ちびっこ無双 ~手加減しないと環境破壊しちゃう過剰魔力を持った僕と、ちびっこい仲間達で異世界を無双しちゃいます~

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

文字の大きさ
77 / 80

第077話(座学夢現?!)

しおりを挟む
「今日はここまでね」
 クーフェさんがコメカミを人差し指で押さえながら、眉間にシワを寄せつつ言う。

「え?まだ触りの話しか……」
 僕がそう言うと、クーフェさんが僕の横の席を指差す。

「あぁ……」
 その風景を見て納得してしまう。

「さすがの阿呆共なのです。情報の重要性を全く理解していないのです」
 ポメが断言しつつ冷ややかな視線を送った先には、爆睡こいている4人組がいた。ケインは熱血バカなので仕方ないとして、他の三人も見事に撃沈している。学習慣れしておらず、どう見ても長時間の座学に慣れてなさそうだから、こういう講義は中々厳しいのかもしれない。

「で、シン君は理解できた?」
「えーっと、ウルクの町から南側にアーグ大樹海があり、その間の草原は比較的レベルの低い野獣が多く、また薬草の採取も出来るので初心者向け。東側にはインバース山脈があり、その麓近くまで行くと、少し手強い野獣が増えてくる。また様々な洞窟が発見されていて、小邪鬼ゴブリンなどの生息が確認されている。北と西には街道が伸びていて、エルデ、オーフィスと言った中規模の町に繋がっている……ですよね?」
 聞いていた内容をクーフェさんに鸚鵡返しする。

「うん、あっているわ。さすがシン君ね」
 笑顔を浮かべてウィンクをするクーフェさん。

「……おっぱいオバケが御主人様マスターを誘惑するのはやめるのです」
 そんなクーフぇさんに向けてポメがボソッと口走る。その瞬間クーフェさんから殺気のこもった鋭い視線がポメに飛ぶ。

「……っ!」
 ポメは顔を背けると下手な口笛を吹いて誤魔化そうとする。そんなにビビるなら言わなきゃいいのに……

「この子達は、この周辺のことなら大概知っているから聞いてなくても、そんなに大きな問題にはならないでしょうから」
 クーフェさんがため息交じりにそう言うと姿勢を正す。

「ケイン君、エリーさん、オリバー君、ココットさん!授業中ですよ!」
 少し大きな声で活を入れるとエリーさん、オリバー君、ココットさんの身体がビクッと反応し目を覚ます。

「はっ!わたし……すみません、クーフェさん」
 すぐに状況を把握したエリーさんがすぐに謝罪する。それにつられてココットさんとオリバー君も頭を下げる。

「このバカケインッ!!」
 エリーさんがそう大声を上げると、自分のミスを誤魔化すかのように、まだ爆睡しているケイン君の頭にゲンコツを落とす。

「いっ!いてぇぇぇっっ!!何っすんだこのっ!!」
 頭部への衝撃で流石に目を覚ましたケイン君は、頭を抑えて後ろを振り向き、エリーさんに恨めしそうな視線を送る。

「アンタがいつまでも寝てるからでしょっ」
「エリーも一緒」
「アンタだって寝てたでしょ、ココット」
「ココットはちゃんと起きてた。ぶぃっ」
 エリーさんの発言にココットさんがツッコミを入れ、指二本でVサインを作る。うん、ココットさんも寝てたんだけどね。

「なんで俺だけ一方的に殴られなきゃいけないんだよ……」
「それは最後まで寝てたからだと思うよ」
「理不尽だっ!」
 ケイン君にコメントしているのはオリバー君だ。

「はいはい。その辺にして、君達はもう少しシン君を見習いなさい。ちゃんと起きていて話を聞いて、しっかり理解していたわよ」
「い、いや、それは当たり前なんですが……」
「その当たり前が出来ないから困ってしまうのよね」
「ポメもちゃんと起きてたのに……やはりオッパイが大きいと理不尽に……」
「なにか言った?ポメちゃぁぁぁん?」
 またもやポメが余計なことを言ってクーフェさんに睨まれる。

「なんでも無いのです!」
 そして背筋を伸ばして敬礼するポメ。なんだかなぁ……

 今日はもう集中できないだろうということで、座学は辞めにして、解体や薬草や毒草を見分ける実践的な講習にシフトする事になった。

「さっき説明した採取する草花は覚えた?」
「バッチリだぜ」
「一応……」
「大体は」
「……ぶぃ」
 簡単に採取する草花の説明を受けた後、色々な草が積み上げられた地下室に通される。地下室は少しヒンヤリとしていてることから貯蔵に向いているみたいだ。

「これらは冒険者ギルドで購入し保管している草花よ。この中から下級ポーションの材料となるヘアル草を抜き取って、私に見せてもらうわ」
 クーフェさんはそういって大量の草が山積みされた所を指差す。

「雑草も含めて無差別に草花を集めているから、ちゃんとヘアル草の特徴を思い出しながら探してね」
 こんな雑多な中から目的の一つを選ぶのは、相当真剣に話を聞いているか、既に採取した経験がなければ、非常に難しい課題になる。

 僕は先日、町の外へ出た際にヘアル草も見てきているし、先程教えてもらった時に絵もしっかり見て、再度確認したので、問題なく持ってこれると思う。

 我先にとケイン君達が草花の山に向かったのを見て、僕はその後ろから様子を眺めながら待つことにした。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

処理中です...