聖職より堕ちた教師 純一の場合

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リライト9 青春時代2-2 煩悩の成長 SIDE:純一

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『義侠の裸身~刃と鎖と絶叫の夜』という映画。

純一は、それが上映される日が来るのがのが怖かった。

いや、純一の“理性”が怖れていたと言ったほうが良いかもしれない。

その映画はポスターだけで純一の“煩悩”を掻き混ぜた。

“煩悩”は、その映画の上映を待つ。

上映を、いや、映画館の暗がりで思い切り妄想し、トイレに駆け込むのを楽しみにしている。

純一の“理性”は、そんな自分が情けない。

そして、その映画のリバイバル上映がその映画館で始まる。

純一は、その映画館に入ることにいつも以上の背徳感を感じてしまい、何度も映画館の前を行き来してしまう。

そして、客席の後方、トイレに一番近い出口の近くの席に座った時、すでに股間が怒張してしまっている。

お、俺は、最低だ、、、

“理性”が自分の肉体を責める。

なんで、こんな不健全な状態になってしまうんだ、、、

だが、上映が始まってしまう。

そして、純一の歪んだ性的嗜好の種が決定的に肉体の奥に根付いたのは、その寂れた映画館で上映された裏社会モノのクライマックスに近いシーンだった。

主人公の精悍な若者は、街て横暴の限りを尽くす不良グループの下っ端をやっつける。

怒る不良グループのヘッドの復讐のターゲットとされる場面。

夜。

主人公が泊まる安ホテルの部屋の窓ガラスがガムテープを貼られて割られる。

狭い部屋に侵入する黒い影。

その時、主人公はユニットバスでシャワーを浴びている。

のんびりと寛ぎながら、、、

ノズルをフックに掛け、鍛え上げられた上半身に飛沫を浴びる主人公のバストショットの背後、、、

シャワーカーテンに、何人もの人の影が不気味に近づいてくる。

ヘッドが何の躊躇いもなく、そして暴力的に、シャワーカーテンを一気に引き開ける。

愕然の顔を浮かべた全裸の主人公のバストショットが、スクリーンに大写しになる。

彼の表情には、驚愕と恐怖が入り混じる。

水しぶきを浴びた主人公の強靭な胸板は、逞しい男の肉体美を示しているが、その剥き出しの無防備さゆえに、服を纏う取り囲む男達の前、惨めな弱者へと転落した象徴となる。

ヘッドの後ろには、獰猛な顔付きの手下たちが壁のように並び立つ。

彼らは、それぞれに主人公を威嚇する。

太いチェーンをゆっくりと回す者、手に持った革のベルトで鞭のような音を立てる者、扉をふさぐように立って拳を握った手をもう片方の掌に強く当てる者、、、

その威圧感と無言の暴力が、シャワールームという密室の空気密度を極限まで高めている。

スクリーンを見ている若い純一は幻惑されるような興奮に脳みそを掻き乱される。

いつの間にか、自身がスクリーンの主人公と重なり、理不尽な暴力に晒されているような感覚に陥る。

スクリーンの中、ヘッドは、素っ裸の主人公の濡れた鼻先に、冷たく鋭いバタフライナイフの切っ先を突きつける。
 
そして、目線をスクリーンには映っていない主人公の下半身に向けて言う。

「さすがに縮みあがってるな、、、どうした?いつもの威勢がないじゃないか、、、」

冷たい声で言うと、ククッとヘッドは下品で意地の悪い笑いを漏らした。

このセリフ、、、

屈強な肉体を持つ雄々しい主人公の英雄を、一瞬で萎縮した脆弱さへと貶めるセリフを聞いた時、純一の肉体の芯を甘美な稲妻が打つ。

この屈辱的なセリフに言い知れぬ官能を感じてしまった。

「今すぐその自慢のモノを切り取ってやろうか?」

ニヤッと笑い、ヘッドはナイフの切先をゆっくりと下に動かす。

 「俺にも情けはある。竿か玉、どっちかにしてやるよ。竿無しになるのがいいか?それとも玉無しか?どちらがいいかは自分で選べ」

怯えた表情を浮かべた主人公の鍛えられた腹筋は、激しく上下している。

若く美しい肉体が、暴力的なヘッドに究極の選択を迫られ、慄える。
 
バタフライナイフの切先はどんどん下がっていく。

シャワーの飛沫に濡れる主人公の腹筋を愛撫するかのようにすれすれまで近づけられ、臍のギリギリの位置で画面から下方に消える。

 「今はやらない。だが、いつか、お前をじっくり嬲った後、ぶった切ってやる。その時までに、竿か玉か、どちらを俺に差し出すか、よく考えておくことだな」

映像は、主人公の水滴に濡れた鍛えられた背中越しに、ヘッドの冷酷で凶暴な表情を映す。

鋭い刃の切っ先が、スクリーンの下に隠された主人公の大事なモノに向けられているであろうことは、純一の性的妄想を掻き立てるには十分すぎた。

「お前には、この街を出られないように見張りを付ける。逃がしはしない。竿無しか玉無しになる夜まではな。その時まで俺たちに逆らったことを後悔するんだな」

全裸の主人公を残し、不良グループは去っていく。

主人公は力が抜けたように放心し、その身体に降りかかるシャワーの飛沫は、彼の絶望と屈辱を洗い流すこともできずにいる。

純一は、この場面に異常なまでの興奮を感じた。

場面が移り、翌朝のシーンが始まると同時に、客席を飛び出し、便所に駆け込む。

すぐに壮絶な快感が彼を襲う。

純一を襲った官能的なめくるめく幻惑は、一度の放出では消えない。

映画館を出た後も、純一の脳裏では、シャワールームでの脅迫が、究極の被虐願望へと発展し、生々しい妄想となって繰り返される。

彼は、主人公に自分を置き換え、自己の意志が完全に破壊され、荒々しい男たちによって支配されるシナリオを、細部まで作り上げていった。

理性はそんな事を考えるなと止めるが、脳裏にその場面が湧き上がってくるのを止められなかった。
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