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17.連休の過ごし方
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サリー王女の生誕祭が終わり、お店の方もいつもの日常が戻ってきた。
「先日までの忙しさを乗り越えると、普段の業務に余裕が出来ますね」
「そうだね、生誕祭までは本当に大変だったから。師匠も言ってたけど、忙しく働いた分はちゃんと休みを取ってね」
「はい、実は来週少し纏まったお休みをいただくことになっています。もう私はちゃんと休める人間ですから」
得意げにそう言うと、レオは少し怪訝な顔をした。
「ソフィアも? 俺もその予定なんだけど、お店大丈夫かな……」
もしかしたらジョナスさんが予定を勘違いしているのかもしれない。
二人で急いでジョナスさんに聞きに行くと、ジョナスさんは事も無げに言った。
「あぁ、来週一週間は店自体を休みにしたんだ。私も出かける予定があってね。だから何も気にせずゆっくりしなさい」
つまりは来週一週間、三人とも休暇ということらしい。ジョナスさん曰く、生誕祭までが繁忙期でその後は少し閑散期なのだとか。休むには絶好の時期らしい。
(最初の予定より休みが長くなってしまったわ……うーん、何をしようかしら)
休みが増えてどうしたものかと思案していると、レオが声をかけてきた。
「ソフィアは連休中の予定は全部埋まってる? もし空いている日があれば、一緒に出掛けない?」
「お誘いありがとうございます。是非お願いしますわ。休暇が長くて持て余してしまうところでした」
レオの誘いがなければ退屈な連休になってしまうところだった。
「じゃあこの日とかどうかな」
「その日で大丈夫です。楽しみにしていますね」
「じゃあよろしく。俺も楽しみにしてるね」
レオと二人で出かけるのは、初めてお休みをもらって以来だ。あの時は楽しかったけれど、最後は気を使わせてしまったのだった。
(迷惑かけたわよね。せっかくだからあの時のお礼がしたいわ)
二人で出かける日までまだ時間がある。なにかお礼の品物でも用意しておこう。
(何なら喜んでくれるかしら? ジョナスさんに相談してみたほうが良いかも)
私よりジョナスさんの方が色々と好みを把握しているはずだ。そう思って聞いてみることにした。
レオと話し終えた後、こっそりジョナスさんのもとに戻って声をかけた。
「あの、以前レオと出かけた時にすごくお世話になったのでお礼がしたいのですが、何が良いか分からなくて……。何を贈ったら良いでしょうか」
「お礼かい? そうだな……レオはあまり好き嫌いがないから難しいな。この国では女性がお礼をする場合、刺繍入りの小物を贈ることが多いからソフィアもやってみたらどうだ?」
「刺繍って自分で入れるのですか?」
「もちろん。きっと喜んでくれるさ」
「……分かりました。ありがとうございます」
(刺繍……私が苦手なやつだわ。習わされたけれど全然上手く出来ないのよね。でも確かに感謝の気持ちを伝えるなら手作りの方が良いかも……)
他に良い案も思いつかなかったから、とりあえずやってみることにした。
「痛っ! なんでこうなっちゃうの……もうっ!」
夜寝る前やお昼休みに少しずつ刺繍を進めていたのだが、元々下手なうえに久しぶりの作業だったせいで全く上手く出来なかった。
白いハンカチに簡単そうな花の模様をつけるだけなのに、予想の何倍もの時間がかかってしまった。
(苦手だったことは覚えていたけど、こんなにも出来ないものなの?! 自分で自分に驚いてしまうわ)
「で、出来た……? やっぱり何か買った方が良かったかも」
出来上がったのは出かける日の前日だった。お世辞にも綺麗とは言い難いものだったが、他の物を買いに行く時間も残されていなかった。
(渡さない方がマシかしら……いやいや、気持ちが大事よね! 喜んでくれるだろうってジョナスさんも言ってたし……)
もはや渡すかどうかで悩んでしまう出来だった。
「先日までの忙しさを乗り越えると、普段の業務に余裕が出来ますね」
「そうだね、生誕祭までは本当に大変だったから。師匠も言ってたけど、忙しく働いた分はちゃんと休みを取ってね」
「はい、実は来週少し纏まったお休みをいただくことになっています。もう私はちゃんと休める人間ですから」
得意げにそう言うと、レオは少し怪訝な顔をした。
「ソフィアも? 俺もその予定なんだけど、お店大丈夫かな……」
もしかしたらジョナスさんが予定を勘違いしているのかもしれない。
二人で急いでジョナスさんに聞きに行くと、ジョナスさんは事も無げに言った。
「あぁ、来週一週間は店自体を休みにしたんだ。私も出かける予定があってね。だから何も気にせずゆっくりしなさい」
つまりは来週一週間、三人とも休暇ということらしい。ジョナスさん曰く、生誕祭までが繁忙期でその後は少し閑散期なのだとか。休むには絶好の時期らしい。
(最初の予定より休みが長くなってしまったわ……うーん、何をしようかしら)
休みが増えてどうしたものかと思案していると、レオが声をかけてきた。
「ソフィアは連休中の予定は全部埋まってる? もし空いている日があれば、一緒に出掛けない?」
「お誘いありがとうございます。是非お願いしますわ。休暇が長くて持て余してしまうところでした」
レオの誘いがなければ退屈な連休になってしまうところだった。
「じゃあこの日とかどうかな」
「その日で大丈夫です。楽しみにしていますね」
「じゃあよろしく。俺も楽しみにしてるね」
レオと二人で出かけるのは、初めてお休みをもらって以来だ。あの時は楽しかったけれど、最後は気を使わせてしまったのだった。
(迷惑かけたわよね。せっかくだからあの時のお礼がしたいわ)
二人で出かける日までまだ時間がある。なにかお礼の品物でも用意しておこう。
(何なら喜んでくれるかしら? ジョナスさんに相談してみたほうが良いかも)
私よりジョナスさんの方が色々と好みを把握しているはずだ。そう思って聞いてみることにした。
レオと話し終えた後、こっそりジョナスさんのもとに戻って声をかけた。
「あの、以前レオと出かけた時にすごくお世話になったのでお礼がしたいのですが、何が良いか分からなくて……。何を贈ったら良いでしょうか」
「お礼かい? そうだな……レオはあまり好き嫌いがないから難しいな。この国では女性がお礼をする場合、刺繍入りの小物を贈ることが多いからソフィアもやってみたらどうだ?」
「刺繍って自分で入れるのですか?」
「もちろん。きっと喜んでくれるさ」
「……分かりました。ありがとうございます」
(刺繍……私が苦手なやつだわ。習わされたけれど全然上手く出来ないのよね。でも確かに感謝の気持ちを伝えるなら手作りの方が良いかも……)
他に良い案も思いつかなかったから、とりあえずやってみることにした。
「痛っ! なんでこうなっちゃうの……もうっ!」
夜寝る前やお昼休みに少しずつ刺繍を進めていたのだが、元々下手なうえに久しぶりの作業だったせいで全く上手く出来なかった。
白いハンカチに簡単そうな花の模様をつけるだけなのに、予想の何倍もの時間がかかってしまった。
(苦手だったことは覚えていたけど、こんなにも出来ないものなの?! 自分で自分に驚いてしまうわ)
「で、出来た……? やっぱり何か買った方が良かったかも」
出来上がったのは出かける日の前日だった。お世辞にも綺麗とは言い難いものだったが、他の物を買いに行く時間も残されていなかった。
(渡さない方がマシかしら……いやいや、気持ちが大事よね! 喜んでくれるだろうってジョナスさんも言ってたし……)
もはや渡すかどうかで悩んでしまう出来だった。
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