈はニヤニヤと少し意地の悪そうな笑みを浮かべると僕に囁く。

(メイド服姿の瀬玲奈……?)

 僕は頭の中で妄想……もとい、想像する。

 メイド服を着た瀬玲奈が「おかえりなさいませ!ご主人様!」と言ったり、手でハートマークを作って「萌え萌えキュン♡」と言ったりする。
 そして最後は……。

(ご主人様だけにご奉仕しますね……♡)

 服をはだけさせ、顔を赤くしながら上目遣いで見つめてくる瀬玲奈……。
 もちろんその後は彼女を美味しくいただき、最後は瀬玲奈とひとつに……。

 ……いいかもしれない。

「……ねぇ彼方、今ちょっとエッチなこと考えてたでしょ?」

 瀬玲奈の言葉に僕は妄想から呼び戻される。
 ギク……!

「な……ななな……なんのこと……っ!?」

 図星を突かれ、僕は目を泳がせる。
 ピンク色の妄想が消えた代わりに、背中に冷や汗が流れるのを感じた。

「ふ~ん、やっぱり妄想してたんだ~。ウチのメイド姿でそんなエッチなこと考えてたなんてねぇ~。正直に言いなよ、彼方~」

 瀬玲奈はニヤリと勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、テーブルの下で僕の足を軽く蹴る。
 蹴られる痛みはそこまででもないのだけど、むしろ瀬玲奈の白い視線のほうが痛い……。

「ご……ゴメン……」

 僕は素直に謝るべきだと思った。

(彼女をそんなエッチな目で見るなんて……僕、最低じゃないか……)

 僕は自責の念に駆られながら、そっと視線を落とした。

 だけど……。

「……でもさ、ウチちょっと嬉しかったかも」

 瀬玲奈の声が、ふっと柔らかくなる。

「え……?」

 顔を上げると、瀬玲奈は頬を赤らめながら、ストローをくるくるといじっていた。

「だってさ、彼方がウチのこと、そういうふうに見てくれてるって……なんか、ちゃんと女の子として見てもらえてるんだなって思って」

 その言葉に、僕の胸がドクンと鳴った。

「……でも、嫌だったらごめん。僕、そういうつもりじゃ」

「ううん、イヤじゃないよ。むしろ……ちょっとドキドキした」

 瀬玲奈は照れくさそうに笑うと、そっと僕の手に自分の手を重ねた。

「ウチもね、彼方のこと見てると……たまに、ちょっとドキドキしすぎて、変なこと考えちゃう時あるし……。だから、おあいこってことで許してあげる♡」

「そ、そうなの……?」

「うん。だから、あんまり自分を責めないで。ウチ、彼方のそういうとこも好きだし」

 瀬玲奈の言葉に、僕の顔は一気に熱くなる。

 なんだろう、さっきまでの自責の気持ちがふわっと溶けていく。

「……ありがとう、瀬玲奈」

「うん♪ でも、今度ウチがメイド服着たら、ちゃんと正気保ってよね?」

「そ、それは……努力する……」

「ふふっ、楽しみにしててね、ご主人様♡」

「お待たせ致しました、カップル限定のケーキセットです!」

 瀬玲奈はウインクをすると同時にメイド服に身を包んだ店員さんがホールケーキとストローが2本入れられている大きめのカップに入ったコーヒーをひとつ運んでくる。
 しかも、フォークはひとつだけという、まさかの“はい、あーん♡”前提仕様……!

「カップル限定のケーキセットってこれっ!?」

 僕はそれを見て思わず声をあげるも、店員さんは目をパチクリとさせる。

「え?だっておふたりはあの"青春の1ページ"というタイトルの写真に写っていたおふたりですよね?ですから特別サービスです♪」

 こんなサービスいらないよっ!?

 僕は心の中で突っ込んでいると瀬玲奈がプラスチックフォークで切り分け、僕の口に向けてくる。

「せっかくだし、食べよ彼方♡」

 僕はケーキを頬張ると、甘いケーキよりも彼女の笑顔の方が、ずっと甘く感じた。


 ◆◆◆


 夕方……。
 学園祭が終わろうとした頃、僕と瀬玲奈は屋上に来ていた。

「彼方、もうすぐ学園祭が終わるね。ウチ、今日はすごく楽しかった~♡」

「僕も……、瀬玲奈と過ごせてすごく楽しかったよ」

 夕陽に照らされた瀬玲奈の茶髪が、金色にきらめいて見える。
 彼女の笑顔に僕は目を奪われていた。

「ねえ、彼方。最後に思い出……、作らない?」

「思い出……?」

「そ……♡」

 瀬玲奈はためらいなく僕の首に腕を絡めて抱きつくと唇を重ねてくる。
 彼女から伝わってくる唇の温もりと髪から香る甘い香りが僕を包む。

「ん~...やっぱり彼方とのキスが一番好きかも。今日はいろんなことがあったけど、最後にこうして一緒にいられて本当に良かった♡ね……このまま、ウチの“初めて”、あげてもいいよ……?」

「え……?」

 突然のことに僕は戸惑っていると再び瀬玲奈は僕にキスをしてくる。
 彼女の柔らかい唇が再び僕の唇に重なり、僕たちは先ほどよりも情熱的に、そして深く求めるようにキスをしたのだった。
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