光が眩しすぎて!!

きゅうとす

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真実の世界

妹は

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僕はノベムの言葉を待った。

「君の妹ラスティアラはバルバルディア王国のウィンデア伯爵家の養子となっている。」

ウィンデア伯爵家と言ったらお母様の生家かも知れない貴族じゃないか。いったい何故。最初からラスの事が分かっていたのか?疑問が尽きない。

「引き取った最初の貴族はライアー子爵。自分の子供を亡くした事を隠す為に似た子供を探してた。
ラスティアラは茶色掛かった金髪に薄いグレイの眼で年恰好が同じ6歳だった。貴族の教育を受けて10歳で洗礼を受けるとカンデラ様の光魔法属性を与えられた。これで本当の娘で無いことがバレた。

なぜならライアー子爵の家系には光魔法属性持ちが居なかった。そして、教会が身元調査してウィンディア伯爵と分かり、引き取られた。」

ラスが持っていた小さなペンダントの濃い緑色の涙滴形をした母親の形見である命の魔石が決め手だったようだ。それはウィンディア伯爵家代々に伝わる家宝だった。ラスのお祖母様に当たるミズティアラが確認した。それ以前にラスティアラは母親のアカスティアが幼かった頃にそっくりだったのだ。

「今のラスティアラはバルバルディア王国の魔法学園に入った。光魔法を学んでいるらしい。」

そうか、ラスは学生なのか。僕には学が無いから羨ましいなぁ。

「ところでラスの事を何故ラスティアラと言うんです?」

僕の質問に逆にノベムが疑問を持ったらしい。

「本名だろ?」

「えっ?本名?」

「名前バレしないように愛称で呼んでいたのでは無いのか?」

「えっ?愛称?」

「全く、君は自分たちが置かれた状況を知らされて無かったのだな」

ノベムの呆れ具合は僕の立場を哀れむ優しさがあった。
「うん、今考えると本当に自分達の事をお父様お母様に教えて貰って無かった。」

「たぶん、二度と貴族に戻る事など無いとご両親は考えていたのだろう」



わたしラスティアラがお兄様のブルクノオウと別れて貴族の養子となったのは6歳の時だったの。
貴族の名前はバルバルディア王国のマシナ•ライアー子爵。ル・シェール神聖国のリムのウィードラドの街の孤児院から引き取られた時に同じ孤児院のラピザお姉さんと一緒だったの。ラピザお姉さんがいて心強かったの。

マシナお父様は到着してから何故わたしを引き取って養子にしたのか教えてくださったの。わたしと同い年の娘ライラが病気で亡くなってメクルお母様がとても落ち込んでしまわれたの。ライラが死んだことを受け入れられない程にね。

だからマシナお父様は同い年くらいの金髪でグレイの瞳の女の子を探したの。それで見つかったわたしをライラの代わりとしたかったみたいなの。だから、メクルお母様を元気づける時はライラとして接するように言われたの。

メクルお母様はわたしをライラと間違えて喜んでくれたの。でもわたしはライラじゃなくてラスティアラなの。胸に飾られた濃い緑色のペンダントがある限りブルクノオウお兄様の事も忘れないの。

わたしの仕事はメクルお母様を元気づけるだけで無くて子爵家の娘としてきちんとした教養を身につけることだったの。家庭教師が何人も付けられて貴族としての考えや仕草や嗜みなども覚えさせられたの。
一緒に孤児院から来たラピザお姉さんはあたし付きのメイドとして仕込まれたらしいの。ラピザお姉さんと2人だけの時は口調も関係もお嬢様とメイドじゃなくなっていたの。

ラピザお姉さんは言っていたの。わたしのお陰であの孤児院を出られたって。あそこにいたらきっともっと酷いところに売られていただろうって言ったの。その言葉にわたしはブルクノオウお兄様の事が心配になったけどお兄様を信じる事にしたの。だっていつもブルクノオウお兄様は言ってたの。

「自分を信じて努力すれば必ず道は開ける」ってなの。

ブルクノオウお兄様は孤児院で10歳まではどんな事があっても我慢するって言ってたの。10歳になれば洗礼を受けるから、そうしたら魔法属性が決まり、うまくすればウェンバの恵みを得られるかもって言ってたの。
お父様が凄い冒険者だってブルクノオウお兄様は言ってたからきっとブルクノオウお兄様も凄い魔法が使える様になるの。だから、大丈夫。

だってわたしを守る為にブルクノオウお兄様は大変だった事をわたしは忘れないの。食事を奪われる意地悪をされてもわたしの分だけは守って与えてくれたの。自分のおなかが鳴って居ても笑って食べ物をわたしにくれたの。とっても優しいお兄様だもの。

だからわたしは貴族の養子に行くと決めたの。これ以上ブルクノオウお兄様の足手まといでいたらブルクノオウお兄様が死んじゃうって思ったの。ただでさえ、両足が不自由で他人の倍も努力されるブルクノオウお兄様でも無理なの。

今更ながらに思うのはブルクノオウお兄様の不思議さなの。あれだけの不自由さを持って生まれているのに少しもそれを恥じていなかったの。いつも明るかったの。
時折深く考えられて居て、眠った様になられる事もあったけど自分の事よりもわたしの事やお母様の事を心配してくれていたの。

お父様もお母様も生きていた時は本当に楽しいことばかりだったの。ブルクノオウお兄様は帰って来られたお父様にいつも冒険の事を聞かれて目を輝かせていたの。それはそれは楽しそうに聞いていたの。お父様がいない時にはお父様から買って頂いた本を大事に読んでいたの。
わたしにも何度も読んでくれたの。ブルクノオウお兄様の読み方はとっても分かりやすくて、その場にいるかのように思えたの。同じ話のはず無のに違う景色が見える程だったの。

そのお父様が亡くなったって聞いた時にやって来た冒険者の人はとても怖くてわたしはお母様の陰に隠れたの。そんなわたしの様子にブルクノオウお兄様は不思議がったけど、理由なんて分からなかったの。
まだ、小さかったからかしら。お母様はお父様が亡くなった事を信じなかったの。絶対帰ってくるからって言っていたの。わたしもブルクノオウお兄様もお母様に抱きついて泣いたわ。だってお母様も泣いていたから悲しくなってしまったの。

その後、何故かお母様までわたしの様に臥せってしまったからブルクノオウお兄様は大変だったと思うの。だって歩くのも不自由な足で外に出て食べ物を買って来なくてはならなかったからなの。それにお母様の代わりに料理もしてくれたの。ブルクノオウお兄様の姿を見て意地悪をして来る人も居れば優しく助けてくれる人もいたの。

お父様の残してくれた遺産を食い潰す事になってしまったけどわたしとお母様の病気を診て貰うためにお医者様を呼んでくれて居たけど時が過ぎて少しづつ来られなくたったの。その頃のわたしには分からなかったけどきっとお金が無かったの。

お母様が亡くなった時はとても良く覚えて居るの。寒いから一緒に寝ましょうねって言って下さって寝たの。でも朝になったらお母様は冷たくなっていたの。まるで氷のように冷たかったの。

ブルクノオウお兄様はとっても悲しそうな顔をしていたの。わたしはお母様が亡くなった事が分からなくてお母様に抱きついては泣いたの。体が冷えちゃうからってブルクノオウお兄様がわたしを抱きしめてくれたの。

その日にまた、あの男が現れたの。とっても怖い男なの。男はブルクノオウお兄様と何かを話していて、お母様を男が連れて行っちゃったの。わたしは追いかけようとしたけどブルクノオウお兄様が抱き止めて行かせてくれなかったの。わたしはずっと泣いていたの。
ブルクノオウお兄様がお母様は死んだと言って居たけどわたしは信じて無かったの。だってお父様が死んだと聞かされた時もお母様は信じなかったの。だからわたしも信じないの。

結局泣き疲れて眠るまでブルクノオウお兄様が抱いていてくれたの。お母様の居ない家に数日暮らした後にブルクノオウお兄様とわたしは孤児院に引き取られたの。
身体が弱いわたしも足に障害のあるお兄様も孤児院では冷たくされたの。わたしが他の孤児の女の子に何か意地悪されると直ぐにお兄様が飛んてきて守ってくれたの。それはそれは早かったの。

遊んでくれる友達なんかいなくて唯一世話を焼いてくれたのがラピザお姉さんたったの。ラピザお姉さんはスラム街育ちで行く所が無くて孤児院に来た人なの。スラムではスリとか物取りしてたらしくて人を見る眼はあるって言ってたの。それでわたしに取り入る事にして、ブルクノオウお兄様にも優しくしてたみたいなの。とってもぶっちゃける人なの。

だからわたしがライアー子爵家に養子に行った時も一緒に行ける事になって喜んで居たけどわたしも同じだったの。知り合いがラピザお姉さんなら安心だと思ったの。
ブルクノオウお兄様と別れる時はとっても不安で寂しかったけど別れる前日にブルクノオウお兄様がこっそり会いに来てくれたの。

その時にブルクノオウお兄様からお母様の形見と言う深い緑色のペンダントを受け取ったの。ブルクノオウお兄様はわたしを護ってくれるって言ってたの。養子に行くことが決まってからの孤児院での扱いがとっても良くなったの。

わたしの面倒をみるのをラピザお姉さんになったのも嬉しかったの。ライアー子爵家での生活は楽しくは無かったけど孤児院よりも凄くましだったの。1日毎ぐらいにメクルお母様に会いに行く時以外は貴族のお勉強ばかりで街に行く機会は無かったの。でも、小さいながらお庭があったからお庭でのんびりする事も出来たの。いつもラピザお姉さんがついてくれて居たから安心出来たの。

家庭教師の女先生も老婦だったから怖くなかったの。当主のマシナ様は十分な生活を保障してくれたし、孤児院の院長先生みたいに怖い人じゃ無かったの。ひと月に一度くらい様子を見に来るくらいで煩い事は言われなかったし、わたしが来てからメクルお母様の容態が次第に良くなったの。だから、とても幸せな時間だったの。
もちろん、ブルクノオウお兄様の事を片時も忘れた事は無かったの。ペンダントを握りしめて想いを馳せているのをラピザお姉さんも温かく見守ってくれてたの。

1年を過ぎた頃にはメクルお母様もベッドから降りて食堂で一緒に食事も出来る様になっていたの。その頃にはメクルお母様もわたしが亡くなった娘のライラとは違う事も分かってきたの。
でも、わたしを娘として認めてくれたみたいなの。わたしを膝の上に座らせてご本を読んでくださったり、お話を聞かせて下さったの。とても優しい方でお母様を亡くしたわたしにとって2人目のお母様と思えたの。とても良くして下さったの。

でも、わたしが10歳になって教会で洗礼を受けた際にカンデラ様の光魔法属性を与えられたの。メクルお母様もマシナお父様も違う属性だったから教会に不審がられたの。最初は認めなかったけど最後にはわたしが他の国から連れて来られた養子だとバレたの。
教会から違法性を追及されてしまったの。何でも国の決まりで他国から養子を取るのはいけない事だったみたいなの。マシナお父様はそれを承知でわたしを養子にしたみたいなの。

いろいろと揉めてわたしは教会で身元が分かるまで預けられる事になったの。教会のシスターの見習いみたいな事をして過ごすうちに光属性魔法がどんどん強くなったみたいなの。明かりを灯すくらいの魔法が人を癒やす魔法まで使えるようになったの。擦り傷や小さなケガなら治せる様になったの。

だから教会では治療院で見習いの様な事をして過ごしたの。元々光属性の魔法が使える人はそこそこいるけど弱い力しか無くて暗い部屋を明るくしたりとか明かり代わりが多いそうなの。

だから、治療まで使えるのは珍しいみたいなの。

だから、教会で暇を持て余すと言う事は無かったの。

今までは孤児院の子供でも交流が無かったけど治療を教会に望んで来る人達と交流が出来たの。中には同い年くらいの子供達がいたから沢山お話が出来て楽しかったの。最初は恥ずかしくてなかなか話せなかったけど慣れてくれば問題なかったの。
孤児院の子供達は生きるのに必死だったけど市井の子供達は貴族のように綺麗な服も食事も満足出来ない筈なのにみんな明るかったの。

その中にラニアって女の子がいたの。年は聞いたけど分からないって言っていたの。メイドになったラピザお姉さんみたいなスラムの子供だったの。たぶんわたしよりひとつくらい下だと思ったの。妹が出来たみたいでとても嬉しかったの。怪我を直して貰いたくて教会に来て知り合ったの。一応善意で寄付をしなくちゃいけないんだけどラニアは乱暴な男の人に蹴られたせいで両足を擦りむいていたの。それで食事を我慢して銅貨を寄付して直して貰おうとしてたの。

シスターが難しい顔をしていたのでわたしが不足しているなら出すと言ったら許してくれたの。お金が欲しいのは教会も同じなのね。それから時折顔を見せるようになったの。治療して貰いたいからじゃなくてわたしとお友達になりたかったみたいなの。教会から基本的には外にでられなかったから市井の話をラニアちゃんから聞けるのは楽しかったの。

街には色んなお店があって色んな人が居るの。商売のために笑顔を振りまく人でも家族には冷たい人がいたり、お金にがめつくて言い争いばかりする人や身銭を切ってでも人の役に立とうとする人がいるのを教えて貰ったの。

ラニアちゃんはそう言う人の見えない部分を聞いて来たり隠れて見たりする事が出来るらしかったの。他の人とは違った力があるみたいだったの。だから、最初のうちはシスターに追い返されていたのにいつの間にか教会に忍び込んでいたりするの。
何時だったか夜中にわたしの部屋に現れた事もあったの。とってもびっくりしちゃったけどお話がしたかっただけなの。もちろんシスターには秘密でわたしが貰って隠していたお菓子を一緒に食べ物をたの。そうして一緒にお話しているうちに寝ちゃったら朝には居なかったの。

スラム育ちなのに教会の何かを盗んだりする悪さは全然しなかったの。食べ物をわたしに強請る事も無かったの。どうやってかは知らなかったけどちゃんと食べていたみたいなの。

でも、そんな楽しい日々は直ぐに終わってしまったの。わたしの素性が分かって迎えが来たの。迎えに来たのは髭を蓄えた執事さんだったの。何処の誰なのかは一切言わないでわたしをジロジロと見たの。とっても嫌な感じだったの。

迎えの馬車はライアー子爵家の馬車よりもずっと立派な造りで丈夫そうだったの。だって黒塗りなのに金色の縁取りと朝日を彩った様な家紋が施されていたの。執事の男の人と相向かいで座ったけど動き出すまで何も話してくれなかったの。
馬車のドアが堅く閉まって走り出してから向かうのはウィンデア伯爵家だと教えられたの。わたしのお母様はウィンデア伯爵家の駆け落ちした娘アカスティア•メナス•ロンバルディアだと教えられたの。元ウィンデア伯爵令嬢だったお母様はお父様ナメシュース•フルア•ロンバルディアの元ロンバルディア男爵令息と結ばれる為に家を出たのだと言われたの。

執事の男の人は詳しい事は教えてくれなかったけどこれから会う人の事を教えてくれたの。わたしのお祖母様に当たるウィンディア伯爵家当主ミズティアラ•ウィンディア様だと少し憧憬あこがれの入った瞳で言ったの。
この執事さんの名前は知らないけどお祖母様とどんな関係なのか興味深いの。名乗らないなんてとっても失礼なの。でもまだ、わたしが本当に孫なのかはっきりしないからかもなの。



しばらく馬車に揺られて到着した場所はバルバルディア王都のほぼ中心と言って良い貴族街の一角の大邸宅だったの。白くて綺麗なレンガ壁で覆われた場所はとっても大きかったの。ライアー子爵家の家がとても小さく感じられたの。

大きな門が開けられてその中に入るととっても立派なバラ園が広がっていたの。バラ園を巡る様に馬車は入って行って白くて大きな入り口の近くに停まったの。

わたしが執事の男の人に促されて馬車から降りると目の前の両側のドアが開かれて、中に5人づつのメイドが並んで立っていたの。わたしを迎えてくれてるのかしらと思ったら中から老婦人が近付いて来て、メイド達がお辞儀をしたわ。あら、この人を迎えていたのね。

その老婦人はわたしを見て目を見開いたわ。そして言ったの。「ああ、アカスティア」って。でも、わたしはお母様じゃないの。
その人はさっと近づくと驚いていたわたしを強く抱きしめてくれたの。身体が震えて泣いているのが分かったの。小声でお母様の名前を呼んでいるのが分かったの。わたしはしばらくそのままで立っていたの。嗚咽が止んで静かな声が聞こえたの。

「間違いないわ。貴方はアカスティアの子供だわ、良く顔を見せて頂戴」

わたしの肩を押してまじまじと顔を見たの。あまりに見るから照れてしまったの。お祖母様は言ったの。

「貴方のお母様の遺品を持って居ると聞いたわ。見せて頂ける?」

わたしはブルクノオウお兄様から受け取った涙滴型の深緑色のペンダントを胸元から取り出して掌に乗せたの。お祖母様はそれを眼でじっと見て言ったの。

「間違いないわ。これは命の魔石と言うのよ。ウィンディア伯爵家代々に伝わる家宝なのは間違いないわ。わたしがアカスティアにあげたのよ、あの日に」

とっても寂しいそうな目をしてお祖母様はわたしに言ったの。そしてわたしから手を離して立ち上り見下ろしてカーテシーをして言ったの。

「わたくしがウィンディア伯爵現当主ミズティアラよ。ようこそ、わたくしの愛しい孫ラスティアラ」

それからわたしはミズティアラお祖母様に連れられて屋敷の中に入ったの。

ミズティアラお祖母様は知りたがったわ、わたしのアカスティアお母様の事を。お茶をしながら話したの。わたしが覚えて居る限りの事を。
そして、ブルクノオウお兄様がきっとル・シェール神聖国のリムであるウィードラドで冒険者をしている筈の事を話したの。わたしを見つけてくれた様にブルクノオウお兄様も連れて来てくれる様にお願いしたの。

ミズティアラお祖母様は「もちろん、探して連れてくるわ」と約束してくれたの。
でも、わたしは知らなかったの。あのル・シェール神聖国から人を連れて来る事はとても難しいの。入るには難しく出るには簡単と言われていたル・シェール神聖国は一般の人に限っていたの。冒険者になって重要な力を持ち始めていたブルクノオウお兄様は例外だったの。

わたしが正式にラスティアラ•ウィンディア伯爵家令嬢と認められて子爵令嬢でなく伯爵令嬢としての知識と振る舞いを身に着け始めたの。
貴族って身分に依ってまた知らなくてはならない事が違うの。高位貴族としての考え方や振る舞いは他の貴族達を従えて指導する事を前提に過ごさなくてはならないらしかったの。その中でウィンディア伯爵家の家族構成もバルバルディア王国の王族•貴族名も学び直す事になったの。

まず聞かされたのはウィンディア伯爵家の成り立ちからだったの。上位貴族であり、バルバルディア王国建国時から力を持ち様々な形で国を支えて来た貴族だと教えられたの。古くは宰相や内相を経験した祖先や外務補佐等や経理主幹だったみたいなの。

今のウィンディア伯爵家はミズティアラお祖母様の主人であったハスティお祖父様は王国騎士団長だったみたいなの。でも、随分と前に落馬事故で亡くなっているらしいの。当主は女性がなるのが習わしらしくてミズティアラお祖母様の後を本当はアカスティアお母様がなる予定だったの。だからお母様の兄弟ふたりは外に出てしまっていたの。

長男のカズサノキミ•トロン•ジェロキュア様は現ジェロキュア侯爵なの。年は40歳で奥様の名前はソアラルルンで39歳なの。子供達、わたしの従兄弟に当たるのは長男アマギストロ20歳、長女サロメリスト18歳、次女ダイヤモンティ16歳だったの。
次男のバラムノシュ•ヤラセ•グロンギィ様は現グロンギィ伯爵なの。年は38歳で妻のシュールデスルは同い年なの。子供達、従兄弟には長男タノムカラサ17歳、次男クルムツモリ14歳、長女ソソルソノキ10歳なの。

名前と歳は重要なのでしっかりと覚える様に言われたの。ライアー子爵の養子の時にしっかりと勉強したから忘れない様にメモも取ったの。覚えるのを難しくしているのはみんなの名前を愛称で呼ばなくちゃいけない事なの。相手が許さない限りはその階位で呼ぶの。

例えばミズティアラお祖母様ならウィンディア伯爵家ご当主様なの。愛称で呼ぶのを許されたらミズ様とかミズお祖母様って呼ぶの。ミズティアラお祖母様は名前で呼ばれる事よりもふたりでいる時はお祖母様って言われる方が嬉しいらしいの。
それから主家から離れて結婚するとミドルネームを付けるのが慣らしらしいの。それで、お母様の名前はアカスティア•メナス•ウィンディアだからメナスがミドルネームなの。それて愛称はアカスなの。お父様が愛情を込めて呼んでいた名前なの。

わたしもライアー子爵の養子になるまで自分の名前やブルクお兄様の正式な名前は知らなかったの。何故分かったのかと言われると10歳の洗礼で分かったの。神様の前では本当の名前が分かっちゃうらしいの。結婚も神様の前でするからミドルネームもつけられるらしいの。でも普段は許された愛称で呼ぶのが正しいらしいの。
だからミズお祖母様はわたしの事をラスって呼んでくれるの。とっても嬉しいの。

そんなお勉強をしている内にウィンディア伯爵の親戚が呼ばれてわたしのお披露目が行われたの。全く知らなかった親戚が集まったので凄く緊張しちゃったの。伯爵家のダンスホールに集まった人達の前でミズお祖母様に連れられて着飾ったわたしは挨拶をしなくちゃいけなかったの。

「良くみんな集まってくれたわね。もう連絡済みだけど改めて紹介するわ、此処にいるラスティアラ•ウィンディアがウィンディア伯爵家の次代当主と決まったわ。」

みんなに挨拶した後に小声でわたしに挨拶するようにミズお祖母様が促したの。前もって言うべき事は覚えさせられて居たからわたしはそれを言ったの。

「た、ただいま紹介されたラスティアラにございます。まだまだ未熟ではございますが当主の務めを果たせるよう最善に努力致しますので皆様これからよろしくお願いします。」

出だしを少し躓いたけれど何とか言い終えられてホッとしたの。でもそんなわたしの気持ちを挫けさせる様な大声が響いたの。

「そんなの!認められないわ!当主になるのはわたくしだわ!!!!」

ざわざわと集まった親族が騒いだの。その中から小柄な女の子が歩み出て来たの。誰かが言ったの。

「サロメ!」

薄青髪に灰色の眼をした彼女は教えられた年齢以上に大人びて見えたの。サロメリストは確かカズサノキミ•トロン•ジェロキュア侯爵の長女で18歳なの。

「お祖母様!わたくしは3年も前から当主教育を受けてますのよ。なのに何故!そんな何処の誰と分からない娘を当主にするなんて!!」

ミズお祖母様は前もって書面で各親族に詳しく連絡している筈なのでわたしがアカスティアお母様の子供と分かっているの。

「サロメ!駄目よ。ご当主様に逆らっちゃ」
 
たぶん、母親のソアラルルンさんなの。確か歳は39だったかしら。外見はとっても若く見えたの。

「でも、お母様!わたくしは納得出来ません!」

たぶんもう直ぐ受け継ぐ予定でいたのかも知れないの。そこにわたしが割り込んじゃったから怒っているの。サロメリデアさんとソアラルルンさんが言い争っているのをミズお祖母様は黙って聞いていたの。

「そう、サロメは不満なのね。ならこの後別室でお話しましょうか。だから、お披露目パーティはこのまま続けるわ」

ミズお祖母様からの言葉にサロメリデアさんは悔しそうにわたしを睨んで俯いたの。ミズお祖母様の指示で楽曲が鳴らされてぎこちなくお披露目パーティが始まったの。

わたしはミズお祖母様の隣でそれぞれの親戚の挨拶を受けて頭を下げまくっていたの。
最初に来たのは長男のカズサノキミ•トロン•ジェロキュア様は現ジェロキュア侯爵なの。年は40歳の筈だけど少し白髪の入った金髪を後ろに流してとても壮健な叔父様と言った感じだったの。隣でニコニコしているソアラルルン奥様も39歳とは見えない程綺麗なお化粧をしていたの。
その後ろに控えていた従兄弟に当たる長男アマギストロは20歳で余り関心なさそうだったの。
でも長女のサロメリデアさんは1わたしを睨むのを止めなかったの。とても怖かったの。18歳と言う女盛りでこれでもかって言うほど身体を露出させた衣装を着ていたの。でもとっても似合っていたの。
次女のダイヤモンティさんはサロメリデアさんの後ろに隠れる様に控えめな服装で立っていたの。確か16歳だったの。大人しい方なのかしらなの。

次男のバラムノシュ•ヤラセ•グロンギィ様は現グロンギィ伯爵なの。年は38歳で妻のシュールデスルさんとは同い年で恋愛結婚だって聞いたの。素敵なスーツを着こなしていたの。
順番に挨拶して来た従兄弟は長男タノムカラサ17歳、次男クルムツモリ14歳、長女ソソルソノキ10歳なの。男の子達はジロジロとわたしを見てきたけど怖い感じはしなかったの。わたしより年下のソソルちゃんはツインテールで可愛いらしかったの。仲良く成れると良いの。

他にもわたしの知らない遠縁の方達が挨拶に来てくれてたの。他にも有力な貴族の方達ね。みんなわたしを褒めそやしてくれてるけどお腹の内は何を考えているのか分からないの。
ブルクお兄様は貴族なんて自分勝手な存在なんだって言ってたけどわたしには良く分からないの。

これからわたしはバルバルディア王国の貴族が通う学校と言うところに通う事になるらしいの。そこでもっと沢山の事を学ばなくちゃいけないらしいの。
良くは分からないけどブルクお兄様に再会出来るまでにわたしはミズお祖母様の言う事を聞くしか無いの。









    
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