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Side Episode 01 グレンの大冒険
第14話(王国興国報告)
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王に担ぎ上げられた翌日、俺とフランが木の実を齧っているところにランスロットがやってくる。
「グレン様、食事中の所、申し訳ございません」
「別に構わないぞ。俺とお前の仲じゃないか」
「ランスロットはいつも礼儀正しいですね」
俺の住居に入ってきて、ランスロットが一礼する。
「話というのは、それです」
「どれだ?」
「それです、それ」
「ん?これか?」
「違います」
俺は訳が判らずにキョロキョロと周りを見渡す。
「一人称の事です。王になって、風来坊じゃなくなったのだから"俺"は止めましょう」
「じゃぁなんて言えばいいんだよ」
「"我"とかでは?」
「なんか変じゃね?」
「慣れないうちはそんなもんです」
「確かに"我"の方が威厳がありそうですね」
国が大きくなったのもあり、ランスロットから一人称の呼び方を変えるように忠告された。フランも同じ意見のようなので、俺は一人称を"俺"から"我"に変える事にする。
そして、王になったことを告知する戴冠の日がやってきた。中心の岩山の周りに、周辺の全ての跳びネズミが集結する。全ての数なので1000匹になる。いや、地面が見えないくらいぎっしりと詰まっているんだが……
「それではグレン陛下、ご挨拶を」
「えーっ?マジ?ここで?」
「グレン様」
「わーったよ……」
俺は住居の上にある、見晴らしの良い足場で、隣に控えたランスロットから促される。足元にいる跳びネズミたちが期待を込めた眼差しで俺の事を見る。
「こんな数多くの仲間たちが集まってくれて大変に嬉しい。皆を見ると、改めて自分が成してきたことの大きさを実感する次第だ。だが、今でも尚、外界は危険に満ちている。油断すれば危険な獣が我々の生活を脅かすだろう。我はそんな皆の生活を守るために、より一層危険を退けていきたいと思う」
俺は皆に向かってそう口にすると、横に控えているランスロット、下に控えているオサムネ、コジューロー、アルゴチュに目を向ける。
「なので、これからは我が王として起ち、我の側近を中心に、皆を守る警備隊を結成し、周辺警備を強化しようと思う。我らはそれらに専念する故、皆には、申し訳ないが少しばかりの貢物を納めてもらう事になるだろう。だが安全は保障するので、無理のない範囲で納めて欲しい」
ランスロットが作った草案を基に、俺は宣言する。
「もちろん捧げます!」
「絶対に献上致します!」
「グレン陛下!万歳!!」
その言葉に、各部族を纏める長から声が上がる。
「ありがとう。この制度をもって、我は王として起たせてもらう。となれば国として名を付けなければなるまい。我はシュツルムズィーゲン皇国の第3皇子ではあったが、縁を切って風来坊として彷徨っていた。その際に出会ったわが生涯の5匹の友、ランスロット、フラン、ジェームズ、オサムネ、コジューロー。そして我を含めた6匹から始まった国という事でシス王国と名づけようと思う!!」
「うぉぉぉぉぉっっっ!!」
「グレン陛下万歳!!」
「シス王国万歳!!」
「シス王国に栄光あれ!!」
「シス王国にどんぐりあれ!!」
1000匹の大歓声が巻き起こる。一部なんかおかしい声が上がっているが気にしないことにしよう。
こうして、シス王国が興ったのだった。
「グレン様、食事中の所、申し訳ございません」
「別に構わないぞ。俺とお前の仲じゃないか」
「ランスロットはいつも礼儀正しいですね」
俺の住居に入ってきて、ランスロットが一礼する。
「話というのは、それです」
「どれだ?」
「それです、それ」
「ん?これか?」
「違います」
俺は訳が判らずにキョロキョロと周りを見渡す。
「一人称の事です。王になって、風来坊じゃなくなったのだから"俺"は止めましょう」
「じゃぁなんて言えばいいんだよ」
「"我"とかでは?」
「なんか変じゃね?」
「慣れないうちはそんなもんです」
「確かに"我"の方が威厳がありそうですね」
国が大きくなったのもあり、ランスロットから一人称の呼び方を変えるように忠告された。フランも同じ意見のようなので、俺は一人称を"俺"から"我"に変える事にする。
そして、王になったことを告知する戴冠の日がやってきた。中心の岩山の周りに、周辺の全ての跳びネズミが集結する。全ての数なので1000匹になる。いや、地面が見えないくらいぎっしりと詰まっているんだが……
「それではグレン陛下、ご挨拶を」
「えーっ?マジ?ここで?」
「グレン様」
「わーったよ……」
俺は住居の上にある、見晴らしの良い足場で、隣に控えたランスロットから促される。足元にいる跳びネズミたちが期待を込めた眼差しで俺の事を見る。
「こんな数多くの仲間たちが集まってくれて大変に嬉しい。皆を見ると、改めて自分が成してきたことの大きさを実感する次第だ。だが、今でも尚、外界は危険に満ちている。油断すれば危険な獣が我々の生活を脅かすだろう。我はそんな皆の生活を守るために、より一層危険を退けていきたいと思う」
俺は皆に向かってそう口にすると、横に控えているランスロット、下に控えているオサムネ、コジューロー、アルゴチュに目を向ける。
「なので、これからは我が王として起ち、我の側近を中心に、皆を守る警備隊を結成し、周辺警備を強化しようと思う。我らはそれらに専念する故、皆には、申し訳ないが少しばかりの貢物を納めてもらう事になるだろう。だが安全は保障するので、無理のない範囲で納めて欲しい」
ランスロットが作った草案を基に、俺は宣言する。
「もちろん捧げます!」
「絶対に献上致します!」
「グレン陛下!万歳!!」
その言葉に、各部族を纏める長から声が上がる。
「ありがとう。この制度をもって、我は王として起たせてもらう。となれば国として名を付けなければなるまい。我はシュツルムズィーゲン皇国の第3皇子ではあったが、縁を切って風来坊として彷徨っていた。その際に出会ったわが生涯の5匹の友、ランスロット、フラン、ジェームズ、オサムネ、コジューロー。そして我を含めた6匹から始まった国という事でシス王国と名づけようと思う!!」
「うぉぉぉぉぉっっっ!!」
「グレン陛下万歳!!」
「シス王国万歳!!」
「シス王国に栄光あれ!!」
「シス王国にどんぐりあれ!!」
1000匹の大歓声が巻き起こる。一部なんかおかしい声が上がっているが気にしないことにしよう。
こうして、シス王国が興ったのだった。
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