【R18】 その娼婦、王宮スパイです

ぴぃ

文字の大きさ
2 / 89

2

しおりを挟む


 王宮の地下にある会議室の一室に見目麗しい騎士達が五人集められていた。彼らを招集したのはこの男、王宮騎士団団長のジョン・アーノルド。黒髪に琥珀色の瞳を持つ美丈夫だ。

そんな彼は集めた可愛い部下達の虚無感でいっぱいの態度に溜息を吐いた。彼らはここ最近、任務は確実にこなすがそれ以外でぼーっとしてる事が多く、今もシャキッとしていない。

「君達どうしちゃったのさ。俺が紹介した娼館行ってる?一発やってシャキっとしなさいよ」

上司の指摘にこのままではいけないと思った銀髪碧眼の男、ウィルフレッド・オブリージュが姿勢を正した。

それに続くのはプラチナブロンドにアメジストの瞳を持ったエレン・オルレアン。

「気に入ってた子が辞めちゃってから行ってないなー」

そう言いながら気だるそうに立ち上がり壁に背を預けたピンク髪にピンクの瞳を持つリヒャルト。

白髪に蜂蜜色の瞳を持った最年少の美青年ノエル・スフォルツァがリヒャルトの隣で姿勢を正した。

最後に紫色の長い髪をひとつに束ね金色の瞳を持つ美丈夫、ルーク・サヴォイアが騎士団長のジョンに問いかける。

「任務ですか?」

「そうそう!気だるげな君達に特別合同実戦&訓練ー!君達は“影”の事知ってるかな」

“影”とは王宮の暗殺部隊。敵の内部情報を取得する為潜入捜査をしたり表出に出来ない仕事を裏でこなす謎に包まれた組織。

「影って一人一人が相当の実力の持主なんだよね。そんな彼等の技を今の君達が身につければかなり強くなるはずだよ。てことでお呼びします!影のリーダーどうぞ!」

「「「ッーー!?」」」

団長のジョンが軽く手を広げた先に音もなく男と女が突然現れた。現れた男の姿に驚く。団長と全く同じ顔をしているのだ。黒髪に琥珀色の瞳。背丈も体格も全く同じ。違うのは服装だけ。男と女は東南にある小陸国の忍のような黒い装いをしている。

一緒に現れた女にも目を奪われた。ピンクアメジストの髪と瞳。美人とも可愛らしいともとれる整った顔。無表情なのにどこか憂いを帯びた雰囲気を出している。

(((・・・小さいな)))

ここにいる男達の平均身長は百八十センチ後半。だが現れた女は百六十にも届かない程身長が低かった。まだ少女なのかと疑い騎士達は女を凝視した。だが女は見目麗しいと評される男達からの視線を受けてもなお無表情を貫いている。そして目線を合わせない。

「紹介するね。こちら俺の双子のジャック。影のリーダーでこれから君達がお世話になる人だから無礼の無いようにね」

「影のリーダー、ジャック・アーノルドだ。早速だが今回の任務について説明をする」

驚くことに影のリーダーと団長は声まで一緒だった。無言のまま女が中央にあるテーブルへ大きな紙を広げた。その中身は何処かの図面の様だ。女は図面を広げると再び影のリーダー、ジャックの一歩後ろで待機をする。

「これは裏カジノの図面だ。ここを取り仕切る商会は人身売買、違法奴隷、闇取引等の悪行を働いており政府から潰すようお達しが下った。

任務は簡単だ。潜入し帳簿を奪いここの頭諸共腐ってる連中を片付けること。客以外なら殺して構わない。今回影は俺とリリーしか動かない。後はお前達に任せるから好きに動くといい。この任務でお前達の実力を見る。そして今後の方針を決める。

そうだな・・・おい、そこの銀髪。お前がリリーをエスコートし正面から入れ」

淡々と説明をした影のリーダー、ジャックに対し銀髪呼ばわりされたウィルフレッドが片手を上げて発言の許可を求めた。

「なんだ銀髪」

「ウィルフレッド・オブリージュです。リリーと言うのは?」

「ん?ああ。こいつがリリーだ。愛嬌がなくて胸もないけど、お前達よりは強いから何かあったらリリーに頼るといい」

「「「!?」」」

ジャックは背後に待機していた女を前に出すと彼女の頭上に自身の顔を乗せながら、無遠慮に背後から両手で彼女の胸を揉みしだいた。確かに胸が小さいのだろう膨らみがない。だが騎士である彼らには有り得ないその行動に唖然とし嫌悪感を出すが、当事者であるリリーと紹介された女は相変わらずの無表情。リアクションもない。

「発言の許可を」

「何だプラブロ」

「プラ・・・ブロ・・・?」

「プラチナブロンドだからプラブロ」

ジャックから変なあだ名を付けられてしまったエレンは咳払いをし改めて異議を唱える。

「エレン・オルレアンです。失礼ですが少女に危険な任務をさせるのは如何かと」

これに対しジャックはきょとん顔の後肩を竦めた。

「影はガキからジジイまでいて年齢は幅広い。こいつはガキの頃栄養が足りてなかったから全部がちっこいが歳ならお前達と同じか上だ」

信じられないといった表情でリリーを見つめる騎士達。それでもリリーは彼等と一度も目を合わせず、ずっと図面を見ていた。

「でも俺達よりこの子が強いってのはちょっとなー」

ピンク髪のリヒャルトがリリーに近づき、視線を合わせようと顔を近づけた。手の平ひとつ分空いた距離の近さだ。これには流石のリリーもリヒャルトと目を合わす。初めて目を合わせたリリーとリヒャルトは同じ色合いの瞳を、お互い探る様に見つめた。

大抵の女はリヒャルトと目を合わせると顔を染めたりと良い反応をするのに対し、リリーは全くそんな気がない。

リリーは明らかに華奢だ。健康的な細さだが騎士である彼等と比べるまでもなく弱く見える。それなのに自分達よりも強いだと?影のリーダーの冗談だとしか思えない。

騎士団団長のジョンがリヒャルトの肩を掴みリリーから引き剥がした。

「ま、実力を見ればわかるよ。実際リリーが本気出したら俺も負けるかも」

ジョンの言葉が信じられない騎士達はリリーを二度見した。自分達が憧れる程、団長は強い。影のリーダーは冗談では無かったということか?それでも信じられない。

「日程は五日後ここ集合。それまでに図面を頭に入れておくこと。じゃ、“散”」

突然音もなく消えたジャックとリリー。居なくなってしまった空間に唖然とする騎士達。

騎士団長はこれから起こる物語に期待しニヤニヤしている。

騎士達が求めていた娼婦がリリーであることに気が付くまで、あともう少し。

しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...