【R18】 その娼婦、王宮スパイです

ぴぃ

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第三章

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「重婚しないか?」

「「「・・・は?」」」

ユリウスの提案に驚きを隠せない五人は唖然としてしまった。勘違いさせてしまったかと慌てたユリウスは手のひらを広げて訂正した。

「ち、違うよ?僕は君達と結婚したいんじゃなくてリリーとしたいんだ」

「いやそれは分かりますけど、どうしてですか?」

リヒャルトの言葉に一人で慌てて恥ずかしいとコホンと咳払いしたユリウスは彼らに丁寧に説明を始めた。

「僕はリリーに本気なんだ。彼女の生い立ちも影での仕事も昔娼館で働いていた事も君達との関係も団長から教えてもらった。全て知った上で彼女と結婚したいと考えている。

でも、残念なことに彼女は異性の好きが分かっていない。僕と一緒にいるのも、僕と恋人関係にあるのも”知らないから経験として”としか思われていない可能性がある。

このままでは先程のノエルと似たような状況があれば言葉巧みに操られて彼女は他の男へ行ってしまうかもしれない。

ノエルはさっき絶対安心出来る確約がほしいと言っていたね。僕はそれが結婚だと思っている。なにせこの国では重婚は認められてるけど離婚する事は生が死をわかつ時まで許されない。

だから僕は外堀を埋めて気付いたら結婚してましたに持っていく予定だ。不誠実なのは分かっているがこうでもしないと逃げられるって団長からアドヴァイスをもらって。・・・僕も彼女を諦めるつもりはないよ。

ただ、もし万が一この中の誰かが先にリリーと結婚した場合、後から僕もリリーと結婚する事を許可してほしい。僕も先にリリーと結婚していたとしても君達を受け入れると約束しよう。

つまりこれは同盟だ。どうだろうか」


少しの沈黙が続いた。
リリーのことは好きだが結婚まで考えていた者はこの中にどれくらいいるだろうか。

返事がない五人に気にせずユリウスは言葉を続けた。

「そもそも本来なら重婚なんて考えたくなかったんだけどね、団長に結婚の許可を貰いに行った時に影のシルヴィの話をされて重婚を覚悟した方がいいって言われたんだ」

「・・・あー、それは否めません」

なにせリリーが大好き過ぎてやばいシルヴィだ。彼は何がなんでもリリーと結婚すると断言している。

「でも、君達も否定出来ないだろ」

彼の言葉にピクッと反応した五人は再び黙ってしまった。

「結婚まで考えていないのならそれでいいよ。でもその場合は仕事以外でリリーに付き纏いでほしい。彼女には影と君達五人以外の男と会話しないでと伝えてある。将来僕と家族になる男以外が彼女と同じ空気を吸うなんて耐えられないからね」

ユリウスは笑顔なのに黒いオーラが出ている。

結婚・・・正直そこまで考えていなかった。
ただ好きでそばにいたいと思っていた者が多い。

「・・・貴族には難しい話かもしれないね。家の責任もあるだろうからよく考えて。時間はあるから。ただ、今承諾してくれたら僕の宝物を見せてあげる」

ユリウスが胸ポケットから手の平よりも大きいサイズの本を一冊取り出した。

「これは団長から買い取った複製なんだけど世界に団長と僕だけしか持っていない子供の頃から大人になるまでの絵姿・・・つまり、リリーの思い出のアルバムだよ」

・・・!?

「僕が初恋した時の歳のリリーや影の忘年会で羊のコスプレをした可愛いリリー。団長が想像して描かせた赤ちゃんの頃のリリー。百枚は超えている。僕の二ヶ月分の給与を注ぎ込んだんだ。どう?見たいでしょ?」


子供の頃の絵姿を見たってそんな・・・今の姿を目に焼き付ければいい話じゃないか・・・そんな・・・・・・。

ガタッと立ち上がったエレン。彼はユリウスの前に立つと手のひらを向けて握手を求めた。

「・・・君は伯爵家だけど重婚してもいいの?」
「所詮僕は三男ですしあの家に未練なんてないので」

交渉成立だ。ぐっと握手を交わした二人。
ユリウスが再び胸ポケットの懐から紙を出した。
そこには契約書の文字が堂々と書かれ、その内容は重婚の約束だった。

「随分と準備がいいですね」

「リリーと仲直りしたって聞いてこうなる事は予測出来たよ」

契約書の内容を確認したしたエレンは署名しユリウスの隣に座ると、彼からリリーアルバムを借りまじまじと見た。

「かわっかわいい・・・」

思わず口に出して感動してしまったエレン。
羊のコスプレをした子供の頃のリリー。子供の頃のそれは着ぐるみを被っていて眠っている姿が愛おしい。

「でしょ!こっちは大人の羊コスプレしたリリーだよ」

ペラペラとページを捲り大人羊リリーを見せたユリウス。今度は着ぐるみではなくモコモコの白生地で胸とお尻を隠し足首と手首だけモコモコ衣装のちょっとえっちなリリーの絵姿だ。

(・・・いい・・・!)

感動が隠せないエレンの表情を見た四人にも欲が現れた。

「・・・ユリウス様俺もサインする」

「・・・リヒャルト、君凄く悔しそうな顔してるけど本当にいいの?」

声を掛けてきたリヒャルトの表情は苦言を申していた。

「本当は俺、独り占めしたい・・・めっちゃ嫉妬深いから。でも確かにユリウス様が言った通りリリーの性格上どっか行っちゃうくらいなら確実に隣にいられる方法をとる」

「うん。交渉成立だねこれからよろしく」

ギュッと握手を交わし契約書に署名したリヒャルトは直ぐにエレンの隣へ行き絵姿に目を通し感動した。次いでノエルも契約を結び絵姿を見る。

「残る二人は高位貴族だからやっぱり難しいよね」

公爵家のルーク。侯爵家のウィルフレッド。
しかもルークは長男だ。二人の立場上難しく、今すぐ決められる決断ではないだろう。眉間に皺を寄せグッと堪える二人。酷な事を告げてしまったとユリウスも顔を歪めコーヒーを飲んだ。

「リリーにはこの事秘密にしてね」

コンッ コンッ

個室の扉が叩かれた。ユリウスが扉を開けると不安そうに見つめてくるリリーの姿。

「・・・もう大丈夫?」

「うん。ノエルとも解決したよ」

そうなの?
ユリウスの背後にいるノエルを見ると彼はエレンとリヒャルトと共に一冊の本を夢中で読んでいた。こちらに気がついたノエルはリリーに向かって駆けつけると、ギュッと抱きしめリリーの頬にキスをする。

「さっきは困らせてごめんなさい」

「落ち着いた?」

「はい!絶対幸せにしますね」

「・・・?・・・?・・・」


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