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しおりを挟むピチャピチャ ジュプジュプと男の肉棒を舐め回す音が室内に響く。
客である銀髪の男は自身の持つ吸い込まれそうな碧眼を布で隠し、後ろ手に拘束され奉仕を受けていた。
娼婦である女の卓越した口技に暴力的な快楽が押し寄せ達しそうになるのを我慢する。それを見越した女は男に囁いた。
「大丈夫」
その言葉が、甘く囁く優しい声が脳裏に響き快楽が限界を超え女の口の中に射精をした。
「くっ・・・」
男が射精をし続けている間も女の口や手は動きを続け更に男を追い詰める。
射精を出し切ったのを確認し、男の肉棒や汗ばんだ体を拭いていく。
この娼婦の仕事はここまで。女は男の拘束を外すと身を隠し、終わりの合図を知らせる鈴を鳴らした。
女は決して姿を見せない。
会話をしない。
最後まで行為をしない。
男は自力で目隠しを外すと、誰もいない部屋を見回した。
(今日も姿は見せてくれないか・・・)
身なりを整え見目麗しいと評される顔をフードで隠した。懐から銀貨を数枚取り出しテーブルへ置く。
「チップだ・・・ありがとう」
その言葉は女に聞こえていないかもしれない。それでも男は毎回チップを置く。今回もそれは変わらず、礼を言い部屋を出た。次の予約を入れる為フロントへ向かう。
「次も彼女を指名したい」
「畏まりました少々お待ち下さい・・・申し訳ございません。次回の予約は受け付けておりません。別の子は如何ですか」
男は彼女以外指名する気になれなかった。彼女を知る前は指名無しで他の娼婦に相手をして貰ったが、疲れるのだ。やたらベタベタして来たり無駄話をされ外で会おうと誘われたり。それ等を断るのも面倒くさい。
すると館の扉が開きもうひとつのフロントに向かって同じフードを被った男が勢いよく現れた。その手には花束がある。余程急いで来たのだろう男の呼吸が乱れていた。
「きょっ今日この子空いてるかな?」
男の声を聞いて知人だと察した。プラチナブロンドの髪、アメジストの宝石の様な輝きを持つ瞳。見目麗しいとチヤホヤされ引く手数多の同僚の男を横目で見た。彼が誰を指名したのかはわからないが、手に持っている花束を見て心の中で鼻で笑う。
(娼婦に入れ込むとは末期だな)
「丁度良い頃合で。こちらの控え室へどうぞ」
「良かった。これ彼女に渡してもいいかな」
「ええ勿論。懇意にして頂きありがとうございます。彼女は花が好きなので喜びますよ」
知人が待合室へ向かっていくのを尻目にかけフロントのスタッフへ「また来る」と伝え娼館を去る。
少し歩くとピンク髪が目立つ同僚が反対方向からやって来た。
「あれ?ウィルじゃんお疲れー。娼館帰り?俺も今行くとこー。気に入ってる女の子が空いてるといいんだけど」
この男もまた女に人気がある。ピンク髪にピンクの瞳。その瞳は大きく生意気そう。だが彼は剣術が卓越しており平民上がりにも関わらず、優秀で人当たりが良いので職場でも人気がある。そんな男が話しかけて来た。
「今日のワイバーン討伐興奮したよね。この後暇なら飲まない?」
「娼館に行くんじゃないのか?」
「俺明日休みだから、やっぱ明日行こーかな」
こうして銀髪とピンク髪の二人の見目麗しい男達は夜の街中に消えていった。
後日銀髪の男が再び娼館を訪れた。フロントのスタッフが娼婦一覧を見せる。タイプの違う美女の顔写真が沢山ある中、銀髪の男は顔を顰めた。いつも指名している黒いシークレット写真が無い。察したフロントのスタッフが申し訳なさそうに頭を下げた。
「彼女は辞めました。他の子も優秀ですが如何ですか」
「・・・いや、いい」
娼館を出た男は虚無感に襲われた。どうしてこんな気持ちになるのか不思議に思いながら夜道を照らす満月を見上げた。
彼女はどんな人だったのだろうか。
容姿が醜いから姿を見せなかったのか。
彼女の香りといつも聞こえた「大丈夫」の声が忘れられない。
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