罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

ふたりの夜、一つの布団

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 お祭りを見終えた僕と瀬玲奈は、旅館へと戻ってきた。
 彼女はなぜか出店で売られていた金魚鉢を大事そうに抱え、その中には金魚の“カナタ”と“セレナ”が泳いでいる。

 そんな僕たちを見て、女将さんが笑顔で奥からやってきた。

「おかえりなさいませ。お祭りはいかがでしたか?」

「はい、とても楽しかったです」

「見て見て~!ウチ、金魚すくったんだよ♡」

 瀬玲奈が金魚鉢を見せると、女将さんは目を細めて微笑んだ。

「ところで、お夕飯はいかがなさいますか?お祭りで済まされましたか?」

「いえ、まだ食べてなくて……」

 僕がそう答えると、女将さんはにこやかにうなずいた。

「それでは、すぐにご用意いたしますね。お部屋にお運びしますので、少々お待ちくださいませ」

「ありがとうございます」

 僕たちは部屋に戻り、浴衣の帯を少し緩めて座卓の前に並んで座った。
 瀬玲奈は金魚鉢を窓際にそっと置き、“カナタ”と“セレナ”が気持ちよさそうに泳ぐのを見つめていた。

「ふふっ、なんか……旅館の部屋に金魚がいるって、不思議な感じだね」

「うん。でも、なんか落ち着く。……まるで、家族旅行みたい」

 その言葉に、僕は思わずどきりとした。
 “家族”という言葉が、こんなに自然に、こんなに近くに感じられるなんて。

 しばらくして、女将さんが夕食を運んできてくれた。
 木の膳に並べられた料理は、どれも丁寧に盛りつけられていて、湯気とともに香ばしい匂いがふわりと立ちのぼる。

「わぁ……すごい!これ全部、ウチらの?」

「はい。今朝あがったばかりの鯛と、地元の鶏を使った香草焼きが名物なんですよ」

「いただきま~す♡」

 瀬玲奈は箸を手に取り、鶏肉の香草焼きをひと口食べる。
 その瞬間、目を輝かせた。

「ん~っ!これ、めっちゃ美味しいっ!」

「ほんとだ……鶏肉、やわらかいし、香りがすごくいい」

 ふたりで「美味しいね」と笑い合いながら食べる夕食は、どんな高級レストランよりも贅沢に感じられた。

「ねぇ彼方、こういうのってさ……ずっと続けばいいのにね」

「……うん。僕も、そう思うよ」

 瀬玲奈は少しだけ照れたように笑って、またひと口、鯛の刺身を口に運んだ。


 ◆◆


 食後、僕たちは旅館の人が敷いてくれた布団の上に座っていた。
 外からは波の音が静かに響き、遠くの灯台の明かりが、ゆっくりと部屋を照らしている。

「ねぇ彼方。今日、すっごく楽しかった」

「僕も。……ありがとう、瀬玲奈」

「ふふっ、どういたしまして♡」

 瀬玲奈は僕の肩に頭を預け、そっと目を閉じた。
 そのまま、ふたりでしばらく黙って窓越しに見える夜の海を眺めていた。

 この旅が終わっても、きっとこの時間は、僕たちの心にずっと残る。
 そんな気がして、僕はそっと彼女の手を握り返した。

「ねぇ、彼方……」

「ん?」

「……今日、ほんとに幸せだった。だから……最後にさ、旅の思い出……作ろ?」

「思い出……?」

「うん、彼方……来て……」

 瀬玲奈は布団の上に仰向けになり、頬を染めながら微笑んで、僕に手を伸ばす。

「瀬玲奈……」

 僕は彼女の上にそっと覆いかぶさり、唇を重ねた——。
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