罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

文字の大きさ
211 / 223
瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

誘惑と責任のせめぎ合い

しおりを挟む
 9月の最後の日曜日――。
 中間試験のテスト期間に入ったため、僕は瀬玲奈の家で、一緒に試験勉強に取り組んでいた……はずだった。

「ねぇ彼方~、この英文ってどういう意味?」

「え……?えっと……」

 ローテーブルに座っている瀬玲奈はすぐ横に座っている僕に英語の問題集を見せてくるも、僕は首をかしげる。
 そう、僕も瀬玲奈も勉強が苦手だったのだっ!
 瀬玲奈は両手で頭をグジャグジャにかくと、後ろに倒れて寝転がる。

「あ~も~!ウチ英語とか全然分かんないし!「てかさ、保育士になるのに英語って必要!?絶対いらないでしょ~!」

「それは僕に聞かれても分からないけど……少なくとも最低限の学力は求められるんじゃないかな……?」

「う……!」

 僕の言葉に瀬玲奈は小さく声を上げると、渋々起き上がり再び問題集に目を向ける。

(はぁ……。こんなことなら、最初から亜希に頼んでおけばよかった……)

 そう後悔するも、当の亜希は柊さんと試験勉強を行うと言って、図書館に行ってしまった。

 瀬玲奈に亜希や柊さんに勉強を教えてもらおうかと聞いてはみたものの、「図書館なんてところにいたら頭が痛くなる!」と言われ今に至る……。

(でも、本当にどうしよう……)

 苦手な教科は何も英語だけではない。
 僕は数学が、瀬玲奈に至ってはほぼ全教科苦手らしく、問題集を開くたびに「こんなの分かんないし!」と叫んでいる。

 このままだと……赤点、確定かも……。
 僕は背中に冷や汗をかく。

「あ~も~!ムリ!ウチまじ無理!」

 瀬玲奈はさじを投げたのか、再び寝転がる。
 窓から差し込んでくる光が瀬玲奈の髪をキラキラと輝かせているが、今はそれどころじゃない。

「瀬玲奈、ちゃんとしないと本当に赤点になるよ?」

「だってウチ分かんないもん!……そうだ彼方!勉強なんて止めてウチとエリシアゲームしようよ♡そのほうが絶対楽しいって!」

「え……?でも、勉強が……」

「分かんないのに悩んでるだけって、時間のムダじゃん?それに、試験当日にさ、ウチの隠された才能が開花して、いきなり天才モード入る可能性もあると思わないっ!?」

(瀬玲奈には悪いけど……それはないと思う)

 瀬玲奈は目を輝かせて見つめてくるも、僕は苦笑することしかできなかった。

「という訳でさ!彼方遊ぼ!ネカフェ行こっ!?」

(だめだ……!ここは断らないと……っ!)

 じゃないと……もし赤点を取ったら瀬玲奈との修学旅行の思い出が……!

「瀬玲奈……!」

 僕は瀬玲奈の誘いを断ることを決意する!


 ◆◆◆


 ……決意したはずだったのに。

「彼方すごいじゃん!ヴァルキュリアの攻撃避けれるようになってるじゃん!」

「あれからかなり練習したからね!」

 僕は今……瀬玲奈とネカフェに来ていた。
 しかも、カップル席!

 もちろん最初は断った……!

 でも、「一緒にヴァルキュリア倒そ?彼方が頑張ったら……ウチ、ご褒美あげちゃうかも♡」その一言で、僕の決意はあっさり崩壊した。
 結局僕は瀬玲奈に押し切られてしまっていた……。

「彼方、この調子でどんどん倒しちゃお♡」

「もちろん!」

 僕は自キャラであるカナタを操作して、瀬玲奈のようなほぼ完全回避は無理にしても、自分で回復を行いながら次々とヴァルキュリアを倒していく。

 もちろん頭の片隅には勉強しなきゃとは思うのだけど……瀬玲奈の遊ぶのが楽しくて止められない。

(このままでは赤点は避けられないかもしれない……でも、今だけ……今だけなら)

 僕はそう自分に言い訳しながら、コントローラーを握る。

 そして迎えた中間試験。
 僕と瀬玲奈がどんな点数を取ったのかは——もう、言うまでもない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

処理中です...