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第006話(釣果試食?!)
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久しぶりのマグロは旨かった。
僕がちょっと目を離した隙に、濃紫色の服を着て頭にはひらひらがついたカチューシャを付けたポメが大漁の川魚を籠ごと消し、ドコから取り出したかわからない巨大な出刃包丁をいつの間にか握っていた。
「え?ポメってマグロ捌けるの?」
「マグロ?このチョットでかい魚ですか?こんなの海竜に比べれば、ワカサギのようなものです」
「えぇぇっ?!ポメは海竜を解体したことあるの?!」
「ありませんけど?」
「……」
マグロに刃を入れ始めたポメに質問すると、いつものノリで回答が返ってくる。この件だったら海竜の例は全く不必要なのではないだろうか?
そして2m近くあるマグロを簡単に解体していく。やはり、ポメのこういう所はとても優秀だ。欠点は言語機能が壊れていて暴言をすぐ吐くことと、致命的なアレだけだから、それを除けば非常に役に立っている。
「見事な三枚下ろしだね。せっかくだから生で食べたい」
「はぁ?!魚を生でとか、何頭おかしいことを言っているのです!一撃でお腹壊してピーゴロロなのです!」
「いやいやいや、旨いんだって。鮮度もいいから、お腹も壊さないしさ」
見事にマグロを3枚に下ろすのを見て、僕は生でそれを食べたいとリクエストする。それを聞いたポメは訝しげな表情を浮かべて拒絶するが、僕は手を合わせて頭を下げながらお願いする。
「仕方ないですね。じゃぁ、チョットだけなのです」
「やったっ!その桃色の所の身が食べたい」
ポメは僕の熱意に負けて、僕の指差したマグロの最も脂の乗ったお腹側の部位を切り分けてくれる。
「これこれ、こんな凄い大トロ見たこと無いよ!」
僕は興奮しながら、その切り身を指で摘んで口に放る。口に入れた途端、口の中の熱で脂が溶けて、旨味を滴らせながらトロけていく。
「うまーーーーいっ!!」
上質でクドくない脂が、口いっぱいに広がる。鮮度が良いこともあり、臭みなども一切ない。マグロの持つ旨さと甘さが凝縮されている。僕はあっという間にポメに切り分けてもらった分を食べつくし、物欲しそうな目でポメを見上げる。
「仕方ないですね……」
「あ、じゃぁソコとソコも頂戴」
ポメはため息を吐いて更に切り分けてくれようとするので、僕は赤みの部分と赤みと大トロの中間部位、いわゆる中トロもお願いする。
ワウゥ……
僕が旨そうに食べているのを見て、小狼のファングが悲しそうな声を上げる。
「あぁ、ごめん、ごめん。ポメ、ファングとビークの分も」
多めに切り分けられたマグロの身をファングとビークにも食べさせてあげる。
……ワゥッ!ワウワウッ!!
……ピィィィィィィッッ!!
二匹もそうとう美味しいと感じたようで、目をキラキラさせながら僕を見てくる。マグロは魚の大様だからね、そりゃ気にいるのも無理はないよ。
僕もマグロの赤身を口に含み、ゆっくりと咀嚼する。赤身はやっぱり、マグロ本来の味を強く感じる部位で、旨味成分がすごく強くてしっかりした味だ。
中トロはそんな赤身を優しく上品な脂が包む感じで、旨味のバランスが凄く良い。僕はやっぱり鮮烈な脂の旨さの大トロも良いが、バランスの良い中トロが一番好きだと思う。
ただ調理や調味料の違いでいくらでも化けるから、あくまで刺し身においての順位だ。
ファングとビークもすぐに自分の分を食べ終えて、次々にお代わりをねだってくる。
呆れ顔のポメに何度もお代わりをお願いして、結局お腹いっぱいになるまで鮪の刺身を堪能してしまった。でも僕らが食べた量なんかはたかが知れているので、マグロの身は、まだまだ大量に残っていた。
あまりに美味しかったので、何も付けずに食べていたが、本来の調味料がないのが悔やまれる。
「でもなぁ……醤油と山葵があったらもっと旨かったのになぁ……」
「ショーユ?なんですか、ソレは?」
僕が何気なく呟いた一言にポメが反応する。あー、そういえば、僕自身のことをしっかりと説明していなかったなぁ……と思い直す。
それは1ヶ月ほど前のことだった……
僕がちょっと目を離した隙に、濃紫色の服を着て頭にはひらひらがついたカチューシャを付けたポメが大漁の川魚を籠ごと消し、ドコから取り出したかわからない巨大な出刃包丁をいつの間にか握っていた。
「え?ポメってマグロ捌けるの?」
「マグロ?このチョットでかい魚ですか?こんなの海竜に比べれば、ワカサギのようなものです」
「えぇぇっ?!ポメは海竜を解体したことあるの?!」
「ありませんけど?」
「……」
マグロに刃を入れ始めたポメに質問すると、いつものノリで回答が返ってくる。この件だったら海竜の例は全く不必要なのではないだろうか?
そして2m近くあるマグロを簡単に解体していく。やはり、ポメのこういう所はとても優秀だ。欠点は言語機能が壊れていて暴言をすぐ吐くことと、致命的なアレだけだから、それを除けば非常に役に立っている。
「見事な三枚下ろしだね。せっかくだから生で食べたい」
「はぁ?!魚を生でとか、何頭おかしいことを言っているのです!一撃でお腹壊してピーゴロロなのです!」
「いやいやいや、旨いんだって。鮮度もいいから、お腹も壊さないしさ」
見事にマグロを3枚に下ろすのを見て、僕は生でそれを食べたいとリクエストする。それを聞いたポメは訝しげな表情を浮かべて拒絶するが、僕は手を合わせて頭を下げながらお願いする。
「仕方ないですね。じゃぁ、チョットだけなのです」
「やったっ!その桃色の所の身が食べたい」
ポメは僕の熱意に負けて、僕の指差したマグロの最も脂の乗ったお腹側の部位を切り分けてくれる。
「これこれ、こんな凄い大トロ見たこと無いよ!」
僕は興奮しながら、その切り身を指で摘んで口に放る。口に入れた途端、口の中の熱で脂が溶けて、旨味を滴らせながらトロけていく。
「うまーーーーいっ!!」
上質でクドくない脂が、口いっぱいに広がる。鮮度が良いこともあり、臭みなども一切ない。マグロの持つ旨さと甘さが凝縮されている。僕はあっという間にポメに切り分けてもらった分を食べつくし、物欲しそうな目でポメを見上げる。
「仕方ないですね……」
「あ、じゃぁソコとソコも頂戴」
ポメはため息を吐いて更に切り分けてくれようとするので、僕は赤みの部分と赤みと大トロの中間部位、いわゆる中トロもお願いする。
ワウゥ……
僕が旨そうに食べているのを見て、小狼のファングが悲しそうな声を上げる。
「あぁ、ごめん、ごめん。ポメ、ファングとビークの分も」
多めに切り分けられたマグロの身をファングとビークにも食べさせてあげる。
……ワゥッ!ワウワウッ!!
……ピィィィィィィッッ!!
二匹もそうとう美味しいと感じたようで、目をキラキラさせながら僕を見てくる。マグロは魚の大様だからね、そりゃ気にいるのも無理はないよ。
僕もマグロの赤身を口に含み、ゆっくりと咀嚼する。赤身はやっぱり、マグロ本来の味を強く感じる部位で、旨味成分がすごく強くてしっかりした味だ。
中トロはそんな赤身を優しく上品な脂が包む感じで、旨味のバランスが凄く良い。僕はやっぱり鮮烈な脂の旨さの大トロも良いが、バランスの良い中トロが一番好きだと思う。
ただ調理や調味料の違いでいくらでも化けるから、あくまで刺し身においての順位だ。
ファングとビークもすぐに自分の分を食べ終えて、次々にお代わりをねだってくる。
呆れ顔のポメに何度もお代わりをお願いして、結局お腹いっぱいになるまで鮪の刺身を堪能してしまった。でも僕らが食べた量なんかはたかが知れているので、マグロの身は、まだまだ大量に残っていた。
あまりに美味しかったので、何も付けずに食べていたが、本来の調味料がないのが悔やまれる。
「でもなぁ……醤油と山葵があったらもっと旨かったのになぁ……」
「ショーユ?なんですか、ソレは?」
僕が何気なく呟いた一言にポメが反応する。あー、そういえば、僕自身のことをしっかりと説明していなかったなぁ……と思い直す。
それは1ヶ月ほど前のことだった……
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