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第二章
偶然の出会い
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「あの、大丈夫ですか? どこか怪我でも……」
先程の自分の姿が重なって、思わず声をかけてしまった。
「うぅ……」
うずくまっていた男性は、少しうめきながら胸のあたりを指さした。
(心臓……? それに顔色が少し黒くなっている。もしかして……!)
男性の首元を見ると、黒い蔦のような痣が首にまとわりつくように現れていた。王国で彼と同じ症状の人を見たことがある。かなり危険な状態だ。
慌てて男性の胸に手を当て治癒を施すと、顔色が徐々に戻ってきた。
(治癒の力を使うのは久しぶりね。自分には効果がないけれど、他人を癒せる力があって良かったわ)
しばらく手を当て続けていると、首の痣も消えていった。
「あぁ……助けてくれてありがとうございます。不思議な力をお持ちですね」
男性は話せるようになるまで回復したようだ。治癒の力をどう説明したら良いか悩んでいると、男性は何かを察したようだった。
「このことは誰にも言いませんよ。本当に助かりました。僕はクラウス・エルナンデスと申します。スカイテルーシ帝国に戻る途中だったのですが、持病の発作に襲われしまって……」
先ほど妖精たちから聞いた名前がいきなり出てきたので驚いた。
(この人がエルナンデス? なんて偶然なのかしら……!)
聞きたいことはたくさんあるが、まずはクラウスさんの体調が気になった。持病の発作と言っていたから慣れているのかもしれないけれど、念のためもう少し様子を見ておきたい。また倒れたら大変だ。
「私はリディア・クローバーです。私も帝国に向かう途中ですので、よろしければご一緒しませんか? まだ体調も心配ですし」
「ありがとうございます、是非。……もしかして、リディアさんは森を抜けてきたのですか? あの森は一人では危険ですよ? 妖精に惑わされてしまいますから」
妖精、という単語にドキリとした。帝国では普通の存在なのだろうか。それなら先ほどあった妖精たちについて、聞いてみても良いかもしれない。
「妖精さんにはお会いしましたよ。あの、実は、エルナンデスの一族によろしくと言われたのですが……お知り合いがいらっしゃるのですか?」
もう少し上手い聞き方があったように思う。こういう時、ルーファス様ならもっと上手く会話できるのだろう。そう思うと少し落ち込んだ。
「えっ、彼らに会われたのですか? やはり貴女は不思議な方ですね。他に彼らとどんな話を?」
クラウスさんはとても驚いた様子だったけれど、にこやかに答えてくれた。
「道案内をしていただきました。それで、帝国にはエルナンデスという半妖精の一族がいらっしゃると……」
「そうでしたか……半妖精の話まで。よっぽど気に入られたのですね。そうです、僕の一族は妖精と人間の混血なのです。どうです? 見た目では分からないでしょう?」
茶目っ気たっぷりにその場でクルクルと回るクラウスさんは、とても元気そうで安心した。
「妖精さんの話は本当だったのですね。あぁ、すみません。初対面なのに踏み入ったことを聞きましたよね。クラウスさんが話しやすいので、つい……」
「あはは、気にしないで。それと、クラウスで良いですよ。歳も近そうだ。僕もリディアって呼んで良いですか?」
「あ、はい」
クラウスは気の使い方が上手いようで、無遠慮に聞いたことに対しても嫌な顔一つしなかった。
「それでリディアは僕ら一族のことを知って、半妖精に興味が出たの?」
まあ珍しいからね、とつぶやくクラウスは、色々聞かれるのに慣れているようだった。
「興味というか……実はさっきの力ですが、妖精さん達からエルナンデス一族に似ていると言われたのです。それで気になってしまって……」
「力が似ている、か。そんなことが……だったら我が家に来ないかい? そういうことは父の方が詳しいから。さっきのお礼もしたいし」
「良いのですか? ありがとうございます!」
(なんて親切な方なんだろう! いくら助けたからって、こんな挙動不審な人物を家に招いてくれるなんて……)
こうして、クラウスとともに帝国へ入国し、家に招かれることになった。
先程の自分の姿が重なって、思わず声をかけてしまった。
「うぅ……」
うずくまっていた男性は、少しうめきながら胸のあたりを指さした。
(心臓……? それに顔色が少し黒くなっている。もしかして……!)
男性の首元を見ると、黒い蔦のような痣が首にまとわりつくように現れていた。王国で彼と同じ症状の人を見たことがある。かなり危険な状態だ。
慌てて男性の胸に手を当て治癒を施すと、顔色が徐々に戻ってきた。
(治癒の力を使うのは久しぶりね。自分には効果がないけれど、他人を癒せる力があって良かったわ)
しばらく手を当て続けていると、首の痣も消えていった。
「あぁ……助けてくれてありがとうございます。不思議な力をお持ちですね」
男性は話せるようになるまで回復したようだ。治癒の力をどう説明したら良いか悩んでいると、男性は何かを察したようだった。
「このことは誰にも言いませんよ。本当に助かりました。僕はクラウス・エルナンデスと申します。スカイテルーシ帝国に戻る途中だったのですが、持病の発作に襲われしまって……」
先ほど妖精たちから聞いた名前がいきなり出てきたので驚いた。
(この人がエルナンデス? なんて偶然なのかしら……!)
聞きたいことはたくさんあるが、まずはクラウスさんの体調が気になった。持病の発作と言っていたから慣れているのかもしれないけれど、念のためもう少し様子を見ておきたい。また倒れたら大変だ。
「私はリディア・クローバーです。私も帝国に向かう途中ですので、よろしければご一緒しませんか? まだ体調も心配ですし」
「ありがとうございます、是非。……もしかして、リディアさんは森を抜けてきたのですか? あの森は一人では危険ですよ? 妖精に惑わされてしまいますから」
妖精、という単語にドキリとした。帝国では普通の存在なのだろうか。それなら先ほどあった妖精たちについて、聞いてみても良いかもしれない。
「妖精さんにはお会いしましたよ。あの、実は、エルナンデスの一族によろしくと言われたのですが……お知り合いがいらっしゃるのですか?」
もう少し上手い聞き方があったように思う。こういう時、ルーファス様ならもっと上手く会話できるのだろう。そう思うと少し落ち込んだ。
「えっ、彼らに会われたのですか? やはり貴女は不思議な方ですね。他に彼らとどんな話を?」
クラウスさんはとても驚いた様子だったけれど、にこやかに答えてくれた。
「道案内をしていただきました。それで、帝国にはエルナンデスという半妖精の一族がいらっしゃると……」
「そうでしたか……半妖精の話まで。よっぽど気に入られたのですね。そうです、僕の一族は妖精と人間の混血なのです。どうです? 見た目では分からないでしょう?」
茶目っ気たっぷりにその場でクルクルと回るクラウスさんは、とても元気そうで安心した。
「妖精さんの話は本当だったのですね。あぁ、すみません。初対面なのに踏み入ったことを聞きましたよね。クラウスさんが話しやすいので、つい……」
「あはは、気にしないで。それと、クラウスで良いですよ。歳も近そうだ。僕もリディアって呼んで良いですか?」
「あ、はい」
クラウスは気の使い方が上手いようで、無遠慮に聞いたことに対しても嫌な顔一つしなかった。
「それでリディアは僕ら一族のことを知って、半妖精に興味が出たの?」
まあ珍しいからね、とつぶやくクラウスは、色々聞かれるのに慣れているようだった。
「興味というか……実はさっきの力ですが、妖精さん達からエルナンデス一族に似ていると言われたのです。それで気になってしまって……」
「力が似ている、か。そんなことが……だったら我が家に来ないかい? そういうことは父の方が詳しいから。さっきのお礼もしたいし」
「良いのですか? ありがとうございます!」
(なんて親切な方なんだろう! いくら助けたからって、こんな挙動不審な人物を家に招いてくれるなんて……)
こうして、クラウスとともに帝国へ入国し、家に招かれることになった。
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