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Side Episode 01 グレンの大冒険
第19話(超絶魔力封印)
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ランスロットから話を聞いたところ、ランスロットを従魔とした人間の魔術士はシグルス。一番大きくて強そうな男がゴルドー。ランスロットを死の淵から救ってくれた癒し手がクリスティーナ、その女に寄り添っている藍色の髪の男がレイオットと言うそうだ。そしてクリスティーナとレイオットの間に出来たアルカードという子供がいて、皆からはアルと呼ばれて可愛がられているようだ。
「時間もあまりないみたいなので、用意が出来次第、封印の儀式をするそうです。特に痛いとか苦しいとかはなさそうなので安心して下さい」
ランスロットからそう説明を受けて、その日の夜に準備が整ったからと、レイオットとクリスティーナに連れられて、俺とフランは別の部屋に移動する。夜の遅い時間だったらしく、アルカードは既に寝ていて参加者には入っていない。
移動した部屋は俺が住んでいる部屋とあまり変わらないようだが、大きな物は端に除けらていて、床のスペースを広くとっている。その床には不思議な文様が描かれた紙が敷かれていた。
「それでは始めるとしようか」
「始めるそうです。グレン様、その魔法陣の真ん中に立ってください。驚くようなことが起きるかもしれませんが、その場からは動かないでくださいね」
「魔法陣って、この文様が描かれたものか?」
「そうです」
シグルスに続いてランスロットが俺に説明をしてくれる。そして俺は不思議な文様が描かれた紙の上に立つ。そしてシグルスが目を閉じながら、何かの言葉を紡ぎながら、杖をゆらゆらと動かす。
シグルスが杖を揺らすたびに、杖の外側や、シグルスを包む光が強くなっていき、その光は床に引かれた模様にも伝播し、淡く光り始める。
そして文様から眩い光が立ち上り、俺の身体もそれに合わせて眩しく輝く。
「超絶魔力封印」
シグルスの力ある言葉が発せられると、光が不思議な文様を形作りながら下腹部に収束する。そして一瞬目が眩むほどの光を放ったかと思うと、光が吸い込まれていく。
「な、ダンディな俺の腹に!!」
俺が身体を伸ばしつつ、その光が吸い込まれた腹を見ると、銀灰色の毛のところに、焦げ付いた焼き印の様に文様が刻み込まれていた。
「その文様がグレン様の超絶な魔力を抑えてくれるそうです。ただ、全力を出すと、術の効果が切れてしまうので気を付けるようにと、主様がおっしゃってます」
「うぅむ……」
ランスロットの説明を受けながら、俺は下腹部に付いた文様を納得のいかない表情で眺めていた。
「案外似合ってるわよ」
「そうか?」
「色々な毛並みの仲間がいるから、そういう文様もあるかもって感じね」
フランは俺の側にやってきて下腹部を確認すると、不満そうにしている俺に向かって微笑んだ。
俺は軽く飛んだり、ステップを踏んだりして、身体に違和感がないか確かめてみる。一通り身体を動かしてみたが、特に問題はないようだ。
あの身体が光って凄い力が出る超絶形態は、気持ちが昂った時しか出せないので、今は試すことが出来ない。だが、封印されたはずなので、それはもう使えないと考えた方が良いだろう。
「問題ないようですね。主様が言うにはグレン様を引き取って連れて行ってくれるのは、ヴァルトシュタイン家で、レイオット様、クリスティーナ様、アルカード様の家です。保護と生態系の調査を名目に引き取ると言ってました」
「保護と生態系の調査か……」
「我々跳びネズミは、発見されたのが遅いらしく、ここ最近、その毛並みの素晴らしさに目を付けた人間により需要が高まり、乱獲され始めました。それにより跳びネズミの数が激減し、それを見かねた人間の国の王が乱獲の禁止と保護を決めたらしいです。今後数を増やすためにも生態系の研究は必要で、その名目を使って、グレン様を保護するそうですよ」
不満げな顔をした俺にランスロットが詳しい説明をしてくれる。人間の都合に振り回されるのは御免だが、安全にフランに子供を産んでもらうためにも、仕方がないだろう。
「で、主様が言うには、密猟者の討伐の依頼は、あと数日で完了する予定らしいので、グレン様のヴァルトシュタイン家への移動はその後になります。討伐依頼の際に、私が一度シス王国の様子を確認してくる予定です」
「なら、俺も連れて行ってくれ」
「グレン様、申し訳ございません。少人数で素早く行動するらしいので、従魔の私だけしか同行できないようです」
「そうか……皆の安否をこの目で確かめたいんだが……宜しく頼む」
「はい。フラン様と一緒に吉報をお待ちください」
ランスロットは暫く不在になる旨を俺たちに伝えて、シグルスと一緒に部屋を出て行く。その後に俺とフランはレイオット、クリスティーナに連れられて部屋を出たのだった。
「時間もあまりないみたいなので、用意が出来次第、封印の儀式をするそうです。特に痛いとか苦しいとかはなさそうなので安心して下さい」
ランスロットからそう説明を受けて、その日の夜に準備が整ったからと、レイオットとクリスティーナに連れられて、俺とフランは別の部屋に移動する。夜の遅い時間だったらしく、アルカードは既に寝ていて参加者には入っていない。
移動した部屋は俺が住んでいる部屋とあまり変わらないようだが、大きな物は端に除けらていて、床のスペースを広くとっている。その床には不思議な文様が描かれた紙が敷かれていた。
「それでは始めるとしようか」
「始めるそうです。グレン様、その魔法陣の真ん中に立ってください。驚くようなことが起きるかもしれませんが、その場からは動かないでくださいね」
「魔法陣って、この文様が描かれたものか?」
「そうです」
シグルスに続いてランスロットが俺に説明をしてくれる。そして俺は不思議な文様が描かれた紙の上に立つ。そしてシグルスが目を閉じながら、何かの言葉を紡ぎながら、杖をゆらゆらと動かす。
シグルスが杖を揺らすたびに、杖の外側や、シグルスを包む光が強くなっていき、その光は床に引かれた模様にも伝播し、淡く光り始める。
そして文様から眩い光が立ち上り、俺の身体もそれに合わせて眩しく輝く。
「超絶魔力封印」
シグルスの力ある言葉が発せられると、光が不思議な文様を形作りながら下腹部に収束する。そして一瞬目が眩むほどの光を放ったかと思うと、光が吸い込まれていく。
「な、ダンディな俺の腹に!!」
俺が身体を伸ばしつつ、その光が吸い込まれた腹を見ると、銀灰色の毛のところに、焦げ付いた焼き印の様に文様が刻み込まれていた。
「その文様がグレン様の超絶な魔力を抑えてくれるそうです。ただ、全力を出すと、術の効果が切れてしまうので気を付けるようにと、主様がおっしゃってます」
「うぅむ……」
ランスロットの説明を受けながら、俺は下腹部に付いた文様を納得のいかない表情で眺めていた。
「案外似合ってるわよ」
「そうか?」
「色々な毛並みの仲間がいるから、そういう文様もあるかもって感じね」
フランは俺の側にやってきて下腹部を確認すると、不満そうにしている俺に向かって微笑んだ。
俺は軽く飛んだり、ステップを踏んだりして、身体に違和感がないか確かめてみる。一通り身体を動かしてみたが、特に問題はないようだ。
あの身体が光って凄い力が出る超絶形態は、気持ちが昂った時しか出せないので、今は試すことが出来ない。だが、封印されたはずなので、それはもう使えないと考えた方が良いだろう。
「問題ないようですね。主様が言うにはグレン様を引き取って連れて行ってくれるのは、ヴァルトシュタイン家で、レイオット様、クリスティーナ様、アルカード様の家です。保護と生態系の調査を名目に引き取ると言ってました」
「保護と生態系の調査か……」
「我々跳びネズミは、発見されたのが遅いらしく、ここ最近、その毛並みの素晴らしさに目を付けた人間により需要が高まり、乱獲され始めました。それにより跳びネズミの数が激減し、それを見かねた人間の国の王が乱獲の禁止と保護を決めたらしいです。今後数を増やすためにも生態系の研究は必要で、その名目を使って、グレン様を保護するそうですよ」
不満げな顔をした俺にランスロットが詳しい説明をしてくれる。人間の都合に振り回されるのは御免だが、安全にフランに子供を産んでもらうためにも、仕方がないだろう。
「で、主様が言うには、密猟者の討伐の依頼は、あと数日で完了する予定らしいので、グレン様のヴァルトシュタイン家への移動はその後になります。討伐依頼の際に、私が一度シス王国の様子を確認してくる予定です」
「なら、俺も連れて行ってくれ」
「グレン様、申し訳ございません。少人数で素早く行動するらしいので、従魔の私だけしか同行できないようです」
「そうか……皆の安否をこの目で確かめたいんだが……宜しく頼む」
「はい。フラン様と一緒に吉報をお待ちください」
ランスロットは暫く不在になる旨を俺たちに伝えて、シグルスと一緒に部屋を出て行く。その後に俺とフランはレイオット、クリスティーナに連れられて部屋を出たのだった。
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