罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

彼女の色に染まった部屋で……

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 夜――僕がキッチンで夕飯のカレーを作っていると、リビングでは瀬玲奈が亜希、由奈ちゃん、真奈美さんの3人と楽しそうにおしゃべりしていた。

「瀬玲奈ちゃん、こっちの家に来るのは初めてだったよね?」

「はい、スマホのナビアプリで場所を確かめながら来ました。でも、何回か道を間違えましたけどね」

 真奈美さんの言葉に瀬玲奈は苦笑する。

 元々瀬玲奈は亜希の友達だと言うことで、真奈美さんや由奈ちゃんとも交流があったらしく、楽しそうに雑談していた。

 ちなみに父さんはというと……女性3人に追いやられる形でリビングのソファにひとり座っていた。
 その背中になんとなく哀愁を感じる……ような気がする。

「ねえねえ、お兄ちゃん」

「なに?由奈ちゃん」

 キッチンで夕飯のカレーを作っていると由奈ちゃんがやってくる。
 なんだろう……?

「お兄ちゃん、さっき聞いたんだけど……瀬玲奈さんと付き合ってるってホント?」

「うん、本当だけど……」

「えぇ~……!あたし、ちょっとだけお兄ちゃんのこと狙ってたのに~。……なーんてね」

 由奈ちゃんの問いに答えると、由奈ちゃんは舌をペロっと出してキッチンを離れていく。
 僕は由奈ちゃんのどこかさみしげな背中を見つめながらカレーを仕上げていく。


 ◆◆◆


 夕食を済ませると僕は自室に戻ると、瀬玲奈に買ってもらった雑貨の数々を置いていく。

(えっと……、テーブルクロスにクッション、それに花瓶と造花……と)

 部屋に緑色のアイテムを置いていくと、ほぼ白一色だった部屋に、緑の彩りが加わるだけで、空気がふんわりと優しくなった気がした。

「でも、部屋が瀬玲奈に侵食されてるような気もするなぁ……」

 緑色が増えた部屋を見ながら苦笑するも、それも悪くないかもと思う自分もまたいる。

(さて……、最後にこの恐竜のぬいぐるみはどこに置くか……)

 緑色の恐竜のぬいぐるみの置き場を考えていると部屋のドアがノックされる。

(誰だろう……、真奈美さんかな?)

「はい?」

 僕は部屋のドアを開けると、緑を基調にした、少し薄手の部屋着姿の瀬玲奈が、にこっと笑って立っていた。

「やっほ~、彼方♡」

「瀬玲奈、どうしたの?」

 僕は冷静に努めようとするも、上着から覗く彼女の胸元につい目が吸い寄せられる。

「あ、うん。亜希は今お風呂入ってるから、ちょっとだけ遊びに来ちゃった~♡  それと、夕飯のカレーありがと!めっちゃ美味しかったよ♡」

「気に入ってもらえてよかった」

 僕が微笑むと、瀬玲奈はにっこり笑って、そのまま僕の部屋に入ってきた。

「それより、今日買ったアイテム置いてくれたんだ、ちょっとだけ雰囲気変わっていい感じじゃん♡」

「うん……なんか、部屋が明るくなった気がする」

「でしょ~?ウチのセンス、なかなかでしょ!」

 瀬玲奈は得意げに笑いながら、ローテーブルの下に置かれたクッションに座る。
 お風呂から上がったばかりなのか、しっとりと濡れている髪からは甘いシャンプーの香がしてくる。

「今日は本当にありがとう」

「えへへ~、ウチも彼方の役に立てて嬉しいよ♡ところで……その恐竜を持って何してるの?」

「いや……、どこに置こうかと思って……」

「それなら彼方の枕元にでも置いてあげなよ」

 瀬玲奈は恐竜の置き場に困り、苦笑する僕からぬいぐるみをひょいと取ると、恐竜のぬいぐるみがちょこんと僕のベッドの上に置かれる。

「何か、瀬玲奈に見られてるみたいで恥ずかしいな……」

「あ!いいじゃんそれ!恐竜くん、ウチの代わりに彼方を見張っておくんだぞ。彼方が浮気とかしたらすぐにウチに知らせてね♡」

「浮気なんてしないよっ!」

 瀬玲奈のからかうような言葉に僕は反論すると、彼女はお腹を抱えて笑っていた。

「あはははは……!冗談だよ、冗談♪それにしても、彼必死すぎて可愛い~♡……そうだ!せっかくだからこの恐竜、名前つけよっか。彼方が決めていいよ~」

「え……名前?」

 僕はベッドに置かれた恐竜のぬいぐるみを見つめる。  
 丸っこくて、ちょっと間抜けな顔をしている。

「じゃあ……“ミドリノスケ”とかはどう?」

「ぷっ……!なにそれ!センス独特すぎ~!」

 瀬玲奈は笑いながらも、ぬいぐるみを抱きしめて「ミドリノスケ~♡」と呼びかける。

「でも、なんか可愛いかも。ウチ、気に入っちゃった♪」

 笑いながらミドリノスケを見つめていた瀬玲奈は突然ミドリノスケをそっと倒す。

「瀬玲奈……?」

 僕は首をかしげながら彼女を見つめると瀬玲奈が首に抱きついてきた。

「えへへ~、ミドリノスケに見られたら少し恥ずかしいから……♡」

 瀬玲奈はそっと目を閉じ、僕に顔を近づけてくる。
 驚きつつも、僕も目を閉じて彼女を抱きしめ、唇を重ねると、そのまま何度もゆっくりとキスを交わす。

(……ミドリノスケ、見てなかったよな……?)

 僕はベッドの隅に転がるぬいぐるみを見て、どこかホっとため息をついた。

「瀬玲奈……」

「彼方……」

 僕たちはお互い見つめ合う。
 次第に瀬玲奈を抱きたいという欲にかられる……。

(……このままじゃ、理性がもたない)

 僕は瀬玲奈の背中にそっと手を回し、彼女の目を見つめた。

「瀬玲奈……」

「……うん、いいよ」

 その一言で、僕の理性はぷつんと音を立てて切れた。  
瀬玲奈をそっとベッドに押し倒そうとした、その瞬間――部屋のドアが開かれ、亜希が部屋に入ってくる。

「……ふたりは何してるの?」

 腕組みをした亜希からの冷たい視線が主に僕に突き刺さる!

(なんでこのタイミングで来るかな!)

 ミドリノスケかっ!?ミドリノスケが亜希に通報したのかっ!?

 僕はベッドに転がっているミドリノスケを見るも、偶然か必然か……亜希の方を向いて転がっていた。

「えっと……これはその……!」

「ふたりが付き合っているのは知ってるけど、両隣の部屋に私と由奈がいるってこと忘れないでよね!瀬玲奈、行くわよ!」

「あ、うん。彼方ごめんね~」

 瀬玲奈は苦笑しながら手を振ると、亜希とともに僕の部屋を出ていく。
 ……そして僕はひとり取り残された部屋で、枕元のミドリノスケに向かって小さくつぶやいた。  

「……見張るの、ちょっとサボってくれてもよかったのに」

 僕は欲求不満な気持ちを抱え、悶々としていたのだった……。
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