実は有能?

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いざ、出陣!

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1563年 七月 

駿府館には、今川家の重臣たちが集まっていた。

氏真は、「真篠砦から出てくる敵兵を掃討するため
には、何をしたら良いか?」と、重臣たちに聞いて
いたが、重臣たちのほとんどは「様子を見る。」と、いう消極的な案が多数派を占めていた。

しかし、氏真の「領内を荒らす奴がいたら征伐する
のが領主としての務めだ!」という強い意志により
渋々従ったのだった。

重臣たちの賛成も取り付けた氏真は、「二日後に
出陣する。率いる兵は1000で良い。」と、言い残し
大広間を後にしたのだった。重臣たちは、まだ何か
言おうとしたのか、不満気な表情で見てきたが無視
をした。

自室に戻ると、氏真は一人甲斐国と駿河国の絵図を
見ていた。すると、小姓が「岡部元信様が参られま
した。」と、知らせてきたので「ここに通せ...」と、
いった。

しばらくして、こちらにむかってくる足音が聞こえ
てきた。その足音は、私の自室の前で止まったので
私は「入れ...」と、伝えると重臣の岡部元信が入って
きた。

私は、あらかじめ岡部にあることを命じていた。

それは、今川の直轄軍を作ることである。

今まで、寄子寄親制をとってきた今川家にとって
桶狭間で織田家に負けたことは、一大事件であった。

氏真は、負けた原因が寄子寄親制によって編成され
ていた、寄せ集めの軍勢にあるのだと認識していた。

そこで、今川家の武威を誇っていた重臣の岡部元信
に集めた兵たちの調練を任していたのだ。

「どうだ?兵は、使い物になるか?」

「今のところはわかりませぬが、恐らく使い物に
なるかと...」

「数はどれほどだ?」

「およそ、300ほど」

「丁度良い、此度の出陣に其奴らも120名程加えよ。ああ、そうじゃ岡部、お主がその軍勢を率いよ!」

「それがしが、ですか...」

「なんじゃ?不服か?」

「いえ、ただ殿が率いるものだと認識しておりまし
た故に...」

「私は、此度初陣なのだ、初陣ならば、敵を一人や
二人討たねばなるまい!安穏としていては、敵に
舐められてしまうであろう...」

「なれど、殿は今川家の当主、簡単に死なれては
困ります!」

しばしの言い合いが続いた。

ようやく氏真が折れ、岡部が80、氏真が40という
事で決まったのだった。

二日後、駿府館には具足をつけた氏真がいた。
彼は、集まった軍勢1000を見渡し、「これより、
我が領内を荒らす者共を征伐する。者共名を上げよ、
功を立てよ!」と、掛け声をかけ、出陣して行ったのだった。


登場人物
岡部元信…今川家一の戦上手





















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