81 / 133
冒険者Dと近隣国
グリフォン攻略
しおりを挟む
いかん、ユキが背中に貼り付いているのにそのままズァークになっていた。余りに気配と重さが無いので失念してしまったのだ。それを赤龍王クルトガの指摘で気がついた。
「あぁ、この人族は我が駒よ。ちと利用している。」
「ズァークともあるものが酔狂だな」
捨て台詞とも呆れとも言えない言葉を残して赤龍王クルトガと赤竜は赤龍峰へ帰って行った。
俺は地上に舞い降りて人化した。人化体のズァークになったのだ。人化体のズァークは俺とほぼ同じ背丈の美魔女といった姿をしていて、砂漠色のマントを羽織って居る。俺が人化体ズァークになると力が抜けたのかユキが背中からずり落ちた。
無言で呆けているユキに俺は振り返って声を掛けた。
「すっかり忘れていたわ。はぁ」
見詰めて居ると赤龍王に遭った恐怖が蘇ったのかユキは震え始めた。
「あ、あの・・・」
色々と聞きたいのかも知れないが俺はスキル『無貌』を解除する。元のDの姿になるとユキも落ち着いて来たのか曇っていた表情が明るくなった。
「しゅ、主様は何者ですか?」
「A級冒険者のDさ」
言いたいことは分かる。だが、詳しく話す気は無い。
「あの赤龍と主様が何を話されていたのか分かりませんが知り合いだったんですよね?龍に変化するのも凄いですが人の姿に龍って代われるんですね?魔法ですか?それともスキルですか?あの側に居た赤竜ってなんなんですかね?何をしに来たんでしょう?あっさりと帰っちゃいましたが問題無いですかねえ?主様がなった龍ってどんな種類の龍なんですか?どんな力があるんでしょう?あたしも頑張れば成れますかねぇ?弓月国のニンジャスキルには『変化』のスキルがあるそうですからそれなら龍に成れる?そう、主様は『変化』の持ち主だったんですか?・・・そうですよ、龍になってあの魔物達を蹴散らせばあっという間に戦も終わっちゃいますよ!そうすれば主様の功績で報奨もウハウハ!」
ユキの妄想が膨らんで来たので止めさせよう。
「詳しくは話せないがこれは秘密だ。ユキと俺だけのな、良いな」
ユキは自分がいつになく饒舌に勝手なことを話していたかに気付いて赤くなった。真っ白い肌のユキが赤面すると凄く可愛らしい。俺の言葉を理解するとユキは小声で返事をした。
「はい、主様とあたしだけの秘密・・・」
ユキを抱き上げて深くキスをしてやると表情を蕩けさせて目を瞑った。ユキが満足するまで居るとモゾモゾし始めたのでやめる。これ以上は犯してくれと言われそうだ。
気を取り直して戦場に目を向ける。それでユキも気持ちを切り替えたらしい。スルスルと俺の背中に回り込み気配と重さを消す。
「夜に可愛がってください・・・」
小声で耳元で囁かれるとやる気になるな。何をと聞くなよ?
「分かった。此処から戦場に参加だ。他の冒険者に混じってグリフォン討伐といこう」
俺はスキルを使って空に羽ばたき魔法を放っているグリフォンに向かって走り始めた。魔法が飛び交う場所よりだいぶ遠い所から跳び上がり、空歩でグリフォンより高く駆け上がる。
何処からかどよめきが聞こえたが、そのまま自由落下のようにグリフォン目掛けて近づくと、グリフォンの騎手がこちらに気付いたようで、グリフォンをこちらに向けた。
騎手が何かするとグリフォンが口を開け、こちらに風魔法を放ってきた。
おお、そんなことも出来るのかよ、お前!
俺は避けることも出来ずにそのままグリフォンに向かって落ちていく。だが、残念ながらグリフォンの風魔法は俺の直前で微風となって魔力が解けていく。俺のスキル『拒否』のお陰だな。
地上に炎魔法を放っている魔法使いは気付いていないが、グリフォンの騎手は慌てて俺を避けようとグリフォンを操るがもう遅い。魔剣の大剣を取り出すと目に魔力を集めて凝視するとグリフォンが飛行に使っている魔力が見えた。これもスキル『みやぶる』のお陰だ。
落下のすれ違いざまにグリフォンの左羽根の付け根を切り落とす。体液が飛び散り、グリフォンがケァーという鳴き声を上げてバランスを崩して斜めに落ちていく。
グリフォンより早いスピードで落下している俺は風魔法の反動で落下スピードを落とそうとしたがそれより早く身体が軽くなったかと思うとふわりと着地出来た。う~ん、ユキのスキルかな?
後頭部辺りからユキの声がした。
「身体を軽くした。余計だった?」
なになに、上手くいけば問題なし!手を回してユキの頭を撫でてやる。
「いや、良くやった。ありがとう。」
◆スリム•ライザップ視点◆
やって来たアロシア帝国秘蔵の魔獣騎士団は強敵だった。
グリフォンに乗る魔法使いが居るのが特に厄介だ。
個別撃破されないように魔獣騎士団を囲んで集団で殲滅しようと騎士団でを回り込ませたが空を飛ぶグリフォンと魔法使いによる空中からの攻撃に悩まされる。
冒険者たちの魔法使いから攻撃させたがなんとも効果が薄い。
このまま膠着するのかと思っていたら南東の赤龍峰から赤龍がやって来た。赤龍に近付かれたら馬が怯えて戦いにならないと恐れていたら何故が突然、金色の覇王龍が現れて追い遣ってくれた。
その後覇王龍消えてくれたのでホッとしていると一人の珍妙な冒険者が走って来たと思ったら空に駆け上がった。
その冒険者は背中に黒髪の女性をおぶったまま、グリフォンを落としてくれた。
あの珍妙な冒険者は『緋空旅団』のA級冒険者のDだろう。
良くやってくれた。
これで戦況はこちらのものだ。
「あぁ、この人族は我が駒よ。ちと利用している。」
「ズァークともあるものが酔狂だな」
捨て台詞とも呆れとも言えない言葉を残して赤龍王クルトガと赤竜は赤龍峰へ帰って行った。
俺は地上に舞い降りて人化した。人化体のズァークになったのだ。人化体のズァークは俺とほぼ同じ背丈の美魔女といった姿をしていて、砂漠色のマントを羽織って居る。俺が人化体ズァークになると力が抜けたのかユキが背中からずり落ちた。
無言で呆けているユキに俺は振り返って声を掛けた。
「すっかり忘れていたわ。はぁ」
見詰めて居ると赤龍王に遭った恐怖が蘇ったのかユキは震え始めた。
「あ、あの・・・」
色々と聞きたいのかも知れないが俺はスキル『無貌』を解除する。元のDの姿になるとユキも落ち着いて来たのか曇っていた表情が明るくなった。
「しゅ、主様は何者ですか?」
「A級冒険者のDさ」
言いたいことは分かる。だが、詳しく話す気は無い。
「あの赤龍と主様が何を話されていたのか分かりませんが知り合いだったんですよね?龍に変化するのも凄いですが人の姿に龍って代われるんですね?魔法ですか?それともスキルですか?あの側に居た赤竜ってなんなんですかね?何をしに来たんでしょう?あっさりと帰っちゃいましたが問題無いですかねえ?主様がなった龍ってどんな種類の龍なんですか?どんな力があるんでしょう?あたしも頑張れば成れますかねぇ?弓月国のニンジャスキルには『変化』のスキルがあるそうですからそれなら龍に成れる?そう、主様は『変化』の持ち主だったんですか?・・・そうですよ、龍になってあの魔物達を蹴散らせばあっという間に戦も終わっちゃいますよ!そうすれば主様の功績で報奨もウハウハ!」
ユキの妄想が膨らんで来たので止めさせよう。
「詳しくは話せないがこれは秘密だ。ユキと俺だけのな、良いな」
ユキは自分がいつになく饒舌に勝手なことを話していたかに気付いて赤くなった。真っ白い肌のユキが赤面すると凄く可愛らしい。俺の言葉を理解するとユキは小声で返事をした。
「はい、主様とあたしだけの秘密・・・」
ユキを抱き上げて深くキスをしてやると表情を蕩けさせて目を瞑った。ユキが満足するまで居るとモゾモゾし始めたのでやめる。これ以上は犯してくれと言われそうだ。
気を取り直して戦場に目を向ける。それでユキも気持ちを切り替えたらしい。スルスルと俺の背中に回り込み気配と重さを消す。
「夜に可愛がってください・・・」
小声で耳元で囁かれるとやる気になるな。何をと聞くなよ?
「分かった。此処から戦場に参加だ。他の冒険者に混じってグリフォン討伐といこう」
俺はスキルを使って空に羽ばたき魔法を放っているグリフォンに向かって走り始めた。魔法が飛び交う場所よりだいぶ遠い所から跳び上がり、空歩でグリフォンより高く駆け上がる。
何処からかどよめきが聞こえたが、そのまま自由落下のようにグリフォン目掛けて近づくと、グリフォンの騎手がこちらに気付いたようで、グリフォンをこちらに向けた。
騎手が何かするとグリフォンが口を開け、こちらに風魔法を放ってきた。
おお、そんなことも出来るのかよ、お前!
俺は避けることも出来ずにそのままグリフォンに向かって落ちていく。だが、残念ながらグリフォンの風魔法は俺の直前で微風となって魔力が解けていく。俺のスキル『拒否』のお陰だな。
地上に炎魔法を放っている魔法使いは気付いていないが、グリフォンの騎手は慌てて俺を避けようとグリフォンを操るがもう遅い。魔剣の大剣を取り出すと目に魔力を集めて凝視するとグリフォンが飛行に使っている魔力が見えた。これもスキル『みやぶる』のお陰だ。
落下のすれ違いざまにグリフォンの左羽根の付け根を切り落とす。体液が飛び散り、グリフォンがケァーという鳴き声を上げてバランスを崩して斜めに落ちていく。
グリフォンより早いスピードで落下している俺は風魔法の反動で落下スピードを落とそうとしたがそれより早く身体が軽くなったかと思うとふわりと着地出来た。う~ん、ユキのスキルかな?
後頭部辺りからユキの声がした。
「身体を軽くした。余計だった?」
なになに、上手くいけば問題なし!手を回してユキの頭を撫でてやる。
「いや、良くやった。ありがとう。」
◆スリム•ライザップ視点◆
やって来たアロシア帝国秘蔵の魔獣騎士団は強敵だった。
グリフォンに乗る魔法使いが居るのが特に厄介だ。
個別撃破されないように魔獣騎士団を囲んで集団で殲滅しようと騎士団でを回り込ませたが空を飛ぶグリフォンと魔法使いによる空中からの攻撃に悩まされる。
冒険者たちの魔法使いから攻撃させたがなんとも効果が薄い。
このまま膠着するのかと思っていたら南東の赤龍峰から赤龍がやって来た。赤龍に近付かれたら馬が怯えて戦いにならないと恐れていたら何故が突然、金色の覇王龍が現れて追い遣ってくれた。
その後覇王龍消えてくれたのでホッとしていると一人の珍妙な冒険者が走って来たと思ったら空に駆け上がった。
その冒険者は背中に黒髪の女性をおぶったまま、グリフォンを落としてくれた。
あの珍妙な冒険者は『緋空旅団』のA級冒険者のDだろう。
良くやってくれた。
これで戦況はこちらのものだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる