無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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冒険者Dと近隣国

真•闘気

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何故かグモイの流闘気を操る手を注視してはいけないと警戒心が湧き、俺は目を逸した。
グモイみたいな強者相手に目を逸らしたら大きな隙になるのにだ。おかしい!気付いた時には俺は後頭部に衝撃を受けていた。
ぐへっ

俺は後頭部を蹴られ前のめりに転ぶ。そのままゴロゴロと転がり伸びた。いや、意識もあるし視界もしっかりとしている。
ただ全身に力が入らない。

追撃が無く、怪訝に思いながらやっとの思いで立ち上がる。
「本当に頑丈だな。どうなっている、お主。」

グモイが警戒心を現して聞いてくる。少しグラグラする頭を振って口から血を吐き出す。べっ。
「クククッ不思議だろ?」

教えてなんてやるもんか。それよりグモイの流闘気を何とかしないといけない。俺が油断するなんて何か併用して術を俺に掛けているに違いない。

改めて俺は闘気を練る。だが練りが上手くいかない。
剛闘気を練っている筈なのに手印が乱れている。俺の五感の何かに干渉を受けているらしい。

戸惑っている俺は再び目の前にいた筈のグモイを見失い、脇腹にもろにローキックを食らった。
グヘッ!

今度は吹き飛ばされず何とか耐え切ったが呼気が乱れた。
間髪入れず反対側からも脇腹に衝撃を受けたが、咄嗟に打点をずらしたお陰でさっきより強くない。

俺は背後を見ずに感だけで右手背面打ちを放った。拳の先に何かが擦れる。握り拳から2指拳に変えて左手を突き出した。
グモイの姿は数m離れて居るので届く筈が無いのにグモイの心中に突き刺さった。

初めて俺の反撃がグモイに届いた。
グッ

グモイが胸を押さえて後ろに蹈鞴を踏んだ。
「良く見切ったな。儂の術が分かったか」
「へっ、何となくな。」
「何と!この戦いで理解するとは!ならば遊びは止めじゃ」

おいおい、少しも本気出して無いなんて言わないでくれよ。
グモイの戦い方を見切る為にわざと受けに回ったというのに不味いだろ。

俺の前には数m離れた場所で流闘気を練るグモイが見える。なのにその手の動きを見ない様に勝手に視線がずれる。
心理的に視線を動かされるなら見なければ良い。

俺は目を瞑り、腰を落として剛闘気を少し練ると床に向かって拳を振るった。

少しグモイの動揺が伝わって来たがそれは正面出なく俺の左側からだった。俺の剛闘気によって床が破砕されて罅が数m、グモイに届くまで走り、埃が舞う。

薄く目を開き埃の中グモイが俺を目掛けて飛び蹴りを仕掛けて来たのを身体を回して避け、グモイの頭に裏拳を叩き込んだ。
ドワッ

俺に避けられるとは思わなかったグモイが変な声を上げて転がって行く。間髪入れず俺は『ダッシュ』してグモイとは違う方向へ走った。
そしてスライディングキック!
ドガッ!ウガ!

何か重い物を蹴散らした感覚と共によろめき立ち上がったグモイの姿が揺らめき消えた。床を這いずる様に手足を使って姿を消した辺りに近づき足払いを掛けると再び何かを蹴り倒した。
バシッ!オウ!

そこからバク転を2回してその場を離れる。
スッと立ち上がり右に向かって正拳を突き出すとグモイの膝蹴りを叩き落した。
カウンターを受けたグモイが後ろにたたらを踏んで下がった。再び俺は左に側転をして数m離れる。

舞い上がった埃がほとんど落ちて俺が動き回った軌跡に沿って埃が淀んでいる。
「クッ、何故貴様急に動きが良くなりおった!」

俺の前に立つグモイが騒ぐ。
「ハッ知りたいか?クククッ」

教えてやるもんか。
「クソッ、こうなったら流闘気の真髄である真•闘気を見せてやる!」

グモイは思うように攻撃が通らなくなった為に何かやるらしい。手印を結びながら摺り足で歩法を繰り出した。
手印は分からないがあの摺り足は相手の動きを制限する為の練りの一種だ。

ならば俺は、跳び跳ねる様に爪先を使った歩法で俺は踊るように動き始めた。
ぐうー、これは辛い。同時に2つの闘気を操るのは来るねぇ~。

それ程の運動量では無いのに俺の額から汗が飛び散る。グモイも眇めて俺を観察しながら動き回る。

俺を中心にして近付いたり離れたりしながら回って行く。恐らく一周されたら攻撃が来るだろう。その前に俺も闘気を練り終わらないと不味い。俺の闘気法はグモイも初見な筈だ。グモイの真•闘気が完成する直前に俺の闘気法も完了した。
「ダナラ•エン•ソバラタ!剛縛闘気!」

グモイの宣言により俺の動きが止められた。絡め取るような綱のような闘気が俺に巻き付いていた。目には見えないがこれはグモイの闘気だ。魔物の蜘蛛が吐き出す糸の様にへばりついたら取れない奴だろう。
「これで貴様は身動が出来ぬ。後は儂が如何様にも出来る。のう、降参せんか?お主のような闘気使いは滅多におらぬわ。」
「へっ、今更命乞いをすると思うか?ぬううぅ~ん!」

俺は剛闘気を使う。
「ハハハ、如何に主の剛闘気が凄かろうと剛縛は破れんわ!」
「ぬううぅ~ん!ぬう、おうりゃあ~!」

バゴォーン!

空気が爆ぜる様にグモイの俺に絡みつかせた綱のような闘気が切れた。
「何ぃー!あり得ん、あり得んぞぅー!」

切れた剛縛が細くなって解ける様に消えていく。見えないが感じられる。グモイが顎を外しそうな馬鹿な顔を晒して驚いている。
「きっ貴様ー!何をした!儂の剛縛は相手の闘気を使って絡め縛る闘気法じゃあ!四方から浴びせるから死角も無いし、逃げる術も無いのだぞぉー!」
「はん、現に切れてんじゃねえか!」

俺は内気と外気を練りながら剛闘気を練り出す。
霧散していたグモイの闘気が俺を中心に集まり、微風を起こす。

俺の闘気の流れを感じたグモイが我に返って慌てて流闘気を練り始めた。

遅ぇー!ダンッ!
俺はグモイに向かってその場で剛闘気を正拳で突きだす。俺の闘気がグモイを捉え吹き飛ばす。

ドオおぉーん!
圧搾された空気が鳴ってグモイが壁に叩きつけられた。
ガハァー

壁に押さえ付けられる様に張り付いたままグモイが血を吐き出す。俺が正拳の構えを解くと圧迫ガ取れてグモイが壁からずり落ちた。

小さく呻いているから死んではいないようだ。
タフだねぇ~コイツ。

まぁ他人の事言えねえか。




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