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目の前の三人はニーナのことを興味深そうに見た。
先ほど断ったのに、あっさり受け入れたからだろう。
「何でも申してみよ」
「では……瘴気発生源の探索に、私も入れてください」
「なるほど、そうきたか」
皇帝は実に面白そうな笑みを浮かべた。
「先ほど伺ったお話が気になりまして。もし聖女が瘴気を浄化していないのなら、今回の水質汚染の原因にも繋がるかと」
ニーナは新聖女の活動には興味はないが、この国に弊害があるなら解決したかった。
「それなら俺が指揮を執るから、一緒に来ると良い」
マーティスの朗らかな声がした。
彼の方を見ると、その後ろにいつの間にかヤンが控えていることに気がついた。
先ほどまでとは雰囲気がまるで違う。ヤン真剣な面持ちでマーティスに何かを耳打ちした。
マーティスは少し怪訝そうな顔をして頷いている。
けれど、ニーナと目が合うと柔らかな表情になり、パチっとウインクをした。
(マーティス様は、いつものマーティス様みたい)
「よろしくお願いいたします」
ニーナは微笑みながら深く頭を下げた。
それを見ていた皇帝は、玉座からゆったりと立ち上がる。
「さて、ニーナ・バイエルン、本日のことは他言無用だ」
「はい、承知しております」
「ではマーティスに瘴気探索を正式に命じよう。ルティシア情勢の観察も引き続き進めておくように。フェルディナンドは瘴気解消の策を考えよ」
「「仰せのままに」」
皇帝が退出すると、フェルディナンドが早足でニーナのところへやってきた。
「兄の使いが迎えに来たそうだね。来てくれてありがとう。それと……申し訳ない。突然のことで驚いただろう。話の流れでニーナを呼び出すことになって、僕は止められなかった」
フェルディナンドがものすごい勢いで頭を下げるので、ニーナは思わず笑い声をこぼした。
「フェルが謝ることは何もないわ! こんな機会でもないと、帝国のお城には入れないでしょう? それに皇帝陛下ともお話できたし、とても楽しかったわ。フェルとマーティス様のお父様って感じの人だったわね」
ニーナは笑いながら「今度はお母様にもお会いしたいわ。なんてね」と冗談を付け足した。
「ニーナには敵わないな……。話したくないこともあっただろうに、本当にありがとう。ルティシアのことを守ったのも立派だった」
ニーナは頭を下げ続けるフェルディナンドの手を、そっと取った。
「フェルの足手まといになりたくない。役に立ちたいと思っただけなの。だから、もう頭を上げて。一緒に帰りましょう! フェルが案内してくれないと、私はこのお城から出られないわ」
「……はははっ、そっか。じゃあ道案内は僕に任せて」
ようやく顔を上げたフェルディナンドは、スッキリとした顔で笑っていた。
「ニーナちゃーん、お疲れ様。見ていてとっても面白かったよー。三日後に使いの者を出すから、二人とも探索の用意をしておいてね」
帰り際、遠くにいるマーティスに声をかけられた。
「分かりました。よろしくお願いいたします」
ニーナが大声で返事をすると、マーティスはヤンとともに帰っていった。
「フェル、今日はいっぱい買い物してきたの。帰ったら美味しいご飯を作って、のんびりしましょうよ。浄水が上手くいったお祝いがしたいわ!」
「そうしようか。今日はご馳走にしよう」
二人は用意されていた場所に乗り込むと、ご飯のメニューについて熱心に話し合ったのだった。
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