15 / 28
Side Episode 01 グレンの大冒険
第15話(滅亡への足音)
しおりを挟む
この岩山に集ったものたちの孫が生まれ始める程の時が過ぎ、安定した治世により、爆発的に子供が増え、流入者の取り込みもありシス王国は2000匹を超える規模の国となっていた。
親衛隊のオサムネやコジューロー、アルゴチュも伴侶が出来、子供も授かり、幸せそうな日々を過ごしている。
一方、俺とフランの間には子供が出来なかった。正確に言うと出来はするのだが、すべて流産となってしまっていたのだった。とは言え、俺とフランの愛は冷めることなく、子作りに関してはチャレンジを繰り返していた。
子供が出来ない俺たちの現状を見てか、ランスロットは妻を迎えず、忠義の士として独り身のまま俺の側に仕えていた。
そんなある日、一番外側にあった村を巡回していた警備隊が帰ってこなかった。基本的に警備隊が交代で、常に巡回をしており、巡回の後に報告を上げるようにしていたので、報告がされ無ければ、そこに警備隊が対処できない事件が発生したことが判る仕組みになっている。
しかし、国が興ってから、そんな事態になったことはない。たまにノラの野獣が領土に入り込み、数匹の仲間に牙を剥く事件があり、それは俺が出向いて解決したりしていたが、その時は生き残った数匹の警備隊が知らせに来ていた。
「これはヤバい感じがしますね」
「あぁ、すぐに現場に行こう」
「貴方、気を付けてくださいね」
俺に報告に来たランスロット共に、現場に向かう事にする。
現場についてみると、そこに住んでいた一族が、1匹も見当たらなかった。辺りを詳しく調べてみても、血痕や死体などは見当たらない。野獣に襲われた場合、絶対に血痕や死体が残るはずだ。
「嗅ぎ慣れない臭いがしますぜ」
「それに、これを見てくださいっス」
オサムネが鼻をクンクンと鳴らしながら言うと、コジューローが地面を指さす。そこには草を踏み荒らした跡が残っていたが、その足跡の大きさは、まるで熊並みにデカかった。
「熊か?」
「陛下、熊じゃありませんや。熊だったら熊の臭いが残らぁ。熊の臭いは全く感じねぇぜ」
「熊だったら足跡ももっと違うっス。こんな綺麗な楕円型してないっス」
「しかし、これだけ跡形もなく消えているのは、まるで神隠しのようですね」
俺の問いを側近たちが否定する。確かにランスロットの言う通り神隠しとしか思えない。その後も念入りに捜索したが、見つかったのは足跡だけで、他の痕跡は残っていなかった。仕方ないので俺たちは引き上げる事にする。
その後、数日置きに同様の神隠しが起き続けるが、残されているのは同様の痕跡だけだった。神隠しは外側の村から、少しずつ拡大していく。
「これはもう張っておくしかないですね」
「だな。目星をつけて伏せてみるしかないか」
俺とランスロットはそう決めると、親衛隊と警備隊を動員し、何かあったら一目散に逃げ出す役割を決め、各村にメンバーを伏せさせるのだった。
それが最悪の一手になっていることに気づきもせずに……
親衛隊のオサムネやコジューロー、アルゴチュも伴侶が出来、子供も授かり、幸せそうな日々を過ごしている。
一方、俺とフランの間には子供が出来なかった。正確に言うと出来はするのだが、すべて流産となってしまっていたのだった。とは言え、俺とフランの愛は冷めることなく、子作りに関してはチャレンジを繰り返していた。
子供が出来ない俺たちの現状を見てか、ランスロットは妻を迎えず、忠義の士として独り身のまま俺の側に仕えていた。
そんなある日、一番外側にあった村を巡回していた警備隊が帰ってこなかった。基本的に警備隊が交代で、常に巡回をしており、巡回の後に報告を上げるようにしていたので、報告がされ無ければ、そこに警備隊が対処できない事件が発生したことが判る仕組みになっている。
しかし、国が興ってから、そんな事態になったことはない。たまにノラの野獣が領土に入り込み、数匹の仲間に牙を剥く事件があり、それは俺が出向いて解決したりしていたが、その時は生き残った数匹の警備隊が知らせに来ていた。
「これはヤバい感じがしますね」
「あぁ、すぐに現場に行こう」
「貴方、気を付けてくださいね」
俺に報告に来たランスロット共に、現場に向かう事にする。
現場についてみると、そこに住んでいた一族が、1匹も見当たらなかった。辺りを詳しく調べてみても、血痕や死体などは見当たらない。野獣に襲われた場合、絶対に血痕や死体が残るはずだ。
「嗅ぎ慣れない臭いがしますぜ」
「それに、これを見てくださいっス」
オサムネが鼻をクンクンと鳴らしながら言うと、コジューローが地面を指さす。そこには草を踏み荒らした跡が残っていたが、その足跡の大きさは、まるで熊並みにデカかった。
「熊か?」
「陛下、熊じゃありませんや。熊だったら熊の臭いが残らぁ。熊の臭いは全く感じねぇぜ」
「熊だったら足跡ももっと違うっス。こんな綺麗な楕円型してないっス」
「しかし、これだけ跡形もなく消えているのは、まるで神隠しのようですね」
俺の問いを側近たちが否定する。確かにランスロットの言う通り神隠しとしか思えない。その後も念入りに捜索したが、見つかったのは足跡だけで、他の痕跡は残っていなかった。仕方ないので俺たちは引き上げる事にする。
その後、数日置きに同様の神隠しが起き続けるが、残されているのは同様の痕跡だけだった。神隠しは外側の村から、少しずつ拡大していく。
「これはもう張っておくしかないですね」
「だな。目星をつけて伏せてみるしかないか」
俺とランスロットはそう決めると、親衛隊と警備隊を動員し、何かあったら一目散に逃げ出す役割を決め、各村にメンバーを伏せさせるのだった。
それが最悪の一手になっていることに気づきもせずに……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
29
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる