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視廻り旅・4ヶ月目・
ミリエラ
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あと一時程で陽が沈む…仕立て上がった服を届けに出たミリエラは、初めて往く道で迷ってしまい、帰りが黄昏時になってしまった。
陽が沈む迄には帰り着く積もりだったので気が急く。
夕暮れには、往来から人は消える。
陽が沈み始めてから、外出する人などいない…それは自殺行為だからだ。
(早く! 早く! )
近道を走る。森の中だ…こっちの方が危ないのかも知れないが、時間が無いから仕方ない。
バサッバサッとゲルギが低く飛んでいるような羽ばたきの音がする。
どんどん暗くなっていく…近道でも裏道だから暗くなると道の判別が出来なくなる。
茂みの草株に足を取られながら走る…夕日が右手の山並みに隠れたり、半分だけ顕れたりしている…陽が沈み切ったら30歩も行かない内に、ピケールかゲゴールが目の前か真後ろに現れて襲って来るだろう…こんな所で死にたくない…私が死んだら…母さんは…弟も妹もいるのに。
左後ろでタタタッと誰かが走る音が聞こえた気がして振り返ろうとした時に、何かに躓いて転んだ…その瞬間に陽が沈む…直ぐに起き上がろうとしたのだが…
「! 立つな!! 寝てろ!! 」
叫び声が響き渡ったので、そのまま頭を抱えて草叢に伏せる…観てはいなかったのだが、私の真上と直ぐ近くで何かが4回ぶつかり合い…静かになった。
「…もう良いぞ…起きられるか? ケガしてるか? 」
呼び掛けられてノロノロと立ち上がり、声の主を観る。
自分と同じくらいの若さかもと思うが、それなりに逞しい。まずまずのイケメンだ。
「…躓いて転んだな? 足は大丈夫か? 」
そう訊きながら若者は、剣に付いた魔物の血を布で丁寧に拭い取る。
私が自分の足を観て頷くと、彼は剣を鞘に収めた。
そこで初めて周りを観て、両断されて散らばる魔物の死骸に仰天する。
「…陽が沈んで直ぐピケールとゲゴール2匹ずつに襲われるなんざ、この辺の奴ら、相当獲物に飢えてるな…だが暫くはこの死骸があるから奴らも襲っちゃ来ないが、早く離れた方が良い。俺はシエン…若く観えるだろうが、道騎士だ。歩けるか? 無闇に慌てる事もないが、俺が付いて守りながら家まで送ってやるよ…」
言いながら落とした包みを拾い上げて、娘に手渡す。
まだ口が利けないようだったが、先に立たせて娘を歩かせると、後ろに付いて歩き出す。気配を読む迄も無くまだ周りには16匹ほどがいる…一斉に来られるとヤバいが、先ずそこまでの知恵はない。
「…お前、名前は? 」
「…ミリエラ…」
「…ミリエラか…好い名前だな。なあ、ミリエラ…この近くに水浴びが出来る所があったら、向かってくれ。なんでかって言うと、お前の身体に付いた魔物の血と匂いを洗い落とさなきゃならない。俺が今ここで周りの魔物共を始末したとしても、お前の身体に付いた血の匂いを洗い落とさなかったら、いずれ奴らはお前の家を突き止めて襲って来るからだ…分かるか? 」
震えながらよろけながら歩いていたが、頷いた。
「…よし、じゃあ行こう…」
陽が沈む迄には帰り着く積もりだったので気が急く。
夕暮れには、往来から人は消える。
陽が沈み始めてから、外出する人などいない…それは自殺行為だからだ。
(早く! 早く! )
近道を走る。森の中だ…こっちの方が危ないのかも知れないが、時間が無いから仕方ない。
バサッバサッとゲルギが低く飛んでいるような羽ばたきの音がする。
どんどん暗くなっていく…近道でも裏道だから暗くなると道の判別が出来なくなる。
茂みの草株に足を取られながら走る…夕日が右手の山並みに隠れたり、半分だけ顕れたりしている…陽が沈み切ったら30歩も行かない内に、ピケールかゲゴールが目の前か真後ろに現れて襲って来るだろう…こんな所で死にたくない…私が死んだら…母さんは…弟も妹もいるのに。
左後ろでタタタッと誰かが走る音が聞こえた気がして振り返ろうとした時に、何かに躓いて転んだ…その瞬間に陽が沈む…直ぐに起き上がろうとしたのだが…
「! 立つな!! 寝てろ!! 」
叫び声が響き渡ったので、そのまま頭を抱えて草叢に伏せる…観てはいなかったのだが、私の真上と直ぐ近くで何かが4回ぶつかり合い…静かになった。
「…もう良いぞ…起きられるか? ケガしてるか? 」
呼び掛けられてノロノロと立ち上がり、声の主を観る。
自分と同じくらいの若さかもと思うが、それなりに逞しい。まずまずのイケメンだ。
「…躓いて転んだな? 足は大丈夫か? 」
そう訊きながら若者は、剣に付いた魔物の血を布で丁寧に拭い取る。
私が自分の足を観て頷くと、彼は剣を鞘に収めた。
そこで初めて周りを観て、両断されて散らばる魔物の死骸に仰天する。
「…陽が沈んで直ぐピケールとゲゴール2匹ずつに襲われるなんざ、この辺の奴ら、相当獲物に飢えてるな…だが暫くはこの死骸があるから奴らも襲っちゃ来ないが、早く離れた方が良い。俺はシエン…若く観えるだろうが、道騎士だ。歩けるか? 無闇に慌てる事もないが、俺が付いて守りながら家まで送ってやるよ…」
言いながら落とした包みを拾い上げて、娘に手渡す。
まだ口が利けないようだったが、先に立たせて娘を歩かせると、後ろに付いて歩き出す。気配を読む迄も無くまだ周りには16匹ほどがいる…一斉に来られるとヤバいが、先ずそこまでの知恵はない。
「…お前、名前は? 」
「…ミリエラ…」
「…ミリエラか…好い名前だな。なあ、ミリエラ…この近くに水浴びが出来る所があったら、向かってくれ。なんでかって言うと、お前の身体に付いた魔物の血と匂いを洗い落とさなきゃならない。俺が今ここで周りの魔物共を始末したとしても、お前の身体に付いた血の匂いを洗い落とさなかったら、いずれ奴らはお前の家を突き止めて襲って来るからだ…分かるか? 」
震えながらよろけながら歩いていたが、頷いた。
「…よし、じゃあ行こう…」
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