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第042話(幸運艷事?!)
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キリクさんに案内された部屋は、大きめの机と6つの椅子と、少しばかりの調度品が置かれた部屋だった。簡単な会議を行う部屋のようだ。
「姉さんはすぐ来ると思うから、とりあえず掛けて待っていてくれ。姉ちゃんはいつもあんな感じで困っちまうんだよな」
キリクさんが申し訳無さそうに、頬をポリポリ掻きながら僕達に着席を勧めてくれる。
「すごく親切そうな人で、とてもありがたいです」
「親切……うん、親切なんだよな……姉さんはあんな容姿で、あんなオットリした性格だから、周りにいるイカツイ漢達に信奉されちまってさぁ……色々大変なんだよな。こっちも」
「あんな綺麗なのに親切だから、そうなっちゃいますよね」
「あぁ、それなのに、その気も悪気もないもんだから、勘違いする男が後を絶たないっていう……で、いつの間にかイカツイ漢達の信奉会みたいのができちゃってなぁ。俺も困ってるんだわ」
「そ、それは……大変そうですね……」
さっきのイカツイ漢達が、こぞって恥ずかしそうにクーフェさんに話しかけているのを想像すると、なにか冷たい汗が背中に流れる。
そんな話をしていると、部屋のドアが開いて、大きな籠を抱えたクーフェさんが入ってくる。それをみたキリクさんが慌てて、その籠を受け取りに行く。籠が大きくて、余り前が見えてなさそうだったから、危なっかしかったのだろう。
「キー君、そんな心配しなくても大丈夫よ。お姉ちゃんはこれでもギルド職員なんですからね☆」
「い、いや、それはわかってるけどさ。前見えてないでしょ?」
「お姉ちゃんぐらいベテランになれば、前が見えなくてもギルドの中くらいは平気で歩けるんですっ!」
自信満々にそういったクーフェさんが、会議室の床の出っ張りに足を引っ掛けて、バランスを崩す。
「あっ、あぶなっ!」
キリクさんが慌ててクーフェさんを支えようとするが、既に重心が崩れていたクーフェさんは、そのままキリクさんを巻き込んで転倒してしまう。
大きな音を立てて転倒してしまう二人だが、キリクさんは門衛をしているだけあって、首を引いて後頭部を守りつつクーフェさんを受け止め、クーフェさんも大きな籠を落とさないように手をしっかり伸ばして荷物を守っている。
「いてててて……」
「いったーいっ」
「ん?……んがっ!」
一瞬のことに意識が飛んでたらしいキリクさんが気がつくと苦しそうな声を上げる。
「うぅんっ」
大きな籠を持ったままのクフェェさんが身じろぎをすると、下敷きになっているキリクさんの手足がバタバタする。
「んがっ!んごごごごっ!」
キリクさんが声にならない声を上げて、手足をバタバタし続ける。
「んっ……あぁっ!」
キリクさんがバタバタ暴れると、それに反応するかのごとくクーフェさんが悩ましげな声を上げる。
キリクさんの顔の上にはクーフェさんの豊かな胸が押し付けられていて、手を前に真っすぐ伸ばしたまま籠を持っているクーフェさんの体重が胸の一点に集約しているから、柔らかな胸で口と鼻をふさがれたキリクさんはとても苦しそうだ。
「ク、クーフェさん。キリクさんに胸を押し付けているから苦しいみたいですよ」
「え?あぁっ!」
僕の声がけに気付いたクーフェさんが、自分の状況に気付き、慌てて体制を直そうとする。しかしかごを持ったままだと、体制を直せるわけもなく、意味もなくキリクさんに胸を押し付ける状況が続いている。
「あぁんっ!キー君、それダメぇ!」
キリクさんのバタバタと動かす脚がクーフェさんの内股を擦り上げ、息をしようと左右にふる顔が、胸を擦り上げ、クーフェさんから悩ましい声が飛ぶ。そして、キリクさんの手足のバタバタが少しづつ力を失っていく。
「ク、クーフェさん!籠から手を離してどいてあげて下さい。キリクさんが死んじゃいます!」
「え?!あっ!そ、そうねっ!」
僕の声で籠から手を放し、開いた手で体を持ち上げ、その大きな胸をキリクさんの顔から離す。なんとか一命をとりとめたらしいキリクさんだが、既に白目を向いて気絶していた。
「なんというか、羨まけしからん状態だね……」
「なんで御主人様を巻き込まないラッキースケベが発動しているんです?とっても非常に遺憾なのです……」
そんなキリクさん達の行動を見ていた僕とポメが小さい声で呟く。そしてお願いだから僕を巻き込もうとするのは止めてね。
「はぁはぁ……死ぬかと思った。姉さんの胸で殺されそうになるの、これで何回目だよ……」
「そ、そんなに?」
「姉さんは筋金入りのドジだから……」
「お、お姉ちゃん。そ、そんなにドジじゃないもんっ!」
「今更何言っても無駄だと思う」
「なによ、なによ!キー君のバカっ!」
顔を真赤にしながらプンプン怒るクーフェさんと諦めたようなかおをしているキリクさん。普段からとても大変そうだ。
「それより姉さん。早く手続きして上げてよ。この子達をずっと待たせてるから可哀想だよ」
「あぁぁっ!ごめんなさいね。こっちのことばかりで」
やっと僕達の方に意識を向けたクーフェさんが申し訳無さそうに頭を下げると、籠の中から何枚かの書類と水晶球を取り出し、やっと手続きが進むのだった。
「姉さんはすぐ来ると思うから、とりあえず掛けて待っていてくれ。姉ちゃんはいつもあんな感じで困っちまうんだよな」
キリクさんが申し訳無さそうに、頬をポリポリ掻きながら僕達に着席を勧めてくれる。
「すごく親切そうな人で、とてもありがたいです」
「親切……うん、親切なんだよな……姉さんはあんな容姿で、あんなオットリした性格だから、周りにいるイカツイ漢達に信奉されちまってさぁ……色々大変なんだよな。こっちも」
「あんな綺麗なのに親切だから、そうなっちゃいますよね」
「あぁ、それなのに、その気も悪気もないもんだから、勘違いする男が後を絶たないっていう……で、いつの間にかイカツイ漢達の信奉会みたいのができちゃってなぁ。俺も困ってるんだわ」
「そ、それは……大変そうですね……」
さっきのイカツイ漢達が、こぞって恥ずかしそうにクーフェさんに話しかけているのを想像すると、なにか冷たい汗が背中に流れる。
そんな話をしていると、部屋のドアが開いて、大きな籠を抱えたクーフェさんが入ってくる。それをみたキリクさんが慌てて、その籠を受け取りに行く。籠が大きくて、余り前が見えてなさそうだったから、危なっかしかったのだろう。
「キー君、そんな心配しなくても大丈夫よ。お姉ちゃんはこれでもギルド職員なんですからね☆」
「い、いや、それはわかってるけどさ。前見えてないでしょ?」
「お姉ちゃんぐらいベテランになれば、前が見えなくてもギルドの中くらいは平気で歩けるんですっ!」
自信満々にそういったクーフェさんが、会議室の床の出っ張りに足を引っ掛けて、バランスを崩す。
「あっ、あぶなっ!」
キリクさんが慌ててクーフェさんを支えようとするが、既に重心が崩れていたクーフェさんは、そのままキリクさんを巻き込んで転倒してしまう。
大きな音を立てて転倒してしまう二人だが、キリクさんは門衛をしているだけあって、首を引いて後頭部を守りつつクーフェさんを受け止め、クーフェさんも大きな籠を落とさないように手をしっかり伸ばして荷物を守っている。
「いてててて……」
「いったーいっ」
「ん?……んがっ!」
一瞬のことに意識が飛んでたらしいキリクさんが気がつくと苦しそうな声を上げる。
「うぅんっ」
大きな籠を持ったままのクフェェさんが身じろぎをすると、下敷きになっているキリクさんの手足がバタバタする。
「んがっ!んごごごごっ!」
キリクさんが声にならない声を上げて、手足をバタバタし続ける。
「んっ……あぁっ!」
キリクさんがバタバタ暴れると、それに反応するかのごとくクーフェさんが悩ましげな声を上げる。
キリクさんの顔の上にはクーフェさんの豊かな胸が押し付けられていて、手を前に真っすぐ伸ばしたまま籠を持っているクーフェさんの体重が胸の一点に集約しているから、柔らかな胸で口と鼻をふさがれたキリクさんはとても苦しそうだ。
「ク、クーフェさん。キリクさんに胸を押し付けているから苦しいみたいですよ」
「え?あぁっ!」
僕の声がけに気付いたクーフェさんが、自分の状況に気付き、慌てて体制を直そうとする。しかしかごを持ったままだと、体制を直せるわけもなく、意味もなくキリクさんに胸を押し付ける状況が続いている。
「あぁんっ!キー君、それダメぇ!」
キリクさんのバタバタと動かす脚がクーフェさんの内股を擦り上げ、息をしようと左右にふる顔が、胸を擦り上げ、クーフェさんから悩ましい声が飛ぶ。そして、キリクさんの手足のバタバタが少しづつ力を失っていく。
「ク、クーフェさん!籠から手を離してどいてあげて下さい。キリクさんが死んじゃいます!」
「え?!あっ!そ、そうねっ!」
僕の声で籠から手を放し、開いた手で体を持ち上げ、その大きな胸をキリクさんの顔から離す。なんとか一命をとりとめたらしいキリクさんだが、既に白目を向いて気絶していた。
「なんというか、羨まけしからん状態だね……」
「なんで御主人様を巻き込まないラッキースケベが発動しているんです?とっても非常に遺憾なのです……」
そんなキリクさん達の行動を見ていた僕とポメが小さい声で呟く。そしてお願いだから僕を巻き込もうとするのは止めてね。
「はぁはぁ……死ぬかと思った。姉さんの胸で殺されそうになるの、これで何回目だよ……」
「そ、そんなに?」
「姉さんは筋金入りのドジだから……」
「お、お姉ちゃん。そ、そんなにドジじゃないもんっ!」
「今更何言っても無駄だと思う」
「なによ、なによ!キー君のバカっ!」
顔を真赤にしながらプンプン怒るクーフェさんと諦めたようなかおをしているキリクさん。普段からとても大変そうだ。
「それより姉さん。早く手続きして上げてよ。この子達をずっと待たせてるから可哀想だよ」
「あぁぁっ!ごめんなさいね。こっちのことばかりで」
やっと僕達の方に意識を向けたクーフェさんが申し訳無さそうに頭を下げると、籠の中から何枚かの書類と水晶球を取り出し、やっと手続きが進むのだった。
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