無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

文字の大きさ
72 / 159
戦争と冒険者D

ドアン•エッテンベルク

しおりを挟む
俺はインベントリから荒縄を取出してその不審者を縛り、顔を覆っていた覆面を外すと少し幼い女の顔が出てきた。
「やっぱりな」

暫くしてドタドタとローリンと団員達がやって来た。俺と転がっている不審者を見てローリンが言う。
「D、何があった?」
「ランドルトの部屋に忍び込んでた奴が居た。身包み剥いで無いから目的は分からんが刺客かもな」

その言葉にローリンの目が釣り上がる。不審者に近づくといきなり頭に蹴りを入れる。
「良い度胸だぜ!此処に忍び込んだ腕は褒めてやるがランドルトを狙った事は許せねえ!」

薄っすら意識を取り戻していたらしい不審者(女)の意識が刈り取られる。ローリンがおいと団員に声を掛けてランドルトの部屋から運び出して行くのを見て、振り返ってランドルトを見るとイビキを掻いてまだ寝ていた。
そういや、こいつは熟睡タイプだったなと思いながら、ランドルトの部屋を出てローリン達の後を追った。


◆ギルーラ•エッテンベルク視点◆
ギルーラは幼い頃からお人好しだった。父親は男爵家の長男でアロシア帝国の片隅に小さな所領を持っていたが可もなければ不可もない平凡な男だった。
なのに伯爵家の次女に惚れられ、嫁を貰うと子爵に陞爵しょうしゃくした。伯爵の身内として扱われたのだ。夫婦仲は周りが引くほどで、伯爵は娘可愛さに義理息子に力は無いのにかなり甘い評価をしていた。

だからその子供達、つまりギルーラとドアンにはさらに甘々だった。それ故に与える教育は最高のものを与え、環境を整えた。
ただ、ギルーラとドアンには才能があった。スキルも剣技に関わる上位のスキルであり、みるみる腕を上げ、成人する頃には一般の騎士では相手にならない程であった。

それ故油断していたのだろう、ギルーラとドアンを連れて辺境の盗賊団相手の討伐で負傷して、それが元で亡くなった。父親は居なくても孫に甘々の伯爵は何くれと面倒を観て、ギルーラは子爵から辺境伯へと成れたのだった。その領地がアロシア帝国の南端のスエータ地方ではあったのだが。

ギルーラの戦闘での成果の陰にはドアンの功績があった。ドアンはギルーラの双子の弟であった。それも一卵双生児であり、母親には見分けが付いたが父親を初め、孫に甘い祖父にも見分けは付かなかった。
好みの女性も同じでありギルーラが愛した女性を同時に愛した。ギルーラとドアンが役割を交代しても愛された女性にはバレる事も無かった。
そのため、二人で一人の女性を妻とした。ギルーラが表に出るときはドアンが裏方を受け持った。ドアンが表に出るときはギルーラが裏方になった。ギルーラはドアンであり、ドアンはギルーラであった。

だからギルーラはドアンが不満を抱えていることを知らなかった。
ソビエント連邦帝国が瓦解してアロシア帝国から周りの国々が離れてもギルーラはアロシア帝国に忠誠を誓っていた。スエータ地方には魔物は豊富にいても食料生産能力が皆無と言っても良いほど低調だったからだ。

チオミル•プチンがアロシア帝国皇帝になるとウクイラナ王国に攻め入る騎士の要求が頻繁になされた。ギルーラの配下には強力な騎士が多かった事もあったが山越えがあるとはいえマジェント共和王国と接している事で数はかなり免除されていた。
そして、チオミル•プチンアロシア帝国皇帝がウクイラナ王国との戦争を始めたせいで山越えをしてマジェント共和王国のスリム•ライザップ辺境伯が攻撃を仕掛けていていた。どういう事か分からないが騎士をウクイラナ王国に送ったその後に攻撃を仕掛けられていて、ドアンは内通者スパイを疑っていた。

密閉されたような城の城郭の内部には数千人の人々が暮らしていたがお互いの協力がなければ成り立たない。それ故ギルーラは外部からの商人などを疑っていた。
商人を疑って見張ってはみたものの、騎士を送れば直ぐに攻撃を受けているので商人である確証は得られて居なかった。そのため、ドアンの主張もあながち間違い無いのだろうかと考えて居た。

数度の交戦はあったもののマジェント共和王国のスリム•ライザップ辺境伯軍を完全に追い返していた。練度の高い騎士の力は負けては居なかった。

そんな折にマジェント共和王国に送り込んで居た間諜から恐ろしい情報がやって来た。魔導具による空からの攻撃を手とする傭兵が雇われたという情報だった。
情報は不確かだったがドアンはその傭兵を脅威と看做して盛んに暗殺をギルーラに要請した。最初は拒否していたギルーラだったが、実際の交戦に相手が出てきた時にその恐ろしさを実感してしまった。

魔法や投石機が届かない高度からの魔法攻撃に加え、翼竜じみた魔導具に見に包んだ傭兵達に手が出なかった。
傭兵達の数が少なく、攻撃も単発が多かったので何とか、犠牲は出たものの追い返す事が出来た。だが、マジェント共和王国のスリム•ライザップ辺境伯軍は事もあろうか、スエータの地の山沿いに陣を構えたのだ。
いつもなら山を戻り、姿を消していたのに。

嫌な予感しかしなかった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...