聖域で狩られた教師 和彦の場合

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火照りの試技

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和彦は不思議な火照りを感じていた。

身体が熱い。

身体を動かした時に感じる身体の熱さではない。

ダルいわけではない。

逆に、荒々しい活力が湧いてくるような不思議な熱さ。

今、和彦は体育館にいる。

白いスポーツシャツに白に紺のラインが入ったジャージ。

スポーツマンらしい爽やかな姿だ。

シャツ越しに鍛えられた上半身の筋肉の見事さが見てとれる。

袖から延びた両腕の筋肉も逞しい。

少年っぽさを残した凛々しい顔に真剣な眼差しで生徒達を指導している。

授業の最中だ。

和彦は自分の身体が不自然に火照っていることは後回しにして、目の前の生徒達の指導に集中しようとする。

だが、和彦の意識とは裏腹に身体の火照りはジリジリと和彦の身体の芯を蝕んでいく。

「カズ先生っ」

声をかけられ、ハッとする。

「もうじき授業も終わっちゃうから、最後に先生の試技を見せてくださいよ」

屈託のない表情の生徒。

一瞬でもボンヤリとしてしまった自分を和彦は恥じる。

今日の授業は、器械体操。

和彦の得意分野だ。

生徒の能力に合わせ、高さを変えた跳び箱に鞍馬が広い体育館に設置されている。

自己申請で跳び箱の高さを選び、もっとも高い跳び箱をクリアできる生徒は、鞍馬での試技を和彦が指導する。

生徒の自主性に合わせ、身体能力の高いものには、更なる競技に挑ませる。

吊り輪、鉄棒、床体操、、、

週替わりで行っている。

若い和彦の授業は生徒達に好評だ。

年配の体育教師は根性論に走り勝ちだが、和彦は生徒達の目線で楽しく身体を動かすことに重点を置いている。

体育の苦手な生徒でも一時間楽しく身体を動かせ、身体能力の長けたものにはそれに見合ったカリキュラムを用意する。

そうするとグループが複数に別れて授業を行うことになるが、若い和彦は自ら身体を動かし、それぞれのグループを指導する。

ハードではあるが、その熱意が生徒達にも伝わり、身体能力の高い生徒達が、運動の苦手な生徒達のフォローに積極的に回るようになり、和彦が授業を担当するクラスの結束も纏まっていった。

「カズ先生、お願いっ」

生徒が和彦の広い背中に後ろから抱きついた。

ゾクッ、、、

生徒の肌の温もり、トレーニングシャツ越しのコリコリとした筋肉の感触を感じ、和彦の身体の芯にズンッとした衝動の様なものが走る。

なんだ?

なんだこの感覚は、、、

ジリジリ、ムズムズした感触が、和彦の下半身に溢れ始める。

や、ヤバい、、、

じゅ、授業中なのに、、、

下半身が疼き始めたことに気付いた瞬間、さらに疼きが増す。

己の分身が己の意思を離れて膨らみ始めてしまった。

和彦は血の気が引く思いだった。

ダメだ、、、ダメだ、、、、

学校で、、、それも、授業中に勃起するなんて、、、

落ち着け、自分っ!

「先生、せっかくだからもう一度、鞍馬の試技を見せてよ」

屈託のない声。

授業の最初に軽い試技を披露していたが、もう一度とリクエストしてきたのだ。

もちろん、その生徒は和彦の葛藤に気付いていない。

和彦に対してバックハグの状態でギュッと腕を絞める。

和彦はその力、そして生徒の身体の熱さに再び身体が熱くなる。

「先生、せっかくですから、もう一度、お願いできますか?」

タメ口の生徒が多い中、礼を失せぬ口調で話しかけてきたのはこのクラスの委員でもある生徒会長藤崎竜之介だ。

弓道部の部長であると同時に、剣道の有段者でもある。

スラッと背が高く、無駄のない身体付きに加え甘いアイドル系の顔で、他校のファンも多いと聞く。

「先生もお疲れかもしれないですから無理にとは言いませんよ、おい、田宮、先生に失礼だぞ」

そう言いながら、すっとバックハグをしている生徒の腕に手を伸ばし、和彦から離す。

その竜之介の指が和彦の張った胸筋に触れる。

和彦のコンプレックスである敏感な乳首に絶妙のタッチで掠める。

アッ、、、

和彦は声をあげそうになったのを堪える。

ゾクッとするような快感が身体を走った。

和彦の顔が紅潮する。

息が荒くなり始める。

股間がボリュームを増していくのがわかる。

キツメのサポーターを履いているからまだ押さえつけられているが、これ以上、膨らんでしまったら、、、、

生徒の前で勃起してテントを張った下半身を晒すわけにはいかない。

「ヨシッ」

教師のあげた気合いの声に、竜之介、田宮をはじめとする生徒達が湧く。

和彦は鞍馬に素早く駆け寄ってその二本の取っ手を掴み、軽い試し技を見せることもなく、両の腕のみで身体を支え、両足を広げ激しく身体を動かし始める。

動きが激しめの試技を行い、勃起しかけた股間を目立たせないようにし、試技の合間に股間を鎮めようと考えたのだ。

オォ~~~ッ

生徒達の嘆声。

そんな、教師の思惑には気付かぬ生徒達。

脚を大股に開き、また、閉じ、右へ、左へ、和彦の筋肉に覆われた逞しい身体が鞍馬の上で軽やかに、そして、力強く動く。

その若く祝福を受けた逞しい美神の様な姿。

まさか、勃起をしかけている自分自身を叱責しながらの試技だとは誰も思わないだろう、、、仕掛けた一部の生徒を除いては、、、

仕掛けた者は、和彦の顔がどんどん紅潮し、軽やかな身体の動きとは正反対な情け無さげな、泣きそうな表情になっていることに気付いていた。

効いてきたな、、、

爽やかで人懐っこい人柄に尊敬の念をもって接していた若い教師を追い込んだことに対する贖罪の気持ちを抱きながら、一方で、この目の前の逞しく凛々しい曇りのひとつなく見える最高の獲物を引きずり下ろし、追い込み、服従させたいという狩人としての本能が大きく膨らんでいった。

そんな、狩人が校内にいることなど知らす、そして、自身が獲物として見られていることに気付かず、和彦は身体を激しく動かし、なぜか昂りだした己の下半身の衝動を必死で押さえようとしていた。

生徒に股間の勃起を気付かれないよう激しく身体を動かしている。

鞍馬上で逆立ちした後、すぐに開脚すると共に体勢を正位置に戻し、鍛えられた両足を振り子のように動かしながら両腕でくるくると鞍馬の上を移動する。

カッケェ~

生徒達の称賛の声。

両腕での筋肉はパンパンに張っている。

和彦は体力の限界に挑むように技を繰り出す。

心の中で、鎮まれ、、、鎮まれ、、、と己の下半身に言いながら。

だが、体力の限界も近くなる。

最後に大きく股を開き鞍馬上で左右に大きく動き、そのまま逆立ちをし、重力を無視するように身体を宙に浮かせ着地する。

生徒達は拍手喝采だ。

和彦は着地と共にしゃがみこんでいる。

下半身がギンギンに昂っているのを隠すためだ。

キツメのサポーターを履いているとは言え、股間がテントを張ってしまっているのは見る人が見れば気付くだろう。

腰を引き、脚をすぼめ、股間が目立たないように座っている。

頭の中は混乱の局地だ。

自分への不甲斐なさに顔は真っ赤に紅潮している自覚はある。

どうする、、、

この後、どうする、、、

「カズ先生、すごかったよ~」

生徒達からの称賛の声。

自分を囲んだ生徒達。

その身体を動かした後の生徒達の熱気、汗の浮いた肌、若々しい精悍さ、、、

ムッとしたような空気に和彦は包まれ、和彦の股間の昂りが激しくなる、、、、

だ、出したい、、、

何てことを俺は考えてるんだ、、、

ここは神聖な職場だぞ、、、、

下手に動いたら下半身が見られる、、、

ヤバい、、、

落ち着け、、、

和彦の脳内はフル回転だ。

ど、どうしよう、、、

その時、授業を終えるチャイムがなった。

「おぉ、今日の授業はここまでだな。解散だ」

ホッとした和彦はしゃがんだまま言う。

本来は授業の終了間際に使用した器具を生徒達は片付けなければならない。

生徒達が片付けに入ろうとする。

「もう休み時間だ。片付けは俺がやっておく。皆は教室に戻って次の時間の用意をしてくれよ」

「え?先生が一人で片付けるの?悪いよ」

「いや、かまわないよ、時間配分を間違えて授業時間中に片付けられなかった俺のミスだ」

そう言っているのに、何人かの生徒は率先して、片付けを始めてしまった。

和彦としては、生徒達の気持ちは有り難いが、早く一人になり、股間をどうにかしたかった。

だ、ダメだ、、、

なんで、俺は興奮しちまってるんだ、、、

俺は教師だ、生徒達の前で恥ずかしい格好はできない、、、

が、これ以上、しゃがんでいるとそれもおかしい。

和彦は、さっと汗にまみれたシャツの裾に手をやると、一気に脱いだ。

汗が光り、激しい試技でパンプアップされた逞しく美しい上半身の筋肉が晒される。

くっきりとシックスパックが浮き上がり、二つの強靭な盾のような胸筋も張っている。

肩から二の腕にかけてのコブのような筋肉も見事だ。

和彦はさっと脱いだシャツを、腹の辺りに当て股間を隠し、まだ残っていた踏み板に近づくと、それを持ち上げ、うまく下半身を隠し、体育倉庫に足早に向かう。

狩人からすれば、薬が効いて昂った股間を隠しているのが明白だ。

なかなか、可愛いところもある獲物じゃないか、、、

良い、、、

コイツなら、浜っちのペットにも引けを取らない、、、

ヤツよりも若いし、、、

狩人の元にはかつての同級生から自慢するように写真やムービーが送られてくる。

今日、送られてきたのは、ギリシャ彫刻のような男が、両足首を梁に結ばれ大股を開いた逆さ吊りの状態にもかかわらずギンギンに勃起させているムービー。

“生徒に逆さ吊りにされて、教師として情けなくないのか?純一っ!”

聞こえてきたのは幼馴染みの声。

“な、情けないです、、、、”

“言いたいことがあるなら言ってみろ”

“もう、ワガママは言いませんから、許してください、、、”

“良くわからねぇな、、、どんなワガママを言ったんだ?”

“きょ、教師と生徒だから卒業までは清い関係でいたいと言うワガママです、、、”

“で?どうしてほしいんだ?”

“す、好きなように可愛がってください、、、”

“もっと、具体的に言えよっ”

“言うことを聞きますから、ほ、、、掘ってください、、、、お、お願いします、、、、”

そのムービーに添えられたメッセージ。

“良かったらお前にも貸し出してやるぜ”

ふざけんじゃねえよ、、、

生来、勝ち気な狩人は思う。

俺は、俺のペットを手に入れるだけだよ。

最高のペットを、、、

目がキラリと光る。

そのためには、じっくりと、確実に仕留めなきゃな、、、

うまくやった褒美もヤツにあげないといけないか、、、、面倒だが、、、浜っちに負ける訳にゃいかないからな、、、、

生徒達が片付けを終え、和彦に挨拶をして体育館を離れ始めている。

一人残っているのも目立つ。

和彦は体育倉庫の扉の横に、踏み板で下半身を隠したまま、立っている。

顔が赤い。

ふっ、もうちょっと様子を観察したいが、ここらで一旦引くか、、、

狩人は、和彦の横から近づき挨拶をし、体育館を出た。

横から確認した教師が踏み板で隠したつもりのジャージが、しっかりとその下の熱く膨張した逸物の固さと太さを布越しにくっきりと浮き上がらせていたのを思い出し舌舐りをしながら。













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