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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド
ふたりの夜、一つの布団
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お祭りを見終えた僕と瀬玲奈は、旅館へと戻ってきた。
彼女はなぜか出店で売られていた金魚鉢を大事そうに抱え、その中には金魚の“カナタ”と“セレナ”が泳いでいる。
そんな僕たちを見て、女将さんが笑顔で奥からやってきた。
「おかえりなさいませ。お祭りはいかがでしたか?」
「はい、とても楽しかったです」
「見て見て~!ウチ、金魚すくったんだよ♡」
瀬玲奈が金魚鉢を見せると、女将さんは目を細めて微笑んだ。
「ところで、お夕飯はいかがなさいますか?お祭りで済まされましたか?」
「いえ、まだ食べてなくて……」
僕がそう答えると、女将さんはにこやかにうなずいた。
「それでは、すぐにご用意いたしますね。お部屋にお運びしますので、少々お待ちくださいませ」
「ありがとうございます」
僕たちは部屋に戻り、浴衣の帯を少し緩めて座卓の前に並んで座った。
瀬玲奈は金魚鉢を窓際にそっと置き、“カナタ”と“セレナ”が気持ちよさそうに泳ぐのを見つめていた。
「ふふっ、なんか……旅館の部屋に金魚がいるって、不思議な感じだね」
「うん。でも、なんか落ち着く。……まるで、家族旅行みたい」
その言葉に、僕は思わずどきりとした。
“家族”という言葉が、こんなに自然に、こんなに近くに感じられるなんて。
しばらくして、女将さんが夕食を運んできてくれた。
木の膳に並べられた料理は、どれも丁寧に盛りつけられていて、湯気とともに香ばしい匂いがふわりと立ちのぼる。
「わぁ……すごい!これ全部、ウチらの?」
「はい。今朝あがったばかりの鯛と、地元の鶏を使った香草焼きが名物なんですよ」
「いただきま~す♡」
瀬玲奈は箸を手に取り、鶏肉の香草焼きをひと口食べる。
その瞬間、目を輝かせた。
「ん~っ!これ、めっちゃ美味しいっ!」
「ほんとだ……鶏肉、やわらかいし、香りがすごくいい」
ふたりで「美味しいね」と笑い合いながら食べる夕食は、どんな高級レストランよりも贅沢に感じられた。
「ねぇ彼方、こういうのってさ……ずっと続けばいいのにね」
「……うん。僕も、そう思うよ」
瀬玲奈は少しだけ照れたように笑って、またひと口、鯛の刺身を口に運んだ。
◆◆
食後、僕たちは旅館の人が敷いてくれた布団の上に座っていた。
外からは波の音が静かに響き、遠くの灯台の明かりが、ゆっくりと部屋を照らしている。
「ねぇ彼方。今日、すっごく楽しかった」
「僕も。……ありがとう、瀬玲奈」
「ふふっ、どういたしまして♡」
瀬玲奈は僕の肩に頭を預け、そっと目を閉じた。
そのまま、ふたりでしばらく黙って窓越しに見える夜の海を眺めていた。
この旅が終わっても、きっとこの時間は、僕たちの心にずっと残る。
そんな気がして、僕はそっと彼女の手を握り返した。
「ねぇ、彼方……」
「ん?」
「……今日、ほんとに幸せだった。だから……最後にさ、旅の思い出……作ろ?」
「思い出……?」
「うん、彼方……来て……」
瀬玲奈は布団の上に仰向けになり、頬を染めながら微笑んで、僕に手を伸ばす。
「瀬玲奈……」
僕は彼女の上にそっと覆いかぶさり、唇を重ねた——。
彼女はなぜか出店で売られていた金魚鉢を大事そうに抱え、その中には金魚の“カナタ”と“セレナ”が泳いでいる。
そんな僕たちを見て、女将さんが笑顔で奥からやってきた。
「おかえりなさいませ。お祭りはいかがでしたか?」
「はい、とても楽しかったです」
「見て見て~!ウチ、金魚すくったんだよ♡」
瀬玲奈が金魚鉢を見せると、女将さんは目を細めて微笑んだ。
「ところで、お夕飯はいかがなさいますか?お祭りで済まされましたか?」
「いえ、まだ食べてなくて……」
僕がそう答えると、女将さんはにこやかにうなずいた。
「それでは、すぐにご用意いたしますね。お部屋にお運びしますので、少々お待ちくださいませ」
「ありがとうございます」
僕たちは部屋に戻り、浴衣の帯を少し緩めて座卓の前に並んで座った。
瀬玲奈は金魚鉢を窓際にそっと置き、“カナタ”と“セレナ”が気持ちよさそうに泳ぐのを見つめていた。
「ふふっ、なんか……旅館の部屋に金魚がいるって、不思議な感じだね」
「うん。でも、なんか落ち着く。……まるで、家族旅行みたい」
その言葉に、僕は思わずどきりとした。
“家族”という言葉が、こんなに自然に、こんなに近くに感じられるなんて。
しばらくして、女将さんが夕食を運んできてくれた。
木の膳に並べられた料理は、どれも丁寧に盛りつけられていて、湯気とともに香ばしい匂いがふわりと立ちのぼる。
「わぁ……すごい!これ全部、ウチらの?」
「はい。今朝あがったばかりの鯛と、地元の鶏を使った香草焼きが名物なんですよ」
「いただきま~す♡」
瀬玲奈は箸を手に取り、鶏肉の香草焼きをひと口食べる。
その瞬間、目を輝かせた。
「ん~っ!これ、めっちゃ美味しいっ!」
「ほんとだ……鶏肉、やわらかいし、香りがすごくいい」
ふたりで「美味しいね」と笑い合いながら食べる夕食は、どんな高級レストランよりも贅沢に感じられた。
「ねぇ彼方、こういうのってさ……ずっと続けばいいのにね」
「……うん。僕も、そう思うよ」
瀬玲奈は少しだけ照れたように笑って、またひと口、鯛の刺身を口に運んだ。
◆◆
食後、僕たちは旅館の人が敷いてくれた布団の上に座っていた。
外からは波の音が静かに響き、遠くの灯台の明かりが、ゆっくりと部屋を照らしている。
「ねぇ彼方。今日、すっごく楽しかった」
「僕も。……ありがとう、瀬玲奈」
「ふふっ、どういたしまして♡」
瀬玲奈は僕の肩に頭を預け、そっと目を閉じた。
そのまま、ふたりでしばらく黙って窓越しに見える夜の海を眺めていた。
この旅が終わっても、きっとこの時間は、僕たちの心にずっと残る。
そんな気がして、僕はそっと彼女の手を握り返した。
「ねぇ、彼方……」
「ん?」
「……今日、ほんとに幸せだった。だから……最後にさ、旅の思い出……作ろ?」
「思い出……?」
「うん、彼方……来て……」
瀬玲奈は布団の上に仰向けになり、頬を染めながら微笑んで、僕に手を伸ばす。
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僕は彼女の上にそっと覆いかぶさり、唇を重ねた——。
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