無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

文字の大きさ
89 / 159
冒険者Dと近隣国

神闘法

しおりを挟む
「なぜじゃ・・・何故、儂の流闘気の真髄である真•闘気を破れるのじゃ。」

呟くにしてははっきりとグモイは口にした。
もう戦う気力も失っているようだから良いだろう。俺は自分の闘気を解いた。

ぷしゅ~そんな音がするように俺から闘気が消えて行く。体中から痛みが走り出したので慌てて内気を練る。
そんな俺の様子を伺っていたグモイが言った。
「内気だけで痛みを抑えているのか?そんな馬鹿な!内気にはそんな力は無いはずじゃ。」

あんまり驚いているので少しだけ教えてやるか。
「これは内気だけじゃないぜ。同時に剛気も練り込んでいるんだ。」

さらにグモイの驚きが大きくなった。
「馬鹿な!体内で剛気など練ったら内蔵が持たん!それ以上に痛みで気が狂うぞ!」

普通の闘気法ならそうだろうさ。
「デンライの外法を知ってるか?」
「何ぃ!貴様は外法者か!」

闘気法の創設者デンライは闘気法を広めながら弟子を広く求めた。才能を見出されて闘気法を学んだ中には魔法との融合を夢見た者が居た。それがデンライの外法者だ。
伝統通りに闘気を練るのでは無く、魔法を以て体内で内気を練る事は出来ないかと考えたのだ。挑む者は多かったが成功した例は皆無。

挑んだ者は内蔵を内気に荒らされ破壊されて癈人となったり、剛気を練り損ねて肉体を爆散させて死に至る者もでた。そもそもデンライは自らに魔力が乏しい事から魔法に対抗しようと闘気法を生み出したのだ。
だが、夢を捨てる事が出来ない者が稀有なスキルを持った者と出会った。それが俺だ。

『融合』と言うスキルがあった。これを持っていた男は粘土を捏ねる男だった。
水と土を『融合』して質の良い粘土を捏ね、強度のある焼き物を作っていた。

これを手に入れた俺は水と油を『融合』させてドレッシングを作って見たりしていたがあまり活用出来ていなかった。

だから闘気法を知って、デンライの外法を知って、活用が出来るのでは無いかと考えた訳だ。

正にどんぴしゃりだった。まさに外法の為のスキルだった。
しかも内気が肉体の活性をあげる為にあるのを魔法と『融合』する事で肉体の負荷を軽減し、回復を助けてくれる。

外気である剛気を取り込み、内気と『融合』する事で強靭な肉体を身体強化とは違う方法で作る事が出来る。

これがグモイの攻撃を散々受けても平気だった理由だ。それでもそれを越える衝撃は俺の口から血を滴らせてくれたが。
「そうさ、あんたら正統派には及びも付かない方法で創設者デンライを越えるのが俺たち外法者さ。だから真•流闘気を何とか出来たんだ。じゃなきゃ最初から俺は倒れてる。ムスタファやハガン、ザガン、ラガン兄弟も中々強かったがな。」
「クッくくく。満月ムスタファも倒していたか。儂の油断が招いた敗北じゃな。」
「ムスタファを知っているとはな。」
「あ奴は我が弟弟子の弟子じゃよ。負けは負けじゃ、好きにするが良い。」

壁にもたれ掛かってグモイは諦めた口調で言ってきたので遠慮はしねえ。
「まぁ、俺の好きにさせて貰うさ。じゃあな!グモイ•アラヌイ!」

俺がそう言って背を向けると何故かグモイが叫んだ。
「何故じゃ?何故命を取らぬ。」
「何故って、俺はあんたの命を狙ってた訳じゃ無いぜ。もう目的は果たしたしな、ほら」

俺が顎クイしてひっくり返っている、マルク•バンブレスト伯爵を示す。そこにはギルーラは居なかった。
既にユキがギルーラを運び出していた。

そこで始めて自分の事では無かった事に気づいたらしい。
「ははははははは!なるほど。して、お主の名は何という。」
「俺か?俺はディーだ。あんたらに分かり易く言えば不可侵(アンタッチャブル)のディーさ。」
「何と!貴様があの不可侵か!道理で強い筈だ。」
「なあに、今回はたまたまさ。次回は俺が伸されているだろうさ」

実際のところグモイが最初から全力を出して居たら内気も剛気も不足して破壊されてただろうさ。まぁ秘蔵の薬液(ポーション)があるから死なんだろうがな。

俺は窓を開けてそこから飛び降りる。ほんとは壁でも破壊して出ていくような格好を付けたかったが傷んだ内蔵を守るのが精一杯だったのさ。インベントリからポーションを出して飲むと痛みが引いてくる。
俺は落下の風切り音を聞きながらグモイと言う強敵と戦えて満足していた。まぁ楽が出来るのが一番なんだかな。

加速度が付いていた俺の身体はスキルを使うことで次第にゆっくりとなりふわりと着地した。ビルからそれなりに離れていたので振り返るとユキが壁に寄りかかって手を振っている。足元には簀巻きにされたギルーラがいた。
「さすがだぜ。あの場から気付かれないように抜け出すとはな」
「ディーにも出来る。」
「まあな」

俺は簀巻きギルーラを担ぐと歩き出す。
後をユキが追ってくる。

適当に歩いて目的地を見つけた。
大都市バラナビィーチにあるマジェント共和王国の秘密拠点だ。見かけはただのバーだがマジェント共和王国の国旗が反転逆陰影で上げられている。見た目はただの染みのようだ。俺がドアを叩くと男が小窓から顔を覗かせた。
「マジへのプレゼントだ」

俺の言葉に男が目を剥いて小窓を閉める。

直ぐにドアが開けられたのでそのまま俺もユキも中に入った。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...