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14話 ふたりの想い
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「前に働いていた会社で、誰にも認めてもらえなかったのはつらかったと思う。
だからといって、蒔菜が世界中の人に否定されたわけではない。
好きでも嫌いでもないと思っている人が七割いると祖母から聞いたことがあるからな」
「私は三割の人に嫌われているってことですか……」
「いや、二割に好かれているってことだ。
蒔菜がその会社で認められなかったのは、たった一割の人に偶然に当たっただけだろ」
「そんな風に考えたことはありませんでした。
意外と味方になってくれる人っているんですね」
「見てないようで見ている人もいるんだ。
でもな、蒔菜は自分に合った場所を探すために、勇気を出して行動したんだからすごいと思う」
「聖さん……」
「もっと肩の力を抜いてもいいんじゃないか。
自分のことを大事にしてくれない人と無理して食事をする必要はない」
恐らく、牡丹さんが私に不快に思うような言葉を掛けたから聖さんはそう言っているんだろう。
あの時、嫌な気持ちになっていたのは私だけではなかった。
クールな聖さんでも怒ることがあるんだ。
「そうですね。今後は時と場合を考えようと思います。
……ですけど、聖さんは知り合ったばかりの私と食事をしてくれましたよね。
まだ晩ご飯を食べていなかったから、一緒に食べただけですか?」
「蒔菜だからだ」
「よく分かりません」
首を傾げて言うと、聖さんは頬を赤くしてそっぽを向いた。
「ずっと言えなかったけど、出会ってからすぐに気になったんだ。
晩御飯は軽く食べていたけど、一緒に食事をするのもいいかなと思ってな。
守りたいと思うほど蒔菜が可愛いかったから」
「最初から私のことを想っていてくれたんですか」
「ああ。今は、蒔菜のことを……愛してる」
いつもより声量が小さい。
きっと、恥ずかしくてたまらないんだろう。
だから、今まで恋人らしいことをしてこなかったのかもしれない。
聖さんの気持ちを知って、かぁっと顔が熱くなってきた。そして、鼓動が早くなる。
「……私も愛してます」
恥ずかしがりながらそう言うと、聖さんは私の方を向いて優しく微笑んでくれた。
「村から出て行った方がいい」っと、牡丹さんに言われて嫌な思いをしたけど、なんだかどうでもよくなってきた。
ちょうどいい温度になったほうじ茶を飲む。
じっくり味わいたいところだけど、ドキドキしているせいで香りさえ分からなくなる。
「そっ……、そういえば、和男さんの言っていた道の駅を放浪する男が気になるな。
危険な男かもしれないから、念のため、しばらく俺の近くから離れないでくれ」
「毎日、殆ど一緒に行動してますから可能ですけど……。
今でもその男性は放浪しているんでしょうか?」
聖さんは湯呑を持ってから、底にもう片方の手を添えてほうじ茶を飲む。
そして、小さく息を吐いたあとに口を開いた。
「分からない。なにか理由があるから放浪しているんだろ」
「もしかして、バスに財布を忘れた時の私のようにお金がないとか?」
「そうなるのは稀だろ。
どこに行ってもお金が掛かるんだから、財布か電子決済ができるスマホを持ち歩くはずだ。
しかし、うちの限界集落では現金がないと買い物できないな」
「きっとそれですよ。困っているんです」
「ははっ、蒔菜は想像力が豊かだな」
「ということで、これから夜のドライブに出掛けませんか?」
「危険だと言ったばかりなのに……。
蒔菜の行動力には驚かされるな。尊敬もしているけど……。
ほうじ茶を飲んだら、綺麗な夜空を見に行くとするか」
温かいほうじ茶を飲んだあと、聖さんと一緒に軽トラックに乗ってドライブに出掛けた。
雲ひとつない夜空。誰も歩いていない道を優しく照らす月の光。
ライトアップされた建物はないけど、邪魔をしてくるものは何もない。
静かで落ち着いた場所に好きな人とふたりきりでいることができて心が満たされる。
聖さんと話をして、車の窓から夜空を見ているとあっという間に道の駅に着いた。
広い駐車場には車が一台も停まっていない。
ぽつぽつと立っている街灯が、乾いたコンクリートを照らしていてなんだか寂しさを感じた。
「誰もいないな。放浪している男は村から出て行ったんじゃないか?」
建物の周りを見ていると、屋根の下に座っている人がいた。
「あっちにいます! 声を掛けてみますか?」
「そうだな。俺が先に行くから。
蒔菜は後ろにいてくれ」
だからといって、蒔菜が世界中の人に否定されたわけではない。
好きでも嫌いでもないと思っている人が七割いると祖母から聞いたことがあるからな」
「私は三割の人に嫌われているってことですか……」
「いや、二割に好かれているってことだ。
蒔菜がその会社で認められなかったのは、たった一割の人に偶然に当たっただけだろ」
「そんな風に考えたことはありませんでした。
意外と味方になってくれる人っているんですね」
「見てないようで見ている人もいるんだ。
でもな、蒔菜は自分に合った場所を探すために、勇気を出して行動したんだからすごいと思う」
「聖さん……」
「もっと肩の力を抜いてもいいんじゃないか。
自分のことを大事にしてくれない人と無理して食事をする必要はない」
恐らく、牡丹さんが私に不快に思うような言葉を掛けたから聖さんはそう言っているんだろう。
あの時、嫌な気持ちになっていたのは私だけではなかった。
クールな聖さんでも怒ることがあるんだ。
「そうですね。今後は時と場合を考えようと思います。
……ですけど、聖さんは知り合ったばかりの私と食事をしてくれましたよね。
まだ晩ご飯を食べていなかったから、一緒に食べただけですか?」
「蒔菜だからだ」
「よく分かりません」
首を傾げて言うと、聖さんは頬を赤くしてそっぽを向いた。
「ずっと言えなかったけど、出会ってからすぐに気になったんだ。
晩御飯は軽く食べていたけど、一緒に食事をするのもいいかなと思ってな。
守りたいと思うほど蒔菜が可愛いかったから」
「最初から私のことを想っていてくれたんですか」
「ああ。今は、蒔菜のことを……愛してる」
いつもより声量が小さい。
きっと、恥ずかしくてたまらないんだろう。
だから、今まで恋人らしいことをしてこなかったのかもしれない。
聖さんの気持ちを知って、かぁっと顔が熱くなってきた。そして、鼓動が早くなる。
「……私も愛してます」
恥ずかしがりながらそう言うと、聖さんは私の方を向いて優しく微笑んでくれた。
「村から出て行った方がいい」っと、牡丹さんに言われて嫌な思いをしたけど、なんだかどうでもよくなってきた。
ちょうどいい温度になったほうじ茶を飲む。
じっくり味わいたいところだけど、ドキドキしているせいで香りさえ分からなくなる。
「そっ……、そういえば、和男さんの言っていた道の駅を放浪する男が気になるな。
危険な男かもしれないから、念のため、しばらく俺の近くから離れないでくれ」
「毎日、殆ど一緒に行動してますから可能ですけど……。
今でもその男性は放浪しているんでしょうか?」
聖さんは湯呑を持ってから、底にもう片方の手を添えてほうじ茶を飲む。
そして、小さく息を吐いたあとに口を開いた。
「分からない。なにか理由があるから放浪しているんだろ」
「もしかして、バスに財布を忘れた時の私のようにお金がないとか?」
「そうなるのは稀だろ。
どこに行ってもお金が掛かるんだから、財布か電子決済ができるスマホを持ち歩くはずだ。
しかし、うちの限界集落では現金がないと買い物できないな」
「きっとそれですよ。困っているんです」
「ははっ、蒔菜は想像力が豊かだな」
「ということで、これから夜のドライブに出掛けませんか?」
「危険だと言ったばかりなのに……。
蒔菜の行動力には驚かされるな。尊敬もしているけど……。
ほうじ茶を飲んだら、綺麗な夜空を見に行くとするか」
温かいほうじ茶を飲んだあと、聖さんと一緒に軽トラックに乗ってドライブに出掛けた。
雲ひとつない夜空。誰も歩いていない道を優しく照らす月の光。
ライトアップされた建物はないけど、邪魔をしてくるものは何もない。
静かで落ち着いた場所に好きな人とふたりきりでいることができて心が満たされる。
聖さんと話をして、車の窓から夜空を見ているとあっという間に道の駅に着いた。
広い駐車場には車が一台も停まっていない。
ぽつぽつと立っている街灯が、乾いたコンクリートを照らしていてなんだか寂しさを感じた。
「誰もいないな。放浪している男は村から出て行ったんじゃないか?」
建物の周りを見ていると、屋根の下に座っている人がいた。
「あっちにいます! 声を掛けてみますか?」
「そうだな。俺が先に行くから。
蒔菜は後ろにいてくれ」
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