無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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冒険者Dと近隣国

アロシア帝国を抜けてベラーシへ

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俺達はギルーラの後を追っていた。
乾燥した冷たい空気の中俺は無限軌道車工房エレクサンドの煙突の前に座っていた。ここからなら前が良く見える。それからスキル『嗅ぐ』を使える。
ギルーラ•エッテンベルクは地を這うドラゴンとも言われるデザートエクリプスに乗って北へ逃げたと聞いている。
蜥蜴型の大型歩行の魔物で吐息ブレスは無いが長い舌で絡め取ったり、尻尾での攻撃は要注意なA級の魔物であるデザートエクリプスは全力で駆ければエレクサンドよりも早いだろう。でも疲れを知らないエレクサンドとは違いデザートエクリプスは何処かで休ませないといけない。この先にある村に寄った可能性は高い。それに北の方から臭いもするしな。
スキル『嗅ぐ』はただ臭いを嗅ぐだけの力だけど『記憶』を併用すればずっと後を追っていける。犬や猫の臭覚よりも強力な力を発揮できるんだ。

微かに村が見えて来たので天井の扉を開けて中に入り、錬金術師ランドルトに声を掛けた。
「ランドルト、この先の村に寄ってくれ。手掛かりがある筈だ。」
「分かった、聞いたなドルチェ」

ランドルトが操縦しているドワーフのドルチェに命令した。ドルチェはランドルトの一番弟子だ。俺との付き合いも長い。ドルチェはヘイと答えて従う。

村と思ったが大きさはほぼ街に近い。名前はドレーンと言うらしい。村の周りを囲っているのは柵ではあるが十分太い柱が立って魔物の侵入を防いでいる。数年もすれば煉瓦塀に変わっている事だろう。見慣れない物が近付いたせいで武器持参の村人が出てきたがランドルトが先人を切ってドワーフであることを強調して鍜冶をすると伝えると大歓迎された。

ランドルト達は村の鍛冶師のところへ情報交換に赴き、俺は冒険者であることを告げると村長に呼ばれた。色々な情報が欲しいのだろう、俺もギルーラの情報が欲しい。夕食をご馳走になり、それとなくギルーラのことを聞くとやっぱり来ていた。
ギルーラは戦争に負けた事は告げずにこれから起こるような口ぶりをしていたようなので話しを合わせておく。どうせ、ギルーラが負けた事を教えても信じないだろうし、領主が変わろうと待遇さえ変わらなければ村は変わらない。互いのために黙っておくことにする。
やはり行き先はアロシア帝国の皇都らしい。俺は素直に信じることが出来ない。敗戦の将がわざわざ皇帝にそんなことを言いに行けば責任を取らされて死刑だ。だから何とか挽回できる手立てを考えるんじゃ無いかと思う。

翌日、のんびりしたがったランドルトを急かして北に向う。西の山並みが近付くとデザートエクリプスの臭いが西に向かって居た。ランドルトに西の山並みのことを聞くと山向はベラーシらしい。ということはベラーシにギルーラの力になり得る者がいるのかも知れない。
アロシア帝国内を彷徨くよりもベラーシに行ってしまった方がこちらとしても都合が良い。ウクイラナ王国とベラーシ王国は仲が悪いが力が拮抗しているせいでアロシア帝国よりも危険は少ない。
 
ただし、国境付近は危険がいっぱいだ。目立つ目立つ、わははは。狭隘な場所に門を構え、ベラーシへの入国者を制限している。
無限軌道車工房エレクサンドを初めて見るものは誰もが驚愕する。人によっては新たな魔物と見て、攻撃を加えようとする者も居るのだ。

錬金術師とA級冒険者の組み合わせはどこでも大歓迎される。そりゃ門を守護する砦の主にとって練兵や武具の調達は大事な仕事だ。通行するついでに俺は兵士の訓練を手伝い、ランドルト達は武具の修繕をしてやる。まぁ長居は出来ないので1日程度の物だが、夜は仲良くなって宴会だ。エレクサンドに載せていた魔物の肉を分けてやるから、そりゃもうみんな大喜びだ。
アロシア帝国内から通行してきた事も印象を良くしているに違いない。ウクイラナ王国からだったらかなり揉めただろう。

バンサイ砦と言った砦の騎士長ジルベルトからギルーラが通行したことを確認出来た。もちろん、追ってきたなどとは言わない。

翌日の昼頃俺達は砦の兵士達に見送られて西に進んだ。
目指すはギルーラが向かったと思われるバラナビィーチだ。人口2万を越える大都市でバンブレスト伯爵が治めて居る。
俺達は知らなかったがギルーラ•エッテンベルクの叔父はマルク•バンブレスト伯爵だったのだ。

大都市だからといっても無限軌道車工房エレクサンドをそのまま乗り入れる訳には行かなかった。
仕方がないので工房車部分だけを都市内に乗入れ、残りの宿泊施設と荷物車だけを俺がインベントリに収納することにした。工房車部分だけなら馬車の一回り大きい魔導具で済むからだった。それでも入都税としてひと月分で金貨2枚を取られた。まぁひと月も居るつもりは無いんだかな。

ギルーラは魔物であるデザートエクリプスをどうやってか都市の内部に乗り入れる事が出来ていた。多分アロシア帝国軍の者だとでも言って無理を通したのだろう。お陰で臭いを追って行き先を突き止められるんだが。

俺達は無限軌道車工房が目立たない場所として大都市バラナビィーチの鍛治師地区に泊まる事にした。
錬金術師ランドルトという名前はこの大都市にも響き渡っているらしく結構歓迎された。そのせいでランドルトは鍛治師達と交流するので忙しい。

俺はユキを連れて大都市バラナビィーチの冒険者ギルドに行った。当然、情報集めのためさ。


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