無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

文字の大きさ
90 / 159
冒険者Dと近隣国

秘密拠点

しおりを挟む
中には男が一人だけだった。
「それで荷物はその男か」
「ああ、そうだ。マクシミリアン•ライザップ宛だ。」

男はじろりと荷物を見て言った。
「ギルーラか。良く捕まえたもんだ」

流石に国の諜報員だ。事情を良く知ってる。
男がギルーラを担いで奥の部屋に行くのに声を掛ける。
「飯は食えるか?」

男は振り返りもしないで答えた。
「ここは酒場だ。それなりに食える」
「じゃあ適当に二人分を頼む」

そう言って俺はカウンターにどかりと座った。血も流したし、内臓も破られた。少しは喰わないと回復しない。隣に座ったユキから可愛らしくぅ~と音が聞こえた。ユキも同じようだ。

暫くして男が大皿を持ってやって来た。
肉やら野菜やらが炒められたものらしい。何の肉か分からんが食えりゃ良い。酒場の主人だという男がカウンターの下から皿やらフォークを出してくれたので大皿から取り分けて口に運ぶ。
咀嚼すると野菜のシャキシャキ感が心地良い。肉もレアに近くて肉汁が溢れる。
「で、何を飲む?」

と聞かれたので
「キツイやつを頼む。あ、こいつはミルクでいい。」

とユキの分も頼む。
男はバスケットに入ったパンをどかりと置き、振り返って棚から酒をグラスに注ぎ、そのまま俺に寄越した。

そして奥へ入って行って大きなグラスにミルクをたっぷり入れて持ってきて、ユキの前に置いた。

ユキは嫌がりもせずミルクを飲むとこちらを見てニカッと笑った。
子供じみて結構可愛い奴だぜ。ムクリともたげる息子を抑えて、ユキの頭をグリグリするとユキの顔がだらしなくなった。

酒を煽るとかなりキツめの酒精が喉を通った。
こいつぁ効くな、でも旨い。
俺が平気で飲んでると酒場の男は目を丸くしてから奥へ消えていった。
「食事の後は?」

ユキが聞いて来たのでむしゃりと野菜を咀嚼してから答える。
「・・・ランドルト達と合流だな。その後は少しこの街を遊んでから考える。」

まぁ、合流の前にユキとシケ込みたい気分だ。酒でもグモイとの闘争の熱が消えそうも無いからな。
無言のまま食事を終えると酒場の男が顔を出したので聞いてみた。
「何か情報は無いか?」
「街のか?エッテンベルク城のか?」

少し考えて答える。
「エッテンベルク城の方からだ。」

男が言うには城の攻略と掃討は完了していて捕虜交換の交渉を始めたらしい。まぁギルーラを送れば更に有利な交渉になるだろう。
マクシミリアン様からの報奨は報告と共に冒険者ギルドに振り込まれたそうだ。それでいつ戻るかと聞かれて居るらしい。んなもん知るか。
「街の方は?」

そう聞くと何が聞きたいのかと逆に聞かれる。そりゃそうか。漠然と聞きすぎた。
「そうさな、先ずはランドルト達の居る宿を教えてくれ。それから・・・」

酒場と言う名の諜報員の拠点を出た俺たちは市場を目指して居た。
それ程遠くない路地を抜けると喧騒に満ちた市場に出た。それなりに広い道の両側に幌を掛けた屋台が連なっている。食べ物や果物の匂いが溢れて人の熱気に満ちていた。

ひょいと右を見ると焼串が売っていたので2本買って銅貨を払う。1本はユキに渡す。人の間を縫って進んでいるのにユキは常に隣を歩いている。俺に注目する不穏な輩も多いがユキの姿に魅了されてだらし無い表情を見せる男も多い。

歩いているとアクセサリを売っている店があったので覗いて見る。台の上には大小様々な宝石か魔石をペンダントトップにして見せている。青い空色に近い宝石があったので幾らか聞いてみると大銀貨1枚だと言う。アクアマリンの屑石だが金具も銀製で中々出来は良い。ネックレス込みなら買うぞと言うと俺の隣でしゃがんでいたユキを見て短めの魔物の毛を編み込んだ紐に通してネックレスにしたので、大銀貨を払って、ユキに付けてやる。

まんざらでも無いようだ。髪をかき上げたうなじを見るとヤりたくなるじゃねえか。店主のニヤけた顔は気に食わないがユキの手を引いて離れる。
他に使い方も分からない魔導具屋を覗いたり、古着を扱う店でユキに似合う服を探したりして市場を歩く。似たような店が連なる場所もあるが変わった物を扱う店が混じって居るので見てて飽きない。ユキも楽しめているようで俺も嬉しい。

高価な宿屋で旨い物を食うのも良いが、露天で歩きながらぶらつくのも一人じゃないから偶には良いなと思っているとユキに言い寄る男が現れた。ユキでも対処出来るだろうがここは俺が男を魅せるところだろうな。ユキもこっちを見て苦笑いしている。
「なぁ、良いだろ?」

派手なシャツを着た如何にも地廻りですと言う優男がユキに言い募ってる。
俺はそいつの肩を掴み振り向かせる。
「俺の女に手を出すとは良い根性してるじゃねえか」

優男は俺よりちょっと背が低いが俺を睨みつける。
「あ?何だぁてめえ!」
「連れを口説くんじゃねえよ!」

俺の右のショートフックで鳩尾を軽く叩いてやる。意外と筋肉質な腹筋が拳の先に感じられた。
「ぐへっ」

呻いたが、倒れるのを堪えるところを見るとそこそこの実力のようだ。
「てめえ!」

詰まらない文句を吐いて俺に左ストレートを出すが、遅え。軽くダッキングして躱すとカウンターで合わせて肘をこめかみに当ててやる。もろに食らってすっ飛んで転ぶ。
「うえっー!」

変な声を出して伸びた。優男を放って置いて優男を詰まらないものでも見る様に立っていたユキの肩を寄せて歩き出した。
賑やかな場所にはこんな奴がゴロゴロいやがる。

近場で俺達を見張っていた男達が俺が振り返ったので散って行く。他のヤクザ者達か、どこかの手の者か分からんがご苦労なことだ。

少し、白けたので俺はユキを連れてランドルト達の宿泊していると言う宿に向かった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...