聖心を吊られた教師

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佐藤の煩悶

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佐藤は、体育教官室に飛び込むように入る。

もう他の教師は、誰も残っていない。

身体は汗まみれだ。

疲れた、、、、

佐藤は自身の席にガクッと座る。

張り詰めていた精神が解け、ただでさえ酷使した身体も手伝い、ドッと疲れが襲ってきたのだ。

何もする気力がない。

レスリングのユニフォーム姿の佐藤。

吊りパンとも呼ばれるシングレット。

佐藤は、肩を締める肩紐を外し、上半身を剥き出しにする。

盛り上がった両肩、厚い胸板、締まる腹部。

全身から汗が噴き出し、鍛えられた身体を流れ落ちる。

筋肉に覆われた長身の身体からは、ムンとした湯気が立ち上るような印象だ。

今日も、無事に部活を終えた、、、

佐藤は一息つく。

生徒達が、最近の佐藤の指導のことを以前程には力を入れていないように感じていることには気付いていない。

佐藤の立場からすると、以前以上に肉体を酷使し、レスリング部の活動に打ち込んでいるつもりなのだ。

以前は、全体を見舞わせる位置に立ち、円形マットにも、脇のトレーニングスペースにも目を配り、必要があればそれぞれの場所に近付き指導をして、また見渡せる位置に戻っていた。

だから、直接に身体を動かすのは、最初の説明、そして、部員の動きが悪い時に実践してみせる時だけだった。

が、黒崎が入部してからは、無意識のうちに黒崎を避けてしまい、指導方法が変わってしまった。

黒崎が円形マットでスパーリング、あるいは、技の練習
をしている時は、円形マットが置かれた反対側、器具が置かれたトレーニングスペースで部員達と共に一緒に器具を操る。

佐藤としては、器具の使い方のお手本を部員へ見せているつもりだ。

そして、黒崎がダンベルを握ると、今度はスパーリング、タックルの練習を自ら円形マットの中に入り部員と行う。

生徒とぶつかる事により、レスリング部に真剣に向き合っているつもりだ。

佐藤自身は、以前以上に体を酷使しているため、自身の指導が手抜きになっているとは感じていない。

しかし、佐藤が円形マット、トレーニング場、両方で生徒と共に汗を流すため、佐藤がいない側の生徒は指導をしてくれないと感じ始めている。

そして、佐藤の不在の側では、最初のうちは控えめに、そして、徐々に小声ではあるが的確な指示を与えはじめ、黒崎と共に練習した部員達の信頼を得ていく。

まだ、経験値の浅い佐藤は、その事実には気付いていない。

ふう、、、

一息付く。

流石にユニフォームに染み込んだ汗で肌に布が纏わりつき、不快だ。

汗を流さないと、、、

ゆっくりと立ち、教員専用のシャワールームに向かう。

扉を開けると脱衣場。

洗いたてのタオルがいつでも使用できるように畳まれている。

そして、清潔なシャワーブースが二つ。

それぞれに磨りガラスの扉が付いている。

美しいタイルに覆われ、シャワーソープ、シャンプー、コンディショナーのボトルも並ぶ。

温度調節機能も当然に付いている。

むき出しのコンクリートにシャワーノズルが並び、間を防ぐ古びたシャワーカーテンも壊れかけ、温度は一括調節しか出来ず、手前が熱くても奥はぬるい生徒用のシャワー室とは大きな差だ。

替えのブリーフとTシャツを持ち、佐藤は脱衣場に入る。

年寄の体育教師達は普通にスッポンポンでシャワー室を出て、身体を拭きながら教官室を闊歩するが、さすがに佐藤はその真似は出来ない。

ムッとするような熱気を帯びた白に青のラインの入った吊りパンとスポーツサポーターを一気に脱ぐ。

汗で蒸れていた股間が新鮮な空気に当たり、気持ちがいい。

素っ裸を無防備に晒し、佐藤は用意されているスポンジを手に取り、シャワーブースに入る。

お湯を出す。

気持ちいい、、、

しばらく頭からお湯の飛沫を受け、その穏やかな感触に浸る。

熱い湯が筋肉質な身体の表面を流れ、心地よく刺激する。

サッカー選手時代に鍛えた下半身、張った尻、ガッシリとした太腿、盛り上がる脹脛。

そして、レスリング部の顧問を引き受けてから発達した流麗な胸板、滑らかに割れた腹筋、逞しく張る背筋、しなやかだが厚みを帯びた腕のライン。

しばらくゆっくりとお湯を楽しんだ後、ボトルからシャワーソープを手に取ると、身体にゆっくりと掌を這わせ始める。

ソープが泡立ち、ぬめり、筋肉を淫靡に浮き立たせる。

佐藤は筋肉を洗いながら、これからどうしようと悩む。

佐藤昴の雄臭い身体が脳裏に浮かぶ。

あいつは、何を考えているんだ。

何か企んでいるのか?

それとも俺の単なる思い過ごしか、、、、

堂々巡りをする思考。

佐藤一人で考えても、答えが出るはずもない。

ビクッ、、、

佐藤の身体が動く。

脳裏に先程、解散を告げてすぐ、佐藤を見る視線を感じ黒崎の方に目をやると、目が合った瞬間に黒崎はゆっくりと両肩紐を外して上半身を顕にすると両腕を万歳の状態で上げ、頭上で手を組み、大きく伸びをした。

その目は意地悪そうに光っているように佐藤には感じられた。

しばらく佐藤は目を離せなかった。

いきなり剥き出しになり顕になった分厚い胸筋、黒ずんだ乳輪、そして、胸を飾るように生えた男らしい漆黒の胸毛、さらに腕を上げ密集して覆い茂る雑草のような脇毛、、、

しっかりと佐藤の目が射られ、心臓を直撃した。

完全に自分は黒崎を意識している。

だから、スパーリングに関しても、一年の雑談と笑って流せることもできたのに、ムキになってやることを宣言してしまった。

黒崎とのスパーリング、、、、

体に張り付いた吊りパンで、、、

あの身体と組む、、、

頭がツーンと痺れ、胃が重くなる、そして、同時になぜか下半身が頭を持ち上げ始める。

バッ、バカかおれはっ!

校内で、、、

しかも、生徒の姿を想像して、、、

何を考えているんだ。

精神で抑えようとすればするほど、股間は荒ぶっていく。

腰の奥、玉袋の根元がジンジンと暴れ始める。

や、やめろ、、、

俺は何を考えているんだ、、、

考えるな、、、

だが、黒崎に尻を触られた時の感触、校舎裏でもみ合った時の垣間見えた漆黒で男臭い胸毛、そして、極めつけは体育倉庫室での黒崎のあられもない姿。

跳び箱の上、剥き出しの鍛えられた片脚を最上段の縁にかけ、片脚はぶらんと下げる。

そして、その間にはサポーターとそこに浮き上がる巨大な棒の形。

ニヤリと笑う姿。

佐藤の息が荒くなる。

ダメだ、、、

ダメだ、、、

佐藤はシャワーの温度を下げ、冷水にし、頭から掛け、そして、股間に当てる。

大きく息をし、股間を抑えようとする。

ダメだっ!

聖なる場の校内でオナニーなんか論外だっ!

聖心を抱くべき教師として最低だっ!

失格だっ!

佐藤は己の欲情を精神力で押さえつけようとする。

もし、ここで佐藤がオナニーをし、精を放出して股間を普通の状態に戻していれば、今後の彼の運命は少し変わったかもしれない。

が、運命は無常だ。

佐藤は必死で性欲を抑えつけ、ようやく股間は頭を項垂れさせ始める。

もともと佐藤のイチモツは大きい。

膨張すれば一際だ。

半おごりであっても太く長く、自己主張をしている。

佐藤は若く、身体は健康で精力に溢れている。

だから理性に反し膨張し始めた肉棒の制御は困難だ。

ようやく上向きから下向き(その太く長いイチモツは下をむくというより横を向くといった方が良い状態だったが)になったことを確認すると、佐藤はノズルを離す。

時に、ノズルの刺激を感じた亀頭が再び頭を持ち上げることがあるのを経験で知っている。

この状態になったら無理やりブリーフを履き、締め付け、スーツに押し込むのが最善だ。

解放するから暴れるのであって、押し込めば、次第に納まる。

そう考えた佐藤はシャワーを止めると、急いでブースを出る。

股間の肉棒はまだ半おごりの状態で存在を誇っている。

畳まれたバスタオルを取り、替えの下着を入れた脱衣籠の方に急ぐ。

パンツを取り股間の水滴を拭おうとタオルを擦り付けると敏感な肉棒が反応し、快感が背筋を這い上がり、ビクンとする。

また頭をもたげ始めた肉棒を平手打ちで叩く。

ふと片側から風を感じる。

え?

はっとそちらを向く。

シャワールームと体育教官室を隔てる扉が全開になっており、教官室には、主将、副主将、下級生が数人と黒崎が居た。

彼らの視線が股間を膨らませた佐藤の裸体に集まっている。

佐藤は声なき悲鳴をあげる。



















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