6 / 159
冒険者Dとダドンの街
塩漬け案件1ー森の中ー
しおりを挟む
森を少し行くと荷馬車があり、近くにアランが立っていた。
俺=ゾットが近づくと気が付いたのかこちらを向いて怪訝な顔をする。
「あれ?ザーザイ達が来るんじゃ無かったのか?」
ザーザイ達とはさっき俺が殺した3人組の事だ。
「いや、俺に代わった。ザーザイ達は戻ったよ」
俺の言葉にアランは
「またかよ、あいつ等さぼり過ぎじゃねえのか?」
と愚痴る。
「いや、良いんだ。オレンに言われて代わったからな」
と俺が庇うと「へー」とアランは気のない返事をした。
「それよりまだ来ないのか?」
と聞くと「そろそろの筈だ」とアランは答える。
それが証拠に森の暗がりから荷馬車と数人の男達が現れた。
アランが手を上げて合言葉を言う。
「砦待ち」
男達の一人が答えを返す。
「街並みの砦」
元より知っている顔なのかアランがホッとする。
男の視線が俺=ゾットに向いて怪訝な顔をした。それに気が付いたアランが俺の代りに答えた。
「ゾットさ。砦の料理人だよ、モートンさん」
「成程」とモートンが納得したようだ。
そして続けて言った。
「いつも通り食料と日曜消耗品だ。確認してくれ」
アランと俺=ゾットはお互いに頷いて、男達が囲っている荷馬車に近付いた。すると荷馬車から少し後ろに身体の大きな男が立っていた。
アランは気にも止めずに荷馬車に入ってモートンから受け取った紙を見ながら見分している。
俺=ゾットは男から目が離せなかった。男は冒険者と言うより兵士のような鎧を着ていた。全身を覆う様な正式な物ではなく急所だけを覆う簡易な物で、兜も無く無骨な顔を晒していた。
可もなく不可もない平均的な顔立ち。どちらかと言うと俺の顔に近い。威圧されている訳でも睨まれている訳でも無いのに悪寒が走る。
ヤバイ、こいつは絶対にヤバイ。
俺と言うよりゾットが怯えている。俺はゾットの記憶と姿かたちを借りているだけだからゾットの意思なんて無いのにゾットの意識が怯えているのだ。こいつには敵わないと。
「ゾットぉ~、何やってんだよ。手伝えよ!」
アランが俺=ゾットの気持ちも知らずに苛立つ。
「ああ、すまん。貸してくれ」
と言ってアランの手からリストを渡され、見分を手伝う。
男の事を頭から振り払う様に熱心に見分する。得に間違いは無いようだ。アランも同じようでホッとしている。
モートンもこちらが持ってきた武器を見分し終えた様だった。
アランも共にモートンとお互いに問題ないと確認していると先程の男が近寄って来た。
俺=ゾットが思わず身を引いてしまう。
「私の名はクレイシア。副街長に雇われた者だ。失礼だが、貴方は?」
と俺=ゾットに声を掛けてきた。少し緊張して答える。
「俺はゾット、料理人だよ」
クレイシアは眉を顰めてさらに言った。
「貴方の身のこなしは料理人とは思えない。」
すると蚊帳の外に置かれたアランが口を出す。
「何が気に食わねえのかわかんねえけどゾットは料理人だよ。但し、元騎士だけどな」
それでも納得出来なかったのかクレイシアは
「失礼した。何故引退を?」
と更に問い掛ける。こんな所で問答したくないので告白する。
「オレン達と一緒に騎士を抜けて来たんだかこの傷のせいで戦いからは身を引いたんだよ」
と俺=ゾットは左腕を捲って見せる。
そこには肘まで届く長い傷が有った。それを見てやっとクレイシアは納得したようだ。
「野暮な事を聞いて済まなかった」
と謝る。
「良いって事よ。それよりあんた凄腕だな。この俺が怯えたぜ」
とクレイシアの実力を褒める。
「いや、まだ修行中の身だ。」
と言って荷車の方に戻って行った。
見えない冷や汗を搔いた俺は深く息を見えない様に吐いた。
これは計画を断念するしかねえな。あわよくば副街長の所まで忍び込んで不正の証拠でも掴んで強請ってやろうと思ったがクレイシアみたいな強い男が雇われている様では無理だと分かったからだ。ここは大人しく身を引くしかないだろう。
俺達が見ている前でモートン達は武器の積まれた荷馬車を引いて道を帰っていった。
アランが帰ろうと言うのでアランの荷馬車の御者を任せて、荷馬車に乗る。
暫くしてそっと荷馬車から降りて森の中に隠れ、見えなくなってから俺はギリに『無貌』のスキルで姿を変えた。
そして、来るときに来た道を目指して森の中を進んだ。
余り早いとクレイシア達の荷馬車に追いついてしまうから森の中の滝まで戻って時間を潰す。
今頃アランは城塞の状態を見て驚いているだろう。
機に敏感ならあるだけの金を持って何処かに逃げるだろう。
恐らく俺が冒険者ギルドに報告してギルドが確認の人員を派遣する頃には生きている者は居まい。
朝方に俺=ギリは街に戻った。そして俺は元の姿で冒険者ギルドに報告に行ったのだった。
俺=ゾットが近づくと気が付いたのかこちらを向いて怪訝な顔をする。
「あれ?ザーザイ達が来るんじゃ無かったのか?」
ザーザイ達とはさっき俺が殺した3人組の事だ。
「いや、俺に代わった。ザーザイ達は戻ったよ」
俺の言葉にアランは
「またかよ、あいつ等さぼり過ぎじゃねえのか?」
と愚痴る。
「いや、良いんだ。オレンに言われて代わったからな」
と俺が庇うと「へー」とアランは気のない返事をした。
「それよりまだ来ないのか?」
と聞くと「そろそろの筈だ」とアランは答える。
それが証拠に森の暗がりから荷馬車と数人の男達が現れた。
アランが手を上げて合言葉を言う。
「砦待ち」
男達の一人が答えを返す。
「街並みの砦」
元より知っている顔なのかアランがホッとする。
男の視線が俺=ゾットに向いて怪訝な顔をした。それに気が付いたアランが俺の代りに答えた。
「ゾットさ。砦の料理人だよ、モートンさん」
「成程」とモートンが納得したようだ。
そして続けて言った。
「いつも通り食料と日曜消耗品だ。確認してくれ」
アランと俺=ゾットはお互いに頷いて、男達が囲っている荷馬車に近付いた。すると荷馬車から少し後ろに身体の大きな男が立っていた。
アランは気にも止めずに荷馬車に入ってモートンから受け取った紙を見ながら見分している。
俺=ゾットは男から目が離せなかった。男は冒険者と言うより兵士のような鎧を着ていた。全身を覆う様な正式な物ではなく急所だけを覆う簡易な物で、兜も無く無骨な顔を晒していた。
可もなく不可もない平均的な顔立ち。どちらかと言うと俺の顔に近い。威圧されている訳でも睨まれている訳でも無いのに悪寒が走る。
ヤバイ、こいつは絶対にヤバイ。
俺と言うよりゾットが怯えている。俺はゾットの記憶と姿かたちを借りているだけだからゾットの意思なんて無いのにゾットの意識が怯えているのだ。こいつには敵わないと。
「ゾットぉ~、何やってんだよ。手伝えよ!」
アランが俺=ゾットの気持ちも知らずに苛立つ。
「ああ、すまん。貸してくれ」
と言ってアランの手からリストを渡され、見分を手伝う。
男の事を頭から振り払う様に熱心に見分する。得に間違いは無いようだ。アランも同じようでホッとしている。
モートンもこちらが持ってきた武器を見分し終えた様だった。
アランも共にモートンとお互いに問題ないと確認していると先程の男が近寄って来た。
俺=ゾットが思わず身を引いてしまう。
「私の名はクレイシア。副街長に雇われた者だ。失礼だが、貴方は?」
と俺=ゾットに声を掛けてきた。少し緊張して答える。
「俺はゾット、料理人だよ」
クレイシアは眉を顰めてさらに言った。
「貴方の身のこなしは料理人とは思えない。」
すると蚊帳の外に置かれたアランが口を出す。
「何が気に食わねえのかわかんねえけどゾットは料理人だよ。但し、元騎士だけどな」
それでも納得出来なかったのかクレイシアは
「失礼した。何故引退を?」
と更に問い掛ける。こんな所で問答したくないので告白する。
「オレン達と一緒に騎士を抜けて来たんだかこの傷のせいで戦いからは身を引いたんだよ」
と俺=ゾットは左腕を捲って見せる。
そこには肘まで届く長い傷が有った。それを見てやっとクレイシアは納得したようだ。
「野暮な事を聞いて済まなかった」
と謝る。
「良いって事よ。それよりあんた凄腕だな。この俺が怯えたぜ」
とクレイシアの実力を褒める。
「いや、まだ修行中の身だ。」
と言って荷車の方に戻って行った。
見えない冷や汗を搔いた俺は深く息を見えない様に吐いた。
これは計画を断念するしかねえな。あわよくば副街長の所まで忍び込んで不正の証拠でも掴んで強請ってやろうと思ったがクレイシアみたいな強い男が雇われている様では無理だと分かったからだ。ここは大人しく身を引くしかないだろう。
俺達が見ている前でモートン達は武器の積まれた荷馬車を引いて道を帰っていった。
アランが帰ろうと言うのでアランの荷馬車の御者を任せて、荷馬車に乗る。
暫くしてそっと荷馬車から降りて森の中に隠れ、見えなくなってから俺はギリに『無貌』のスキルで姿を変えた。
そして、来るときに来た道を目指して森の中を進んだ。
余り早いとクレイシア達の荷馬車に追いついてしまうから森の中の滝まで戻って時間を潰す。
今頃アランは城塞の状態を見て驚いているだろう。
機に敏感ならあるだけの金を持って何処かに逃げるだろう。
恐らく俺が冒険者ギルドに報告してギルドが確認の人員を派遣する頃には生きている者は居まい。
朝方に俺=ギリは街に戻った。そして俺は元の姿で冒険者ギルドに報告に行ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる