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冒険者Dと近隣国
塩漬け案件1ーモトーレン伯爵
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モトーレン伯爵の屋敷は結構でかい。
3階建ての母屋に2階建ての建物がふたつ並んでいた。
伯爵なのに金持ちなのだろう。規模としては侯爵家並みと言ったところか。
まぁ偉い奴ほど高い所に居を構えたがるんだわ。
俺は3階建ての母屋らしきところの3階に忍び込む。外気取りの窓がいちぶ開いていたのでそこから内部に侵入し、屋根裏を行く。
羽目板を踏み外さないようにスキル『浮遊』を使ったままにしてある。
仕切りの柱を見当に大きな部屋を探して、羽目板を少しズラしては部屋の中を覗いて執務室らしき場所にでっぷりと太った男を見つけた。
普通の倍の大きさはあると思える椅子に座った男がグビリとグラスの中のワインらしき液体を呑み、目の前で起立する老齢の男に言った。
「それでぇ?テンペストが今更何の用だと言うのだ。」
「はあ、例の件で話したい事があるとか」
「あん?その件は済んでる筈だがぁ?金貨250枚で証拠の品は全て買い取ったんだろ?まさかぁギール、貴様がネコババでもしたのかぁ?」
ギールと呼ばれた執事らしき男が背筋をピンと伸ばして上擦った声を上げる。
「滅相も御座いません!アミバ様のご指示通りに渡して御座います。証拠の品は全てアミバ様に渡したではございませんかぁ!」
執事ギールの必死の抗弁にニタァと笑うアミバは言った。
「では、ここに通せ!」
どうやらアミバ•モトーレン伯爵は分かって居て執事ギールを虐めていたらしい。
慌てて執事ギールが退出するとアミバはワインを含んで大きくゲップをして独り言を漏らす。
「全く、強欲な奴らは何処にでも居るわい」
暫くして執事ギールがひとりの男を連れて戻って来た。
背の高さは執事ギールとほぼ同じくらいで全身が隠れる黒いフード付きのマントをしていた。
フードの中から除く顔は酷く痩せこけて目だけが異様に光って居る。
「なんじゃ、ツキガラスじゃないか」
アミバの声は幾分か喜色に塗れていた。
「忠告に来た。幾ら出す?」
「なんだぁ?忠告だぁ?ツキガラスともあろう者がこの儂に忠告するのかぁ?」
低く聞こえにくい声にアミバがさっきと違う怒気で応える。
「幾ら出す?」
アミバの恫喝にも反応しないツキガラスが平坦な声を出した。
「ふん!中身によるが他でもないツキガラスの情報だ。金貨5枚やろう。」
とてもアミバはケチくさいようだ。
「10枚。」
言ったが早いか、ツキガラスが短剣のような物を俺に向かって投げた。
おっと無拍子で殺気も無い攻撃は避けにくいが、羽目板を貫通するのに僅かに遅れた事で避けれる。
スキルを使って気配だけを他の場所へ走らせるとツキガラスが気配を追って部屋の外へ駆け出した。
驚いた執事ギールが腰を抜かして転ぶ。
アミバは面白そうにその様子を見ている。自分の身に危険が及ぶとは考えて居ないようだ。
建物の外まで気配を動かして消す。ツキガラスは廊下を走って追ったようだが姿を見ることなく戻って来た。
その姿を面白そうに見たアミバが何事も無かったように問い掛ける。
「で?どんな情報だ?」
「今の奴の情報だ。どうやってここを突き止めたかは知らんが俺たちが塩漬けにしたあんたの件を請け負った男がいる。」
なるほど、A級パーティが失敗する様な依頼は誰も受けなくなって塩漬けと成るわけだ。
「Dと名乗ったA級冒険者だが、出身はマジェント共和王国のようだから不可侵かも知れん。」
「ほう、そりゃ面白い。この魔石の錬金術師の素材に良いかも知れんな。」
おやおや不可侵と聞いてもビビらないとは良い度胸をしてるわ。
しかもこの短時間に俺の情報を仕入れているとはなかなかやるなあ。
「ふん、あんたの自信が何処から来るか知らんが奴は竜の鱗も手に入れられる冒険者だぞ。対面で戦ったら俺でも負けるかも知れん。」
「ぐふふふ、どんな手練だろうとこの儂をどうこう出来る者はおらんわ。」
他にとツキガラスは言って俺が熟した依頼の幾つかを上げて説明した。
ツキガラスがこんなに情報通だったとはなあ、ホソップも知らなかったぜ。職業『暗殺者』なだけはある。
「ふふん、まぁ良い。持っていけ」
アミバは執事ギールに命じてお金を用意させた。
ツキガラスと執事ギールが部屋から居なくなりアミバひとりになる。アミバは何かを考えながらワインを飲んでいたが瓶が空になると、どっこいしょと言って立ち上がった。
おいおい、そんな運動神経じゃあC級冒険者にだって負けるぞ。無敵みたいな自信は何処から来るんだ?
アミバが本棚に近づいて何かすると本棚が移動して通路が現れた。
暗がりの通路の中にアミバが消える。
すると本棚が自動で元に戻る。
こりゃあ後を付けないといけないなあ。ワクワクして来た。
俺は天井から降りて本棚を探る。ははあ、簡単な仕掛けだが分かりにくいな。
操作して本棚を移動させ、アミバが消えた穴の中に入って行く。
穴は下に向かう隠し通路だった。
所々小さな魔石の明かりがあるがかなり暗い。
知らんと転がり落ちそうな程の傾斜だがスキル『浮遊』を使い続けている俺に何の不自由も無い。
面白そうな成り行きに俺はワクワクしていた。
3階建ての母屋に2階建ての建物がふたつ並んでいた。
伯爵なのに金持ちなのだろう。規模としては侯爵家並みと言ったところか。
まぁ偉い奴ほど高い所に居を構えたがるんだわ。
俺は3階建ての母屋らしきところの3階に忍び込む。外気取りの窓がいちぶ開いていたのでそこから内部に侵入し、屋根裏を行く。
羽目板を踏み外さないようにスキル『浮遊』を使ったままにしてある。
仕切りの柱を見当に大きな部屋を探して、羽目板を少しズラしては部屋の中を覗いて執務室らしき場所にでっぷりと太った男を見つけた。
普通の倍の大きさはあると思える椅子に座った男がグビリとグラスの中のワインらしき液体を呑み、目の前で起立する老齢の男に言った。
「それでぇ?テンペストが今更何の用だと言うのだ。」
「はあ、例の件で話したい事があるとか」
「あん?その件は済んでる筈だがぁ?金貨250枚で証拠の品は全て買い取ったんだろ?まさかぁギール、貴様がネコババでもしたのかぁ?」
ギールと呼ばれた執事らしき男が背筋をピンと伸ばして上擦った声を上げる。
「滅相も御座いません!アミバ様のご指示通りに渡して御座います。証拠の品は全てアミバ様に渡したではございませんかぁ!」
執事ギールの必死の抗弁にニタァと笑うアミバは言った。
「では、ここに通せ!」
どうやらアミバ•モトーレン伯爵は分かって居て執事ギールを虐めていたらしい。
慌てて執事ギールが退出するとアミバはワインを含んで大きくゲップをして独り言を漏らす。
「全く、強欲な奴らは何処にでも居るわい」
暫くして執事ギールがひとりの男を連れて戻って来た。
背の高さは執事ギールとほぼ同じくらいで全身が隠れる黒いフード付きのマントをしていた。
フードの中から除く顔は酷く痩せこけて目だけが異様に光って居る。
「なんじゃ、ツキガラスじゃないか」
アミバの声は幾分か喜色に塗れていた。
「忠告に来た。幾ら出す?」
「なんだぁ?忠告だぁ?ツキガラスともあろう者がこの儂に忠告するのかぁ?」
低く聞こえにくい声にアミバがさっきと違う怒気で応える。
「幾ら出す?」
アミバの恫喝にも反応しないツキガラスが平坦な声を出した。
「ふん!中身によるが他でもないツキガラスの情報だ。金貨5枚やろう。」
とてもアミバはケチくさいようだ。
「10枚。」
言ったが早いか、ツキガラスが短剣のような物を俺に向かって投げた。
おっと無拍子で殺気も無い攻撃は避けにくいが、羽目板を貫通するのに僅かに遅れた事で避けれる。
スキルを使って気配だけを他の場所へ走らせるとツキガラスが気配を追って部屋の外へ駆け出した。
驚いた執事ギールが腰を抜かして転ぶ。
アミバは面白そうにその様子を見ている。自分の身に危険が及ぶとは考えて居ないようだ。
建物の外まで気配を動かして消す。ツキガラスは廊下を走って追ったようだが姿を見ることなく戻って来た。
その姿を面白そうに見たアミバが何事も無かったように問い掛ける。
「で?どんな情報だ?」
「今の奴の情報だ。どうやってここを突き止めたかは知らんが俺たちが塩漬けにしたあんたの件を請け負った男がいる。」
なるほど、A級パーティが失敗する様な依頼は誰も受けなくなって塩漬けと成るわけだ。
「Dと名乗ったA級冒険者だが、出身はマジェント共和王国のようだから不可侵かも知れん。」
「ほう、そりゃ面白い。この魔石の錬金術師の素材に良いかも知れんな。」
おやおや不可侵と聞いてもビビらないとは良い度胸をしてるわ。
しかもこの短時間に俺の情報を仕入れているとはなかなかやるなあ。
「ふん、あんたの自信が何処から来るか知らんが奴は竜の鱗も手に入れられる冒険者だぞ。対面で戦ったら俺でも負けるかも知れん。」
「ぐふふふ、どんな手練だろうとこの儂をどうこう出来る者はおらんわ。」
他にとツキガラスは言って俺が熟した依頼の幾つかを上げて説明した。
ツキガラスがこんなに情報通だったとはなあ、ホソップも知らなかったぜ。職業『暗殺者』なだけはある。
「ふふん、まぁ良い。持っていけ」
アミバは執事ギールに命じてお金を用意させた。
ツキガラスと執事ギールが部屋から居なくなりアミバひとりになる。アミバは何かを考えながらワインを飲んでいたが瓶が空になると、どっこいしょと言って立ち上がった。
おいおい、そんな運動神経じゃあC級冒険者にだって負けるぞ。無敵みたいな自信は何処から来るんだ?
アミバが本棚に近づいて何かすると本棚が移動して通路が現れた。
暗がりの通路の中にアミバが消える。
すると本棚が自動で元に戻る。
こりゃあ後を付けないといけないなあ。ワクワクして来た。
俺は天井から降りて本棚を探る。ははあ、簡単な仕掛けだが分かりにくいな。
操作して本棚を移動させ、アミバが消えた穴の中に入って行く。
穴は下に向かう隠し通路だった。
所々小さな魔石の明かりがあるがかなり暗い。
知らんと転がり落ちそうな程の傾斜だがスキル『浮遊』を使い続けている俺に何の不自由も無い。
面白そうな成り行きに俺はワクワクしていた。
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