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第五章
シャーロット
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「シャーロット様、呪いはお返ししました。お身体に異変があるはずです。どうか呪術師の方に解いてもらってください。そうしないと……」
「あら、リディア様。相変わらずお優しいのね。さすがゴーシュラン王国の聖女様だわ。冤罪を仕組んだ私にまで慈悲をくださるなんて!」
「っ……」
最後に会った時とは全く別人のようなシャーロット様の言葉に、言葉を失ってしまった。覚悟してきたはずなのに、いざシャーロット様の本性を目の前にするとショックが大きかった。
何も言い返せない私に、シャーロット様は口元に笑みを浮かべながら言い放った。
「絶対に戻ってこないでとお願いしましたのに……。それがリディア様にとって一番良い選択でしたのに。呪いが返ってくることは分かっていました。リディア様は聖女ですもの。そのくらい出来るでしょう? でも……呪いを返したら、その後は平穏に暮らせば良かったのですよ。こんなところに戻って来たって、傷つくだけでしょう?」
「そんなこと出来ません。私は真実が知りたいのです。シャーロット様、なぜこんなことをしたのですか?」
口がカラカラになって上手く言葉が出てこなかったが、言いたい言葉を何とか絞り出した。
そんな私の様子をシャーロット様は面白そうに見ていた。
「なぜですって? そんなのリディア様もお兄様も目障りだったからよ。知ってる? お兄様はあなたの両親を殺して、あなたを監禁しようとしていたのよ? 将来の国王ともあろう人物が、そんな性格ってあり得ないでしょう? そんなお兄様の性格に気がつかない間抜けな聖女様を助けてあげたんだから、感謝してほしいくらいだわ!」
「私の両親を……?」
(どういうこと? 私の両親は事故で亡くなったのではないの?)
目の前の景色がぐらぐらと揺れて、まっすぐ立っていられない。足がふらついて倒れそうだったが、クラウスが私を支えてくれた。
その様子を見ていた国王が口を開いた。
「その件については私から説明しようと思っていた。リディア・クローバーよ、黙っていてすまなかった。ルーファスの暴走を止められなかったのは私の責任だ。ルーファスから守るためにそなたを聖女にしたのだ……」
次々と出てくる新たな真実に頭がどうにかなりそうだった。つまり、ルーファス様が私の両親を殺さなければ、今頃、田舎の令嬢として普通に暮らしていたわけだ。こんな王族達のよく分からない考えのせいで、人生が滅茶苦茶にならずに済んだはずなのだ。
ぼんやりと考え事をしていると、突然シャーロット様が笑い出した。
「あははは! ねえリディア様、分かったでしょう? この国には頭のおかしな人間しかいないわ。とくに王家の人間は最低ね。まあ、私も同類だけれどね。……こんな国、もう滅びた方が良いと思わない?」
そう言うと、シャーロット様は首元からネックレスを取り出した。宝石ではなく、小瓶のようなものがついている。その小瓶の蓋を開けると、さっと中の液体を飲み干してしまった。
制止しようとした時にはすでに遅かった。
「シャーロット様? シャーロット様!」
「シャーロット!」
シャーロット様は液体を飲んだ途端にその場に倒れこんでしまった。私や国王の声だけが謁見の間に響いていた。
「あら、リディア様。相変わらずお優しいのね。さすがゴーシュラン王国の聖女様だわ。冤罪を仕組んだ私にまで慈悲をくださるなんて!」
「っ……」
最後に会った時とは全く別人のようなシャーロット様の言葉に、言葉を失ってしまった。覚悟してきたはずなのに、いざシャーロット様の本性を目の前にするとショックが大きかった。
何も言い返せない私に、シャーロット様は口元に笑みを浮かべながら言い放った。
「絶対に戻ってこないでとお願いしましたのに……。それがリディア様にとって一番良い選択でしたのに。呪いが返ってくることは分かっていました。リディア様は聖女ですもの。そのくらい出来るでしょう? でも……呪いを返したら、その後は平穏に暮らせば良かったのですよ。こんなところに戻って来たって、傷つくだけでしょう?」
「そんなこと出来ません。私は真実が知りたいのです。シャーロット様、なぜこんなことをしたのですか?」
口がカラカラになって上手く言葉が出てこなかったが、言いたい言葉を何とか絞り出した。
そんな私の様子をシャーロット様は面白そうに見ていた。
「なぜですって? そんなのリディア様もお兄様も目障りだったからよ。知ってる? お兄様はあなたの両親を殺して、あなたを監禁しようとしていたのよ? 将来の国王ともあろう人物が、そんな性格ってあり得ないでしょう? そんなお兄様の性格に気がつかない間抜けな聖女様を助けてあげたんだから、感謝してほしいくらいだわ!」
「私の両親を……?」
(どういうこと? 私の両親は事故で亡くなったのではないの?)
目の前の景色がぐらぐらと揺れて、まっすぐ立っていられない。足がふらついて倒れそうだったが、クラウスが私を支えてくれた。
その様子を見ていた国王が口を開いた。
「その件については私から説明しようと思っていた。リディア・クローバーよ、黙っていてすまなかった。ルーファスの暴走を止められなかったのは私の責任だ。ルーファスから守るためにそなたを聖女にしたのだ……」
次々と出てくる新たな真実に頭がどうにかなりそうだった。つまり、ルーファス様が私の両親を殺さなければ、今頃、田舎の令嬢として普通に暮らしていたわけだ。こんな王族達のよく分からない考えのせいで、人生が滅茶苦茶にならずに済んだはずなのだ。
ぼんやりと考え事をしていると、突然シャーロット様が笑い出した。
「あははは! ねえリディア様、分かったでしょう? この国には頭のおかしな人間しかいないわ。とくに王家の人間は最低ね。まあ、私も同類だけれどね。……こんな国、もう滅びた方が良いと思わない?」
そう言うと、シャーロット様は首元からネックレスを取り出した。宝石ではなく、小瓶のようなものがついている。その小瓶の蓋を開けると、さっと中の液体を飲み干してしまった。
制止しようとした時にはすでに遅かった。
「シャーロット様? シャーロット様!」
「シャーロット!」
シャーロット様は液体を飲んだ途端にその場に倒れこんでしまった。私や国王の声だけが謁見の間に響いていた。
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