光が眩しすぎて!!

きゅうとす

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真実の世界

僕は

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冒険者としての僕もC級パーティ『草原の風』として名前が売れて来ていた。『イザリ』から冒険者の英雄として顔を知られて来たのだ。
尤もブルクと言う名前では無くて英雄とばかり言われるんだけどね。

仲間のエレやザインのお陰でCランクの魔物も安定して狩る事が出来る。連携もスムーズで滅多な事では怪我もしない。大剣使いのザインと2刀魔剣使いの僕にバフデバッカーのエレだから攻撃力特化のパーティだ。

だから怪我をすると回復するにはポーションしか無いから自ずと慎重な狩りになっている。そのためにイレギュラーな出来事には怪我が多いのだ。
出来れば回復の出来る僧侶か治療師が仲間に欲しいところだった。

元々回復の出来る冒険者は少ない上に引くて数多だ。僕たちみたいなパーティでは仲間にする事も覚束ない。それでも回復の為のポーションをエレが用意してくれているから市販されている高いポーションを買わずに費用も半分以下で済んているのだ。
だから回復要員が欲しいと思うのは贅沢な話なのだった。

それに回復要員がいても負担にしかならない場合もある。

僧侶や治療師は自衛が出来ない程弱い者が多い。だから専門の護衛が必要になる事もある。
それから回復には魔力を多く必要とするのでそんなに数多く回復も出来ないらしい。魔力の尽きた僧侶や治療師はパーティの重荷でしか無くなるのだ。

パーティの攻撃力に寄与出来て自衛出来る回復要員とか、魔物の攻撃を躱しまくる回復要員とか、魔力の尽きない回復要員なんて都合の良い冒険者なんている筈も無いのだ。

そんな事で格上のBランクの魔物ばかりを狙って依頼を探していたところグランドドラゴン討伐の依頼で他のパーティとのバッティングが起きた。
依頼の場合大抵は1パーティで請け負うものだが偶に複数パーティの依頼もあるのでこんな事もある。

そのパーティは大規模クラン『オネスティ』に所属する6人パーティ『灼熱』だった。かなり乱暴なパーティとして有名で冒険者ギルド職員にも好かれて居なかった。
パーティリーダーは灼腕のバルガスと言った巨漢だった。体格の良いザインよりも頭ひとつ大きい。熱魔法の使い手で耐熱仕様の大剣に熱を纏わせて魔物を狩るらしい。余りの熱量に利き腕が真っ赤に焼けてしまっている事から灼碗と言う二つ名を持っている。

リーダーが高圧的なせいで集まった仲間も柄が悪い。サブリーダーのレアカスは細面の顔に傷を持ち、いつも周りの冒険者を馬鹿にした発言をしている。
でも、観察眼は鋭く言い返せないようだ。
他にも斥候や魔法使い、回復職がいた。回復職は女性の魔法使いと男の殴り僧侶らしい。ふたりも回復職がいるのは珍しい。

僕達がバッティングに気づいたのは街道外れのグランドドラゴンが出没すると指定された荒地で『灼熱』が揉めていたからだった。

「む、バッティングだな。何やら揉めて居るが近づかん方が良いだろう」

ザインがベテラン冒険者らしく的確な事を言った。

今回の依頼内容は街道沿いの荒地からグランドドラゴンが出没するからグランドドラゴンを討伐して欲しいとの内容だった。数の制限は無かった。
そのグランドドラゴンが1匹彼らの近くで事切れて、魔法使いらしい男が蹲っていた。

回復職の魔法使いに向かってサブリーダーのレアカスが何やら怒鳴り散らかしていたのだ。その様子から回復職の魔法使いがミスをして他の魔法使いが怪我をしたのをサブリーダーのレアカスが咎めているのだろう。

エレもザインと同じ意見らしく『灼熱』とは違う方向に行こうと言ってきた。怒られている回復職の魔法使いを気にしているのは僕だけのようだった。

虐めを受けていた身からするとあの様な状況をみるとどうしても気になってしまうのだ。『灼熱』から離れる方向の荒地の奥に進み掛けた所でレアカスが回復職の魔法使いを殴り飛ばした。
幾らパーティ内の問題とは言え女性を殴るのは無しだ。気が付いたら僕は走り出していた。

後ろから驚きの声が上がったけど僕は近寄るのを止めなかった。

「何をするんだぁー!」

僕の声に『灼熱』のメンバーが振り返った。僕達に気付いては居たけど違う方向へ向かったので無視していたようだ。
倒れた女性魔法使いに近づこうとした僕を巨体が塞いだ。

リーダーのバルガスだった。遠目でも大きいと感じたが肉の壁に相応しくとんでもない圧迫感があった。

「何もんだ?ん?お前・・・英雄か」

バルガスも僕の事を知っていたらしい。僕はバルガスを見あげて言った。

「女性仲間に乱暴するのを見逃せない」

僕の言葉を鼻で笑ってバルガスが言う。その視線は僕を追って近づいてきた仲間に向けられているようだった。

「内々の事だ。気にするな」

僕が倒れた女性の魔法使いの方に視線を向けるとレアカスが更に蹴りをしようとしていた。

「止めろと言ってんだろー!」

僕の声にヘラヘラ笑ってバルガスは蹴った。僕は止める為に走ろうとしてバルガスの手に阻止された。その手は僕の頭ほどあった。

「邪魔をするなと言っただろが!」

僕が再度バルガスを睨みつけて同じ事を言うとバルガスが怪訝な顔をして言った。

「レーアはお前の何だ?仲間か?」

バルガスは僕がレーアと言う女性を助けようとする理由が分からないらしい。

「何を言ってる!弱い者を何故殴る?」

レアカスに僕の声が聞こえたのか倒れた女性の回復職を置いてこちらに歩いてきた。

「これはこれはロートルと負け犬の皆さん。」

僕の後ろにはエレとザインが立っていた。
ロートルとはザインの事らしい。そして負け犬とは僕とエレの事らしい。僕は仲間が侮辱された事に腹を立ててレアカスを睨んで言った。

「か弱い女性に手を上げるなんて酷すぎるだろ!しかも蹴りまで追加してる!」

僕の言葉にレアカスが笑いで返してきた。カラスが笑うような不快な笑い声だった。

「レーアがか弱い?ヒャッヒャッヒャ。あれがそんな訳無いだろ」

その言葉を証明するかのようにレーアが何事も無かった様に立ち上り、服の埃を払って無言で傷ついた魔法使いに回復魔法を使い始めた。回復系魔法なのはその光で分かった。

「ほらな」

レアカスが僕を馬鹿にする様に言った。僕が見ている事に気付いたレーアがこちらを向いた。
長い黒髪の間から覗く黒くで大きな瞳は死んでいた。

「分かったかよ、英雄さん」

レアカスの言葉には嘲笑が含まれて居たけど僕の視線は何故かレーアから離れなかった。ぽんと肩に手を置かれて言葉が落ちて来た。

「ブルクがすまん」

ザインがバルガスに謝る。
何故謝る必要があるんだ。タフとは言え女性に手を挙げたんだぞ。

「何、若さゆえの過ちさ」

バルガスがザインに言う。どうやらふたりは知り合いらしい、尤も冒険者稼業の長いザインは大抵の冒険者を知ってる。納得出来ない僕は何か言おうとして言い淀んだ。ザインが僕の肩を押して言った。

「さあ、行くぞ」

どう見ても僕は余計な口出しをしてしまったらしい。エレにまで気持ちを切り替えて行こうと言われてしまった。
後ろ髪を引かれる想いだったけど僕にどうにか出来る事では無かったらしい。

その日、僕達『草原の風』はグランドドラゴンを3匹倒して冒険者ギルドに戻った。僕の影に収納して殆ど無傷のグランドドラゴンはマイナス査定無く依頼通り金貨6枚を均等に分けた。
最後の1匹に手惑い時間は少し遅くなったが誰も怪我無く無事に完了した。

3人で喜びあっていると視線を感じたのでそちらを向くとそこには昼間の女性魔法使いレーアがエール片手に突っ伏していた。他のパーティメンバーは居なかった。

僕がザインをみると肩を竦められた。ザインにも分からんと言う事らしい。エレをみると無言で頷かれた。
エレも僕がレーアを気にしている事ご分かっているらしい。

僕達はレーアの近くの椅子に腰掛ける。僕達が近くに来た事が分かってる筈なのにレーアは酔って崩れたままだった。

「レーア・・・だよね?」

返事がない、ただの酔った屍のようだ。

僕はザインを見るとザインは通りかかった接客嬢と顔見知りらしく笑い合いながら注文をしていた。エレを見ると苦笑いしていた。そして肩を揺すって言った。

「レーアさん、何かあった?」

構ってちゃんだったようで身体を起こしてレーアはエレの方を向いて暫く見詰めた後泣きながらエレに抱き着いた。

少し戸惑って僕を見るとオロオロする僕を無視して優しく背中を擦って上げて落ち着かせた。まるでエレがレーアのお姉さんのようだった。暫く泣いた後にレーアはエレの問い掛けに答え始めた。

「ぐすん、追い出されちゃった」

昼間見た揉め事はどうやらレーアが仲間の魔法使いが獲物のグランドドラゴンの攻撃から身を避けた所に居た為に邪魔になり逃げ切れず怪我をしたらしい。
それを見ていた仲間達にグランドドラゴンを倒してから非難されたのを僕達に見られたらしい。

うん、それはレーアが悪いかも。パーティに回復職がふたりもいるのが違和感があったのでレーアに聞く。

「ねえ、レーア。なんで『灼熱』にはふたりも回復職がいるの?」

「ぐす、それは他のパーティを仲間にしたからなの」

元々『灼熱』はバルガス、レーア、ジャネ(水魔法使い)、ポント(斥候)だった。そこにレアカスがジレット(殴り僧侶)を連れて仲間に加わったらしい。
『灼熱』はバランスの取れたパーティだったけどランクを上げるには少し攻撃力が劣るのが悩みだった。そこへレアカスがバルガスに阿る様にして仲間になったのだと言った。

少し鈍臭いレーアは人数が増える事で自分の位置取りが上手く出来なくなった。後方で控えようとするとジャネと被り、少し離れて待機するとポントと被り、積極的に前に出るとジレットと被ると言った具合だった。

そのせいで何度も今回の様なトラブルを生んでいた。そしてとうとう、依頼終わりにレアカスが「もうお前要らなくね?」と言う言葉からバルガスからパーティ離脱を宣告されたのだった。

パーティをバルガスが作る時にバルガスから嘱望されたレーアにはとってもショックだった。何度もバルガスからトラブルが起きる度に庇って貰っていたけどもう限界だったらしい。

一緒に苦楽を共にしたバルガスから言われた事を思い出したレーアはまた泣き出した。ザインはエール片手に話しを聞いて居たけど話に加わるつもりが無かった。レーアの話を聞いていた僕はエールを飲む気にもなれないでいた。
レーアの話し相手になっていたエレも同じだった。

ひと時泣いたレーアが落ち着いて言った。

「話を聞いてくれてありがとう。えっと・・・」

この時になってレーアは僕達の名前を知らなかった事に気付いたらしい。自己紹介をするとレーアはもう一度謝って来た。

「ごめんなさい。もう落ち着いたからひとりで良く考えてみるわ」

そう言ってレーアは冒険者ギルドの酒場を出ていった。その後ろ姿を心配そうに僕が見ているのをエレが言った。

「何よ、ブルク、気になる?」

少しからかい気味の言葉に僕は慌てる。

「そ、そんな事無いよ!」

「そっかぁ、ブルクはレーアみたいな女の子が好みかぁ」

確かにエレとは違うタイプのレーアは気になったけど理由は別だった。

「違うって!これから彼女どうするのかって!」

つまみをむしゃむしゃしながらザインが言った。

「引くて数多だろうさ。なんったってフリーの回復職なんて滅多に居ないからな」

「そうね、仕事には心配要らない筈だわ」

エレも心配していない。心配しすぎる僕のほうが間違っているんだろう。それから気を取り直してエールを頼んでそのまま今日の反省会をした。


それからひと月後くらいにまたもやギルド酒場で飲んだくれているレーアを目撃したのだった。

B級ウォータードラゴンと言う水棲の蛇の様な魔物を退治して報奨の金貨5枚と素材代金の金貨4枚を得てワイワイ騒いでいたんだ。
ウォータードラゴンは全長が10mを越え胴体の太さが丸太の様な蛇の形をしながらも鋭い爪のある手足を持っている。その姿故にドラゴンの名前を付けられているけれどドラゴンじゃあないらしい。

ただ、その鱗は銀色に輝きとても硬い。その硬さを素材として装備に使われたり錬金術で剣を錬成されたりするらしい。内臓やら頭やら髭やらも素材としてとても優秀な為に殆ど狩り尽くされているとも言われる為に見つかったら直ぐに素材獲得の為の依頼が出されるそうだ。

そのために僕達以外のパーティも依頼を受けて早い者勝ち状態だった。

凄く広い幅の川の何処にいるのかは分からなかった。ここはタツミ(東南)の濫瀧の迷路ダンジョンにある大きな川で流れは緩やかだけど所々に深みがあるのだった。
茶色に濁った濁流だけど水溜り程度の浅さのある場所へは歩くか飛び跳ねれば渡れるのだ。そんな濁流の中に銀色の筋がウォータードラゴンがいる証拠らしい。

一応ギルドで買った魔物図鑑に載っていたのだ。惜しむらくは弱点については書かれて居なかった。まあドラゴンと言うだけあって弱点らしいものは無いに等しい。
だから先ずはエレがウォータードラゴンを見つけて素早さを落とすデバフを掛け、浮き上がらせる。そこを僕とザインが攻撃する事にしたのだ。

ウォータードラゴンを仕留める話を聞いた魔剣クルナワは自分を使うと折れるから使うなと言い、魔剣ホトムラは出番だと張り切った。光の剣を届くまで伸ばせは一撃だと主張したのだ。
だから信用してザインの攻撃に怒って頭を出したところを狙ったのだがものの見事に反射されて光の筋は空の彼方に飛んで行ってしまった。
それを見ていたザインもエレも最初は驚いたけど爆笑した。

でもその光に驚いたウォータードラゴンは暴れたのだ。反射されはしたけれど全く効かなかった訳では無かったらしい。暴れていたウォータードラゴンの銀色の鱗の身体には当たった部分が黒黒と変色していたのだから。
その変色した鱗をザインが狙って攻撃すると硬い鱗が剥げたのだ。

エレの素早さを落とすデバフで狙いやすくなったウォータードラゴンの鱗を魔剣ホトムラで焼いて、そこをザインの大剣が突き刺すと言う事を繰り返して弱らせて川から引きずり出して僕の影魔法で収納したのだ。

まあ時間は掛かった。あちこちを探し回って見つけるのに2日掛かったのだ。同じ様に探していた他のパーティは見つからずに苛々して川面を叩いたり騒いだりしていたから僕達の方に逃げてきたのかも知れない。
見つけても攻撃に移る前に逃げられる事を何度も繰り返した末にエレのデバフする方法に行き着いたのだ。エレが居なければ攻撃すらままならなかったと思う。

ザインの長い冒険者生活の中でもウォータードラゴンを仕留められたのは初めてだと言った。それだけ仕留めるのは難しいらしい。

だから商業ギルドで討伐証明の為に鱗の一部を受付嬢に見せた時は周りでどよめいたのだ。もちろん、依頼達成と言う事で金貨5枚を得て、影収納から査定して貰ったのだけどあちこち鱗が黒く焦げ傷だらけのウォータードラゴンは安く買い叩かれてしまった。

それでも他のパーティが持って来るウォータードラゴンに比べれば破格の値段だった。ちなみに無傷のウォータードラゴンは金貨10枚は下らないらしい。どうやって仕留めるんだろうね。

それでも凄い成果と言う事でワイワイと騒いで冒険者ギルドに来たのだった。B級依頼を熟したお陰で全員がB級に目出度く昇級したんだ。『草原の風』もBランクになった。
そりゃ騒ぎたくもなるよね。

だから、飲んだくれているレーアがいたら声を掛けるよね。しかもエレは時々レーアと食事に行ったりする友達になって居たんだから。

「レーア、どうしたの」

エレが声を掛ける。僕とザインは近くに座ってエールとつまみを注文した。レーアの事はエレに任せるつもりだった。

「ん?んぁ~?エレ?」

顔を上げてレーアがエレを見た。

「なんでこんな所で呑んだくれているのよ。他のメンバーはどうしたのよ」

きつい言葉を投げかけた訳でも無いのにレーアはエレに抱いついて泣き始めた。前と同じだった。
暫く泣いてからレーアはエレにぽつりぽつりと話始めた。

「始めは何処のパーティでも上手くいくのよ、ヒック。でも何回か一緒に依頼を熟していると足手まといにだって言われて追い出されちゃうのー!え~ん!」

希少な回復職を足手まといとして追い出すなんてよっぽどの事だ。特にレーアは自分を癒すことで守られる必要が無い。驚異的な回復力を持って大抵の怪我も殆ど瞬時に治してしまう力の持ち主なのにどうしてだ?

そう言う疑問をエレも感じたみたいでレーアに聞く。レーアはバツが悪そうに口籠り下を向いて言った。

「・・・私って人より鈍臭いって言われるの。一生懸命にパーティメンバーの後を追って走るのに直ぐ離されちゃうの」

「どう言う事なの?」

エレがレーアを覗き込む様にして聞いた。すぅ~と息を吸ってからレーアが真面目な声を出した。

「身体強化で最初は一緒に走れるのにだんだん身体強化が弱って来て効果が薄れちゃうの。そうすると普通に戻っちゃうのよ。」

身体強化が出来なくて置いて行かれる訳じゃなさそうだった。ザインが何やら考え込んでる。何か思い当たる節でもあるのだろうか。

「それは自己回復力に魔力を回し過ぎて身体強化の魔力不足が起きる現象だな。昔、そんな体質の回復職が居たぜ」

さすが経験値が違うザインだ。原因が分かれば対処も可能だろう。エレも僕もレーアもザインを期待した目で見て話の続きを待った。
注目されている事に気付いて少し照れながらザインが言葉を続けた。

「あー、そいつは結局体質を直せずに冒険者を辞めちまったらしい」

駄目じゃん!ザインの言葉にレーアが泣いては居ないけど落ち込んで俯いてしまった。慌ててエレが言った。

「そ、その人はそうだったかも知れないけどレーアも同じになるとは限らないわよ。魔力量が豊富なレーアなら気を付けて身体強化すれば上手く行くかも知れないじゃない?」

「あーうん。そうだね。やってみるよりも他無いよ」

フォローにもなって無い僕の言葉に気不味そうなザインもエレもレーアの反応を待っていた。

「でも、もう誘ってくれるパーティなんて無いよ。あらかた断られちゃってるし」

俯いたままのレーアの言葉は自嘲を含んだ乾いた笑いの響きがあった。暫くみんなが黙った後に僕がぽつりと言った。

「良かったらうち来る?」

年上の冒険者の女性をパーティに誘うには相応しくない様な言葉だったけどレーアは顔を上げて僕を見て、みんなを見て言った。

「良いの?こんなわたしだけど」

僕の誘いがレーアを元気づけられたならよかった。

「もちろんよ!あたしは大歓迎よ!」

「んぁ~まあ。良いんじゃないか」

エレもザインも賛成してくれた。少なからず関わり合いがあったレーアと言う回復職を仲間に加えられる事に僕は喜んだ。

「しっかりと連携を取って一緒にやろう!」

そうなんだ。『イザリ』と呼ばれて冒険者には向かないと言われた僕だって沢山の冒険者の助けを得て今こうして一端の冒険者をやっているんだ。僕も誰かの助けに成れるなら嬉しいよ。

それからレーアの泊まっている宿屋を僕達のパーティが利用している宿屋に変えて僕の部屋でこれからの連携事やレーアの事情を聞くことになったんだ。
もう、レーアも酔いが覚めてしまっていたよ。



レーアは今19歳だった。

レーアが17歳で僕が14歳の夏にはパーティ『草原の風』がBランクでザインも含めて全員がB-2になっていた。

レーアはC+5で何だかんだ言っても功績はあった。レーアが加入する事で一時的にパーティランクがCに落ちるけど誰も気にして居なかった。今の僕たちならレーアのレベリングは容易いと思えたからだ。

レーアの身の上話を聞くと元は商人の娘だったらしい。街を巡る商人で細々と商いをしていたけど森の中で魔物に襲われて両親は亡くなったらしい。荷物に挟まれていたレーアは奇跡的に魔物に襲われず助かった。
通りかかった冒険者達に荷物の処分と共に面倒を見て貰ってその流れで冒険者になったらしい。

10歳の洗礼で光と水の2つの属性魔法を得た。でもダブルのせいか上手く魔法が使えなかったらしい。その頃は魔力量も少なかったと言った。
世話になったパーティで補助的な役割を果たしているうちに回復魔法を覚え、それなりに冒険者として認められていた。

でも、それぞれの理由でパーティは解散となりレーアは行き場を失った。その時パーティリーダーの勧めで知り合いだったバルガスを紹介されたらしい。バルガスは巨漢に似合わずレーアに優しく併せてくれていたようだ。

前のパーティリーダーからレーアの事を頼まれていたからもあったらしい。パーティメンバーが増えランクが上がるに連れて少しづつ扱いがぞんざいになってしまったのは仕方ないのかも知れなかった。

でも、一番の理由はレアカスがサブリーダーになってからだとレーアは言った。バルガスの引っ付き虫の様にレーアがいつも寄り添うのが気に食わなかったのか事あるごとに陰でレーアに小言を言うようになった。

それが頻発し殴り僧侶のジレットばかりを褒めてレーアを貶める事をみんなの前でも言うようになってしまったらしい。観察眼の優れたレアカスの言葉には一里あってバルガスも何度もレーアを庇う訳にもいかなくなった結果、レーアの追放が起きた。
最初はは反駁していたレーアも返す言葉を失う事になって自縄自縛で力も上手く発揮出来なかったのも原因だったらしい。

捨てる神あれば拾う神ありで僕達『草原の風』と仲間となったレーアに併せて移動スピードを調整した。元々慎重な行動がモットーな僕らがレーアに合わせるのは何の問題も無かった。レーアを守るように僕らが移動する事でレーアも魔力を身体強化に回せて鈍臭い事も起きなかった。

魔物と遭遇した時は僕とザインが牽制している間にエレがデバフを掛ける。それに併せてレーアが魔物に魔法を掛けると凄く強いデバフになるのだ。どんな魔法を掛けているのか魔法を使うエレでさえ良く分からないらしい。

効果的な使い方を分かってるのはレーアだった。その為に一旦離れたザインの攻撃も僕の罠も上手く行って魔物を簡単に倒せてしまっていた。つまり、レーアをパーティに加える事で確実に戦力アップになっていたのだ。

また、複数の魔物と出会ってもエレの広域魔法を何故かレーアが増幅してくれるのだ。レーアの属性って光と水だよね?どうなってるの?

でも、そんな事で数度のBランク魔物を依頼討伐することでレーアもB-5に上がってパーティランクもBに戻ったんだ。もちろん僕達もB-1へと上がった。

パーティで受けられる依頼も戻った事で難しさも上がったよ。魔物の個別の強さも上がったけど一番の違いは集団戦になった事じゃないかな。
個別の魔物ランクがBでも集団となるとAランクとなる。人間と同じ様な戦法を使って来る頭の良い魔物が相手になるのだ。尤も魔物には回復職が居ないから限界があるんだ。

だからツートップである僕とザインの連携さえ崩れなければ安定的にBランクの魔物と言えども相手にならない。でも時々複数の魔物に囲まれるとエレが補助に入る前にレーアの魔法が飛んでくるんだ。
そうすると魔物がいきなり苦しみだすんだ。水魔法でも光魔法でも無いレーア魔法とでも言うべき特殊な魔法なんだ。身体が焼けたり削られたりしないのが不思議だ。

レーアに助けられた時ちょっとに聞いたことがあるんだ。でも、レーアは言葉を濁してはっきりとは教えてくれなかったんだよ。特殊な回復魔法の禁忌に近い使い方だとは言ったよ。良くは分からなかったけど直接攻撃では無い魔法であんな攻撃が出来るんだと知ってびっくりさ。
エレとも話したけどエレにも良く分からないらしいんだ。でも、分からないなりに攻撃に対してレーアが助けになる事が分かったよ。

そんな中、Aランク魔物のワイバーン討伐の依頼を受けてタツミ(東南)の濫瀧の迷路に向かった。僕のお父様のナメシとザインが『希望の光(アスカティア)』パーティと受けた内容と同じだったからザインが凄く嫌そうだったんだ。

でも、ワイバーン討伐はAランク昇級には通らない訳にはいかない依頼だったんだ。それにギルドでも勧められたからね。ザインがいない時にこっそりと受付嬢のお姉さんから耳打ちされた事もあるんだ。
依頼の付帯内容で付近で出没する亜人についての調査があったんだ。ワイバーン討伐が不調に終わっても付帯内容を実行出来れば依頼失敗にはならないらしかったよ。やっぱりギルドとしてはザインの経歴から少し心配されていたみたいだ。

ダンジョンへの移動はゆっくり時間を掛けてしたよ。現地でヘロヘロのまま戦いはしたくなかったからだ。前にB級ウォータードラゴン討伐の依頼の時は川の中だったけど今度はクルシュ高原と言う崖を登って瀧の上でワイバーンを探す事になったんだ。

経験者であるザインが嫌々ながら案内してくれたよ。そこは森の外れで直ぐ側には荒野が広がって岩ばかりの所だったんだ。ワイバーンは湿気を嫌って荒野の方に巣を造るらしい。ワイバーンの餌は川や森に住む他の小型の魔物らしい。
今回の依頼はワイバーンが1匹でも倒せれば良いので結構気楽だったんだけど何故か見つからなかったたんだ。まさかザインを嫌ったなんて事無いよね。
























    
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