光が眩しすぎて!!

きゅうとす

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真実の世界

歪んで

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楽しい祝宴を開いて貰ってピペット族と言うシーマーマン達との交流が出来た。

村の中央に焚き火を焚いて周りの砂浜に大きな葉っぱを轢いて座ると冷たかった。食べ物は昼間にナメシお父様達が取った魚や森から集めた木の実だったけど素朴で美味しかった。
宴会に付き物のエールは無かったけど樹液を濾したと言うピンと言う飲み物は喉越しも良くて美味しかった。

最もシーマーマン達は焼いた魚を余り食べず、火にも近づかない。周りを明るくする灯り程度にしか利用しないようだ。それでも賑やかに談笑して楽しそうだった。

盛り上がった中でナメシお父様は火の近くに立ち、シーマーマン達に話し始めた。言葉こそ分からなかったけれど別れを話しているようだった。始めは大人しく聞いていたけれどざわつきが次第に大きくなり、中には泣き出す者もいた。
その中の最初に出迎えてくれた老人がみんなに話し掛けて鎮めた。暫くその老人の話しを聞いて落ち着いて行く。ぽつりぽつりとシーマーマン達が宴会を止めて家に帰って行くとナメシお父様が僕達の元に戻って来て言った。

「皆にはこの村を出ることを伝えた。長老からも了解を得たから問題ない」

そうは言っているナメシお父様も少し顔色が冴えない。やっぱり長く居続けたこの場所むらが心配なのだろう。僕達が無言なのに気付いてナメシお父様は努めて明るく言った。

「何、気に病むな。元々異邦人だし、村の守りも万全だ」

ナメシお父様の言う通りに僕達はナメシお父様の家に戻り休む事になった。それぞれが眠りやすい場所を確保してランプの様な灯りを消すと真っ暗になった。僕はどうにも気になった事をナメシお父様に聞いた。

「お父様、気になる事があります」

暫く無言が続いたけどナメシお父様が身動ぎする音がして返事があった。

「何だ、ブルク」

答えてくれそうなので僕は聞いてみた。

「お父様達がダンジョンの川まで漁に来た理由です。森の中は魔物がいるのに何故危険を犯してまで遠出したのですか?」

ザインがいるあたりからモゾモゾする音がしたのできっとザインも起きている。

「それは・・・海からの獲物に異変があるからだ。」

「異変?」

「そうだ。最近多いがキメラ化した様な魚が捕れる。蟹の頭を持った魚や海藻めいた形をした魚などだ。シーマーマンである彼らもこんな事は始めてだと言っている。だから人族と出会う危険があるダンジョンの川近くまで遠征した。」

ああ、そうか。森の魔物も怖いけど亜人であるホビット族にとってもっと怖いのは人族なんだ。そうするとナメシお父様を受け入れたのはかなり勇気の居る事だったんだろう。

「キメラ化?」

ザインの声がした。ザインが口を挟んで来た。

「ああ、そうだ。かつて俺が倒した森からの魔物もそうだった。ピペットのみんなも怖がって食べない」

「じゃあまともな食料調達が必要なんじゃ・・・」

僕はお父様が村から離れられないかも知れないと思ったので尻窄みに聞いた。

「大丈夫だ。今日ピペット族のみんなに川魚の捕り方を教えたからな。それに全ての魔物がキメラ化してる訳じゃない」

お父様の手が伸びて僕の頭を撫でてくれる。何故か安心する。



翌日、朝日が差して目が覚めると既にお父様は支度を終えていた。早いねと聞くとお父様は暗いうちから狩りをする事は多いと教えてくれた。

ピペット族のみんなに見送られて僕達はダンジョン濫瀧の迷路に向かった。何事も無く無事に戻り途中で昼休憩した後にウィードラドの街の冒険者ギルドへ到着した。
僕達は受付嬢エメレーヌさんに依頼の完了報告とお父様ナメシの生存報告をすると慌ててサブギルマスのマルチアスさんのところへ連れて行かれた。

エメレーヌさんはナメシお父様の顔は知らなかったけれどマルチアスさんは知っていた。

「ナメシ?本当にナメシなんだな!?」

最初は驚きでいっぱいだったマルチアスさんも少しやつれた感じのナメシお父様に力強いハグをした。マルチアスさんはナメシお父様の事を聞きたがったけれどサブギルマスの部屋のソファに座って先ずは依頼の報告をする。

大体は僕が話したけれどザインが補足を入れて詳しく説明してくれた。それからナメシお父様が6年前の出来事について覚えて居る限りの事を話し、今までの事も話すと酷く驚いていた。
特にキメラ化した魔物の話をするととても難しい顔付きになった。

「これはA級冒険者以上にしか話して無い極秘事項なんだが」

前置きをして最近の魔物の話をしてくれた。
各地のダンジョンの魔物の強さがワンランク以上に上がって来ていること、素性の知れない魔物の目撃情報とパーティーの全滅件数の増加を教えてくれた。

各地の冒険者ギルドで話題になっていて対策をメイラード総合冒険者ギルドで検討中なのだそうだ。メイラード総合冒険者ギルドなんて聞いたことも無いんだけどなあ。話すだけ話して沈黙したマルチアスさんだったけど驚きが大きかったのは僕達も同じだった。

首席受付嬢のエメレーヌさんが小声でマルチアスさんに何か言うと沈黙していたマルチアスさんが言った。

「ナメシは『草原の風』に入ると良い。冒険者は続けるんだろ?」

6年も音沙汰が無いと冒険者登録は剥奪されているけど事情が事情と言う事でパーティに入る事でC級から始められるそうだ。上司のデッセンバーグギルマスや領主オーステナイト侯爵にはマルチアスさんから報告してくれるそうだ。ナメシお父様も最近のウィードラドの街に不慣れだから丁度良いと言った。

話し込んでしまったせいかかなり時間が経っていてもう午後になっていた。首席受付嬢エメレーヌさんと一緒に1階に戻りナメシお父様の再登録とパーティ登録を済ました。

ギルド内で待っているとナメシお父様の顔を知っている冒険者やギルド職員が時折驚いて話し掛け、ナメシお父様が受け答えしている。やっぱりナメシお父様は有名だったんだなあと感心していると見知ったパーティが現れた。
Aランクパーティ軍神の息吹ドゥラメンテだった。珍しい事にメンバー全員が揃っていた。

「なっ!ナメシ?ナメシさん?」

最初に声を掛けたのはナメシお父様を見たパーティリーダの前衛で双剣オーガストさんだった。僕の事を気に掛けてくれる心優しい人だ。それにしてもナメシお父様を知ってるの?ナメシお父様もオーガストさんを見て言った。

「おー坊主じゃないか、元気か?」

ナメシお父様もオーガストさんを知ってる様だった。しかもA級冒険者を坊主って。オーガストさんが目に涙を浮かべて言った。

「死んだって聞いてました!でもザインさんが生きてるんだもの、そんなの嘘だって思ってた!」

オーガストさんの視線がザインに向い、僕で止まった。

「?、もしかしてブルクの親戚?」

僕の顔が今更ながらナメシお父様に似ている事に気づいたみたいだ。

「ああ、ブルクは俺の息子だ」

ナメシお父様がオーガストさんの質問に応えて言った。
パーティメンバーである殴り僧侶回復役のセプト、前衛レイピア騎士のジュリィ、斥候暗器のジャンヌ、後衛の攻撃魔法使いデセムはナメシお父様を知らないらしくオーガストさんとナメシお父様の会話を近くで興味深そうに聞いている。その中で1人だけ僕の隣に来ていた後衛のバフ・デバフ魔女ノベムが小声で僕に話し掛けていた。

いつも通り僕の身体まどうぐを心配してくれているらしい。それはエレにも聞こえたみたいで同じ様に小声で答えている。それに気付いたナメシお父様がノベムに向いて言った。

「ノベム嬢ちゃんも息災か?と言うか、ブルクと知り合いなのか?」

ナメシお父様はノベムも知ってるらしい。ノベムは自分に話し掛けられてナメシお父様に向かって言った。

「嬢ちゃん言うなし!そんなに違わない!あ!」

ナメシお父様と会ったせいか気持ちが戻ったのかノベムの口調が変わった。嬢ちゃんと言われて思わず自分の年齢を暴露してしまいナメシお父様を睨んだ。

「おっと、はは。すまん」

ノベムはオーガストさんに向かって言った。

「オーガスト達はギルマスに報告して私はノベムに話がある」

何かあったのだろうか。軍神の息吹ドゥラメンテみんなの装備が少し傷んでいる気がする。ノベムに指示される形でオーガストさん達はナメシお父様に声を掛けて受付の方に向かった。オーガストさんはジュリィ、ジャンヌを従えて行ったけど他のメンバーは併設された酒場に向かった。相当疲れているらしい。

「直ぐ戻る」

そう言ってノベムも受付に向い何か話た後に直ぐに戻って来て言った。

「丁度良い、ナメシも来る」

ノベムはナメシお父様との久しぶりの再会なのにその感慨も無く僕達を連れて行こうとした。ノベムの後を全員でついて行こうとするとノベムがザインに言った。

「ザインもエレもレーアも無関係」

それにザインが小声で返した。

「ブルクの母親の話だろ、みんな知ってる」

それだけでノベムはナメシお父様を見て直ぐに先を歩き出した。向かった先はギルドで説明を受ける場合に使う小部屋だった。ここは防音防盗聴の魔導具が設置されてる貸し出し可能な小部屋で重要な話をする時に使われるものだった。因みにギルマスやサブギルマスの部屋にも付いている。

部屋に入ると全員が座わりドアが閉められ部屋の天井に仕込まれた魔導具が発行して魔法が発動した。
ノベムが僕を見て言った。

「母親のアカスさんの居場所が確定した。」

僕もびっくりしたけどナメシお父様が席を立つ勢いで驚いた。

「生きていたのか!?何処に居るんだ!直ぐに迎えに行かないと!」

そんなナメシお父様を冷たい目でジロリとノベムが睨む。

「慌てるな、ナメシ。今、仲間が奪還の計画を立ててる、相手はバルバルディア王国のパルディア公爵だ。護りも堅い。」

「ありがとう、ノベム。」

僕がノベムに礼を言うとノベムは頬を少し染めて冷たく言った。

「礼には及ばない。バルバルディア王国で接触した相手から報酬が確定している」

なんとバルバルディア王国に居る協力者もアカスお母様を取り戻したいらしい。となるとノベムが接触した相手が誰か解って来る。それにはナメシお父様も気付いたらしい。立ち上がった姿勢から椅子を直して座って言った。

「ウィンディア伯爵家か?」

その言葉にノベムは何故か答えず含み笑いを返した。

「守秘を条件に契約を交わしてる。」

言えないらしいのでそれ以上ナメシお父様はノベムを追求しない事にしたらしい。

「それでお母様は何処に?」

「パルディア公爵領ザルツハイムの森」

どんな所か分からずにいるとまたもナメシお父様が立ち上がった。

「なんだと!」

「通称、漆黒の森。魔界に繋がって居るとも噂されている封印の森か・・・」

ザインが呟くように言った。ザインも知ってる程有名なのか。

「これまた厄介な所に」

ナメシお父様が悔しがるような声で言った。

「何が問題なの?」

僕はナメシお父様に聞いた。
ナメシお父様はザインとノベムを交互に見てみんなに分かるように言ったんだ。

「バルバルディア王国最悪のダンジョンだよ。これまでに誰も攻略に成功どころか誰も帰って来ていない。」

そんな所にアカスお母様がいるの?

「それじゃあその、何とか公爵だって入れないんじゃ無いの?」

エレがナメシお父様に言った。隣でレーアが頷いている。僕も不思議に思った。 

「公爵は管理者として森の封印の中に入れる指輪を所持しているんだ。王族が許可した者は公爵と一緒に森の入り口の屋敷に入れる。」

「向こう見ずな冒険者が許可を得てチャレンジしてる。ただし、S級クラスの冒険者でも戻って無い。唯一『勇者』のみ攻略出来るだろうと言われて居るんだ」

ナメシお父様の言葉は暗い。

「つまり現状ではパルディア公爵に連れ戻して貰うより他に無い」

ナメシお父様がそう断言した所でエレが言った。

「ねえザイン。あの話って本当なの?」

エレの言葉にナメシお父様とノベムが何の事かと視線を向けると少しビクついた。でも直ぐにザインは気が付いて言った。

「ああ、勇者の事か。・・・そうか、オコノ村か」

話が分からないふたりの為に僕が説明する。

「エレはオコノ村って言う村の出身なんだけど最近エレに精霊ウィンデーネの力が目覚めたんだ。それでザインがもしかして勇者も居るんじゃないかって」

精霊ウィンデーネの事を言うとナメシお父様もノベムも直ぐに分かったみたいだった。ノベムはエレをジロジロ見て言った。

「なるほど、そういう事」

ノベムも何かエレに感じる物があったのだろうか。ナメシお父様はエレに言った。

「頼む、勇者が目覚めて居るならそいつに会わせてくれ!協力を頼みたい」

掴みかからんばかりに近くから言うナメシお父様にビビってエレが距離を置く。

「まぁ待て、ナメシ」

ザインがナメシお父様を止める。このままだとエレが泣き出しそうだ。

「まだ、可能性があるって話だ。確かめないとな。それにお前もまだ戻ったばかりだから腕も鈍ってないか?」

「そんな事は無いぞ。まぁ槍も壊れて装備もままならんが」

早まった事をしないようにと忠告を置いてノベムは仲間の所に戻った。それにしてもノベム達はギルマスに何の用だったんだろう。ノベムと別れた僕達はナメシお父様を仲間に加えたお祝いにギルドを出て例の食べ放題へ行く事にした。お金を持たないナメシお父様の代わりに僕がお金を出す。依頼報酬もあるからみんなも賛成してくれた。

賑やかな食事の後にナメシお父様の装備や武器を整えに街を歩いた。久しぶりのウィードラドの街をザインと肩を組んで歩くナメシお父様も楽しそうだった。
エレと僕とレーアが後をついて行く。両脇に並ぶふたりも嬉しそうにしてくれてよかった。

「ブルクのお父さん見つかって良かったね」

エレが言うとレーアも同じ様に喜んでくれる。

「死んだと思ってたんでしょ」

「うん、ビックリだよ。今まで記憶喪失で行方不明だったなんて思えない程だ。後は」

「後はお母さんだね」

レーアの言葉に涙が出そうになる。

「生きている事は分かってるから連れ帰れると良いね」

エレの言う通りパルディア公爵の所から奪還すれば良いんだ。でも、それが相当に難しそうだ。エレを見れば何故か照れくさそうにしている。

「それにしてもあのアランが勇者かも知れないなんてね」

「そうね。ザインの言う通りならだけど」

エレが答えるとレーアが口を挟んだ。

「あたしはそのアランって知らないけどどんな奴なの?」

確かに話には出ていたけどレーアは知らないんだ。少しエレが話しづらそうにしているので僕が話す。

「アランはエレの幼馴染さ。同じオコノ村村の出で、エレと同い年だったよね?」

僕がエレに確認すると頷いた。僕が水を向けたせいか自分で話し始めた。

「そう、結構な熱血漢で真っ直ぐな所がある。村を出る時にあたしを誘ってくれたんだ。『一緒に冒険しよう』って」

少し夢見る少女の様に思い出しながらエレが言うとレーアが言った。

「エレはアランが好きなんだね」

意外な事を言われたみたいでエレが慌てだした。

「えっ?え?そ、そんな事無いよ。・・・実力が無いって捨てられちゃったし」

言い訳がましい事を言うけど僕はレーアの言う通りなんだと思う。再会した時凄くアランの事を怒っていたし。

「良いなあ、そんな人が居て」

レーアが呟くと感傷に浸っていたエレが言った。

「あら、レーアにだって好きだった人がいるじゃない」

え?誰のことだろう。僕を挟んで会話するふたりに僕は戸惑った。

「違うわよ、あの人は憧れの人だもん」

レーアとエレの間では分かってるらしい。僕の知らない事だった。

「バルガスとは付き合いが長かったから」

レーアの言葉にレーアが好きだったのは元のパーティリーダーだった事が判明。

「ふたりとも似た者同士だね」

僕が感想を言うとふたりに睨まれた。

「デリカシー無いぞ」

少し膨れたエレが言う。
その時、ここだと言うザインの言葉で武器屋に着いた事に気付いた。街外れじゃ無いけど裏通りで目立たない店だった。

「おー!懐かしいな」

ナメシお父様が店を見て声をあげた。さすがに肩はもう組んで居ない。

「だろ?『ナガン』の店は」

そう言ってザインとナメシお父様が店に入って行く。店構えは酒場のような雰囲気だった。武器を買うわけじゃないけど僕達も中に入った。窓が一つも無いけど中は魔導具の灯りで明るい。カウンタと丸テーブルの周りに乱雑に置かれた椅子が沢山ある以外は武器がところ狭しと壁に掛けられていた。

大きな酒樽には無造作に剣や槍が突っ込まれている。そして少し熱気が籠もっていた。カウンタの奥からはキンキンカンカンと言う音が漏れ聞こえていた。エレもレーアも初めてで物珍しそうに周りを見ていた。

「お~い、ナガン!居るかぁ!」

カウンタの向こうに向かってザインが大声を出した。返事が無くて何度か声を掛けるとうるせえなと人が出て来た。出て来たのは女性だった。くすんだ灰色の引っ詰め髪をして丈夫そうな革の前垂れをして体型はふっくらしていた。目の色は金色に煌めいている。ただ、肌の色が黒い。この人がナガンだろうか。

「なんだよ、ビビじゃねえか」

ビビと呼ばれた女性はザインに向かって悪たれた後にナメシお父様を見て固まった。そして震えだして言った。

「お、おい、ザイン。お前の横にナメシの姿が見えるんだが・・・今更化けて出てきたのか?」

ビビと呼ばれた女性はナメシお父様を幽霊と思ったようだ。

「ガハハハっ!違うぞ!生きてやがったんだよ、こいつは!」

ザインが大声を出すとその声に驚いたみたいで奥から男が飛び出して来た。

「どうした!ビビ!」

茶色の長い髪を編み込んで髭面のビビに負けない体型の小男がビビと同じ様に固まった。

「ナメシ?」

その声にナメシお父様が言った。

「おう!ナガンもビビも久しぶりだな!」

「「本当にナメシか?」」

声を揃えてふたりが聞き返す。
苦笑しながらナメシお父様が答える。

「ああ、そうだ。心配掛けたな」

ふたりは並んでナメシお父様を見詰めながら滂沱の涙を流した。泣きながら死んだと聞いていたとか無事で良かったとか言っていた。武器などを眺めていたエレもレーアもその様子にはビックリしている。暫くはそのままふたりが泣き止むのを待った。
それからふたりから今まで何をしていたのかナメシお父様は質問攻めにあった。それを眺めながらザインに僕は聞いた。

「ふたりはそんなにナメシ父さんと付き合いが長いの?」

「ああ、そうだ。・・・そうか、ブルクは話を聞いてないんだな」

「そうです。ナメシお父・・さんは家では仕事の話をしなかったから。でも、魔物の話はしてくれたんですよ、どんな魔物を倒したとか」

「まぁ話しづらかったんだろ。俺も同じさ」

ザインも家族持ちだからそうだったんだ。

「それであのふたりとどう言う関係なの?」

エレが遠慮なく聞くと苦笑しながらザインが教えてくれた。

「ナメシが冒険者登録した後に武器屋を探していた時に酔っ払いに絡まれていたビビを助けたのが知り合うきっかけだって聞いたな。」

へーナメシお父様って正義感が強いんだ。

「でも、元貴族だったんでしょ?」

レーアが不思議そうに聞いた。そうだね、元ロンバルディア男爵の息子だった筈だ。貴族ってドワーフとかに偏見なかったのかな。

「そうだね、不思議だね」

僕はレーアの言葉に同意したよ。僕達だってドワーフの人達に会うのは初めてだからね。珍しい気持ちに変わりは無いよ。そんな話しをしていたらナメシお父様がナガンさんとビビさん夫婦、夫婦だよね?との話しを終えた様だった。

「積もる話もまたしよう」

そう言ってナメシお父様が今日来た理由を説明した。背中から槍を下ろしてナガンさんに渡す。ナガンさんが槍の穂先を見て破顔した。

「こりゃまた懐かしい。俺の槍じゃないか」

「ああ、持ち手が折れてな、直しを頼みたい」

「良いとも。でも、こりゃ打ち直した方が早いかもな」

それを見ていたビビさんが言った。

「あんた、あれを渡しちゃだめかい?」

あれと言われて思いついたのか頷いて奥に戻って持ってきたのはとても重そうな槍だった。

「こいつあ、色んな魔法を持たせる事が出来るようにした試作品なんだが、重く成りすぎちまってな」

持ち手も太く槍の刃先も長い。ナメシお父様が受け取り、重さを確認する。

「ほう、確かに重いな。でも長さは俺に合ってる。刃先が長いのも良い。どっか振れるところは無いか?」

ナメシお父様が言うと作業場の奥から中庭に出れるらしい。ナガンさん、ビビさん夫婦に連れられて工房の中を過ぎて外に出ると工房よりも広いんじゃないかと思われる中庭に出た。

中庭の端には的としてか木の杭に鎧が掛けられていた。ナメシお父様が中庭の中央に槍を持って行き、槍を構えた。ぐぐっと魔力を高めたと思ったら槍を仮想敵に向かって振り始めた。そのスピートは早く、溜めで動きを止めた時しか分からない様な速さだった。濫瀧の迷路ダンジョンの川でのナメシお父様の動きとはまるでかけ離れていた。

記憶を失っていたせいで腕が鈍っていたとしか思えない動きだった。溜めの時に僅かに静止する以外は動きが見えなかった。今のナメシお父様にみんなで掛かってもたおせないと思える程の達人の動きだった。みんなが見惚れてしまう程に誰かがため息を着いた時にナメシお父様の動きが止まり、此方に戻って来て言った。

「とても良い、この槍をくれ」

気に入った様だった。

「流石だな、ナメシ」

そうナガンさんが褒めると軽く笑った。一時的にせよ記憶を失っていたとは思えない笑顔だった。

「これは習作だからな、使い勝手と悪い所を教えてくれるだけで良い。それから」

ナガンさんが近づいて槍の使い方をナメシお父様に説明した。幾つかの窪みに魔力を流す事で刃先に属性の違った魔法を発現させる事が出来る魔導具の槍だった。みんながナメシお父様とナガンさんのやり取りをみている中でビビさんが言った。

「最近、魔物が強くなったと言う事を言う人が多いのね。それでナガンったら新しい強力な武器を作るのだって張り切っちゃって、で、できたのがあれよ。使える人が居なかったけどナメシが使ってくれるなら拾い物よね」

「ちなみにアレはどれくらい掛かっているんです?」

僕が聞くと諦めた様にビビさんは言った。

「金貨100枚は下らないわね」

そんな大金が掛かっているなら無料と言う訳には行かないんじゃないの。僕が慌てているとザインが言った。

「まぁ昔からの付き合いだ。金が必要なら言ってくるから気にするな」

ザインがそう言うなら問題無いと言う事にしておこう。結局使っていたナメシお父様の槍はザガンさんに渡り、ナメシお父様は新しい槍を背中にしてご機嫌だった。僕の魔剣クルナワの刃も出来るだけナガンさんの武器屋で調達する事にした。

武器を新調したのでみんなで連携の確認と武器の効果をみたいと言うナメシお父様の希望で数時間だけど東の森に出ることになった。ウィードラドの街を出た草原ではナメシお父様がみんなの腕をみたいというのでエレが風魔法で草を分けて僕がホーンラビットを魔剣クルナワを使って狩り、仕留めた獲物を影に仕舞う。

暇なレーアが必要ないのに回復魔法を飛ばして見せてナメシお父様に驚かれたりした。そうして街道外れの森の中に入り魔猪ボアをナメシお父様が新しい槍でひと突きにして仕留めて見せたりした。下草や木々の枝があるのにナメシお父様の槍の扱いはとても凄かった。引いたり伸ばしたり凪いだり回転させたりを適宜するのだ。

「お父さん、その槍の扱いは何か流派はあるのですか?」

僕の質問にナメシお父様は小さく笑って教えてくれた。

「剣技には流派があったが槍は独学だよ」

「剣技?どんな流派何です?僕はまともに習った事が無いので」

ナメシお父様は少し済まなそうな顔になって言った。

「ロンバルディア男爵家では正統流グラシンを習っていたな。そうだ、これからはブルクに教えてやろう」

正統流グラシンってなんだか格好良いな。

「はい!お願いします!」

そんな話しをしながらナメシお父様がフォレストウルフの群れを見つけ、僕とふたりで対処する事になった。メインはナメシお父様でそのフォローを僕がする。エレのデバフでフォレストウルフの素早さを落とし、ザインは後方や周りからの魔物を警戒する。レーアは僕とナメシお父様が傷付いた時の回復役だ。

体格の良いボスをナメシお父様が一刀の元で無力化したら残っていた2匹のフォレストウルフは尻尾を巻いて逃げようとしたので僕は魔剣ホトムラでピンポイント刺突で留めを刺した。

ナメシお父様が魔剣ホトムラに興味を示したからその力を説明したら使いたいと言ったけど魔剣ホトムラは言う事を聞かなかった。親子でも魔力は違うので駄目だとホトムラは言っていた。魔剣の二刀流だと分かったナメシお父様は矢鱈と興味を示した。

僕の体がノベムの魔導具で出来ていると知った時以上だった。尚も森の奥に進もうとした時に森の奥から叫び声と共に数人の冒険者が逃げて来た。

「ば、化け物だぁー!逃げろ!逃げろ!」

事情が分からないで警戒していた僕達の横を冒険者たちが走り去った後に現れたのはマンティコアと言うキメラだった。









    
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