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王都のQT
姦しい女達
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ヨハンナさんを交えての夕食は楽しいものになる筈だった。
アンナさんとヨハンナさんがお互いを意識して火花を散らしさえしなければ。
しばし、黙々と食べる二人にあたしも話しかけられない。だから
「ダリはDの事を知ってるの?」
「会ったことあるわよ。あっちはヴォルンタリ団長のおまけくらいにしか記憶は無いかも知れないけど」
「そうなんだ」
「ヴォルンタリ団長はDさんが傭兵だった時に出会ったらしいわ。何でもその時はまた違った呼び方されてたらしく良く間違えていたわ」
「どういうこと?」
「あたしも良く知らないけど、確か・・・シーザー・・Cって言ってたと思うわ」
「へー、本名じゃないのよね?・・じゃあDも?」
「らしいわよ。あたしが聞いたのは・・・ディアボロだった筈」
「ディアボロ・・ディアボロ。へー、ディアボロなんだぁ」
「「ディアボロ!!」」
驚ろいて振り向くとヨハンナさんとアンナさんが声を揃えて名前を言ったようだった。
アンナさんはともかく、ヨハンナさんが知らないの?と思った。あんなに仲が良いのに。
「何であんたが知らないのよ!付き合いは長いって言ってた癖に!」
アンナさんがヨハンナに嫌味を言う。あたしもその意見に賛成だ。
「だって、シーザー、Cって散々傭兵の時に言ってたのに冒険者になったら名前を変えてDとしか教えてくれないから・・・なのよぅ~」
はあ、職業を変える時に名前まで変えるなんて何でだろ?
ヨハンナさんは言い訳をする少女のように所在なさげに言う。アンナさんも不思議に思ったらしい。
「あんたはDが名前を変えた理由を知ってるの?なんかやらかしてるとか」
「そんな訳無いでしょ!傭兵シーザーと言ったら傭兵で識らない奴はいない筈よ!」
あたしとアンナさんがダリを見る。ダリは笑っていた。
「無謀のシーザーの二つ名で呼ばれていたそうですよ。それこそ逸話は数知れないみたい。」
「「無謀・・」」
ヨハンナさんとアンナさんの声がまた重なった。
「性格は変わらないのかしら」
アンナさんが言うと
「見境なしなのは昔から」
とヨハンナさんが言う。
「Dはずっとソロでやってるんですか?」
ヨハンナさんにあたしが聞いて見るとみんな興味があるのかヨハンナさんを見る。
「そうね、傭兵の時は違うと思うけど冒険者始めた頃はソロが多かったわ。しかも対人の依頼ばかり、盗賊討伐とかよね。」
「でも、ランクが低ければソロではやっていけない依頼もある筈だわ」
アンナさんが疑問を呈する。あたしがそうだ。冒険者として覚えなければならないことや自分では全てを出来ないから誰かを頼らざるを得ない。
「だから、結構無謀なことしてたのよ。見てるこっちが心配するようなことをね」
「ヨハンナさんはその頃のDを知ってる・・・」
アンナさんが羨ましそうにヨハンナさんを見る。
「あら、あたしだって冒険者ギルドの受付嬢だったのよ」
意外でもなんでもない話だがアンナさんはヨハンナさんの胸を見ている。アンナさんに負けず劣らない強力な胸だ。ダリはともかく、あたしを失意のどん底に落してしまう恐ろしい胸だ。
「Dによ、ヨハンナ・・さんは」
「ヨハンナで良いわよ。アンナ!」
「・・・そう?ヨハンナはDにナンパされたの?」
「・・・アンナはナンパされたのね。あたしはあたしから迫ったよの。強敵が居たから」
なんだろう、たいした話でない筈なのにこの二人にはとても大切な何かを競っている気がする。
話を逸らそう。
「Dって何でも出来ちゃいそうですもんね、ソロでも問題なかったんてすか?」
ヨハンナさんが教えてくれる。
「そうね、傭兵やってたから腕っぷしは強かったけど、それ以上に殺気を振り撒いてたからなかなか仲間を組めなかったというのもあったと思うわ」
「そうっすよ、傭兵は舐められたら終わりなんだから!」
蓮っ葉な言葉でダリが強調する。
「あの頃のDの仲間と言ったら・・・昔は冒険者だったけど今は傭兵団を率いてる『緋空旅団』のリーダーアラド兄弟とかゴルバルドかしら」
「アラド兄弟は今、確か北に行ってるよ!」
ダリが教えてくれる。
「あの二人って元冒険者なんだ!」
ダリも知らない事だったようだ。
「アラド兄弟とは亜竜討伐依頼とか受けて酒場で自慢してた事もあったわ」
ヨハンナさんが懐かしむように言った。
「そう言えばアンナはDの事知ってるのね。興味があるから聞いてるって感じじゃないわ」
疑るようにヨハンナさんがアンナさんに聞く。
「どうせ、直ぐに分かることだから言うわ。Dはあたしの男よ!」
宣言するようなアンナさんの言葉にヨハンナさんがジト目になる。
「へー、Dが一番最近抱いた女って訳ね。アンナはどうやってDと知り合ったのよぉ」
そこでアンナさんはリヒャルト領ダゾンの街にDが現れて色々とやった事を話始めた。出来るだけゴルバカ副街長の事は端折って話す。冒険者ギルドの受付嬢としての守秘義務の範囲内で、如何にDが自分にご執心なのかをヨハンナさんに訴える。
そりゃあもう、アンナさんにとってDが王子様のようだ。
「へー、それでアンナがハサイエル侯爵の娘だってDは知ってるの?」
「え?ヨハンナはあたしのこと知ってるの?」
ヨハンナさんがアンナさんの事を知っているのが意外だったようだ。
アンナさんとヨハンナさんがお互いを意識して火花を散らしさえしなければ。
しばし、黙々と食べる二人にあたしも話しかけられない。だから
「ダリはDの事を知ってるの?」
「会ったことあるわよ。あっちはヴォルンタリ団長のおまけくらいにしか記憶は無いかも知れないけど」
「そうなんだ」
「ヴォルンタリ団長はDさんが傭兵だった時に出会ったらしいわ。何でもその時はまた違った呼び方されてたらしく良く間違えていたわ」
「どういうこと?」
「あたしも良く知らないけど、確か・・・シーザー・・Cって言ってたと思うわ」
「へー、本名じゃないのよね?・・じゃあDも?」
「らしいわよ。あたしが聞いたのは・・・ディアボロだった筈」
「ディアボロ・・ディアボロ。へー、ディアボロなんだぁ」
「「ディアボロ!!」」
驚ろいて振り向くとヨハンナさんとアンナさんが声を揃えて名前を言ったようだった。
アンナさんはともかく、ヨハンナさんが知らないの?と思った。あんなに仲が良いのに。
「何であんたが知らないのよ!付き合いは長いって言ってた癖に!」
アンナさんがヨハンナに嫌味を言う。あたしもその意見に賛成だ。
「だって、シーザー、Cって散々傭兵の時に言ってたのに冒険者になったら名前を変えてDとしか教えてくれないから・・・なのよぅ~」
はあ、職業を変える時に名前まで変えるなんて何でだろ?
ヨハンナさんは言い訳をする少女のように所在なさげに言う。アンナさんも不思議に思ったらしい。
「あんたはDが名前を変えた理由を知ってるの?なんかやらかしてるとか」
「そんな訳無いでしょ!傭兵シーザーと言ったら傭兵で識らない奴はいない筈よ!」
あたしとアンナさんがダリを見る。ダリは笑っていた。
「無謀のシーザーの二つ名で呼ばれていたそうですよ。それこそ逸話は数知れないみたい。」
「「無謀・・」」
ヨハンナさんとアンナさんの声がまた重なった。
「性格は変わらないのかしら」
アンナさんが言うと
「見境なしなのは昔から」
とヨハンナさんが言う。
「Dはずっとソロでやってるんですか?」
ヨハンナさんにあたしが聞いて見るとみんな興味があるのかヨハンナさんを見る。
「そうね、傭兵の時は違うと思うけど冒険者始めた頃はソロが多かったわ。しかも対人の依頼ばかり、盗賊討伐とかよね。」
「でも、ランクが低ければソロではやっていけない依頼もある筈だわ」
アンナさんが疑問を呈する。あたしがそうだ。冒険者として覚えなければならないことや自分では全てを出来ないから誰かを頼らざるを得ない。
「だから、結構無謀なことしてたのよ。見てるこっちが心配するようなことをね」
「ヨハンナさんはその頃のDを知ってる・・・」
アンナさんが羨ましそうにヨハンナさんを見る。
「あら、あたしだって冒険者ギルドの受付嬢だったのよ」
意外でもなんでもない話だがアンナさんはヨハンナさんの胸を見ている。アンナさんに負けず劣らない強力な胸だ。ダリはともかく、あたしを失意のどん底に落してしまう恐ろしい胸だ。
「Dによ、ヨハンナ・・さんは」
「ヨハンナで良いわよ。アンナ!」
「・・・そう?ヨハンナはDにナンパされたの?」
「・・・アンナはナンパされたのね。あたしはあたしから迫ったよの。強敵が居たから」
なんだろう、たいした話でない筈なのにこの二人にはとても大切な何かを競っている気がする。
話を逸らそう。
「Dって何でも出来ちゃいそうですもんね、ソロでも問題なかったんてすか?」
ヨハンナさんが教えてくれる。
「そうね、傭兵やってたから腕っぷしは強かったけど、それ以上に殺気を振り撒いてたからなかなか仲間を組めなかったというのもあったと思うわ」
「そうっすよ、傭兵は舐められたら終わりなんだから!」
蓮っ葉な言葉でダリが強調する。
「あの頃のDの仲間と言ったら・・・昔は冒険者だったけど今は傭兵団を率いてる『緋空旅団』のリーダーアラド兄弟とかゴルバルドかしら」
「アラド兄弟は今、確か北に行ってるよ!」
ダリが教えてくれる。
「あの二人って元冒険者なんだ!」
ダリも知らない事だったようだ。
「アラド兄弟とは亜竜討伐依頼とか受けて酒場で自慢してた事もあったわ」
ヨハンナさんが懐かしむように言った。
「そう言えばアンナはDの事知ってるのね。興味があるから聞いてるって感じじゃないわ」
疑るようにヨハンナさんがアンナさんに聞く。
「どうせ、直ぐに分かることだから言うわ。Dはあたしの男よ!」
宣言するようなアンナさんの言葉にヨハンナさんがジト目になる。
「へー、Dが一番最近抱いた女って訳ね。アンナはどうやってDと知り合ったのよぉ」
そこでアンナさんはリヒャルト領ダゾンの街にDが現れて色々とやった事を話始めた。出来るだけゴルバカ副街長の事は端折って話す。冒険者ギルドの受付嬢としての守秘義務の範囲内で、如何にDが自分にご執心なのかをヨハンナさんに訴える。
そりゃあもう、アンナさんにとってDが王子様のようだ。
「へー、それでアンナがハサイエル侯爵の娘だってDは知ってるの?」
「え?ヨハンナはあたしのこと知ってるの?」
ヨハンナさんがアンナさんの事を知っているのが意外だったようだ。
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