【R18】駅近、格安、幽霊つき

ななふみてん

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 俺が住むこのマンションの一室は、典型的な事故物件だ。
 都内で駅近、1LDK、室内も設備もリフォームされたのか新品同様綺麗で日当たりもバツグン。
 だけれど値段が相場の半額以下。
 ひとり暮らしをするに当たって安くていい部屋がないか探していた俺はいちもにもなく飛びついて、即決した。
 不動産屋は丁寧に事故物件であることも、奇怪な現象が起こることも、今までの住人が半年と立たず引っ越してしまったことも教えてくれたが、好条件格安物件の魅力には勝てなかった。

 住み始めて数日。
 不動産屋が言っていた、『奇怪な現象』が起き始めた。

 照明やテレビが勝手に点いたり消えたりする。
 シンと静まりかえった真夜中に鳴るラップ音。
 突然蛇口から水が出る時もあれば、シャワー中にお湯を止められる。
 その他にも様々。

 最初こそ「まじもんの心霊現象じゃん……」なんてびびってた俺だったが、存外神経が図太かったようですぐに慣れた。
 だって明かり点けたり消したり水出したり音出したりする程度で甚大な被害無かったし……。

 そんなこんなで心霊現象ばんばんな日々は日常として馴染んでいった。

 ある日、二日ほど泊まりで出かけた時にその間風呂場のお湯を出しっぱなしにされた。
 いつからやられていたかは分からないが、水道代とガス代が大変になるだろうことが予想できて、流石に幽霊? にブチ切れた。

「おっまえ何してんだよこら! 次の請求やべぇことになるかもしれねーだろ! テレビ点けたり水ちょっと出したりラップ音出したり程度のいたずらは別にいいけどこれは許さんからな!! 請求額倍とかになったら恨むからな!! お前のおかげで安く住めてるけどそれはそれとして恨むからな!! あと流石に寝てる時のラップ音はうるさいから止めろ!!」

 そんな感じで文句をぶちぶちぶちぶちぶちぶち言いまくったせいか、それから悪質な悪戯が一切無くなった。
 むしろご機嫌取りでもするように、タイミングよく明かりが点いたり消えたり、お風呂を沸かしてくれたり、ひとり言に対する相槌みたいなラップ音が増えた。夜中は静かになった。

 俺は俺でおはようやただいまなんて挨拶とありがとうと感謝を言うようになったし、ひとり言じゃなく幽霊に話しかけるようになっていた。

 無意味だった明かりの点滅やラップ音が、俺への返事や労りに代わり、次第に何だか妙な絆みたいなものが芽生えた。
 今ではもうちょっと奇妙な同居人みたいな感覚だ。

 いつの頃だったか接触するようにもなった。
 何も見えないのに人に触られるその感覚に最初こそ流石に驚いたが、その頃にはすっかりこの同居人に気を許していたので嫌悪感や恐怖心は一切わかなかった。
 むしろ優しく労るように触れる温度のないその感触は俺の中でとても好ましいものになった。

 基本的に触られるのは俺が疲れている時。
 今日みたいにマッサージを施す時だ。
 それと。

「んっ……」

 さわ、と胸を触られた。
 リラックスしすぎて意識が飛びかけていたが、思わずぴくりと反応してしまう。

「……俺、眠たいんだけどぉ」

 ジト目で何もない空間を見るが、俺の言葉なんて知らないねーとでも言うようにやわやわと両胸を揉まれ続ける。
 胸のマッサージ。マッサージと言えばマッサージだ。これは、性的な方の。
 全体的に優しく揉みこまれたかと思えば、服の上からすりすりと胸の尖りを擦られぴくりぴくりと身体が跳ねる。
 はっ、ともれる息が熱い。
 いつの間にか寝間着のシャツがたくし上げられて胸まで丸出しになっていた。
 ぷっくりと勃ち上がり赤く色付いて期待している乳首が見える。
 それをきゅっとつままれて思わず「あっ」と声が出た。

 いやらしく胸を触る幽霊の手。
 疲れている時のマッサージ。
 それと。
 こうしてえっちなことをしてくる時、幽霊は俺にいっぱい触ってくれるのだ。


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