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裸祭の夜
和彦 1
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ソイヤッ!
ソイヤッ!
駅前のバスを降りると威勢の良い掛け声がそこここから聞こえてくる。
そのうちの一つが近づいてくる。
和彦の目に驚きが浮かぶ。
掛け声が大きくなり、すぐ近くの道の角を曲がって、神輿を担ぐ一団が現れた。
ソイヤッ!
ソイヤッ!
男らしく勇壮な掛け声。
小振りな神輿を激しく上下させて進んでくる若者達。
皆、褌一丁だ。
鍛えられた身体。
神輿の動き、そして、威勢の良い掛け声と共に筋肉が躍動する。
思わず和彦はその若く力が漲る益荒男という表現がピッタリな一団の姿にみいる。
「エロい目で神輿を見んなよ、ドスケベ教師、、、、」
ボソッと言ったのはまだ年若い結城、和彦が担任する二年のクラスの学級委員だ。
結城は、和彦の横に立つ生徒会長の藤崎竜之介に惚れ込んでおり、和彦の存在が気に食わず、教師への当たりがキツい。
青年教師はハッとした表情を浮かべ、頬を赤らめ下を向く。
言い返せない。
神輿の勇壮さに圧倒されるのとと同時に、担ぐ若者達のムンと溢れ立つ男臭さにクラクラしたのも事実だったのだ。
新任教師として教職に立った春には初で奥手だった杉山和彦は、年下の教え子達の手により開花し、夏を迎えた今、肉の喜びに身体が素直に反応するようになっている。
それを生徒に指摘されたことを恥じたのだ。
「やっべぇ、勃って来ちゃった、旅館へ行って着替えようよ」
そう言ったのはこれも二年の梶山だ。
「確かに、ここで突っ立っているのも時間の無駄だな。せっかくの校外活動なんだから、、、活動主任の杉山先生に感謝っ!」
生徒会長、藤崎竜之介が言うと、他の生徒達も和彦に向かい、感謝っ!と言った。
端から見れば、引率の若き教師と、素直な生徒達の爽やかな一団に見えただろう。
*
「杉山先生、これにサインをお願いします」
夏休み間際のある放課後、教員室に現れた結城が、和彦にA4サイズのプリントを差し出した。
『校外活動申請書(書式C:宿泊を伴う場合)』
プリントの標題にはそう記載されている。
全寮制のRでは、生徒が外出する場合には届け出が必要となる。
個人の場合は外出申請書、何人かで連れ立つ場合には校外活動申請書を提出する。
もっとも、放課後に連れ立って街へ出掛ける程度ならば、申請書を出さなくても寮夫さんもとやかく言わず、また、教師も多めに見ている。
今、結城が出してきたのは、宿泊を伴う申請書である。
そのプリントを取ろうとする和彦の指が震えている。
顔は強張っている。
プリントに目を落とす。
期間は夏休みのお盆の3日間。
目の前の結城、そして、生徒会長の藤崎を含めた数人の生徒の氏名。
生徒として敬うべき新任体育教師の杉山和彦を、あろうことか獲物に定め、あの手この手で心を、身体を蹂躙し、服従させた者達、、、
引率責任者の欄には和彦の名が記載されている。
もちろん和彦に相談はない。
勝手に書かれている。
だが、和彦には勝手に名を使われたことを咎めることは出来ない。
そして、プリントを差し出している結城も、教師が否ということを許さない雰囲気を醸し出している。
結城は和彦が担任しているクラスの学級委員なので、放課後の教員室で2人がプリントを間にやり取りしているのは全く不思議な光景ではない。
他の教師達は、二人の会話を気に留める様子もなくそれぞれの作業をしている。
だから和彦の顔が暗くひきつり、プリントを持つ手が震えていることに気付き、救いの手を差しのべる同僚はいない。
「杉山先生、時間が無いんですから、さっさとサインをお願いします」
声を潜めて学級委員が教師に言う。
脅しに近い。
だが、生徒の尊大な態度を、青年教師は咎めない。
咎められる立場に無い。
先週、学年末テストの終了日、自ら生徒達のリーダー、藤崎竜之介の元を訪れた。
そして、言われるがままに脱衣し、全裸を晒し、生徒に恭順することを誓った。
その証として乳首に穴を開けられ、生徒会長のイニシャル入りのピアスを装着された。
その事実を目の前の生徒は知っている。
知っているどころか、全裸に剥かれた和彦の前に立ち、そのピアスを見るだけではなく、摘まみ、引っ張り、痛がる教師に向かい、屈辱的な言葉を投げ掛けた。
和彦はもう強気に出ることは出来ない。
震える手でボールペンを握り、一番下の承認欄にサインをし、引率責任者と、承認者の両方の認印を押す。
結城は無言でプリントを和彦のデスクの上から取ると礼も言わずに学年主任の方へ向かう。
その後ろ姿を和彦は伺うように見る。
宿泊を伴う校外活動、、、
和彦の身体を性処理道具のように扱う生徒達が参加者、、、
強制的なイラマチオ、緊縛、ムチ打ち、肛門がズルズルになっても突っ込まれる肉棒、そして、長時間の放出を許されない射精管理、、、
気が狂うような時間の後、出させてくれぇ、、、お願いだぁ、、、と屈辱の嘆願をしてしまう自分。
その自分が引率責任者。
だが、行き先では、引率する者とされる者の立場は逆転するのだろう。
二泊三日、、、
その72時間の間、俺は、、、
行先や、宿泊施設の記載もあったが、その文字は動揺する和彦の脳を滑って消えた。
そして、当日を向かえ、何をされるのかとビクビクしながらバスに揺られ到着した和彦を向かえたのが、褌一丁の若衆が担ぐ神輿だった。
ソイヤッ!
駅前のバスを降りると威勢の良い掛け声がそこここから聞こえてくる。
そのうちの一つが近づいてくる。
和彦の目に驚きが浮かぶ。
掛け声が大きくなり、すぐ近くの道の角を曲がって、神輿を担ぐ一団が現れた。
ソイヤッ!
ソイヤッ!
男らしく勇壮な掛け声。
小振りな神輿を激しく上下させて進んでくる若者達。
皆、褌一丁だ。
鍛えられた身体。
神輿の動き、そして、威勢の良い掛け声と共に筋肉が躍動する。
思わず和彦はその若く力が漲る益荒男という表現がピッタリな一団の姿にみいる。
「エロい目で神輿を見んなよ、ドスケベ教師、、、、」
ボソッと言ったのはまだ年若い結城、和彦が担任する二年のクラスの学級委員だ。
結城は、和彦の横に立つ生徒会長の藤崎竜之介に惚れ込んでおり、和彦の存在が気に食わず、教師への当たりがキツい。
青年教師はハッとした表情を浮かべ、頬を赤らめ下を向く。
言い返せない。
神輿の勇壮さに圧倒されるのとと同時に、担ぐ若者達のムンと溢れ立つ男臭さにクラクラしたのも事実だったのだ。
新任教師として教職に立った春には初で奥手だった杉山和彦は、年下の教え子達の手により開花し、夏を迎えた今、肉の喜びに身体が素直に反応するようになっている。
それを生徒に指摘されたことを恥じたのだ。
「やっべぇ、勃って来ちゃった、旅館へ行って着替えようよ」
そう言ったのはこれも二年の梶山だ。
「確かに、ここで突っ立っているのも時間の無駄だな。せっかくの校外活動なんだから、、、活動主任の杉山先生に感謝っ!」
生徒会長、藤崎竜之介が言うと、他の生徒達も和彦に向かい、感謝っ!と言った。
端から見れば、引率の若き教師と、素直な生徒達の爽やかな一団に見えただろう。
*
「杉山先生、これにサインをお願いします」
夏休み間際のある放課後、教員室に現れた結城が、和彦にA4サイズのプリントを差し出した。
『校外活動申請書(書式C:宿泊を伴う場合)』
プリントの標題にはそう記載されている。
全寮制のRでは、生徒が外出する場合には届け出が必要となる。
個人の場合は外出申請書、何人かで連れ立つ場合には校外活動申請書を提出する。
もっとも、放課後に連れ立って街へ出掛ける程度ならば、申請書を出さなくても寮夫さんもとやかく言わず、また、教師も多めに見ている。
今、結城が出してきたのは、宿泊を伴う申請書である。
そのプリントを取ろうとする和彦の指が震えている。
顔は強張っている。
プリントに目を落とす。
期間は夏休みのお盆の3日間。
目の前の結城、そして、生徒会長の藤崎を含めた数人の生徒の氏名。
生徒として敬うべき新任体育教師の杉山和彦を、あろうことか獲物に定め、あの手この手で心を、身体を蹂躙し、服従させた者達、、、
引率責任者の欄には和彦の名が記載されている。
もちろん和彦に相談はない。
勝手に書かれている。
だが、和彦には勝手に名を使われたことを咎めることは出来ない。
そして、プリントを差し出している結城も、教師が否ということを許さない雰囲気を醸し出している。
結城は和彦が担任しているクラスの学級委員なので、放課後の教員室で2人がプリントを間にやり取りしているのは全く不思議な光景ではない。
他の教師達は、二人の会話を気に留める様子もなくそれぞれの作業をしている。
だから和彦の顔が暗くひきつり、プリントを持つ手が震えていることに気付き、救いの手を差しのべる同僚はいない。
「杉山先生、時間が無いんですから、さっさとサインをお願いします」
声を潜めて学級委員が教師に言う。
脅しに近い。
だが、生徒の尊大な態度を、青年教師は咎めない。
咎められる立場に無い。
先週、学年末テストの終了日、自ら生徒達のリーダー、藤崎竜之介の元を訪れた。
そして、言われるがままに脱衣し、全裸を晒し、生徒に恭順することを誓った。
その証として乳首に穴を開けられ、生徒会長のイニシャル入りのピアスを装着された。
その事実を目の前の生徒は知っている。
知っているどころか、全裸に剥かれた和彦の前に立ち、そのピアスを見るだけではなく、摘まみ、引っ張り、痛がる教師に向かい、屈辱的な言葉を投げ掛けた。
和彦はもう強気に出ることは出来ない。
震える手でボールペンを握り、一番下の承認欄にサインをし、引率責任者と、承認者の両方の認印を押す。
結城は無言でプリントを和彦のデスクの上から取ると礼も言わずに学年主任の方へ向かう。
その後ろ姿を和彦は伺うように見る。
宿泊を伴う校外活動、、、
和彦の身体を性処理道具のように扱う生徒達が参加者、、、
強制的なイラマチオ、緊縛、ムチ打ち、肛門がズルズルになっても突っ込まれる肉棒、そして、長時間の放出を許されない射精管理、、、
気が狂うような時間の後、出させてくれぇ、、、お願いだぁ、、、と屈辱の嘆願をしてしまう自分。
その自分が引率責任者。
だが、行き先では、引率する者とされる者の立場は逆転するのだろう。
二泊三日、、、
その72時間の間、俺は、、、
行先や、宿泊施設の記載もあったが、その文字は動揺する和彦の脳を滑って消えた。
そして、当日を向かえ、何をされるのかとビクビクしながらバスに揺られ到着した和彦を向かえたのが、褌一丁の若衆が担ぐ神輿だった。
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