無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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王都のQT

変身

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気がつくとあたしは縛られてベッドに横になっていた。
横になったあたしの横には魔物姿のジルが居た。ベッドサイドに座り舐めるように見詰める瞳は怪しく輝いていた。

ザラリ
ジルがあたしの頬を舐めた。ざらつく舌は頬を傷つけながら粘液が付着する。

「うっ!」
あたしの苦痛の声に更に魔物姿のジルが瞳を輝かせて愉悦を見せる。

「そのくらいにしておきなさい、ジル」
ゾラの声にあたしは首を回してそちらを見た。どうやら何処かの屋敷のベッドに手足を括り付けられているらしい。
低く唸って不満を表明したジルがゾラの言うことを聞き、ベッドから降りた。

よく見ると部屋の隅にジルと一緒に現れたグレイラットのようなねずみ顔の女が控えていた。どうやらあたしは攫われたらしい。
「あたしをどうする積り?あたしなんか誘拐しても金にならないよ!」
「ククク、だろうねぇ。でも今回は違うのさ。別口であんたに用がある方が居るんだよぉ、フフフ」

ゾラの言っている意味は分らないが殺される訳では無さそうだった。だから、殺される前に逃げ出さないと。
ゾラが近づき、その妖しい瞳が輝くと身を竦められたように動きが鈍った。ゾラが屈み込んであたしの服のボタンを爪で弾いて胸を曝け出した。手足が括り付けられているので胸を覆い隠せなくて顔をそむけた。
「ここに、印があるってことは間違いなくハニー家の一族ってことらしいねぇ」

ゾラが胸の谷間のハート型の痣を見詰める。
小さい時からある痣で育ての母親はこれが貴族の証明になるから滅多のことで肌を晒してはいけないと言っていた。Dの話でもあたしは伯爵家の孫らしいし、ホントの事なんだと実感した。

ふぅとゾラが痣に吐息を掛ける。ぞわぞわ~と怖気が身体を走った。その様子をゾラが見て妖しく笑う。
「うふふふ、あの方に渡さなくてもハニー家から身代金がせしめられそうだよ。」

教えなくても良いのについ答えてしまった。
「あたしはハニー家の人間だと認められてるわけじゃ無いよ!身代金なんか貰えると思うな!」
「あははは、この痣が何よりの証拠。ハニー家が認めない訳が無いさ。」

自信があるのかゾラは嬉しそうに言う。
「たとえ、認められなくてもQT、あんたをあたしのものにしても良いんだよ、ふぅ」

ゾラが再び痣に息を吹きかける。そして、何を思ったのか指先で痣の部分に魔力を掛け始めた。
あたしの全身に痺れるような痛みが走った。身体をのけ反らせ細かくうち震えるQTを見て愉悦にゾラは顔を歪めた。ゾラには僅かな時間だったろうがあたしにとっては長い拷問のようだった。ゾラの指が離れると痛みが引き、QTの身体が弛緩する。
ゾラの行為にジルが抗議するようにべとりと痣を舐めた。ザラザラが痛くてあたしは無意識に身をよじった。その後ジルは何が気に入ったのかQTの肌が出ている部分をベロベロ舐め回した。
あたしは就寝前の子供のパジャマのような服を着ていて、武器になるようなものは何も身に着けていない。
ひとしきりジルが舐め回すのをうっとりと見ていたゾラはジルを連れて、部屋の隅でうつらうつらしていたねずみ顔の女にしっかり見張っているよう命令して部屋を出ていった。

ボタンを飛ばされ開け広げられた胸に焼け付くような痛みを感じながら何とか逃げ出す方法をあたしは考えていた。
最近はD級の破軍の星デストロイスターで魔物狩りを進めてるいるお陰で体力も付いたし、自分のスキルも上手く活用出来るようになってきた。特にスキル『まねまね』『擬態』は優秀で狩りの獲物の魔物に気づかれずに近づけるようになったし、気を引いて必要な数だけを引き連れて誘き寄せることも出来るようになった。短剣という得物の扱いやパーティリーダーのローリエから体術も学んでいた。だからこの拘束さえなんとかできれば部屋の隅のねずみ顔の女ぐらい何とかなる。

ただ、手足を拘束している魔物革は手首足首をきっちり締付けていて緩む事はないようだし、繋がれた鎖も丈夫そうな鉄製だった。余程の力がない限り鎖を引き千切れないだろう。万事窮すかと考えていると胸の痣の部分が何か熱い。意識すればするほど熱く感じる。ここから逃げなくてはという思いと熱くて苦しいという思いで意識が飛ぶ予感がした時それは起こった。

◆◆グレイクロウ視点◆◆
うつらうつらしていたグレイクロウはその光を見て目を見張った。ベッドで拘束されている小娘の身体が光り、みるみるその姿を変え、やがて光が収まる。それはグレイクロウの天敵の姿をしていた。金色じみた茶色の毛に包まれた雌の猫だった。

大きめの猫は自身の姿を訝しがりながらも拘束が解けて居ることに気づくと、グレイクロウを睨んだ。

「ニャア!」
叫び声と共に飛び掛ってきた。隙かさず体を回して避けるが、壁を蹴ってグレイクロウに再び襲いかかった。

転がって逃げるとグレイクロウは大きめの猫を睨んだが、向こうの迫力の方が上だった。ふぅ~と息をする姿に声も出せずに萎縮する。
遥かにグレイクロウより小さな身体の猫パンチを食らって、グレイクロウは頭をか抱えて蹲った。

暫くその状態でいたが攻撃は来なかった。不思議に思い、頭を上げて見ると、小娘が服を着ていた。それでグレイクロウは小娘が獣化して拘束を解いて再び人に戻ったのだと気づいた。逃したらゾラ様に叱られる!
「こ、このぉ!」

腰の鞭を取り出し、小娘に当てようと振りかぶると、小娘が素早い動きで振りかぶった腕を掴み、顔に蹴りを入れてきた。
「ぐわっ!」

のけ反ったグレイクロウの喉元を小娘の蹴りが入った。飛ばされる事はなかったが後ろに蹈鞴を踏むと喉を庇ってしまった。
「ゲホ、ゲホ・・」

咽て屈んでいるところを小娘の上段からの踵落としを食らってグレイクロウは床に這いつくばって、意識を飛ばした。




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