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戦争と冒険者D
刺客
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伸したチンピラの内の一人の襟首を掴み、ビンタを食らわせる。痛みに目を冷ました男に俺は言った。
「てめえ等は何処のどいつだ?」
ぶるぶる震えて歯がカタカタ当たってまともに喋れそうに無かった。もう一度パンチを食らわせて放り出し、コングの方を見ると無茶苦茶に顔が腫れた大男の上でゲロを吐いてコングが寝ていた。
コングを揺すって起こす。
「おい!起きろ!」
ふにゃふにゃ変なうわ言を言って起きそうも無かったので仕方なくコングを背負い、拠点まで歩くことにした。そんなに遠く無い筈なのに矢鱈と遠く感じる。コングの重さにフラフラしながら拠点の倉庫に着くとそこにも男達が倒れていた。倉庫の前にはローリンと『緋空旅団』の仲間達が居た。
ローリンに近づくと声を掛けられた。
「また、兄貴は潰れてんのかよぉ」
「ああ、それよりこれはどうした?」
ローリンが倒れている男達を見て言う。
「こいつらは戦争反対派の奴らだよ」
「は?」
俺はコングを団員達に預けながら聞き返す。
「何だか知らんが一ヶ月ほど前からこのヘゼワントにやって来始めて俺達『緋空旅団』の邪魔をしやがる。傭兵でも無く、冒険者でもねえ一般市民らしい。それぞれは商会に属する者や店の雇われ者や浮浪者らしいんだがな。」
「は?ヘゼワントの街長はどうしてんだ?陳情くらいしてるんだろ?」
「そりゃまぁ、街長のマクシミリアン様には話を通してあるけど、放逐できねえんだと」
「は?なんでぇ?治安維持の為には騎士団を使って街から追い出せるだろう?」
ローリンが他所を向いて頭を掻く。
「なんでも第11王子のゴーマン様のお達しで禁止されてるそうなんだ。」
「あん?んなこと言ってもこいつら全部殴り倒してんじゃねえか!」
「不可抗力や防衛は良いんだとさ、だから倉庫の中に入ろうとしたこいつらは殴り倒した訳だ。」
俺は少し考えて言った。
「なんか、出来すぎてんな?」
「ああ、俺もそう思うぜ」
夜の寒さが身に沁みてきたので俺達は倒れている連中をそのままに倉庫の中に入った。騒ぎがあったんだからそのうち警邏がやって来て何とかするだろう。聞けば何度も起きてる事だが、今日は人数が多かったらしい。
いつものことなのか気にもせず団員も手伝いに戻る。錬金術師ランドルト達は外の騒動にも構わず仕事をしていたらしいが、俺の声が聞こえたのか姿を見せた。
「どうした?でぃー」
そこでローリンに聞いた話をするとなんか分かった顔をした。
「何か知ってんのか?ランドルト」
「ああ、王都でも騒ぎが有ったからな。騒ぎそのものは一年くらい前からあったぞ。一ヶ月前ったら第11王子のゴーマンが姿を見せなかった頃だな。」
様を付けずに言い放つランドルトは不敬罪と言われても仕方ないがそれ程軽蔑してるのだろう。
「アイツラは口だけだ。気持ちも行動も伴ってねえ。あんのは自分の利益だけだ。」
「でもよぉ、王子様だから逆らえねぇのがなぁ~」
ローリンも気持ちは同じようだ。
「そんで、全体改修の調子はどうだ?」
ランドルトに言ったがローリンも苦い顔をする。
「あぁ、それがなぁ。」
「バラしたけど竜骨に罅があるんだと」
竜骨とは翼竜艇の背骨みたいな物で艇体の基本となる部分でこいつの強度で艇の強度が決まるのは船と同じだ。
「仕方ないから修復魔法を今晩一晩中掛けて治す。それまでは俺は寝る。」
「おいおい、大丈夫かよ。」
「大丈夫だぜ、翼竜闘士の方はランドルトの弟子達が対応してくれてる。」
ローリンがそう言うならそうなのだろう。いずれにせよ、俺に出来ることは戦場で暴れることだけだからな。
「じゃあ、休むか」
俺の言葉にそれぞれ自室に戻る。俺はランドルトの部屋の隣に用意された部屋に入る。服をインベントリに入れて全裸になって、洗浄魔法で体を洗う。インベントリから出した部屋着を着てそのままベットに潜り込んだ。
夜明けに近い時間に何故か目が覚めた。しょんべんでも行くかと部屋を出て、ランドルトの部屋の前を通ると何故か少し開いて、細い光が漏れていた。みしりと音がする。
ランドルトが寝返りでも打ったのだろうかと普通は思う所だが、あいつは寝たら微動だにしない。イビキはかくが。
俺はスキルを使ってそっとドアを開ける。薄ぼんやりした燭台の魔導具の光に照らされたベットには口を開けてイビキをかくランドルトが寝ていた。
普通に異常が無いように見える。少し屈んでいた背を伸ばし、スキルを使ったままランドルトに近づく。音もなく近づく俺は真上からランドルトの顔を見る。ドワーフの寝顔はどう見ても可愛くねえ。愛嬌くらい持ってやがれと心の中で毒づきながら俺はノーモーションで部屋の隅の家具の横にキックを食らわす。これで何もなかったら寝ているドワーフの部屋で馬鹿やっている男だが、俺の足は人を蹴る弾力を感じた。
素早く近づくと暗闇が影を纏うように人影が滲み出た。前屈みになったそいつの胸に俺の右ショートパンチが突き刺さる。
突き・・弾力を持って跳ね返された!そいつの弱い左パンチを掻い潜り、左フックで後頭部を殴る。
ドタンと大きな音を立てて黒い衣装の不審者がうつ伏せに床に倒れ込む。
少し離れて様子を見るが低く呻くだけで立ち上がる様子がない。
倒れている不審者を足でドアの方に蹴り転がすと仰向けになった不審者の胸が盛り上がって居るのが見えた。
「てめえ等は何処のどいつだ?」
ぶるぶる震えて歯がカタカタ当たってまともに喋れそうに無かった。もう一度パンチを食らわせて放り出し、コングの方を見ると無茶苦茶に顔が腫れた大男の上でゲロを吐いてコングが寝ていた。
コングを揺すって起こす。
「おい!起きろ!」
ふにゃふにゃ変なうわ言を言って起きそうも無かったので仕方なくコングを背負い、拠点まで歩くことにした。そんなに遠く無い筈なのに矢鱈と遠く感じる。コングの重さにフラフラしながら拠点の倉庫に着くとそこにも男達が倒れていた。倉庫の前にはローリンと『緋空旅団』の仲間達が居た。
ローリンに近づくと声を掛けられた。
「また、兄貴は潰れてんのかよぉ」
「ああ、それよりこれはどうした?」
ローリンが倒れている男達を見て言う。
「こいつらは戦争反対派の奴らだよ」
「は?」
俺はコングを団員達に預けながら聞き返す。
「何だか知らんが一ヶ月ほど前からこのヘゼワントにやって来始めて俺達『緋空旅団』の邪魔をしやがる。傭兵でも無く、冒険者でもねえ一般市民らしい。それぞれは商会に属する者や店の雇われ者や浮浪者らしいんだがな。」
「は?ヘゼワントの街長はどうしてんだ?陳情くらいしてるんだろ?」
「そりゃまぁ、街長のマクシミリアン様には話を通してあるけど、放逐できねえんだと」
「は?なんでぇ?治安維持の為には騎士団を使って街から追い出せるだろう?」
ローリンが他所を向いて頭を掻く。
「なんでも第11王子のゴーマン様のお達しで禁止されてるそうなんだ。」
「あん?んなこと言ってもこいつら全部殴り倒してんじゃねえか!」
「不可抗力や防衛は良いんだとさ、だから倉庫の中に入ろうとしたこいつらは殴り倒した訳だ。」
俺は少し考えて言った。
「なんか、出来すぎてんな?」
「ああ、俺もそう思うぜ」
夜の寒さが身に沁みてきたので俺達は倒れている連中をそのままに倉庫の中に入った。騒ぎがあったんだからそのうち警邏がやって来て何とかするだろう。聞けば何度も起きてる事だが、今日は人数が多かったらしい。
いつものことなのか気にもせず団員も手伝いに戻る。錬金術師ランドルト達は外の騒動にも構わず仕事をしていたらしいが、俺の声が聞こえたのか姿を見せた。
「どうした?でぃー」
そこでローリンに聞いた話をするとなんか分かった顔をした。
「何か知ってんのか?ランドルト」
「ああ、王都でも騒ぎが有ったからな。騒ぎそのものは一年くらい前からあったぞ。一ヶ月前ったら第11王子のゴーマンが姿を見せなかった頃だな。」
様を付けずに言い放つランドルトは不敬罪と言われても仕方ないがそれ程軽蔑してるのだろう。
「アイツラは口だけだ。気持ちも行動も伴ってねえ。あんのは自分の利益だけだ。」
「でもよぉ、王子様だから逆らえねぇのがなぁ~」
ローリンも気持ちは同じようだ。
「そんで、全体改修の調子はどうだ?」
ランドルトに言ったがローリンも苦い顔をする。
「あぁ、それがなぁ。」
「バラしたけど竜骨に罅があるんだと」
竜骨とは翼竜艇の背骨みたいな物で艇体の基本となる部分でこいつの強度で艇の強度が決まるのは船と同じだ。
「仕方ないから修復魔法を今晩一晩中掛けて治す。それまでは俺は寝る。」
「おいおい、大丈夫かよ。」
「大丈夫だぜ、翼竜闘士の方はランドルトの弟子達が対応してくれてる。」
ローリンがそう言うならそうなのだろう。いずれにせよ、俺に出来ることは戦場で暴れることだけだからな。
「じゃあ、休むか」
俺の言葉にそれぞれ自室に戻る。俺はランドルトの部屋の隣に用意された部屋に入る。服をインベントリに入れて全裸になって、洗浄魔法で体を洗う。インベントリから出した部屋着を着てそのままベットに潜り込んだ。
夜明けに近い時間に何故か目が覚めた。しょんべんでも行くかと部屋を出て、ランドルトの部屋の前を通ると何故か少し開いて、細い光が漏れていた。みしりと音がする。
ランドルトが寝返りでも打ったのだろうかと普通は思う所だが、あいつは寝たら微動だにしない。イビキはかくが。
俺はスキルを使ってそっとドアを開ける。薄ぼんやりした燭台の魔導具の光に照らされたベットには口を開けてイビキをかくランドルトが寝ていた。
普通に異常が無いように見える。少し屈んでいた背を伸ばし、スキルを使ったままランドルトに近づく。音もなく近づく俺は真上からランドルトの顔を見る。ドワーフの寝顔はどう見ても可愛くねえ。愛嬌くらい持ってやがれと心の中で毒づきながら俺はノーモーションで部屋の隅の家具の横にキックを食らわす。これで何もなかったら寝ているドワーフの部屋で馬鹿やっている男だが、俺の足は人を蹴る弾力を感じた。
素早く近づくと暗闇が影を纏うように人影が滲み出た。前屈みになったそいつの胸に俺の右ショートパンチが突き刺さる。
突き・・弾力を持って跳ね返された!そいつの弱い左パンチを掻い潜り、左フックで後頭部を殴る。
ドタンと大きな音を立てて黒い衣装の不審者がうつ伏せに床に倒れ込む。
少し離れて様子を見るが低く呻くだけで立ち上がる様子がない。
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