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王都のQT
破軍の星(デストロイスター)
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王都東地区冒険者ギルドから西門を出るのに巡回馬車に乗って30分程、主に破軍の星のローリエだけと話をしていた。
ローリエは結構おしゃべりでクレソンは無口だったし、ベルクは口下手だった。
ローリエの話では最近、西の魔森での狩りがあまり上手く行っていないらしい。大物が狩れずホーンラビットやグレイウルフとかで凌いでいると言う。
「なんで西の魔森が活動地域なのにギルドに居たのか」
と聞いたところ、王都東地区冒険者ギルドに来ていたのはヨハンナさんに呼ばれたからだそうだ。
いつもは王都西地区冒険者ギルドを利用しているらしい。
王都の西門を出て、草原にやってきた。
草原のあちこちに低木があり、西の魔森はもっと遠くに見えた。
「じゃあ、キュウの実力を見たいからホーンラビットを探して狩って見て」
ローリエの要望に応えてホーンラビットを探す。
ヨークゼンは貿易街であまり近くに森とか無かったけど草原はあったので金稼ぎでに失敗した時は出掛けたことがある。結構小さい頃の話だ。あの頃は・・・ちょっと思い出すのは止めておこう。
身体を沈めて目凝らし音を聞く。時折吹く風に紛れてホーンラビットが跳ねているのを見つけた。あの低木の影の草むらだ。
あたしはゆっくり風下を探しながら近づくとホーンラビットはこちらに背を向けて風上の臭いを嗅いでいた。ヒクヒクと鼻を動かすのはうさぎそのものだ。
足元から小石を拾い、腰から短刀を抜く。小石をホーンラビットの前に投げてやるとぴょんとあたしの方に跳ねて来たところを短刀を突き刺して仕留める。一発で仕留められた。
ちょうど良い高さに跳ねたせいで首に短刀が突き刺さっている。
両足を掴み、短刀を横に引いて喉を掻っ捌くと血がドバっと出た。逆さにして血を垂らしながらローリエ達の方へ歩いていく。
まだ、血が垂れているホーンラビットを突き出すと
「こんな感じかな」
と言った。
クレソンは無表情だったがベルクとローリエはニコニコしていた。
「うん、うん。上出来よ。見てたけどこんなに早く仕留めてくるとは思わなかったわ。しかも毛皮も取れそうだし。クレソンにやらせると丸焦げにするし、ベルクだとグシャグシャになるのよ。あたしだとすぐ逃げられるから狩るのに苦労するのよ」
破軍の星はもっと大物を狩るからホーンラビット程度だと弱すぎて苦労するようだ。
「見てたけど上手に気配を消せるのね。何かスキルの効果でもあるの?」
自分の一般スキルは『スリ』『逃走』『擬態』で固有スキル『まねまね』だからどうなんだろう。
「良く分かんないけど違うと思う」
「・・・そう?草むらにキュウが溶け込んで見えなくなってたから、そう思ったんだけど」
「まぁ、何でも良いんじゃ?」
クレソンが不機嫌にローリエの疑問をぶった切る。
「そうよ、あれだけホーンラビットを見つけられるなら森の中でも直ぐに魔物を見つけてくれそうよ」
ベルクも褒めてくれる。
「キュウだけ見せるのも何だからあたし達の動きも見せるわね」
ローリエはそう言って走り出す。
金色のヘルムタイプの兜をかぶりながら、両腰から片手剣を抜くと革鎧の軽装だけに素早い回答動きで片手剣を振って見せる。
ズバッズバッ
と音を立てて草が飛び散る。剣舞のように動いて見せると戻ってきた。
「こんな感じよ、だいたい獲物はあたしが倒してるわ」
ローリエが攻撃の主体のようだ。
「じゃ、あたしゃこんな感じかな」
ベルクが両肩の盾を両手で持って草原を走る。余り早くは無いがぶち当たった草がちぎれとんで同じ高さに揃う。草刈りかと思うような状態だ。
ベルクがふうふう言う横で
「アタクシの魔法はこんな魔法よ」
クレソンの魔法は空気を操るのか突風が吹いたかも思うと、草むらの上側が凍りついた。更に他の方向からは乾燥した風が吹いて、氷を溶かし飛ばし、草が変色したかと思うと燃え上がった。再度、別の方向から風が炎を吹き消す。
なるほど器用に風を操るものだ。少し肩で息をしているので魔法量は多くないようだ。
「凄いなー、みんな。さすが、D級冒険者だよ」
あたしの褒め言葉に満更でもないようだ。ヨークゼンでの経験が生きてる。
「それじゃ、キュウは今日はこれまでにして。明日は森の中で狩りといこうか」
ローリエの言葉にみんなが頷く。
「キュウは午前の仕事が終わったら西門の前で待ってて、あたし達は食事したら行くから」
「了解!」
そう言ってみんなで王都迄戻って、あたしはみんなと別れてDの邸宅に帰った。
◆◆破軍の星視点◆◆
「どうかなって思ったけど、使えそうね」
ローリエの言葉にクレソンとベルクが頷く。
「かわいい割には斥候向きみたいだし」
ベルクの言葉に
「ワタクシの魔法にビビって無いのはちょっと癪よね。」
とクレソンが言う。
確かに度胸は良さそうだとローリエは思った。
手にはキュウが狩ったホーンラビットがあった。パーティメンバーにして貰える礼だというので受け取ったのだ。
まぁ銀貨1枚程度だが、大金を手に出来ない現状では少しでも収入が欲しい。
「ホーンラビット程度は要らないみたい」
ベルクが感慨深そうに言う。
王都東地区冒険者ギルドの副ギルドマスターのヨハンナに呼び出された時は何事かと思ったが思わぬ幸運だとローリエは考えた。
ローリエは結構おしゃべりでクレソンは無口だったし、ベルクは口下手だった。
ローリエの話では最近、西の魔森での狩りがあまり上手く行っていないらしい。大物が狩れずホーンラビットやグレイウルフとかで凌いでいると言う。
「なんで西の魔森が活動地域なのにギルドに居たのか」
と聞いたところ、王都東地区冒険者ギルドに来ていたのはヨハンナさんに呼ばれたからだそうだ。
いつもは王都西地区冒険者ギルドを利用しているらしい。
王都の西門を出て、草原にやってきた。
草原のあちこちに低木があり、西の魔森はもっと遠くに見えた。
「じゃあ、キュウの実力を見たいからホーンラビットを探して狩って見て」
ローリエの要望に応えてホーンラビットを探す。
ヨークゼンは貿易街であまり近くに森とか無かったけど草原はあったので金稼ぎでに失敗した時は出掛けたことがある。結構小さい頃の話だ。あの頃は・・・ちょっと思い出すのは止めておこう。
身体を沈めて目凝らし音を聞く。時折吹く風に紛れてホーンラビットが跳ねているのを見つけた。あの低木の影の草むらだ。
あたしはゆっくり風下を探しながら近づくとホーンラビットはこちらに背を向けて風上の臭いを嗅いでいた。ヒクヒクと鼻を動かすのはうさぎそのものだ。
足元から小石を拾い、腰から短刀を抜く。小石をホーンラビットの前に投げてやるとぴょんとあたしの方に跳ねて来たところを短刀を突き刺して仕留める。一発で仕留められた。
ちょうど良い高さに跳ねたせいで首に短刀が突き刺さっている。
両足を掴み、短刀を横に引いて喉を掻っ捌くと血がドバっと出た。逆さにして血を垂らしながらローリエ達の方へ歩いていく。
まだ、血が垂れているホーンラビットを突き出すと
「こんな感じかな」
と言った。
クレソンは無表情だったがベルクとローリエはニコニコしていた。
「うん、うん。上出来よ。見てたけどこんなに早く仕留めてくるとは思わなかったわ。しかも毛皮も取れそうだし。クレソンにやらせると丸焦げにするし、ベルクだとグシャグシャになるのよ。あたしだとすぐ逃げられるから狩るのに苦労するのよ」
破軍の星はもっと大物を狩るからホーンラビット程度だと弱すぎて苦労するようだ。
「見てたけど上手に気配を消せるのね。何かスキルの効果でもあるの?」
自分の一般スキルは『スリ』『逃走』『擬態』で固有スキル『まねまね』だからどうなんだろう。
「良く分かんないけど違うと思う」
「・・・そう?草むらにキュウが溶け込んで見えなくなってたから、そう思ったんだけど」
「まぁ、何でも良いんじゃ?」
クレソンが不機嫌にローリエの疑問をぶった切る。
「そうよ、あれだけホーンラビットを見つけられるなら森の中でも直ぐに魔物を見つけてくれそうよ」
ベルクも褒めてくれる。
「キュウだけ見せるのも何だからあたし達の動きも見せるわね」
ローリエはそう言って走り出す。
金色のヘルムタイプの兜をかぶりながら、両腰から片手剣を抜くと革鎧の軽装だけに素早い回答動きで片手剣を振って見せる。
ズバッズバッ
と音を立てて草が飛び散る。剣舞のように動いて見せると戻ってきた。
「こんな感じよ、だいたい獲物はあたしが倒してるわ」
ローリエが攻撃の主体のようだ。
「じゃ、あたしゃこんな感じかな」
ベルクが両肩の盾を両手で持って草原を走る。余り早くは無いがぶち当たった草がちぎれとんで同じ高さに揃う。草刈りかと思うような状態だ。
ベルクがふうふう言う横で
「アタクシの魔法はこんな魔法よ」
クレソンの魔法は空気を操るのか突風が吹いたかも思うと、草むらの上側が凍りついた。更に他の方向からは乾燥した風が吹いて、氷を溶かし飛ばし、草が変色したかと思うと燃え上がった。再度、別の方向から風が炎を吹き消す。
なるほど器用に風を操るものだ。少し肩で息をしているので魔法量は多くないようだ。
「凄いなー、みんな。さすが、D級冒険者だよ」
あたしの褒め言葉に満更でもないようだ。ヨークゼンでの経験が生きてる。
「それじゃ、キュウは今日はこれまでにして。明日は森の中で狩りといこうか」
ローリエの言葉にみんなが頷く。
「キュウは午前の仕事が終わったら西門の前で待ってて、あたし達は食事したら行くから」
「了解!」
そう言ってみんなで王都迄戻って、あたしはみんなと別れてDの邸宅に帰った。
◆◆破軍の星視点◆◆
「どうかなって思ったけど、使えそうね」
ローリエの言葉にクレソンとベルクが頷く。
「かわいい割には斥候向きみたいだし」
ベルクの言葉に
「ワタクシの魔法にビビって無いのはちょっと癪よね。」
とクレソンが言う。
確かに度胸は良さそうだとローリエは思った。
手にはキュウが狩ったホーンラビットがあった。パーティメンバーにして貰える礼だというので受け取ったのだ。
まぁ銀貨1枚程度だが、大金を手に出来ない現状では少しでも収入が欲しい。
「ホーンラビット程度は要らないみたい」
ベルクが感慨深そうに言う。
王都東地区冒険者ギルドの副ギルドマスターのヨハンナに呼び出された時は何事かと思ったが思わぬ幸運だとローリエは考えた。
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