無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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王都のQT

襲撃

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QTがバーライトの爺さんと会うまではまだ時間があった。
約束を確かなものにする為にアンナが協力してくれるとDの名を冠する俺は思いお気楽だった。


◆◆ゾラ視点◆◆
王都にはすんなり着いた。
派生スキル『人化』によってジルを人の姿に変える。
このスキルはゾラの固有スキル『獣化』から生まれたものだった。

ゾラの父親はある高位の貴族の庶子として生まれた。要らない子として始末されるはずだったがその貴族の暗部が貰い受けた。暗部に向いた才能があったせいでメキメキと地位を上げて、とうとうその暗部の頂点にまで上り詰めた。父親のスキルは人が為せる行動を超えて暗部の仕事を熟せたからだ。
それが高位の貴族の気に入り、騎士爵まで手に入れる。ゾラの父親は更に自分の地位を盤石なものにしようと魔族の娘を捉え、子供を成した。それがゾラだった。

魔族は魔力が高く、魔法に長ける。その力を利用しようと考えたのだ。母親を人質としてゾラは父親の言うことを聞いた。自分が何のために産まれてきたのか得々と父親に聞かされ、母親の為に生きろと強要された。
そして、ゾラは暗部の実力者に鍛え上げられ成人の儀を迎える頃にはその暗殺の身体能力の実力で恐れられるまでになっていた。そして成人の儀で得たのが固有スキル『獣化』だった。スキルで獣になったゾラは魔力を扱えた。身体強化はもちろん、魔族特有の魔法さえ、その姿で使えたのだ。父親は狂喜乱舞した。
だが、ゾラの心は父親に対する憎悪で染まっていた。実質祖父に当たる高位の貴族は甘い言葉で父親を下剋上するよう唆した。

ゾラは祖父の後ろ盾で父親を殺し、暗部を取り仕切るようになった。だが、固有スキルの弊害か、他者をいたぶり、その苦しみを喜ぶ女となった。
固有スキル『獣化』は自分に使うだけでなく、他人にも使える事を知ると奴隷から市井の人々まで、あらゆる歪んだ女性を『獣化』させるようになった。特にゾラに忠誠を近い、力を持つ者たちをクロウと呼び、組織の男たちを手下にさせた。

そして派生スキル『人化』で魔物を人に変える力まで得てしまった。スキルで姿を変えただけでは人の姿の魔物でしかないが、高い能力を備えた魔物は人化すると言葉を覚え、ゾラと同じような嗜好を持った。すなわち弱者、特に美しい女性をいたぶる事に喜びを覚えるようになったのだ。
その最初の魔物がジルスターであるジルだった。雌のジルスターを集め、餓えさせてから互いに戦わせ、最強のジルスターはジルスターという魔物を超えた存在となった。その最強の魔物のジルスターが人化したのがジルだった。人の理想体型と言える八頭身を持ち、身体はジルスターの皮膚が貼り付いたのような強靭な色艶をしていて、靭やかで美しかった。
ゾラでさえ嫉妬心が起きそうな姿であった。

ゾラはジルに命じ、クロウの1人、グレイラットのグレイクロウに王都でQTを探させる。王都ではアジトはあっても手足となる男共は少なかったので、グレイクロウは魔物としての能力で都市部に住むグレイラットに命令し、王都を隅々まで調べ尽くした。そして、王都東地区冒険者ギルドとDの屋敷でQTを見つけた。その知らせをジルはゾラにすると一つの命令を受けた。
QTの拉致である。
ジルは嬉々としてグレイクロウを伴ってDの屋敷に向かった。ヨークゼンの街のアジトで目の前のQTを見た時から虜に成っていた。この娘を甚振りたい。
QTを放置して逃げてからずっと心残りだったのだ。

◆◆チッチェ視点◆◆
最近、庭師のブロワから苦情が出た。何でも見かけないグレイラットがうろちょろしているようだと言うのだった。
チッチェもブロワも家妖精シルキーであり、家に出入りするグレイラットと云えども悪ささえしなければ面倒を見る。だから他所から入ってくるグレイラットと言えども直ぐに分かるのだった。

確かに夜になってからあちこちにグレイラットの影があった。
 グレイラットとは灰色ネズミという小動物の魔物である。魔物と言っても魔物らしい力は繁殖力が高く死ににくいと言うことだけだ。都市部においては普通のねずみと違うのはその大きさと魔力を纏っていることだ。だから、魔力を感知出来るものだけが見分けることが出来る。
Dの邸宅の周りに時間が経つに連れてグレイラットが増えていく。

Dが飲みに行くと言うので仕事を終えたヨハンナもアンナも帰らず、Dと共に王都に繰り出している。だから、Dの邸宅にいるのはQTと家精霊シルキーたちしかいない。

 QTが今日あった森での狩りの話を楽しくチッチェにする。D級の破軍の星デストロイスターの仲間の話をするQTの顔は笑顔だ。
この人がご主人様に連れられてこの家で幸せで居られることにチッチェは満足した。

◆◆QT視点◆◆
突然死、チッチェの顔が硬直した。
バリバリと音を立てて割れ、飛び散る破片。
そこへ大量のグレイラットが押し寄せて来た。

咄嗟に身構えたが食事の後のまったりタイムだったから獲物は手元に無かった。そしてあたしは魔法が使えなかった。
硬直から解けたチッチェの姿を消すと、二人の異様な姿の女が屋敷に踏み込んで来た。

身体にピッタリとした魔物の皮膚のような服を着た背の高く、目が釣り上がった長身の女。
チッチェと同じくらいの背の高さで真ん丸な身体をしたねずみ顔の女。

「ヒッヒッヒ、お前がQTだね。迎えに来たよ」
ねずみ顔の女が嫌らしい声で言った。
隣の長身の女はあたしを舐め回すように見た。
「あんたはあたしが可愛がってあげる。」

長身の女の振り回した鞭に絡め取られ痛みにあたしは気を失った。


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