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第075話(講習説明?!)
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「御主人様、そろそろ時間がなくなってしまうのです」
「え?!もうそんな時間?急ごう!」
僕とポメ、ファングが走り出す。ビークは空に飛び上がり悠々と付いてくるようだ。
そもそもの本日の目的は、冒険者ギルドで冒険者講習を受ける事にある。朝からドタバタと兎の一角亭で料理指導をしていたこともあり、僕達は走っていっても時間ギリギリの時間になってしまっていた。
「全く、御主人様は後先を考えずに行動するのです……やはりポメのような超絶優秀な美少女アンドロイドメイドが付いていないとダメなのです」
幸い人の量は少なく、間を縫うようにかなりの速度で走っていく。トラブルメイカーのポメが何かをやりださないか心配していたが、僕の後をやけに自己評価の高い独り言を言いながら付いてくる。
僕が息を切らせながら冒険者ギルドの扉をくぐると、クーフェさんが大量の資料を抱えて待ち構えていた。
「もう着く頃だと思っていたわ。私のお願いで振り回しておいてなんだけど、まもなく時間だから急いで付いてきてね」
クーフェさんはそう言うと、先導して冒険者ギルドの奥に向かって歩きだす。僕も息が切れている状態だが、遅刻したら不味いとハァハァ言いながらクーフェさんの案内に従う。
「本当に御主人様はヒョロヒョロガリガリのモヤシなのです。もっと身体を鍛えたほうが良いと思うのです」
ポメが息を切らせもせずに悪態をつく。そりゃアンドロイドだったら息切れなんか起こさないだろうよ。
「というか御主人様、なんで身体強化の魔法を使わなかったのでしょうか?」
「あ……」
言われてみれば、身体強化の魔法を使えば、疲れもせずにあっという間に着いていたかもしれない。戦闘中じゃないから頭になかったよ……
クーフェさんの先導で僕達が向かった先は、12人くらいが入れる大きめの部屋だった。普段は会議で使われていそうな雰囲気だ。今日は講習のためか、机は平行に並べられて、全ての席が正面を向くように配置されていた。
僕達が入った扉は、正面脇になるので、待っている人から直視される事になる。
「クーフェさん!やっと講習ですね!!って、お前らは!!」
僕達に向けて言葉を放ったのは、ここ数日で見知った顔のメンバーだった。
「お前ら、ここであったが100年目、この間の恨みを晴らして……」
「ケイン、うるさい」
ガタンと椅子を揺らして立ち上がって赤の逆毛を揺らすケイン君に対し、後ろの席にいたエリーの拳が後頭部に突き刺さる。
「ぐ、ぐぇぇ……」
そして後頭部を押さえて前のめりになるケイン君。
そう、講習に集まったメンバーは僕達の他に、ケイン君、エリーさん、オリバー君、ココットさんの孤児院4人組が参加していたのだった。
「やっほー、シン君。よろしくね」
「よろしく」
茶色のミディアムヘアのエリーさんが手を振りながら笑顔で挨拶してくる。ケインの横の席からはちょっと気弱そうなオリバー君が軽く会釈をして挨拶する。
「……うん。よろしく」
エリーさんの横に座っていた水色のショートヘアのココットさんが、片手をシュタッと上げながら呟く。
「面識があって助かるわ。そんなに仲が良いなら自己紹介はいらないわね。あ、シン君たちはそっちの空いてる席に座ってね」
ドサッと大量の書類を机の上に乗せたクーフェさんがにこやかな笑みを浮かべながら言う。僕はその指示に従い、ケイン君たちと横並びの机の所に腰を落ち着ける。
僕の隣にポメが座り、ポメと僕の間でファングが身体を丸める。授業が終わるまで寝るつもりみたいだ。ビークもファングに寄り添うように身体を預けている。
「ケイン君は、もう座ろうねー」
「は、はいっ!」
クーフェさんから促されたケイン君は元気よく返事をすると、後頭部の痛みも何のやら、何もなかったかのように席に座る。
「アイツめ……」
そしてやけに攻撃的な目で僕のことを睨んでくる。僕はなにか嫌われることしたかなぁと思いながらも、気にせずに正面のクーフェさんを注視する。
「さて今日から1週間、冒険者ギルドの初心者講習を始めます。参加者は孤児院からケイン君、エリーさん、オリバー君、ココットさん。後このウルスに来たばかりのシン君にポメちゃんの6名ですね。短い期間ですが、皆で仲良く冒険者になるのに必要なことを学んでいきましょう。それではまず冒険者ガイドブックを配布しますので、ケイン君達から取りに来て下さい」
クーフェさんはそう言って、冒険者ガイドブックをケイン君達から渡していく。その後に僕とポメも受け取る。
手帳サイズの羊皮紙で出来た冊子で結構な厚さがある。これ買ったら、かなりの額になるのではないだろうか?
「この冒険者ガイドは初心者講習を受ける人に無料で配布されるものですが、失くしてしまった場合に再購入しようとすると銀貨10枚になるから、失くさないように気をつけてくださいね」
クーフェさんの説明を聞いて、なるほど、それくらいはかかるよなと妙に納得する。銀貨10枚だと10,000円位になり、羊皮紙の原材料コストを考えれば妥当なのだが、やはりこういう情報物は本当に貴重で高くなる。それを初心者講習で無料で配るというのだから、冒険者ギルドも、この初心者講習にはかなり重きを置いているんだろう。
「それでは講習の流れだけど、今日から3日は座学にて、この国アルトベルグ王国の歴史と主な地域、そしてウルス周辺の詳細な説明と、獣や魔物の分布、採取できる素材などの説明をしていくわ。その後3日間で簡単な身の守り方、戦い方を覚えてもらって、最後の1日は郊外にて実践研修を行う予定よ。この1週間で冒険者の基礎となる知識を覚えてもらうけど、それだけで冒険者が勤まるなんていう簡単な話はないわ。これを切っ掛けに更なる訓練に繋ぐ第一歩の講習だと思って真面目に受けてね」
クーフェさんは、そう説明してくれる。僕達は既に冒険者として活動済みだけど、前半の知識は何が何でも覚えたい事柄だから、聞き逃さないように真剣に取り組みたい。
こうして冒険者ギルドの初心者講習が始まるのだった。
「え?!もうそんな時間?急ごう!」
僕とポメ、ファングが走り出す。ビークは空に飛び上がり悠々と付いてくるようだ。
そもそもの本日の目的は、冒険者ギルドで冒険者講習を受ける事にある。朝からドタバタと兎の一角亭で料理指導をしていたこともあり、僕達は走っていっても時間ギリギリの時間になってしまっていた。
「全く、御主人様は後先を考えずに行動するのです……やはりポメのような超絶優秀な美少女アンドロイドメイドが付いていないとダメなのです」
幸い人の量は少なく、間を縫うようにかなりの速度で走っていく。トラブルメイカーのポメが何かをやりださないか心配していたが、僕の後をやけに自己評価の高い独り言を言いながら付いてくる。
僕が息を切らせながら冒険者ギルドの扉をくぐると、クーフェさんが大量の資料を抱えて待ち構えていた。
「もう着く頃だと思っていたわ。私のお願いで振り回しておいてなんだけど、まもなく時間だから急いで付いてきてね」
クーフェさんはそう言うと、先導して冒険者ギルドの奥に向かって歩きだす。僕も息が切れている状態だが、遅刻したら不味いとハァハァ言いながらクーフェさんの案内に従う。
「本当に御主人様はヒョロヒョロガリガリのモヤシなのです。もっと身体を鍛えたほうが良いと思うのです」
ポメが息を切らせもせずに悪態をつく。そりゃアンドロイドだったら息切れなんか起こさないだろうよ。
「というか御主人様、なんで身体強化の魔法を使わなかったのでしょうか?」
「あ……」
言われてみれば、身体強化の魔法を使えば、疲れもせずにあっという間に着いていたかもしれない。戦闘中じゃないから頭になかったよ……
クーフェさんの先導で僕達が向かった先は、12人くらいが入れる大きめの部屋だった。普段は会議で使われていそうな雰囲気だ。今日は講習のためか、机は平行に並べられて、全ての席が正面を向くように配置されていた。
僕達が入った扉は、正面脇になるので、待っている人から直視される事になる。
「クーフェさん!やっと講習ですね!!って、お前らは!!」
僕達に向けて言葉を放ったのは、ここ数日で見知った顔のメンバーだった。
「お前ら、ここであったが100年目、この間の恨みを晴らして……」
「ケイン、うるさい」
ガタンと椅子を揺らして立ち上がって赤の逆毛を揺らすケイン君に対し、後ろの席にいたエリーの拳が後頭部に突き刺さる。
「ぐ、ぐぇぇ……」
そして後頭部を押さえて前のめりになるケイン君。
そう、講習に集まったメンバーは僕達の他に、ケイン君、エリーさん、オリバー君、ココットさんの孤児院4人組が参加していたのだった。
「やっほー、シン君。よろしくね」
「よろしく」
茶色のミディアムヘアのエリーさんが手を振りながら笑顔で挨拶してくる。ケインの横の席からはちょっと気弱そうなオリバー君が軽く会釈をして挨拶する。
「……うん。よろしく」
エリーさんの横に座っていた水色のショートヘアのココットさんが、片手をシュタッと上げながら呟く。
「面識があって助かるわ。そんなに仲が良いなら自己紹介はいらないわね。あ、シン君たちはそっちの空いてる席に座ってね」
ドサッと大量の書類を机の上に乗せたクーフェさんがにこやかな笑みを浮かべながら言う。僕はその指示に従い、ケイン君たちと横並びの机の所に腰を落ち着ける。
僕の隣にポメが座り、ポメと僕の間でファングが身体を丸める。授業が終わるまで寝るつもりみたいだ。ビークもファングに寄り添うように身体を預けている。
「ケイン君は、もう座ろうねー」
「は、はいっ!」
クーフェさんから促されたケイン君は元気よく返事をすると、後頭部の痛みも何のやら、何もなかったかのように席に座る。
「アイツめ……」
そしてやけに攻撃的な目で僕のことを睨んでくる。僕はなにか嫌われることしたかなぁと思いながらも、気にせずに正面のクーフェさんを注視する。
「さて今日から1週間、冒険者ギルドの初心者講習を始めます。参加者は孤児院からケイン君、エリーさん、オリバー君、ココットさん。後このウルスに来たばかりのシン君にポメちゃんの6名ですね。短い期間ですが、皆で仲良く冒険者になるのに必要なことを学んでいきましょう。それではまず冒険者ガイドブックを配布しますので、ケイン君達から取りに来て下さい」
クーフェさんはそう言って、冒険者ガイドブックをケイン君達から渡していく。その後に僕とポメも受け取る。
手帳サイズの羊皮紙で出来た冊子で結構な厚さがある。これ買ったら、かなりの額になるのではないだろうか?
「この冒険者ガイドは初心者講習を受ける人に無料で配布されるものですが、失くしてしまった場合に再購入しようとすると銀貨10枚になるから、失くさないように気をつけてくださいね」
クーフェさんの説明を聞いて、なるほど、それくらいはかかるよなと妙に納得する。銀貨10枚だと10,000円位になり、羊皮紙の原材料コストを考えれば妥当なのだが、やはりこういう情報物は本当に貴重で高くなる。それを初心者講習で無料で配るというのだから、冒険者ギルドも、この初心者講習にはかなり重きを置いているんだろう。
「それでは講習の流れだけど、今日から3日は座学にて、この国アルトベルグ王国の歴史と主な地域、そしてウルス周辺の詳細な説明と、獣や魔物の分布、採取できる素材などの説明をしていくわ。その後3日間で簡単な身の守り方、戦い方を覚えてもらって、最後の1日は郊外にて実践研修を行う予定よ。この1週間で冒険者の基礎となる知識を覚えてもらうけど、それだけで冒険者が勤まるなんていう簡単な話はないわ。これを切っ掛けに更なる訓練に繋ぐ第一歩の講習だと思って真面目に受けてね」
クーフェさんは、そう説明してくれる。僕達は既に冒険者として活動済みだけど、前半の知識は何が何でも覚えたい事柄だから、聞き逃さないように真剣に取り組みたい。
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