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第三章

やるべきこと

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 まずは予定通り、ヘルマンさんに私の容姿を変えてもらった。髪色や顔立ちを変えて、すっかり別人になった。これでもう王国の人が見ても気がつかないだろう。
 私の希望で、少しだけエルナンデス家の三人と似た顔つきにしてもらった。一時的にでも、本当の家族になったように感じられると思ったから。

「まだ見慣れないけれど、本当にリディアちゃんが娘になった気分よ! いつものお顔も可愛いけれど、こっちの顔も素敵よ」

 クリスティーナさんにはとても好評だったが、クラウスは複雑な顔をしていた。

「リディア……とても似合うけれど、妹が出来たみたいで複雑だな。早く全てを解決して元の顔に戻そう。僕は元の顔の方が好きだよ」

 好きと言われて一瞬ドキッとしたが、どうやら自分に似ているのがよほど嫌なようだった。

(私は結構気に入っているのだけれど。でも、クラウスのためにも早く解決しないとね)




 とにかくもう一度森に行かなくては。呪いを解いてもらい、聖女の力についても色々知らなければならない。

「ヘルマンさん、呪いを解ける妖精さんは、どのような方ですか? 名前とか、特徴とか……」

「人間と会話できる種族なら大抵は呪いを解ける。ただ、対価を要求されるだろうから、穏便な性格の種族が良いのだが……。そういえば、リディアが最初に森で会った妖精はどんな妖精だったんだい?」

「パールとルチルという二人組の妖精でした。幼い感じでしたが、私のことを助けてくれたのです。息苦しくて倒れそうなところを、治癒してくれました」

 名前を出すと、ヘルマンさんは少し驚いたような顔をした。どうやら知り合いみたいだ。

「彼らだったのか! では話が早い。彼らなら解いてくれるだろう。あの二人なら無茶な要求も少ないだろうから適任だ」

 そう言えば、彼らは息苦しさを『治す』のではなく『解く』と言っていた。おそらく呪いだと気づいていたのだろう。完全に解くのではなく一時的だったのは、気まぐれかしら……。

「ではあの二人を探すことにします。クラウス、また一緒に行ってくれる?」

「あぁ、僕もあの二人なら会ったことがあるから一緒に探せるよ。……今度は絶対に守るから」

「今回は容姿を変えたから大丈夫ですよ。それより、妖精さんに惑わされないように助けてくださいね」
 
 この間は妖精さんのペースに巻き込まれて、危うく惑わされるところだったものね。今回はクラウスが一緒だから大丈夫だと思うけれど、念のためシャーロット様から貰ったお守りを持っていこう。
 
(妖精さんとの交渉、上手くいくかしら。パールもルチルも悪い妖精ではないけれど、一体対価って何を差し出せば良いのだろう?)
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