十人十色の強制ダンジョン攻略生活

ほんのり雪達磨

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肉と肉

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 ノーマルダンジョン、肉と肉。
 そこはクリアするだけなら、なんら苦労することなどないダンジョンである。
 戦闘するところも慣れれば敵の強さは最後まで大したことはない、最初からソロでもいけてしまうような程度である環境のダンジョンだ。
 デバフも何も特異性は少なく、特殊性がなくとも意志の強さやアイテム一つでどうにでもなる程度。

 ちゅどーん。

 と、そんなダンジョンで起こる爆発。
 肉。
 肉、肉、肉、肉、肉。
 それは肉だ。
 世界は肉に包まれている。
 よって、爆発すらも肉である。
 肉の舞。肉の雨。実際臭い。肉臭い。
 埋め尽くすほどの重なる肉の束。踏み荒らされ、踏み散らされ。それはもう、もったいないという言葉が三度の飯より好きなおばけが合唱しそうな状況であるが、それを気にしているものはあたりに確認できない。

「ハラミヤ!」
「ハレルヤみたいに歌ってんじゃあねぇぞっ……!」

 自称ハラミの化身たるその一撃がかすった影響により、真田の来ていたいかつい鎧の一部が肉となる。
 そう、ハラミである。真田には区別がついていないが、それは紛れもなくハラミであった。なお、品質は良い。脂肪分は少なくあっさりしつつも肉のうまみを豊富に感じさせ肉らしい柔らかさを歯に返してくれるハラミである。
 ハラミの化身は全てをハラミにするものなのだ。シュールなギャグめいているが、実際相対している人間にとってはシャレになっていない。

「サナーダ、ミートの意思を受け入れよ!」
「ミーの意思みたいにいってんじゃあねぇ……! 疲れるんだよこの気狂いがっ!」

 ハラミの化身……もといこちらもプレイヤーであるフォークスは今まで肉の友であった真田を執拗に狙い続けている。
 それは真田に自称サーロインの化身をかばっている疑惑があるからだ。いや肉同士仲良くしろよ……とはいわれそうだが、実際人間なんかこしあんと粒あんで延々争うような生き物だから……

「おいしくイートしてさしあげますよ!」
「お前ちょっと前まで普通に喋ってたじゃん。なんで急にテコ入れのためのキャラ付けみたいな――」
「シャラップ!」
「木村ぁ!」

 つっこみを思わず入れてしまった真田の仲間がハラミになってしまった。
 後ついでのようにちょっと触られた真田の持っていた槍が槍型のハラミになってしまった。
 槍型のハラミとはなんだろうか。そういう疑問は湧いて仕方ないが、槍型のハラミは槍型のハラミである。多分槍としてはもう使えないと思われる。

「というかそれってもうただの人食いなのでは……? やべぇ、超カニバじゃんぶっちゃけどん引きする」
「ちがいますぅ、ビーフによくにたハラーミなんでスーパーセーフデース」
「いやハラミになってるのはわかるけど、死亡判定かかってない時点で――」
「それは禁断のアッポー!」
「木島ぁ!」
「いやアップルって……キャラ作りなら発言ももうちょい肉に寄せ――」
「木山ぁ!」

 正直な感想を真顔で述べた木島も木山も同じくハラミになってしまった。
 図星をつかれると人は怒る。必ずしもそうじゃないけど、誤魔化しにかかる人は多いよねという事である。
 肉にかえられるプレイヤー。
 そして、ハラミの化身であるフォークスのように全てを肉に変えて食べるプレイヤー。
 そんな争いはここだけではなく、割とそこらで行われていた。

 肉の大戦争である。
 肉と肉というダンジョン名にふさわしいといえるかもしれないようでそうでもない争いが、いつの間にか始まっていたのだ。
 ちなみに、プレイヤー同士でわちゃわちゃ勝手にやっているがこのダンジョンにも敵はいる。いるが動物っぽい慣れれば片手間にやれてしまう程度でしかないのだ。ちなみに肉を確定ドロップする。現在は単なる風景か哀れに巻き込まれる役と化している。
 他にもいるのだが、敵として認識されていない。
 それは泉にいる。
 その辺にぽつぽつ存在していて、その中に何かがいるっぽいのは探知でわかるのだが何も出てこないし攻撃等もしてこない。
 ただその泉に放り投げるように肉を渡すと特定部位と交換してくれるので交換所扱いを受けている。交換するまでもなく肉は嫌になるほどドロップするので一部のもの好きしか使わなくなったこともあり基本寂れている場所だ。もうそれどころじゃないともいう。
 しかし、原因はその住まうものにこそあった。



 肉が好きだった。
 鈴木六郎は13人兄妹の真ん中という大家族に生まれた。
 言っては悪いが、六郎にとって家とは居心地のよく満たされる場所であった試しがない場所である。

「……帰りたくねぇー」

 ぼそり呟く。
 所謂PTも組んでいない。仲間もいない。
 理由はといえばただ一つ。

「満足に食いたいだけ食えるってすげー……」

 隣にいる誰かとは、六郎にとって自らの分け前を減らす存在にすぎないからだ。
 もう少し歳をとるなりすれば、もしかすれば学ぶところがあったり、そういった人間関係でのイベントがあったりなどして考えも変わったかもしれない。が、高校2年という食べ盛りということも重なってか、不満の塊である。
 比べればいくらでも自らよりひどい環境があるとは知っているが、ほとんどの人間がそうであるようにそんなことは己の苦しみを前にして関係ないのだ。話を聞いて認識するだけで考え直せるような人間はそもそも不満を強くもったりしないし、人間が全部そうなら世界はもっと平和である。

 とにかく六郎は満腹になったことがない。
 好きなだけ、もういらないくらい食べたいものを食べた、という経験がない。余裕のない大家族とは言え、破たんせず生活できていることと子供の胃袋を考えれば、一度もないとはさすがに過剰表現かそれはどちらかというと記憶か満腹中枢がいかれているのではないかと思われる。が、六郎にその発想はなく、ただ食べることができていないという記憶がだけがそこにあるのだ。
 それが全てであった。

 六郎にとって、それは苦しみだった。
 六郎にとって、食とは食べ盛りであることを覗いても大きなウェイトを占めていたのだ。
 満腹になりたかった。
 満足したかったのだ。

(考え無しにガキつくるから、飯さえ満足に食えねぇ。病気してるガキを金かかるからって病院いかすの渋るくらいならガキなんてぽこぽこ作ってんじゃねぇよ。世間様はそれでも感謝しろっていうんだろうな、クソうぜぇ。いい思い出なんて一つもねぇし、そんなで愛情の芽生えなり家族の絆なりを抱くことを押し付けてんじゃねぇよゴミ共。そもそも――)

 延々と脳内では不満を垂れ流しながら、肉を食らう。
 次々放り込んでいるのは敵からもういらないというほどドロップする肉の中の1つ。
 塩コショウという簡単な味付けでも六郎にとっては十分なものだった。食べている肉が特に優れているわけではない。
 いや、ドロップ品の中にもポイントで手に入るでも上等なものはいくらでもあるのだ。あるのだが、それらが嫌いなわけでもないのだが、ただ好きな時に食べられるという事実が全てをごちそうにしていたのだ。

 はぁーと、大きく息をつく。
 それでもただうまい肉を食いたい気持ちも、もちろんある。
 せっかくだから――せっかくもくそも六郎は暇さえあれば肉を食っているが――もう1つと、今度はその手に入れた中でも牛型のモンスターからレアドロップした、部位はランプらしい巨大なステーキ肉でも食べようかと取り出した。

「でっけぇのはいいことだよな。いつみてもくっそうまそう……分けなくていいんだぜ、最高だろ」

 もうしばらくたって、クリア者もいくらでも出ているくらいの時間がたっているのだから肉も見慣れたものだ。
 そもそもが、もう肉など見たくないというプレイヤーがいるくらい肉が手に入るダンジョンなのだ。
 しかし、何度見ても六郎にとってそれらは宝石だった。

「何でどうして食おうかな……」

 思わず撫でるように手を動かしてしまう。
 にやり、と糸を引きそうな笑顔で笑う。品定めもまた楽しい時間だ。
 その手つきはどこか艶めかしくあり、それでいて上等な毛皮の質を楽しむがごとく――

「……っ!!??」

 その至福の時間に邪魔が入る。
 突然、その肉から煙が発生したのだ。
 そういった事態がこのアイテムから発生するといった情報はなかったはずだった。
 六郎はソロだが、ソロである危険性を理解していないわけではない。
 特にどういうことが起こるかわからないアイテムについては欲を抑えても安全性を確認する方を優先するくらいには。
 安全に、食べたいときに、好きなだけ。
 これが六郎のジャスティスだったのだ――この瞬間まで。
 だから、驚愕で固まることしかできなかった。

「……な。なにが?」

 しばらく煙が出続けていたが、その呟く声に反応するかのように肉の上にその煙が集合を始める。
 まるで竜巻がそこにあるかのように、ぐるぐると渦を巻いてその密度を増していったのだ。
 そして、それは姿を現した。

「……肉? ……え、肉?」
「こんにちは」
「え」
「こんにちは」
「こ、こんにちは?」

 挨拶を強制してくるそれは肉だった。
 大きく、サシも適度に入った、しかし大雑把……てきとうにそれっぽく人の形っぽく蠢く肉の塊だった。
 人よってはというか、大抵の人間にとって見慣れない大きさの肉塊なんて言うものはグロテスクであって不思議でない存在である。ましてやおおざっぱとはいえ人型である。このダンジョンでは見たことある動物を少しいじったような姿をしたモンスターしか見たことがなかったことも衝撃にプラスを加えている。
 肉とわかるその赤赤とした表面を晒した姿。
 それが動いている様は、まるで皮がはがれた状態で動く人を見ているようでそれがまた恐怖への拍車をかける。
 それがなぜか挨拶を強要してきたのだ。
 返事をできただけ上等である。
 親からいい教育を受けた……等という話でもなく、ただ単に上から話しかけられた時に返事をしないと理不尽な暴力にさらされたことがある経験からの反射のようなものだ。

「ランプのせいです」
「ランプの……」

 またべたな。
 ランプ違いでは。
 どうやって声を?
 お肉食べたい。元の肉どこいった?
 そういった発言をしないくらいには、六郎は空気が読めた。ぎすぎす大家族というものはそれでも協力プレーをしないと生きていけなかったのだ、このくらいの空気を読めねば話にならない。

「でてきたので、お願いをきくまで帰れません」
「お願い」

 そこはランプのせい準拠なのか。
 という言葉も口に出さずに済んだ。
 むしろ『お願い、帰って』と即座にいいたいところだが、まだ全てを聞いたわけではないのだとそれも飲み込む。
 どんなリスクが潜んでいるのかわからないのだから。

(俺の満足食事生活を邪魔されるわけにはいかないんだ。肉を食うんだ俺は)

 こんな時でも六郎の頭にあるのは食欲だった。
 元々の食欲への執着に食べ盛りの食欲旺盛さをプラスしてもこんなものを目の前にして考えられる胆力は大したものであるかもしれない。

「とはいえ、何を差し上げるのか決めるのはワタシなんですけど」
「願いを聞くとはいったい」
「ワタシのお願い、聞いてください」
「そんな馬鹿な」

 空気読んでも耐えきれなかったらしい。

「まぁそういわずに。物は言いようというでしょう。それに、ワタシがよべたということは、きっとお気に召すでしょう。間違いはありません。何せ、類まれなる食というものへの欲望がなければワタシをよぶことはできないのですカラ……」
「食というものへの欲望……」
「あと肉好き」
「何故肉だけ例外扱いみたいに……!」
「別腹、豚バラ、あげるの牛だから」
「うまい事は言ってないのにドヤ顔している雰囲気だけ伝わってくる……!」
「まずいといいますか? ワタシ、A5ランク級なのに?」
「そういうことじゃないです……」

 一度つっこみをいれると止まらないのも大人数で生活してきた故なところもあったりなかったりするかもしれない。一人でいる時間のほうが少なかったのだから。一人部屋とか幻想ファンタジーですよ、とは兄妹共通の言葉である。

「とにもかくにも……肉、お好きでしょう?」
「まぁ、はい」

 仕方なさげに頷く。
 ボケ続けられるよりはましであるとも言う。

「食べるという行為の中でも特にお好きだ、お肉が」
「そうですね……」

 肉が一番体に馴染むのだ。
 食っている、という感覚が六郎は好きだった。

「上等じゃない肉も嫌いじゃないけれど、上等なお肉もお好きだ」
「……はい……」
「食事は一人で食べたい方だ」
「なんかアンケートになってる……!?」

 会話すると疲れるタイプだとわかったのはいいが、攻撃するには躊躇う。
 気持ち的にはぶん殴って終わりにしたくはあるが、六郎はなんとかまだ自制に成功している。

「おいしいお肉を無限に食べることができます。食べるならおいしいほうがいい、違いますか?」
「……どういうことです?」
「――肉の信徒である貴方に、全てをランプ肉に変える手を差し上げましょう……そういっているのです」

 言ってないよな。肉の信徒? とやらになったつもりもないし。
 とは思いつつ、うまい肉を、無限に、という言葉にはどうしたって引かれてしまう。六郎は食欲でできている。
 しかし、それでも簡単には頷けない。

「……俺は、知ってる。学がねぇからって馬鹿にすんなよ。なんかあれだろ、触ったもん、全部金になるっつって失敗した話くれぇ、俺だって知ってんだ」
「違いますねぇ!」

 膨張しながら叫ぶ異形に思わずびくりと六郎は体を震わす。それは仕方ない。

「金は食べれない! 肉は食べれます! そして! 肉への欲望をコントロールすることでよりおいしいお肉をつくりつつも消費してオフにすることもできる機能付き! 水も飲めない能力とは違うんです!」
「でも、でもよ……」

 それでも躊躇う六郎に、いや躊躇わない理由がないのだが躊躇う六郎に、ランプのせいはにやりと笑った――気がした。雰囲気。肉塊は泣いたり笑ったりできないはずなのでそういう雰囲気をかもしだしたという事である。気持ち悪い。

「肉なんて、いくらでも手に入る……そう、思いましたね?」
「……実際そうだろ。ここにいりゃ、いくらでも……」

 言葉が崩れていることにさえ自覚なく、気圧されたかごくりとつばを飲み込む。

「――貴方は本当においしい肉を満足いくまで食らった喜びを知らないのです……貴方は肉に食わされているだけなのだ。そう、そんなあなたにこそ、この全てのランプ肉を掴む手が相応しい――」

 言いながら、肉隗は一塊の肉を取り出す……肉が肉隗って食欲わかないと思うが肉が好きだから問題ないのだ。
 その肉は、ひときわ輝いて見えた。

「もちろん、ここまでのモノを作るには条件があります。しかし、それはあなたにとっては大したことがないもののはずだ。食欲は全てに優先される。そうでしょう?」

 食べる前にうまいということがわかる肉。

「そう、ただあなたに近い種族だったり、関係であったり――マイナスでアレプラスでアレ大きく感情を抱くもの。つまりあなたに関わりの深いものこそ上質になりえる。それだけの話なのです。それだけの。それだけで、これがいくらでも手に入るのです……手に入れることができるのです! 様々な関りによって様々なランプ肉の質を楽しめますよ……そして貴方は肉を食べたいだけ。許されますよ、肉の為なら。人は良く言います、弱肉強食! 言い間違います、焼肉定食! それだけ肉が食べたい証明!」

 ここにきて六郎は色んな肉を食べてきたが、それでも見たことがない――特上の、さらにうえの何か。
 気付けば、それを奪うように手にして――口にしていた。

「う――――ま――――」
「いえ、馬じゃなくてどちらかといえば牛というものに近いはずですが。舌がおいかれになられておられる?」

 爆発。
 それはビッグバン。
 美味しいという津波。
 何もかも塗りつぶす旨味。
 知らない。
 こんなものは知らなかった――
 どうでもいい肉のせいの言葉など聞こえないほどに――
 そして、少し落ち着いたころ、改めて頭にリフレインする言葉。

 これを、腹いっぱい食べることができる?

 六郎は涎を垂らしながら、ぎょろりとその目を向けた。
 先ほどまでのためらいはもう、そこにはなかった。

「そう。その肉を作り出すことができる手を差し上げようというのです……さぁ、手を取って……」



 六郎のような接触が全てではない。
 色々な接触によって失敗も重ねつつ肉の化身は生まれ続けていた。
 ――しかし、それで終わりではなかった。
 始まったのだ。
 モモの化身、かたの化身、サーロインの化身等々……
 肉の主たる王を決めるためのようなそうでもないような肉で肉を洗う戦いが。ちなみに、肉で肉を洗っても綺麗になったりしないからやめよう。
 というか色々仲間とかマイナス感情増やしたりするより肉に執着しているもの同士で変えあったほうがおいしいと気付いただけである。でも全部そうじゃなくて思い出したように無関係のプレイヤーにもちょっかいは出されてもいる。碌なもんじゃない。

 数匹の肉の精霊によるただの悪戯による、しかし人にとってはシャレにならないノーマルというには難易度激上がりの狂気の宴がそこにはあった。

 ちなみに肉の精霊はものを肉に交換させる力を与えるという能力は強力だが、条件が重ならなければそれもできず、なにより本人自体に強制的に肉にする力等はない。
 そして、戦闘的な力は雑魚なので実際討伐するだけなら本来容易な遜材である。出てこないにも理由があるということだ。ちなみに洗脳みたいな便利能力もないし、喋りとか誘惑が特別うまいわけでもない。肉が好きってことだけはわかるので後はノリだけである。むしろなんで肉の化身達はそれで提案にのったの? といえるレベル。
 実際、肉を見るのが嫌になっている多くのプレイヤーにも、そうじゃなくてもちょっとというか、爪の先くらいの自制心さえあれば、あとはただただ倒される存在でしかない。
 そして、絡まれると難易度は一時的に上がっているが、それでもクリアするだけなら隙をついての肉の化身達や悪乗りする連中を避ければ容易なままでもある。いやまぁ、もらった力も接触しなければ意味ないし、あんな囁きに引っかかるやつらなんてその程度といえばその程度でしかない話で……



 なお、肉と肉というダンジョンは時がたつごとに大体それに気づいたものから嫌になって協力して活動することでガンガンクリアして減っていき、最終的に残るのは肉の化身達だけになっていく。
 それでも無関係に肉の化身たちは肉の宴をしているし、肉の精霊はそれを見てきゃっきゃと無邪気に喜んでいた。
 しかし最終的には肉の精霊たちは見つかって捕らえられ、『牛っぽい肉の部位ばっかりにしてんじゃねぇ』『別の部位だせるようにすれば解決じゃん』『他の動物の肉に変えれるようにしろ』という同じ肉なら交換したらいいじゃん、倍楽しめるじゃん、無敵じゃん、という境地に達した肉の化身たちから脅されて絞られる自業自得の結果が待っているのであった。
 肉の化身になったプレイヤーは、このまま食欲に踊らされ続ければ最終的に『自らに一番近く、一番関係があり、一番感情を抱いているのは自分自身』と言う事に気付き、このダンジョンが閉じるまで共食いを通り越して自己食いを繰り返すだけの生き物に至る未来が待っているが――それはそれで、ただ食べたい彼らの幸せの形の一つであるかもしれない。

 肉と肉は難易度ノーマルの、戦闘するところも慣れればなんら苦労も少ない、最初からソロでもいけてしまうダンジョンだ。
 誘惑も何もかも安っぽく、洗脳や強く回避し辛いデバフなどを強いてくる存在も罠もない。
 クリアするだけなら、大きくは苦労することなど少ないはずのダンジョンである。
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