37 / 89
第二章
37
しおりを挟む貴族パーティーの翌日、エレンは仕事終わりにリリー宅へ約束の報酬と茶菓子を持って訪れた。遅い時間に訪れてしまった為、渡す物だけ渡したら直ぐに帰るつもりだったのだがそこに影の一員であるメルと爺が突然訪問して来たのだ。
彼らは訪問するなり当たり前のようにシャワーを浴びたり茶を飲むなりと寛ぎ、終いにはリリーと一緒のベッドで眠った。
どういう事?一緒に暮らしてるの?と質問するが顔を横に振るリリー。
リリーは来たい時に来ればいいとエレンに言った。
その後何回か足を運ぶが毎回誰かしらがリリー宅にやって来て寛いでいる事がわかった。リリー宅は影のたまり場になっていたのだ。
それから居心地の良さに早朝からの仕事がない日以外、いつの間にかエレンもリリー宅で寛ぐ事になっていたのだ。最初はソファで眠っていたが、今となってはリリーと一緒のベッドで眠るほどに。
こうしてリリーと一緒に過ごす事はエレン自身の為でもあった。
色気だだ漏れイケメンの影の一員であるロビン、猫目で筋肉質でイケメンな影の一員であるレン、そして美少年のシルヴィ。この三人が来た時は気が気じゃない。リリーと二人きりにさせたくないと思い通い続けるエレン。その理由はーー。
***
*色気だだ漏れイケメンのロビンの場合。
リリーと二人でお茶を飲んでいたエレン。
突然ロビンが玄関から入って来た。
「シャワー浴びる」
それからシャワーを浴び終えたロビンは上半身裸のままリリーの隣で寛ぎ、就寝時に一緒のベッドへ入ろうとした。リリーの隣で横になっていたエレンは慌ててリリーを抱え壁際に移動させ、リリー、エレン、ロビンの順でベッドに横になる。
だが暫く時間が経ちリリーが眠るのを確認したロビンはリリーを抱え上げエレンの体を蹴飛ばし彼だけ壁へ追いやった。
痛いと文句を言おうと顔を向けると、驚く事にロビンが眠っているリリーを組み敷いてキスをしていた。
「なにして・・・!」
慌てて止めに入るがロビンに力強く片手で顔を掴まれ身動きが取れなくなるエレン。
「邪魔しちゃダメだよ。いつもやってる事だから」
***
* 猫目で筋肉質でイケメンな影の一員であるレンの場合。
リリーとソファで寛いでいるとその男は突然現れた。
「風呂入るぞ」
「さっき入ったから大丈夫」
「うるさい。脱がす」
ぽいぽいと素早い動きでリリーの服を脱がしたレンはエレンが居るにも関わらず自分の衣服を脱いだ。
「乾燥しちゃう」
「ボディクリーム塗ってやるよ」
そのままリリーを抱えてシャワー室へ向かおうとするレンを慌てて服を脱いで追いかけたエレン。
シャワー室は大人が三人入るとそれなりに狭い。
勢いよくシャワー室へ連れ込んだくせに何も喋らないレンは俯いていた。そんな彼の頭を撫でるリリー。
「・・・さっきめっちゃ人殺した」
「うん」
俯いたままリリーを抱き締めたレン。
その姿は落ち込んでいる様子でエレンも同情してしまった。
影はやりたくない仕事もこなさなければいけない。彼は殺したくない相手を殺してしまい罪悪感にかられているのかも。
「慰めろ」
「どうやって?」
「こうやって」
レンはリリーの顔を掴み持ち上げ食らいつくようにキスをした。貪りつくような激しいキスに足の力が入らなくなったリリーが崩れ落ちそうになったのをレンが抱え、リリーの背をエレンに預けた。
「お前抱えてろ」
「なんで僕が、それよりやめてくれないかな」
「っるせぇ。お前はリリーのここでも触ってろ」
くちゅり
「っーー!」
レンに手を動かされリリーの陰部を触らされたエレン。濡れた蜜に指が当たり顔に熱が集中する。結局エレンはリリーの陰部に指を当てたまま動かす事が出来ず顔を真っ赤にさせただけだった。
満足したレンはシャワー室から出ると下腹部にタオルを巻いたままドカッとソファに座り目の前にリリーを立たせた。
「俺が前塗るからお前は後ろな」
「・・・わかったよ」
レンに言われた通りリリーの裸体背面にボディクリームを塗るエレン。足を塗っているとポタッと床に蜜が垂れた。見ないようにしていたのにリリーの陰部に釘付けになる。
(リリーすごく濡れてる)
カアアッと一気に顔を赤くしたエレン。
そんなエレンをジト目で見る猫目のレン。
「お前童貞か?」
「ち、違うよ!」
***
*シルヴィの場合
「あれ?エレン今日も来たの?」
ノックをしたら返事を待たずに玄関の扉を開けるようになってしまったエレン。他の影達がそうしているからかいつの間にか自分の常識が変わってしまった。
今夜はリリーとシルヴィがお茶を飲んでいた。
一緒にお茶を共にしたエレン。
やがてリリーが船を漕ぎ始めたのを見てベッドへリリーを運んだ後シャワーを浴びに部屋を離れた。シャワーから戻ったエレンは薄暗くなった部屋に違和感を覚え慌てて戻ると驚愕する。
なんとシルヴィが眠っているリリーの下半身を持ち上げ陰部を舐めていたのだ。
「シルヴィなにしてるの!?」
慌てて肩を掴み止めろうとするがシルヴィの華奢な体はビクともせずリリーの陰部を舐めしゃぶっていた。
「・・・ん・・・っ・・・ぁ・・・」
だんだんとリリーの頬が赤く染まり、一瞬体が跳ね痙攣している。
イッたのか・・・?
それでも全然起きる気配がなく深い眠りに落ちているリリー。なにかおかしくないか?
「リリー大丈夫?」
心配で声をかけるが無反応のリリー。
やはり眠っているのか?
「無駄だよ。強い睡眠剤飲ましたから朝まで起きない」
ニッコリと良い笑顔を向けてくるシルヴィに呆れて何も言えなくなってしまったエレンは眉間に皺を寄せ頭を抱えてしまった。
もはや常識がわからない。
リリーに対する影の関わり方が異常過ぎて自分の考えがおかしいのかと思ってしまう。
ボロンッと可愛い顔に似合わない巨根をズボンから取り出したシルヴィがリリーの蜜口にそれを当てがったのを見てエレンはギュッとシルヴィの腕を力強く握った。
「それはダメ。それだけは絶対にダメ」
先程とは変わって瞳に光を無くし強く冷めた表情で見下ろすエレンの顔を見たシルヴィはニヤッと余裕の笑顔で見上げた。
「良い顔するようになったね。安心して?素股するだけで挿れないから。僕リリーさんに挿れる時は結婚後って決めてるの。僕の邪魔しないならエレンも交ざっていいよ。イってる時のリリーさんの顔すごく可愛いから三人で楽しもうよ」
リリーの芽肉の摘みながら激しく腰を動かすシルヴィ。寝ながら快楽の刺激に耐え顔を歪め蕩けた表情のリリーを見つめるエレンは興奮してしまっている自分の感情に驚き戸惑っていた。
***
この三人が来た時はエレンは警戒している。だが三人は決まって行為を最後まてする事はない。暗黙のルールでもあるのだろうか。その事だけが唯一の救いだが極力この三人のうち誰かとリリーが二人きりにならないように通える範囲で通い続けているエレン。
そして今夜、仲間の騎士達がリリー宅を訪ねる数時間前、エレンに試練が訪れていた。
リリー宅に着くなり、いつも通り出迎えてくれたリリーが今日はやたらと眠そうだ。昨晩は仕事だから来ても居ないと言われた。だから今夜来たのだが、一昨日からリリーは眠っていないらしい。可哀想と思ったエレンは直ぐに寝るように促した。
ずっと欠伸が止まらないリリーの服を脱がし、自分も服を脱ぎシャワーを一緒に浴びた。リリーの服を選ぶ時間が勿体ないと思い、いつの間にか置きっぱなしにしていた自分のシャツをリリーに着せ甲斐甲斐しく髪を乾かしベッドに寝かせると直ぐに眠ってしまったリリー。
警戒心の欠片もないなとため息を吐いたエレンは時間に余裕が出来てしまいどうしようか悩んだ。今日のところは帰ろうか、でも折角二人きりだし誰も来ないうちは二人の時間を楽しみたい。
エレンはリリーの隣へ寝そべった。
すやすやと眠るリリーの顔を覗き込む。
可愛い顔。
あどけなさを残した寝顔は綺麗で可愛くてドキドキと胸を高鳴らせる。
キスがしたい。あのパーティーの時みたいなキスがしたい。
他の影達からキスをされるリリーを見て、抵しないリリーを見て凄く苛立っていた。でもリリーは自分の恋人じゃない。誰のものでもない人だから我慢した。
リリーはキスをされても怒らない。
きっと自分がしても怒らない。
キスがしたい。
欲はあるのに緊張して出来ない。
どうして出来ないのだろう。
居酒屋の時も、他の場面でも、初対面でも、他の女性となら簡単に出来る行為なのにリリーが相手だと緊張してしまう。
でも、今しかない。
邪魔者がいない今しかない。
固唾を飲んだエレンは、緊張する胸の高鳴りを抑え、顔を近付けゆっくりと唇を合わせた。
ちゅ
柔らかい。
ちゅ ちゅ
気持ちいい。甘くて痺れる。
もっと、もっとリリーを感じたい。
リリーの唇だけに触れていたエレンの唇は次第に耳へ、首筋へ移動していった。
ピクッと体が反応するリリー。
かわいい。起きてほしい。起きて舌を絡めたい。自分の行為で反応するリリーをもっとみたい。
どうしよう・・・以前シルヴィが言った通りになってしまった。リリー沼に嵌っている。
コンッ コンッ
玄関の扉がノックされ全身で驚いたエレン。
慌ててリリーの隣へ寝直した。
律儀に扉をノックする相手と言えば爺かメルかティアラだろうか。寝たフリをしながら訪問者を考えるエレンだったが、一向に扉が開かないのを感じ体を起こした。
影じゃないのだろうか。
だとしたらこんな時間に誰だ?男か?
まさかリリーにそんな相手・・・。
嫌な胸騒ぎのまま玄関の扉を開けたエレン。
見知った仲間達の意外な訪問に変な緊張がおさまりきょとんとしてしまった。
47
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる