無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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戦争と冒険者D

#翼竜艇__ドラゴンラダー__#試作機

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何故か

それは金が掛かりすぎたからだ。
試作複葉機は魔石の塊と言えた。翼の全面に並べられた風の魔石の数はおおよそ100個、金額にして金貨10枚くらいだ。
それが一回の飛行で失われる。
そして飛び上がって飛行出来る時間は長くて15分程度、航続距離は2000m程度だ。とても飛行速度は低い。初飛行ではヨタヨタ飛んだのを記憶しているぞ。

軍属関係の貴族はその結果を聞いて天を仰いた。そして支援を切ると言い出したのを俺が何とか宥めて支援額は少なくなったが続けさせたのだ。きっと俺の顔を立ててくれたのだろう。
だが俺は満足していた。だって、俺のアイデアを実現する奴らだぞ。まだ、諦めるには早いと俺は踏んでいたのだ。

それは、錬金術師のランドルトの推進機=ジェットエンジンに期待していたからだ。エンジンの素材には魔鋼が使われた。
この素材は錬金術に良く使われるもので魔力を加えることで好きな形に加工が出来る優れものだ。しかもランドルトによれば熱に対する耐性も強度も上げられるのだ。

ランドルトが作った構造はターボファンエンジンと変わらない。吸気を2系統に分け、圧縮、燃焼系統と燃焼による熱の空冷の系統にして、排気時に合体させて推力を得るのだ。
通常は燃焼に航空機燃料という添加物を加味した高品質なガソリンを使うのだがこの世界にそんなものは無い。だから魔力と魔石を使う。

燃焼には炎の魔石と風の魔法を使う事で代用し、魔力供給には空の魔石を使うのだ。魔石に含まれる魔力は大きさや色の濃さなどに影響されるようだが俺は魔石を触媒なのだと考えている。その考えを形に成したのがランドルトなのだ。

試作機はまだ小さくて直径50cm長さ2m弱だった。だが確かに回転して燃焼炎を吹き出して見せた。推力は測りようが無かったがおよそ10馬力程度だろうか、固定台座が壊れて危うく実験施設が火事になるところだった。
まずまずの成果だった。ただ、これをこのまま複葉機に乗せても効率が悪すぎる。

俺は錬金術師のランドルトに大型化を推奨した。直径1m長さ5m強の大きさは現代戦の戦闘機に積まれるエンジンとほぼ同等の大きさになる。吸気量およそ毎分2㎥、毎分15000回転の出力は試作機の10倍という脅威の能力だ。これが2機も複葉機に積まれ後の翼竜艇ドラゴンラダーの試作機が生まれた。

試験時にパイロットになったのはコングことアラド兄弟の兄ルクランだ。推進力をジェットエンジンが担保し、揚力発生とコントロールを風の魔石が受け持つ怪物は物凄い轟音と共に前進し、石畳の街道を驀進し、遂にはパイロットの乗る複葉機部分を置いてきぼりにして5km先まで飛んで行った。
見守るローリン達は驚天動地し、俺は爆笑した。

まぁジェットエンジンを支える複葉機の強度不足だよな。アラド兄弟の弟ローリンの細工屋としての技術は木製の家具やら柵やらを作るスキルを元にしているから綺麗な曲線を描く形状を作るのには向いている。その興味が複葉機という大型のものに変わっただけだから強度という考えが足りなかったんだろう。

それからは錬金術師のランドルトと細工屋のローリンが頭を突き合せてあーだこーだする姿を良く見掛けた。俺は口を出さないようにしていた。

そんなことで半年くらい掛かってやっと試作2号機が出来たのだが、かなり洗練されていた。操縦席から魔力を魔石まで流すのに魔銀ミスリルの細線が使われるのだがそれがセンス良く機体を這っている。複葉機の羽根の部分からはかなり風の魔石は減っていたが均等に配置されていた魔石が羽根の先端にいくに連れ増え、羽根の上にまで配置されていた。
美しいとさえ言える芸術に仕上がっていた。

複葉の羽根も同じ位置でなく前後にズレ、揚力の干渉を防ぐように考慮されているようだ。
胴体は前はただの円柱だったが気体の流れを考慮したのかずんぐりむっくりとなり、単独で搭乗するのではなくなっていた。

それを見て、ああと独り言ちた。
別の時に錬金術師のランドルトが飛行する道具で他に何か無いかと聞いてきたのでハンググライダーの話をした。翼竜のように高い空を滑空する道具としての飛行具の説明だった。これをヒントにして魔導具を新たに開発していた。

アラド兄弟の弟ローリンが複葉機に夢中になっている間に兄のコングも傭兵団の部下を増やしていた。部下たちはコングと一緒になって魔物狩りをして稼いだ。たけど、彼等が稼いた金も俺が渡した金も試作機にどんどん融けて行ったけどな。

試作2号機は傭兵を乗せるつもりなのだ。だから機体形状がずんぐりむっくりしていたのだった。その時の俺はどこまでランドルト達はやってくれるのだろうと期待でワクワクしていた。。

ちなみに俺が言ったハンググライダーは翼竜の翼を再利用されていて傭兵が腰部分まで魔導具に組み込まれる形のものでかなりの異形だ。それが洗練されて最終的には翼竜闘士ドラゴングラデュエータとなった。

アラド兄弟の傭兵団は戦いの方法を大きく変える魔導具を錬金術師のランドルトと作り上げたのだった。空を駆け、如何なる場所でも傭兵を送り込み、護りの薄い上空から攻撃を仕掛ける。

こうして、無敵とは言えないが莫大な金の掛かる恐ろしい傭兵団『緋空旅団』が誕生したのだった。





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