【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ

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 頭をぶつけたり何か衝撃があって思い出したのではない。目が覚めたら思い出していたのだ。異世界転生した事、あのログハウス、タロウとジロウや動物達、ロイド、ルイス、ウォルトの事。今までの事全部を思い出した。そして、ここに眠っている彼等と夫婦でいない事も。

無性にロイド達に会いたくなった。王城のパーティーで攫われて以来会っていない。あれからどれ程経ったのか、二三ヶ月は間違いなく経っているだろう。ラウルは彼等に連絡をしてくれているのだろうか。

とりあえず三人を起こそうとラウルの肩に手を伸ばしたが、止めた。こんな時間に起こすのは申し訳ないと思ったからだ。それに、自分の気持ちを整理させたい。

夫婦だと嘘をつけられていた事については、正直何とも思っていない。むしろ公爵家で過ごせていた日々はとても充実していた。毎日三人から愛してもらっていたし、爺やや使用人達ともとても仲良く過ごしていたからだ。それに、三人のことを心から好きになってしまったのだ。

だがロイド達を思い出した今、無性に彼等に会いたい。元気にしているのだろうか、ちゃんとご飯を食べているのだろうか、会いたいと思ってくれているだろうか。忘れられていないか心配になる。仕事の件も心配だ。クビになってはいないだろうか。

色々と考えながら眠っている三人を見る。右隣にラウル、左隣にクルト、コハルの脚に顔を乗せ、その脚を抱えながら眠っているアルト。三人の寝顔は正に天使そのものだ。・・・この三人に、なんて話そう。クルトが時折見せていた辛そうな表情はきっと夫婦だと嘘をついている事からだと今なら思える。思い出したと言ったらきっと双子は自分達を責めるだろう。もしかしたら泣いてしまうかもしれない。

そもそも何故ラウルは夫婦だと嘘をついたのだろう。遊びだったのだろうか。でも昨晩彼から聞いた愛の言葉は嘘だと思えない。嘘ではないと信じたい。

こうなったら悲観的な雰囲気は出さずに明るく思い出したと告白をしようと決意した。

 朝日が登り太陽の光が部屋の中を照らす。そろそろ起きるだろうか。三人の寝顔を見ながらこれから告白する事にドキドキしてうるさい心臓に手を当てた。

「ふぁー。おはよー」
「コハル早起きだね。おはよう」

双子が目を覚ました。二人とも目を擦っていてまだ眠そうだ。ラウルも起きたのだろう、んーと言いながら体を伸ばしている。コハルは気合いを入れ咳払いをした。三人の視線を感じ緊張する中、コハルは人差し指を立て頬にそれを当て顔を傾けて笑顔で言った。

「思い出しちゃった」

効果音にてへっと付くかのようなポーズをとってはみたが彼等は無言のまま血の気が引いたかの様に顔色が悪くなるのを見て焦る。

そんなに気持ち悪かったでしょうか。

心の中で泣いていたらアルトが手を握ってきた。

「お、思い出したって何を?」

彼の震える声を聞き、落ち着かせる為にその手を優しく握り返し全て思い出したことをゆっくりと伝えた。話が終わり彼等を見ると双子の瞳に涙が溜まっていた。慌てて手で涙を拭い、泣かないでと伝える。

「ごめんっ嘘ついてごめん」
「ごめんコハル捨てないで」

しくしくと涙を流しながら反省している双子の背中を撫で落ち着かせる。アルトは何度も捨てないでと言うが、そもそも彼等は所有物ではないのだから捨てると言う言葉が引っかかった。

「私怒ってないよ?捨てるとかそういうのないから。お願い、泣かないで」

二人が泣くと悲しくなる。

「ここを、出ていくのか」

ラウルの言葉に双子の動きが止まった。瞳を潤ませながら見上げてくるイケメンに言いづらくなる。

「・・・騎士団寮に戻りたいです」

目を合わすことは出来なかったが頑張って言えた。するとラウルに手首を捕まれ引き寄せられ抱きしめられる。

「二度とここに戻らないのか」

戻らないのなら、俺から離れていくのなら一生閉じ込めてやる。

ラウルの思惑を知らないコハルはきょとんとし首を傾げた。

「また来ますよ?当たり前じゃないですか」

せっかく好きになったのに何を言っているのだ。あんなに愛し合ったのに今すぐ別れるという事なのだろうかと困惑するコハル。

 嘘をついていたのに本当になんとも思っていなさそうなコハルの態度に三人は拍子抜けになった。てっきり嫌われるかと思っていたからだ。

 コハルは衝撃の事実を知った。なんと、公爵家にお世話になっている事を騎士達に伝えていないとラウルは言ったのだ。これは、まずい。無断欠勤だ。

無断欠勤の言葉が頭の中でループされる。せっかくロイド達が手配してくれたのに。まずはロイド達に謝らなくてはいけない。あんなに良くしてくれたのにいきなり居なくなるなんて恩知らずにも程がある。・・・ごちゃごちゃと言っているが要は、会いたい。ロイド、ルイス、ウォルトに会いたいのだ。

「連れて行かないと言ったらどうなる?」

ラウルの言葉に心臓が跳ねた。コハルは騎士団寮への道を知らない。一人で出て行ったところで迷子になるだろう。また人攫いにあっても困る。

「き、嫌いになります」

本当はそんな事全然思えないがこの言葉しか出なかった。

「・・・それは困る。仕事を片付けたら連れて行くから準備しておけ」

ラウルはコハルの頭を撫でた後寝室から出て行った。

***

「どうかもう一度お考え直し下さい」

およおよと目に涙を浮かべ、涙を拭きながら爺やがコハルを説得している。その後ろには数人の使用人達が同様に涙を拭く仕草をして行かないでと訴えられている。

現在玄関ホールにてラウル達が来るのを待っている。コハルは街娘が着ている様な簡易なワンピースを着用している。公爵家のドレスで戻るのは違和感があるのでクルトに頼んでおいたのだ。

階段を降りる三人の姿を見つけ固まってしまった。ラウルはこれぞ、公爵様という様に着飾っていてとてもかっこいい。双子はいつもの執事服なのだが髪をセットしていてかっこいい。いつもと違う三人の雰囲気に見惚れてしまった。

「坊っちゃま分かっていますよね?」

瞳をギラギラとさせ目でラウルに訴える爺や。ラウルは理解したのか分かっていると言い舌打ちをした。

「・・・その格好でいいのか?」

公爵家の女なのだからもっと着飾れよとラウルに言われ、遠回しに俺の女と言われた気持ちになり恥ずかしくなる。これで良いと伝えると彼は納得していない様子だが馬車に乗るまでエスコートをしてくれた。

公爵家の人達に挨拶をし、四人で馬車に乗り騎士団寮へ向かう。やっと騎士三人に会えると思うと自然と笑顔が続くコハルであった。

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